「神は死んだ/俺が殺した」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

神は死んだ/俺が殺した - (2013/08/15 (木) 20:21:16) の最新版との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*神は死んだ/俺が殺した  ◆i7XcZU0oTM ----  碌に辺りも見ずに、歩き続けたせいだろうか。  気がつけば、月はあの忌わしい砂糖工場から、かなり離れていた。  道中、微かに声が聞こえて来たが、声の発信源から離れ過ぎていたためか、上手く聞き取れなかった。  あれは一体何だったのか……普段ならば、いくつも候補が出てくるようなこの問題。  だが、今の月の精神状況では、とても普段の頭脳を生かすことができそうにない。  何かを考えようとするたびに、チラチラと頭の中に浮かぶものが、月の思考を妨げる。 (……いつまで、お前は僕の頭の中に居座るつもりなんだッ……!)  ダディクールを、自分の手で、殺した瞬間の光景。  自分の手で、直接手を下した時の、手に伝わってきた感覚。  あの瞬間の全てが、月の脳裏に、消える事なくくっきりと残っている。  どれほど、振り払おうとしても。どれだけ、忘れようとしても。  やればやるほど、それはより強く脳裏に刻まれてゆく。  それこそが、他人の命を奪った、否定しようのない事実であり、証拠だ。  今までも、デスノートで命を奪いはしたが、あくまで間接的でしかないのだ。 「…………!」  どれだけ逃げ続けたとしても、罪からは逃げられない。  目を逸らそうが、逃げ出そうが、罪はどこまでも追いかけてくる。  いつかは、逃げ切れなくなる時が来る。  逃げ切れなくなった結果、どうなるかは……分からない。 「ここは……地図で言うと、どの辺りになるんだ……?」  PDAと地図を取り出し、簡単に現在位置を把握する月。 (C-4……結構な距離を歩いたようだ……)  自分のいる場所。  何でもない情報ではあるが、それを改めて確認したお陰なのか、月の心は今の所平穏を保てている。  これが続くならば、冷静に物事を考えられる筈。  月自身も、そう考えていた。 「……へぇ、何だか変わった奴が来たね」  ここで生き延びる為には、できれば遭遇しない方が良い相手。  そいつに、出会いさえしなければ。 ~~~~ (やっぱり、誰もいないなぁ……人っ子一人いないや)  閑散とした街中を闊歩するモララー。  一見、スキだらけの行動だが実際はそうではない。  傍目からはそうとは見えないが、常に周囲を警戒しつつ進んでいるのだ。  並大抵の相手であれば、襲い掛かった所で返り討ちにされるのがオチだろう。 「声のした所に行くと、百貨店に戻る事になるなぁ。まあ、得られるかもしれない成果に比べたら、小さいものだけどね」  どう行動するにしろ、考え無しに動く訳にはいかない……。  百貨店を"襲撃"するならば、その時が来るまでに用意をせねばならない。  どのような手段を用いるのか、どこから攻めるのか、どの武器を使うのか。  どれかが不完全であれば、そこから崩れてゆく。 (方向はこっちでいいよね、多分)  だが、襲撃を実行に移すのであれば、当然百貨店へと行かなければならない。  モララーのいるこの街からでも、百貨店は少し見える。  そこを目指して進めば、到着までそう時間は掛からないだろう。  だが、この場では何が起こるか分からない。  ……もしかしたら、何者かに襲われる可能性も十分ある。  百貨店で起こるであろう戦いの前に、負傷等は避けたい……。  そんな考えが、モララーの頭の中にあった。 (場所や大きさによっては……動けなくなる可能性も十分にある以上、極力負傷は避けたいな)  もちろん、相手によってはそんな事も言ってられないのだが。  ……多少の負傷を覚悟で、全力で殺しにいかねばならない相手。  