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やっぱ母艦かな - (2012/12/28 (金) 23:05:33) のソース

* やっぱ母艦かな  ◆i7XcZU0oTM

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 真っ暗で何も見えない。
 感じるのは、さっきからゴウゴウ唸っている風だけだ。
 この風は何なんだ?
 何で俺はここにいるんだ?
 俺は、どうなってしまうんだ?
 こんな、何処かも分からねぇような場所で、死ぬのか?
 ……いいや、そう言う訳にはいかないだろ――――常識的に考えて。
 俺は、死ぬ訳にはいかねえ……。
 だが、自分から進んで、人殺しになる気も、ない……。

「――――ない夫、どうしたんだお? 顔色が悪いお」
「え?」
「もしかして風邪かお? ない夫が風邪引くなんて、珍しいこともあるもんだおwww」
「わ、笑ってんじゃねえよ!」

 おいおい、何で急にこいつが出てくるんだよ。
 こいつも近くにいたのか?
 ――――風は、今も強く吹いている。
 俺を、吹き飛ばしてしまえ……そんな、意思が宿っているかの様に。
 一体、この風は何なんだよ。

「ない夫…………お前は、どうするつもりなんだお…………」
「おい、何言ってるんだ」

 風に吹き飛ばされる塵のように、やる夫の体が消えて行く。
 おい、勝手に行くなよ……!行かないでくれよ!!

「ま、待て、やる夫! 待ってくれ――――っ!!」





「うああぁぁぁっ!?」 

 急に、意識が現実に引き戻される。
 地面が、揺れた。そのお陰で、俺は現実に引き戻されたようだ。
 と言う事は……あれは、夢だったのか。
 夢で、良かった。
 心底、ホッとする。
 ホッとしたのもつかの間、ここはどこなんだ、と言う真っ当な疑問が浮かぶ。
 ……陸地のような気もするが、何だかおかしい。
 波の音が、聞こえてくる。
 と言う事は、ここは海の近くなのか。
 だったら、何で地面は鉄で出来てるんだ。
 砂か、あってもコンクリだろ。常識的に考えて……。

「こうも暗くちゃどうしようもねぇな。確か、支給品とやらがあったはずだ……」

 目を凝らしながら、鞄からランタンを取り出す。これで、明るくなった。
 しかし、明るくなったところで、結局ここがどこなのか良く分から……。




(ちょっと……)




 ――――。何だ、今のは。
 声が、聞こえた?
 いや、聞こえたと言うより、頭の中に直接……。

「誰だ!?」
(何で、あなた……私の上に、勝手に乗ってるんですか!!)
「は?」

 上に乗ってる?
 どういう意味か、さっぱり分からん。
 一応足元を見てみたが、誰もいない。
 だが、あの声は間違い無く、俺の頭の中に響いてきた。
 気のせいとかじゃない、はずだ。

「お、お前は何処にいるんだ!」
(だから、あなたの下ですよ……別に、痛いとかそう言う訳じゃないんですけど……)
「下って言っても、俺の足元には地面しかないぞ」
(わたしは航空母艦・加賀です。あなた今、わたしの飛行甲板部分にいるんですよ)
「……??」 

 良く分からん。
 航空母艦?飛行甲板?……お前は何を言っているんだ。母艦の知識なんて、俺には無い。
 そんな事いきなり言われても、分かる訳ないだろ……常識的に考えて。
 ……そもそも、こいつは何で喋る事が出来るんだ。
 まさか、人工知能搭載のハイテク母艦!?……な訳ないか。ゲームや漫画の世界じゃあるまいし。

「お前、何で喋れるんだ……?」
(そんなの、わたしが聞きたいくらいです……。気が付いたら喋れるようになってましたからね。
 ――――と言っても、あなたのように言葉を発することはできないようですが)
「……どうなってんだ」

 しょっぱなから、常識とかけ離れてやがる……。
 いや、そもそも殺し合いなんて時点で、常識はぶっ壊れてたのか?
 ……まあ、それを今考えてもどうしようも無い。

(どうなってるのか、わたしも知りたいですよ。何か、知っている事があれば、教えていただけませんか……?
 ……えっと、お名前は?)
「俺か。俺は……まあ、やらない夫とでも呼んでくれ」
(そうですか。よろしくお願いしますね、やらない夫さん。……さて、知っていることを教えて下さい)
「いや、そう言ってもな。ここに来て、最初に出会ったのがお前だったからな。特に何もないぞ。
 まぁ……俺の友達のことなら、話せるが」
(お友達、ですか?)
「あぁ……やる夫って言ってな……多分、あいつもここに連れてこられてる、と思う」
(……どうしてです)

「…………まぁ、まだいるって決まった訳じゃ無いが。とりあえず、あいつはアレだ。馬鹿だ。
 馬鹿だけど、命に関わるような馬鹿はしないはずだ。……この殺し合いに、乗るとかな。
 もしくは、こんな異常事態の中で、ふざけ回るとか……。流石に常識はあると、俺は信じてるよ」

 何で、俺はこうも熱く語ってんだ?
 ま、あいつの事が心配じゃない訳じゃないが。
 ……流石に、まだ殺されちゃいないよな?

