神は死んだ/俺が殺した ◆i7XcZU0oTM
碌に辺りも見ずに、歩き続けたせいだろうか。
気がつけば、月はあの忌わしい砂糖工場から、かなり離れていた。
道中、微かに声が聞こえて来たが、声の発信源から離れ過ぎていたためか、上手く聞き取れなかった。
あれは一体何だったのか……普段ならば、いくつも候補が出てくるようなこの問題。
だが、今の月の精神状況では、とても普段の頭脳を生かすことができそうにない。
何かを考えようとするたびに、チラチラと頭の中に浮かぶものが、月の思考を妨げる。
気がつけば、月はあの忌わしい砂糖工場から、かなり離れていた。
道中、微かに声が聞こえて来たが、声の発信源から離れ過ぎていたためか、上手く聞き取れなかった。
あれは一体何だったのか……普段ならば、いくつも候補が出てくるようなこの問題。
だが、今の月の精神状況では、とても普段の頭脳を生かすことができそうにない。
何かを考えようとするたびに、チラチラと頭の中に浮かぶものが、月の思考を妨げる。
(……いつまで、お前は僕の頭の中に居座るつもりなんだッ……!)
ダディクールを、自分の手で、殺した瞬間の光景。
自分の手で、直接手を下した時の、手に伝わってきた感覚。
あの瞬間の全てが、月の脳裏に、消える事なくくっきりと残っている。
自分の手で、直接手を下した時の、手に伝わってきた感覚。
あの瞬間の全てが、月の脳裏に、消える事なくくっきりと残っている。
どれほど、振り払おうとしても。どれだけ、忘れようとしても。
やればやるほど、それはより強く脳裏に刻まれてゆく。
それこそが、他人の命を奪った、否定しようのない事実であり、証拠だ。
今までも、デスノートで命を奪いはしたが、あくまで間接的でしかないのだ。
やればやるほど、それはより強く脳裏に刻まれてゆく。
それこそが、他人の命を奪った、否定しようのない事実であり、証拠だ。
今までも、デスノートで命を奪いはしたが、あくまで間接的でしかないのだ。
「…………!」
どれだけ逃げ続けたとしても、罪からは逃げられない。
目を逸らそうが、逃げ出そうが、罪はどこまでも追いかけてくる。
いつかは、逃げ切れなくなる時が来る。
逃げ切れなくなった結果、どうなるかは……分からない。
目を逸らそうが、逃げ出そうが、罪はどこまでも追いかけてくる。
いつかは、逃げ切れなくなる時が来る。
逃げ切れなくなった結果、どうなるかは……分からない。
「ここは……地図で言うと、どの辺りになるんだ……?」
PDAと地図を取り出し、簡単に現在位置を把握する月。
(C-4……結構な距離を歩いたようだ……)
自分のいる場所。
何でもない情報ではあるが、それを改めて確認したお陰なのか、月の心は今の所平穏を保てている。
これが続くならば、冷静に物事を考えられる筈。
月自身も、そう考えていた。
何でもない情報ではあるが、それを改めて確認したお陰なのか、月の心は今の所平穏を保てている。
これが続くならば、冷静に物事を考えられる筈。
月自身も、そう考えていた。
「……へぇ、何だか変わった奴が来たね」
ここで生き延びる為には、できれば遭遇しない方が良い相手。
そいつに、出会いさえしなければ。
そいつに、出会いさえしなければ。
~~~~
(やっぱり、誰もいないなぁ……人っ子一人いないや)
閑散とした街中を闊歩するモララー。
一見、スキだらけの行動だが実際はそうではない。
傍目からはそうとは見えないが、常に周囲を警戒しつつ進んでいるのだ。
並大抵の相手であれば、襲い掛かった所で返り討ちにされるのがオチだろう。
一見、スキだらけの行動だが実際はそうではない。
傍目からはそうとは見えないが、常に周囲を警戒しつつ進んでいるのだ。
並大抵の相手であれば、襲い掛かった所で返り討ちにされるのがオチだろう。
「声のした所に行くと、百貨店に戻る事になるなぁ。まあ、得られるかもしれない成果に比べたら、小さいものだけどね」
どう行動するにしろ、考え無しに動く訳にはいかない……。
百貨店を"襲撃"するならば、その時が来るまでに用意をせねばならない。
どのような手段を用いるのか、どこから攻めるのか、どの武器を使うのか。
どれかが不完全であれば、そこから崩れてゆく。
百貨店を"襲撃"するならば、その時が来るまでに用意をせねばならない。
どのような手段を用いるのか、どこから攻めるのか、どの武器を使うのか。
どれかが不完全であれば、そこから崩れてゆく。