そんな相手が、いないとも限らない。  今の所、そんな相手にはモララーは遭遇していないが……。今後、遭遇する可能性はある。  その想像を、モララーは首を横に振って振り払う。 「とにかく、今やるべきことに集中した方がいいや」  それほど強大な相手なら――――出遭った時に、確実に殺せばいいだけのこと。  この場にいないのであれば、被害を受ける事などないのだから。  それより、今やらなければならない事に集中した方がいいに決まっている……。 「大きい十字路だなぁ」  またスタスタと歩き続けていると、普通の十字路に差し掛かった。  確か、あの街にもこんな感じの交差点が……沢山あったような。  それほど古い記憶ではないのに、ぼんやりとしたビジョンしか頭に浮かばない。  あまり、重要と言う訳ではない記憶だからなのかもしれない。  その証拠、になるかは分からないが、自身の行った戦闘の記憶は、しっかりと頭に残っている。 (……何やってるんだろう。こんな所で、油売ってる場合じゃないや)  そう思って、百貨店目指して、足を進めようとした時。  別の道から誰かが歩いてくるのを、モララーは確認した。  作業着のような物を着て、肩に鞄をかけている。 「……へぇ。何だか変わった奴が来たね」  モララーの発した声に反応して、男――――夜神月は、垂れていた頭を上げた。  頭を上げ、視界にモララーの全身が映った瞬間。  月の表情が、一瞬で凍り付く。 「……な……」 「何をそんなに驚いてるの? ずいぶんと失礼な人だなぁ。ただ、出遭っただけじゃないか。  自己紹介でもしようか、僕はモララー。アンタの名前は?」  月の脳裏に、PDAを確認した時の光景が蘇る。  ……殺人者の中に、"モララー"と言う名前は……あった。それも、一番目立つ上の方に。 「う……嘘だろう……? こんな所で……こんな奴に、遭遇するなんて……ッ」 「嘘な訳ないじゃん。僕は実際にここにいるし。アンタもそうだろ?」  危機を察知したのか、月の頭脳が急加速する。  ……こいつに対抗できる何かはないのか?  月の持っている武器は、牛刀にスタンガン。鞄の中に、ブラックジャックにガスバーナー。  弾切れの56式自動歩槍に、(使い方を理解していないが)毒霧の杖。  一方、モララーの武器は突撃銃一丁に狙撃銃一丁。  月は今の所知る由もないが、これに加えて赤い刃も持ち合わせている。  その上、元々の身体能力でも、月はモララーに引け目を取っている。 (どうすればいい……!? どうすれば、この緊急事態を乗り越えられる……!?)  どれだけ考えた所で、1つの答えに収束するだけだ。  ――――戦うしかない。戦い、倒すしかない。こいつは、"善良"とは程遠い存在だ。 (……でも、どうすれば?)  戦った所で、勝ち目がないのは分かり切っている。  牛刀で切りかかっても、辿り着く前に蜂の巣になるのが関の山。  ならば、手持ちの武器を投げてみるか?それも、おそらく無駄な抵抗になるだろう。  モララーと月の距離は4メートルほど。投げれば届くだろうが、あくまでそれだけだ。  ……傷をつけ、命を奪くまでには到底行かないだろう。  万事休すか、八方ふさがりか。どちらの言葉も、今の月の状況を現すには丁度良い言葉だ。 「ずいぶん驚いてるね。まあ、こんな姿の奴に出会えば別段おかしい反応でもないからな」  右肩に巻かれた、白い……いや、白と赤のツートンカラーに塗られた布。  体の所々に付着する、赤黒い斑点。右手に持つ突撃銃……。  確かに、モララーの言う事にも一理ある。 「それより……こうやって出遭った以上、アンタを生かしておく訳にはいかないからな」  チャキッ、と小さな音を立てて、突撃銃が構えられる。  ……標的は、もちろん月。 「あ……」 「それじゃ……これでお別れだからな!」  引き金が引かれる寸前。  何もかもを捨てて、走り出す月。  ……何をどうする、これをああする、そんな考えよりも、本能が勝った。  ――――死にたくない 生きていたい (……僕は、まだ死ぬ訳にはいかな――――)  静かな街に、銃撃音が木霊した。 ~~~~~ 「ちょっと時間と銃弾を浪費しすぎたかな……?」  何食わぬ顔で、百貨店を目指し歩を進めるモララー。 (時間も弾も、有限。無くなってしまったら、終わりだからな!)  来たるべき"時"が来るまでは、なるべく無駄ははぶいていきたい。  だが、今回の様に、誰かに遭遇した時は、そうも言っていられない状況になる可能性も、大いにある。  そのためにも、先程仕留めた男から、有用な武器が手に入れば良かったのだが……。 (微妙なモノしか持ってなかったな。あれくらいの武器じゃ……ちょっと頼りないね。銃もあったけど、  弾が切れてちゃ役立たずだよ)  結局、収穫は忍法帳のポイントが入ったPDAのみだった。  それでも、1人仕留めただけで2も忍法帳のレベルが増えるのだから、大きい収穫だ。 (でも……レベルが上がってたってことは、アイツも誰かを一人殺してたってことだよね。まあ、別段興味もないけど)  とにかく、今は百貨店を目指そう。  辿り着いて、準備を整え次第に……行動する。 (肩の傷もあるし、直接交戦するのは避けたかったけど……このチャンスをフイにする訳にはいかないからな) 【C-2・北西付近/1日目・朝】 【モララー@AA(FLASH「Nightmare City」)】 [状態]:右肩に銃創、赤い刃使用可能(残量小) [装備]:H&K G36(10/30)@現実、根性ハチマキ@現実(肩に巻いてます) [道具]:基本支給品一式×2、PDA(忍法帖【Lv=04】)、夜神月のPDA(忍法帳【Lv=01】)ランダム支給品0~2、     モシン・ナガンM28(4/5)@現実、H&Kの予備マガジン [思考・状況] 基本:優勝狙い 1:百貨店を襲う。そのためにも、まずは百貨店へ 2:傷が癒えるまでは直接的な戦闘を避けたいけど……チャンスを逃したくはない 3:殺し合いに乗る、強者はなるべく後回し ※出典元により、自在に赤い刃を作り出す能力を持っていますが、連続して使用するとしばらく使えなくなります ※日本鬼子、鬼女の姿のみ覚えました。一条三位に関しては正確な姿を覚えられませんでした ※八頭身、モナー、ギコ、しぃ等を、ナイトメアシティに関係する者だと思っています ~~~~~  モララーも鞄の物色を終え、この場を立ち去ったあと。 (…………嫌だ…………死にたく、ない…………)  足に、肩に、背中に銃弾を受け、もはや生きているのが精一杯な状態で、月は倒れていた。  ……もう助かる見込みなどない状態で、ただ何も出来ずに終わりの時を待つ。  それが、月にとってどれほどの屈辱なのかは、計り知れぬほど。 「…………誰か…………助、け…………」  残った力を振り絞り、精一杯絞り出した言葉を、聴く者は誰もいない。  何かを掴むかの様に、月は手を前に伸ばすが、手を取る者は誰もいない。  たった一人で、孤独に飲まれながら、月は死ぬ。  その事実を悟った瞬間、月は狂おうとした。叫ぼうともした。  だが、もう狂う力も、叫ぶ力も、残されてはいない。 (…………新世界の、神になる、はずだった、のに…………どう、して…………)  新世界の神を自称した青年は、おおよそ神には似つかわしくない終わり方で――――あっけなく、斃れた。 &color(red){【夜神月@AA 死亡確認】} &color(red){【残り45人】} ※夜神月の所持品は、夜神月のPDAが無くなった状態で遺体の傍に放置されています。 |No.89:[[fate of the blood]]|[[時系列順>第二回放送までの本編SS]]|No.91:[[ハルトシュラーのパーフェクト説得教室]]| |No.89:[[fate of the blood]]|[[投下順>51~100]]|No.91:[[ハルトシュラーのパーフェクト説得教室]]| |No.88:[[ひと時のマターリ]]|モララー|No.:[[]]| |No.61:[[絶望ダディ/壊れた救世主]]|夜神月|&color(red){死亡}|