(そうですか。話を聞く限り、かなり親しい仲のようですね)
「親友だしな」
(……他にも、何か?)
「他は……特にないな……さっきも言ったが、最初に会ったのがお前なんだ。他の奴の事は知らない」
(どうも、ありがとうございました……お返しに、わたしも情報を話したい所ですが……わたしも、特に
 何か知っている訳じゃないんで、申し訳ないですが……)

 ま、俺も大した事を話した訳じゃないから、別にいか。
 ……しかし、改めて辺りを見回してみると、マジで広いな。
 母艦ってのは、こんなに大きいのか。
 ……待てよ?こいつがいれば、ひろゆきを倒すのなんて、簡単じゃないか?
 これだけ大きけりゃ、流石に武装してるだろう。 

「おい、この船には、武装はあるのか?」
(ええ。20cm単装砲、12.7cm連装高角砲、25mm連装機銃がある……にはあるんですが……。
 何故か、全て弾切れしてるんです。確かに、装填されていたはずなんですが……。それと、
 12.7cm連装高角砲が、使えないようです)
「本当か?」
(ええ。わたしの体の事ですから、分かります。何なら、全部チェックしますか)
「いいや、やめておこう。……使えないってのは、どういう意味でなんだ」
(どうやら、何者かの手によって外されているようです)




◆




 さっきのやり取りから数分。
 俺は、その間に鞄を調べておいた。
 ……加賀に、鞄の事を聞いてみたが、よくわからないらしい。
 もしかしたら船内のどこかにあるかも、とか言っていたが……この広さじゃ、探す気になれない。

(そう言えば、あなたは武装しなくていいんですか)
「今の所は必要ない。お前に乗っている間はな……」
(それはどういう意味です?)
「変な意味じゃない。これ、見てみろ」

 PDAの『オーナー情報』を開く。
 俺の忍法帳レベル――――当然の事だが、0だ。
 そして、隅に記載されている現在地。

「D-6……これが、俺達のいる場所だろう。地図と合わせて見れば……完全に、海の上じゃないか。
 ……とにかく、陸地に行かないとダメだ。こんな海の上じゃ、誰も来ないだろ」
(じゃあ、陸地に向かいましょうか)
「単純に向かうってだけじゃダメだ……。何処に向かうか、はっきりしないとな」

 一体、何処に向かうのがいいか?
 常識的に考えるなら……俺が、陸地に降りる事の出来る様な場所。
 船着場か何かに行きたいが……。
 もし向かったとして、加賀のこの巨体が入るかどうか。
 ……最悪、ギリギリまで近づいて、俺が海に飛び降りる、って事も……出来る訳ねえだろ。
 こんなとこから飛び降りたら、下が海とは言え無事じゃ済まない。
 船から飛び降りて、打ち所が悪くて死ぬ……なんて事態は、絶対に避けたいからな。

「……不安要素はあるが、船着場に向かおう」
(どうやら、船着場は3箇所あるようですよ? どこに向かいます?)
「そうだな……」

 船着場の場所は、B-5、C-6、そしてF-6。
 ……C-6はないな。大して、何かある訳でもなさそうだしな。
 余裕があるなら、行ってもいいが……そんな余裕があるかどうか。
 次は、F-6だ。
 近くに、温泉があるようだが……。
 それ以外は、特に何もない。まあ、ここも余裕があれば行く事にしよう。
 残りは、B-5だ。
 ……前の2つが「保留」なら、必然的にここしかないじゃないか。
 だが、ここは悪くないぞ。ここに行けば、陸地の大部分に向かえるじゃないか。
 ……向かうとなれば、加賀を置いて行く事になるが。
 いくら喋れるとはいえ、陸を進む事はできないだろ? 

「……よし、加賀。B-5に向かってくれ。どれくらいかかるか、分かるか?」
(ちょっと時間がかかりますね……何だか、航行スピードも落ちてるようなんです)
「そうか……まあ、辿り着けるならいいさ」

 これからどうなるのか。俺は、どうなるのか。その答えは、果たして見つかるのか。
 まだ、何も分からない……。
 だが、いつかは……辿り着ける、かもしれない。


【D-6/1日目・深夜】 
【やらない夫@ニュー速VIP】 
[状態]:健康、常識的
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品(確認済み)×0~3
[思考・状況]
基本:殺し合う気なんてないだろ、常識的に考えて……
1:とりあえず、加賀に乗って今はB-5の船着場へ
2:やる夫が心配

【加賀@軍事】 
[状態]:損傷無し、燃料満タン
[装備]:20cm単射砲(0/1)×10、25mm連装機銃(0/15)×10
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗る気はないけれど……
1:やらない夫さんと共に、B-5に向かう
2:どこかで弾薬を補給できれば……
※制限により、全ての弾薬と12.7cm連装高角砲が没収され、航行速度が低下しています
※他にも制限があるかは不明です


≪支給品紹介≫
【20cm単射砲@現実】
加賀のメイン装備。
射程約30000mと言うとんでも無い射程を誇る。

【25mm連装機銃@現実】
加賀のサブ装備。
こちらも射程が広い(約5500m)。


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