(方向はこっちでいいよね、多分)
だが、襲撃を実行に移すのであれば、当然百貨店へと行かなければならない。
モララーのいるこの街からでも、百貨店は少し見える。
そこを目指して進めば、到着までそう時間は掛からないだろう。
だが、この場では何が起こるか分からない。
……もしかしたら、何者かに襲われる可能性も十分ある。
百貨店で起こるであろう戦いの前に、負傷等は避けたい……。
そんな考えが、モララーの頭の中にあった。
モララーのいるこの街からでも、百貨店は少し見える。
そこを目指して進めば、到着までそう時間は掛からないだろう。
だが、この場では何が起こるか分からない。
……もしかしたら、何者かに襲われる可能性も十分ある。
百貨店で起こるであろう戦いの前に、負傷等は避けたい……。
そんな考えが、モララーの頭の中にあった。
(場所や大きさによっては……動けなくなる可能性も十分にある以上、極力負傷は避けたいな)
もちろん、相手によってはそんな事も言ってられないのだが。
……多少の負傷を覚悟で、全力で殺しにいかねばならない相手。
そんな相手が、いないとも限らない。
今の所、そんな相手にはモララーは遭遇していないが……。今後、遭遇する可能性はある。
その想像を、モララーは首を横に振って振り払う。
……多少の負傷を覚悟で、全力で殺しにいかねばならない相手。
そんな相手が、いないとも限らない。
今の所、そんな相手にはモララーは遭遇していないが……。今後、遭遇する可能性はある。
その想像を、モララーは首を横に振って振り払う。
「とにかく、今やるべきことに集中した方がいいや」
それほど強大な相手なら――――出遭った時に、確実に殺せばいいだけのこと。
この場にいないのであれば、被害を受ける事などないのだから。
それより、今やらなければならない事に集中した方がいいに決まっている……。
この場にいないのであれば、被害を受ける事などないのだから。
それより、今やらなければならない事に集中した方がいいに決まっている……。
「大きい十字路だなぁ」
またスタスタと歩き続けていると、普通の十字路に差し掛かった。
確か、あの街にもこんな感じの交差点が……沢山あったような。
それほど古い記憶ではないのに、ぼんやりとしたビジョンしか頭に浮かばない。
あまり、重要と言う訳ではない記憶だからなのかもしれない。
その証拠、になるかは分からないが、自身の行った戦闘の記憶は、しっかりと頭に残っている。
確か、あの街にもこんな感じの交差点が……沢山あったような。
それほど古い記憶ではないのに、ぼんやりとしたビジョンしか頭に浮かばない。
あまり、重要と言う訳ではない記憶だからなのかもしれない。
その証拠、になるかは分からないが、自身の行った戦闘の記憶は、しっかりと頭に残っている。
(……何やってるんだろう。こんな所で、油売ってる場合じゃないや)
そう思って、百貨店目指して、足を進めようとした時。
別の道から誰かが歩いてくるのを、モララーは確認した。
作業着のような物を着て、肩に鞄をかけている。
別の道から誰かが歩いてくるのを、モララーは確認した。
作業着のような物を着て、肩に鞄をかけている。
「……へぇ。何だか変わった奴が来たね」
モララーの発した声に反応して、男――――夜神月は、垂れていた頭を上げた。
頭を上げ、視界にモララーの全身が映った瞬間。
月の表情が、一瞬で凍り付く。
頭を上げ、視界にモララーの全身が映った瞬間。
月の表情が、一瞬で凍り付く。
「……な……」
「何をそんなに驚いてるの? ずいぶんと失礼な人だなぁ。ただ、出遭っただけじゃないか。
自己紹介でもしようか、僕はモララー。アンタの名前は?」
「何をそんなに驚いてるの? ずいぶんと失礼な人だなぁ。ただ、出遭っただけじゃないか。
自己紹介でもしようか、僕はモララー。アンタの名前は?」
月の脳裏に、PDAを確認した時の光景が蘇る。
……殺人者の中に、"モララー"と言う名前は……あった。それも、一番目立つ上の方に。
……殺人者の中に、"モララー"と言う名前は……あった。それも、一番目立つ上の方に。
「う……嘘だろう……? こんな所で……こんな奴に、遭遇するなんて……ッ」
「嘘な訳ないじゃん。僕は実際にここにいるし。アンタもそうだろ?」
「嘘な訳ないじゃん。僕は実際にここにいるし。アンタもそうだろ?」
危機を察知したのか、月の頭脳が急加速する。
……こいつに対抗できる何かはないのか?