*神は死んだ/俺が殺した  ◆i7XcZU0oTM ----  碌に辺りも見ずに、歩き続けたせいだろうか。  気がつけば、月はあの忌わしい砂糖工場から、かなり離れていた。  道中、微かに声が聞こえて来たが、声の発信源から離れ過ぎていたためか、上手く聞き取れなかった。  あれは一体何だったのか……普段ならば、いくつも候補が出てくるようなこの問題。  だが、今の月の精神状況では、とても普段の頭脳を生かすことができそうにない。  何かを考えようとするたびに、チラチラと頭の中に浮かぶものが、月の思考を妨げる。 (……いつまで、お前は僕の頭の中に居座るつもりなんだッ……!)  ダディクールを、自分の手で、殺した瞬間の光景。  自分の手で、直接手を下した時の、手に伝わってきた感覚。  あの瞬間の全てが、月の脳裏に、消える事なくくっきりと残っている。  どれほど、振り払おうとしても。どれだけ、忘れようとしても。  やればやるほど、それはより強く脳裏に刻まれてゆく。  それこそが、他人の命を奪った、否定しようのない事実であり、証拠だ。  今までも、デスノートで命を奪いはしたが、あくまで間接的でしかないのだ。 「…………!」  どれだけ逃げ続けたとしても、罪からは逃げられない。  目を逸らそうが、逃げ出そうが、罪はどこまでも追いかけてくる。  いつかは、逃げ切れなくなる時が来る。  逃げ切れなくなった結果、どうなるかは……分からない。 「ここは……地図で言うと、どの辺りになるんだ……?」  PDAと地図を取り出し、簡単に現在位置を把握する月。 (C-4……結構な距離を歩いたようだ……)  自分のいる場所。  何でもない情報ではあるが、それを改めて確認したお陰なのか、月の心は今の所平穏を保てている。  これが続くならば、冷静に物事を考えられる筈。  月自身も、そう考えていた。 「……へぇ、何だか変わった奴が来たね」  ここで生き延びる為には、できれば遭遇しない方が良い相手。  そいつに、出会いさえしなければ。 ~~~~ (やっぱり、誰もいないなぁ……人っ子一人いないや)  閑散とした街中を闊歩するモララー。  一見、スキだらけの行動だが実際はそうではない。  傍目からはそうとは見えないが、常に周囲を警戒しつつ進んでいるのだ。  並大抵の相手であれば、襲い掛かった所で返り討ちにされるのがオチだろう。 「声のした所に行くと、百貨店に戻る事になるなぁ。まあ、得られるかもしれない成果に比べたら、小さいものだけどね」  どう行動するにしろ、考え無しに動く訳にはいかない……。  百貨店を"襲撃"するならば、その時が来るまでに用意をせねばならない。  どのような手段を用いるのか、どこから攻めるのか、どの武器を使うのか。  どれかが不完全であれば、そこから崩れてゆく。 (方向はこっちでいいよね、多分)  だが、襲撃を実行に移すのであれば、当然百貨店へと行かなければならない。  モララーのいるこの街からでも、百貨店は少し見える。  そこを目指して進めば、到着までそう時間は掛からないだろう。  だが、この場では何が起こるか分からない。  ……もしかしたら、何者かに襲われる可能性も十分ある。  百貨店で起こるであろう戦いの前に、負傷等は避けたい……。  そんな考えが、モララーの頭の中にあった。 (場所や大きさによっては……動けなくなる可能性も十分にある以上、極力負傷は避けたいな)  もちろん、相手によってはそんな事も言ってられないのだが。  ……多少の負傷を覚悟で、全力で殺しにいかねばならない相手。  そんな相手が、いないとも限らない。  今の所、そんな相手にはモララーは遭遇していないが……。今後、遭遇する可能性はある。  その想像を、モララーは首を横に振って振り払う。 「とにかく、今やるべきことに集中した方がいいや」  それほど強大な相手なら――――出遭った時に、確実に殺せばいいだけのこと。  この場にいないのであれば、被害を受ける事などないのだから。  それより、今やらなければならない事に集中した方がいいに決まっている……。 「大きい十字路だなぁ」  またスタスタと歩き続けていると、普通の十字路に差し掛かった。  確か、あの街にもこんな感じの交差点が……沢山あったような。  それほど古い記憶ではないのに、ぼんやりとしたビジョンしか頭に浮かばない。  あまり、重要と言う訳ではない記憶だからなのかもしれない。  その証拠、になるかは分からないが、自身の行った戦闘の記憶は、しっかりと頭に残っている。 (……何やってるんだろう。こんな所で、油売ってる場合じゃないや)  そう思って、百貨店目指して、足を進めようとした時。  別の道から誰かが歩いてくるのを、モララーは確認した。  作業着のような物を着て、肩に鞄をかけている。 「……へぇ。何だか変わった奴が来たね」  モララーの発した声に反応して、男――――夜神月は、垂れていた頭を上げた。  頭を上げ、視界にモララーの全身が映った瞬間。  月の表情が、一瞬で凍り付く。 「……な……」 「何をそんなに驚いてるの? ずいぶんと失礼な人だなぁ。ただ、出遭っただけじゃないか。  自己紹介でもしようか、僕はモララー。アンタの名前は?」  月の脳裏に、PDAを確認した時の光景が蘇る。  ……殺人者の中に、"モララー"と言う名前は……あった。それも、一番目立つ上の方に。 「う……嘘だろう……? こんな所で……こんな奴に、遭遇するなんて……ッ」 「嘘な訳ないじゃん。僕は実際にここにいるし。アンタもそうだろ?」  危機を察知したのか、月の頭脳が急加速する。  ……こいつに対抗できる何かはないのか?  月の持っている武器は、牛刀にスタンガン。鞄の中に、ブラックジャックにガスバーナー。  弾切れの56式自動歩槍に、(使い方を理解していないが)毒霧の杖。  一方、モララーの武器は突撃銃一丁に狙撃銃一丁。  月は今の所知る由もないが、これに加えて赤い刃も持ち合わせている。  その上、元々の身体能力でも、月はモララーに引け目を取っている。 (どうすればいい……!? どうすれば、この緊急事態を乗り越えられる……!?)  どれだけ考えた所で、1つの答えに収束するだけだ。  ――――戦うしかない。戦い、倒すしかない。こいつは、"善良"とは程遠い存在だ。 (……でも、どうすれば?)  戦った所で、勝ち目がないのは分かり切っている。  牛刀で切りかかっても、辿り着く前に蜂の巣になるのが関の山。  ならば、手持ちの武器を投げてみるか?それも、おそらく無駄な抵抗になるだろう。  モララーと月の距離は4メートルほど。投げれば届くだろうが、あくまでそれだけだ。  ……傷をつけ、命を奪くまでには到底行かないだろう。  万事休すか、八方ふさがりか。どちらの言葉も、今の月の状況を現すには丁度良い言葉だ。 「ずいぶん驚いてるね。まあ、こんな姿の奴に出会えば別段おかしい反応でもないからな」  右肩に巻かれた、白い……いや、白と赤のツートンカラーに塗られた布。  体の所々に付着する、赤黒い斑点。右手に持つ突撃銃……。  確かに、モララーの言う事にも一理ある。 「それより……こうやって出遭った以上、アンタを生かしておく訳にはいかないからな」  チャキッ、と小さな音を立てて、突撃銃が構えられる。  ……標的は、もちろん月。 「あ……」 「それじゃ……これでお別れだからな!」  引き金が引かれる寸前。  何もかもを捨てて、走り出す月。  ……何をどうする、これをああする、そんな考えよりも、本能が勝った。  ――――死にたくない 生きていたい (……僕は、まだ死ぬ訳にはいかな――――)  静かな街に、銃撃音が木霊した。 ~~~~~ 「ちょっと時間と銃弾を浪費しすぎたかな……?」  何食わぬ顔で、百貨店を目指し歩を進めるモララー。 (時間も弾も、有限。