月の持っている武器は、牛刀にスタンガン。鞄の中に、ブラックジャックにガスバーナー。
弾切れの56式自動歩槍に、(使い方を理解していないが)毒霧の杖。
一方、モララーの武器は突撃銃一丁に狙撃銃一丁。
月は今の所知る由もないが、これに加えて赤い刃も持ち合わせている。
その上、元々の身体能力でも、月はモララーに引け目を取っている。
……こいつに対抗できる何かはないのか?
月の持っている武器は、牛刀にスタンガン。鞄の中に、ブラックジャックにガスバーナー。
弾切れの56式自動歩槍に、(使い方を理解していないが)毒霧の杖。
一方、モララーの武器は突撃銃一丁に狙撃銃一丁。
月は今の所知る由もないが、これに加えて赤い刃も持ち合わせている。
その上、元々の身体能力でも、月はモララーに引け目を取っている。
(どうすればいい……!? どうすれば、この緊急事態を乗り越えられる……!?)
どれだけ考えた所で、1つの答えに収束するだけだ。
――――戦うしかない。戦い、倒すしかない。こいつは、"善良"とは程遠い存在だ。
――――戦うしかない。戦い、倒すしかない。こいつは、"善良"とは程遠い存在だ。
(……でも、どうすれば?)
戦った所で、勝ち目がないのは分かり切っている。
牛刀で切りかかっても、辿り着く前に蜂の巣になるのが関の山。
ならば、手持ちの武器を投げてみるか?それも、おそらく無駄な抵抗になるだろう。
モララーと月の距離は4メートルほど。投げれば届くだろうが、あくまでそれだけだ。
……傷をつけ、命を奪くまでには到底行かないだろう。
万事休すか、八方ふさがりか。どちらの言葉も、今の月の状況を現すには丁度良い言葉だ。
牛刀で切りかかっても、辿り着く前に蜂の巣になるのが関の山。
ならば、手持ちの武器を投げてみるか?それも、おそらく無駄な抵抗になるだろう。
モララーと月の距離は4メートルほど。投げれば届くだろうが、あくまでそれだけだ。
……傷をつけ、命を奪くまでには到底行かないだろう。
万事休すか、八方ふさがりか。どちらの言葉も、今の月の状況を現すには丁度良い言葉だ。
「ずいぶん驚いてるね。まあ、こんな姿の奴に出会えば別段おかしい反応でもないからな」
右肩に巻かれた、白い……いや、白と赤のツートンカラーに塗られた布。
体の所々に付着する、赤黒い斑点。右手に持つ突撃銃……。
確かに、モララーの言う事にも一理ある。
体の所々に付着する、赤黒い斑点。右手に持つ突撃銃……。
確かに、モララーの言う事にも一理ある。
「それより……こうやって出遭った以上、アンタを生かしておく訳にはいかないからな」
チャキッ、と小さな音を立てて、突撃銃が構えられる。
……標的は、もちろん月。
……標的は、もちろん月。
「あ……」
「それじゃ……これでお別れだからな!」
「それじゃ……これでお別れだからな!」
引き金が引かれる寸前。
何もかもを捨てて、走り出す月。
……何をどうする、これをああする、そんな考えよりも、本能が勝った。
何もかもを捨てて、走り出す月。
……何をどうする、これをああする、そんな考えよりも、本能が勝った。
――――死にたくない 生きていたい
(……僕は、まだ死ぬ訳にはいかな――――)
静かな街に、銃撃音が木霊した。
~~~~~
「ちょっと時間と銃弾を浪費しすぎたかな……?」
何食わぬ顔で、百貨店を目指し歩を進めるモララー。
(時間も弾も、有限。無くなってしまったら、終わりだからな!)
来たるべき"時"が来るまでは、なるべく無駄ははぶいていきたい。
だが、今回の様に、誰かに遭遇した時は、そうも言っていられない状況になる可能性も、大いにある。
そのためにも、先程仕留めた男から、有用な武器が手に入れば良かったのだが……。
だが、今回の様に、誰かに遭遇した時は、そうも言っていられない状況になる可能性も、大いにある。
そのためにも、先程仕留めた男から、有用な武器が手に入れば良かったのだが……。
(微妙なモノしか持ってなかったな。あれくらいの武器じゃ……ちょっと頼りないね。銃もあったけど、
弾が切れてちゃ役立たずだよ)
弾が切れてちゃ役立たずだよ)
結局、収穫は忍法帳のポイントが入ったPDAのみだった。
それでも、1人仕留めただけで2も忍法帳のレベルが増えるのだから、大きい収穫だ。
それでも、1人仕留めただけで2も忍法帳のレベルが増えるのだから、大きい収穫だ。
(でも……レベルが上がってたってことは、アイツも誰かを一人殺してたってことだよね。まあ、別段興味もないけど)
とにかく、今は百貨店を目指そう。
辿り着いて、準備を整え次第に……行動する。
辿り着いて、準備を整え次第に……行動する。
(肩の傷もあるし、直接交戦するのは避けたかったけど……このチャンスをフイにする訳にはいかないからな)
【C-2・北西付近/1日目・朝】
【モララー@AA(FLASH「Nightmare City」)】
[状態]:右肩に銃創、赤い刃使用可能(残量小)
[装備]:H&K G36(10/30)@現実、根性ハチマキ@現実(肩に巻いてます)
[道具]:基本支給品一式×2、PDA(忍法帖【Lv=04】)、夜神月のPDA(忍法帳【Lv=01】)ランダム支給品0~2、
モシン・ナガンM28(4/5)@現実、H&Kの予備マガジン
[思考・状況]
基本:優勝狙い
1:百貨店を襲う。そのためにも、まずは百貨店へ
2:傷が癒えるまでは直接的な戦闘を避けたいけど……チャンスを逃したくはない
3:殺し合いに乗る、強者はなるべく後回し
※出典元により、自在に赤い刃を作り出す能力を持っていますが、連続して使用するとしばらく使えなくなります
※日本鬼子、鬼女の姿のみ覚えました。一条三位に関しては正確な姿を覚えられませんでした
※八頭身、モナー、ギコ、しぃ等を、ナイトメアシティに関係する者だと思っています
【モララー@AA(FLASH「Nightmare City」)】
[状態]:右肩に銃創、赤い刃使用可能(残量小)
[装備]:H&K G36(10/30)@現実、根性ハチマキ@現実(肩に巻いてます)
[道具]:基本支給品一式×2、PDA(忍法帖【Lv=04】)、夜神月のPDA(忍法帳【Lv=01】)ランダム支給品0~2、
モシン・ナガンM28(4/5)@現実、H&Kの予備マガジン
[思考・状況]
基本:優勝狙い
1:百貨店を襲う。そのためにも、まずは百貨店へ
2:傷が癒えるまでは直接的な戦闘を避けたいけど……チャンスを逃したくはない
3:殺し合いに乗る、強者はなるべく後回し
※出典元により、自在に赤い刃を作り出す能力を持っていますが、連続して使用するとしばらく使えなくなります
※日本鬼子、鬼女の姿のみ覚えました。一条三位に関しては正確な姿を覚えられませんでした
※八頭身、モナー、ギコ、しぃ等を、ナイトメアシティに関係する者だと思っています
~~~~~
モララーも鞄の物色を終え、この場を立ち去ったあと。
(…………嫌だ…………死にたく、ない…………)
足に、肩に、背中に銃弾を受け、もはや生きているのが精一杯な状態で、月は倒れていた。
……もう助かる見込みなどない状態で、ただ何も出来ずに終わりの時を待つ。
それが、月にとってどれほどの屈辱なのかは、計り知れぬほど。
……もう助かる見込みなどない状態で、ただ何も出来ずに終わりの時を待つ。
それが、月にとってどれほどの屈辱なのかは、計り知れぬほど。
「…………誰か…………助、け…………」
残った力を振り絞り、精一杯絞り出した言葉を、聴く者は誰もいない。
何かを掴むかの様に、月は手を前に伸ばすが、手を取る者は誰もいない。
たった一人で、孤独に飲まれながら、月は死ぬ。
その事実を悟った瞬間、月は狂おうとした。叫ぼうともした。
だが、もう狂う力も、叫ぶ力も、残されてはいない。
何かを掴むかの様に、月は手を前に伸ばすが、手を取る者は誰もいない。
たった一人で、孤独に飲まれながら、月は死ぬ。
その事実を悟った瞬間、月は狂おうとした。叫ぼうともした。
だが、もう狂う力も、叫ぶ力も、残されてはいない。
(…………新世界の、神になる、はずだった、のに…………どう、して…………)
新世界の神を自称した青年は、おおよそ神には似つかわしくない終わり方で――――あっけなく、斃れた。
【夜神月@AA 死亡確認】
【残り45人】
【残り45人】
※夜神月の所持品は、夜神月のPDAが無くなった状態で遺体の傍に放置されています。
No.89:fate of the blood | 時系列順 | No.91:ハルトシュラーのパーフェクト説得教室 |
No.89:fate of the blood | 投下順 | No.91:ハルトシュラーのパーフェクト説得教室 |
No.88:ひと時のマターリ | モララー | No.98:天才あらわる |
No.61:絶望ダディ/壊れた救世主 | 夜神月 | 死亡 |