無くなってしまったら、終わりだからな!)  来たるべき"時"が来るまでは、なるべく無駄ははぶいていきたい。  だが、今回の様に、誰かに遭遇した時は、そうも言っていられない状況になる可能性も、大いにある。  そのためにも、先程仕留めた男から、有用な武器が手に入れば良かったのだが……。 (微妙なモノしか持ってなかったな。あれくらいの武器じゃ……ちょっと頼りないね。銃もあったけど、  弾が切れてちゃ役立たずだよ)  結局、収穫は忍法帳のポイントが入ったPDAのみだった。  それでも、1人仕留めただけで2も忍法帳のレベルが増えるのだから、大きい収穫だ。 (でも……レベルが上がってたってことは、アイツも誰かを一人殺してたってことだよね。まあ、別段興味もないけど)  とにかく、今は百貨店を目指そう。  辿り着いて、準備を整え次第に……行動する。 (肩の傷もあるし、直接交戦するのは避けたかったけど……このチャンスをフイにする訳にはいかないからな) 【C-2・北西付近/1日目・朝】 【モララー@AA(FLASH「Nightmare City」)】 [状態]:右肩に銃創、赤い刃使用可能(残量小) [装備]:H&K G36(10/30)@現実、根性ハチマキ@現実(肩に巻いてます) [道具]:基本支給品一式×2、PDA(忍法帖【Lv=04】)、夜神月のPDA(忍法帳【Lv=01】)ランダム支給品0~2、     モシン・ナガンM28(4/5)@現実、H&Kの予備マガジン [思考・状況] 基本:優勝狙い 1:百貨店を襲う。そのためにも、まずは百貨店へ 2:傷が癒えるまでは直接的な戦闘を避けたいけど……チャンスを逃したくはない 3:殺し合いに乗る、強者はなるべく後回し ※出典元により、自在に赤い刃を作り出す能力を持っていますが、連続して使用するとしばらく使えなくなります ※日本鬼子、鬼女の姿のみ覚えました。一条三位に関しては正確な姿を覚えられませんでした ※八頭身、モナー、ギコ、しぃ等を、ナイトメアシティに関係する者だと思っています ~~~~~  モララーも鞄の物色を終え、この場を立ち去ったあと。 (…………嫌だ…………死にたく、ない…………)  足に、肩に、背中に銃弾を受け、もはや生きているのが精一杯な状態で、月は倒れていた。  ……もう助かる見込みなどない状態で、ただ何も出来ずに終わりの時を待つ。  それが、月にとってどれほどの屈辱なのかは、計り知れぬほど。 「…………誰か…………助、け…………」  残った力を振り絞り、精一杯絞り出した言葉を、聴く者は誰もいない。  何かを掴むかの様に、月は手を前に伸ばすが、手を取る者は誰もいない。  たった一人で、孤独に飲まれながら、月は死ぬ。  その事実を悟った瞬間、月は狂おうとした。叫ぼうともした。  だが、もう狂う力も、叫ぶ力も、残されてはいない。 (…………新世界の、神になる、はずだった、のに…………どう、して…………)  新世界の神を自称した青年は、おおよそ神には似つかわしくない終わり方で――――あっけなく、斃れた。 &color(red){【夜神月@AA 死亡確認】} &color(red){【残り45人】} ※夜神月の所持品は、夜神月のPDAが無くなった状態で遺体の傍に放置されています。 |No.89:[[fate of the blood]]|[[時系列順>第二回放送までの本編SS]]|No.91:[[ハルトシュラーのパーフェクト説得教室]]| |No.89:[[fate of the blood]]|[[投下順>51~100]]|No.91:[[ハルトシュラーのパーフェクト説得教室]]| |No.88:[[ひと時のマターリ]]|モララー|No.98:[[天才あらわる]]| |No.61:[[絶望ダディ/壊れた救世主]]|夜神月|&color(red){死亡}|

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー