二次キャラ聖杯戦争@ ウィキ

No.8

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No.8


魔術師たちの闘争の終焉から半年間が過ぎた。
私が召喚した紅き弓兵、直向きすぎる所がたまにキズな正義の味方の男の子、そして血を別けたたった一人の妹。
様々なものを失ったけれど、それでも本当に大切なものを守ることができた。
――だが再び聖杯戦争の幕は開く。
倒したはずの強敵たちが立ち塞がり、仮初の街で新たな死闘を繰り広げる。
あの時と同じく、遠坂凛は闘争への一歩を自らの意思で選びとる。
なぜ?どうして? 疑問は尽きない。
だが今度こそ私が終わらせる。あるはずのない戦いを。二度目の聖杯戦争を。



「ここは……私の家、か。」


気がつけばあの言峰教会から自宅へと転移していた。
空間転移の魔術はかなり高等な術なのだが、これも聖杯の力というやつだろうか?
だがこれで嫌でも聖杯の存在を信じざるえなくなったわけだ。
そもそもあの教会にいた言峰綺礼は本物なのか…? 
何者かが用意した偽物、幻術。本人がなんらかの理由により蘇生した?
もしやこれら全てが聖杯の導きにあるものだとしたら……。


「――って、考えても仕方ないわね。まずは情報収集が先決かしら。
 士郎も来てくれてれば助かるんだけど……。」


半年前に死亡したはずの言峰綺礼の存在。
再開された聖杯戦争。
ならば遠坂凛がやるべきことはただ一つ。
父の仇、言峰綺礼を討ち、復活した聖杯を破壊する。
だがそのためには戦力がいる。
情報収集と共に協力可能な、信頼に足る人物も探す必要があるかもしれない。


――そしてサーヴァント。
戦力の中核となる人を超えた“英霊”。
いったい私には『誰』が召喚されたのだろう?
近くに魔力の反応は感じない。だけど遠坂邸内にいるってことは感じ取れる。
自分とサーヴァントを繋ぐ魔力パスの感覚を頼りに行き先を決め、到達したのは私の自室。

もし――この扉の向こうにいるサーヴァントが『あいつ』だったのなら、どんな顔をして迎えてやればいいだろう。
私たちを守るため、黒い影に飲み込まれていった赤い外套のサーヴァント。
皮肉屋なあいつのことだ、私がどう接しても軽口を叩くに決まっている。

――否応なしに高鳴る鼓動を胸にゆっくりと扉を開けていく。
その向こうに広がっていたのは……

「あぁ~ん♥はじめましてご主人様ぁ~ん♥ 
 貴女の忠実なサーヴァント、キャスターよん♥ 以後よろしくねぇ?」


――レオタード衣装の桃色髪の女が、へべれけ状態で酒盛りをしている光景であった。


………………………………………



「あぁん、そんなに怒らないでご主人様ぁん! せっかくの可愛いお顔が台無しよん?」

「あんたがマスターほっぽり出して酒盛りしてるからでしょうがっ!高いものばっかり飲んで…!
 どれもこれもお父様が遺した秘蔵の葡萄酒だってのに!しかも私の部屋こんな酒臭くしてどうしてくれんのよ!」


とりあえずキャスターの飲み散らかした葡萄酒を片付けさせて一喝。
前回同様マスターとサーヴァントの立場ってやつをはっきりさせておいた方がいい。
でもキャスターか……。全7クラス中最弱と言われるサーヴァント。
このキャスターもその例に漏れず、幸運と魔力以外のステータスは軒並み低ランクとなっている。


「ふふっ…ご主人様、どうせなら一緒に飲みましょぉん? ここで巡り会えたのもなにかの縁。
 わたくし、ご主人様のことたくさん知りたいなぁ…って」


えっ、ちょっと待って。こいつまだ酔ってない?
キャスターの細い腕が私の背をかき抱き、異様に近い距離感の中耳元で甘く囁く。
葡萄酒の匂いと一緒に、ひどく妖艶なキャスターの優しい声音が脳裏へ何の抵抗もなく入り込む。
力が抜けていくのを感じ、キャスターがワタシの唇をそっと撫でる。同じ女だけど…悔しいくらいにこいつは綺麗だ。
あぁ……だめ、こんなの……いけない。同じ女同士で、出会ったばかりのサーヴァントと、こんな……。


「……っ! ――――Sich Widersetzen(解呪)――――!!」
「あらん、もうちょっとだったのに。ご主人様のいけず……」


危なかった――! 本当に危なかった。もう少しで超えてはいけない一線を悠々と飛び越えてしまいそうだった。


「ああ、あんたっ!私を魅了しようとしたでしょ!? いったいどういうつもり!」
「だってぇん――ご主人様があまりにもウブで可愛らしかったんですものぉ。それにご主人様もノリノリだったからそっちもOKなんだって妾――」


――閑話休題。
とりあえずこのキャスターには色々質疑応答しなければならない。
そもそも私にはそっちの気はない。……多分、絶対に。

「――で、アンタの真名は? あと宝具についても教えて頂戴。こっちはただでさえ戦力が足りてないの。」


一通りマスターである私のことを教えたあとは、自陣営の中核となるキャスターのことを聞く。
まずは『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』というやつを実践することにした。


「ン~~、それはヒ  ミ  ツ♥」
「……真名も、宝具の内容も?」
「ご主人さまン、女の子は秘密が多ければ多いほど魅力的になるものよぉん?」


……ぷちっ。


「あ~ん!ごめんなさいごめんなさいご主人様ン!どうか怒らないで?ねっねっ?」
「うっさい!真名も宝具も教えられないとか作戦の立てようがないでしょうがっ! それとも私が納得いく説明ができるわけ!?」


キャスターというクラスは文字通り魔術師のクラス。白兵戦を苦手とする代わりに豊富な魔力と魔法に近いレベルの超高等魔術を扱うクラスだ。
その最弱とされる理由はセイバー、ランサー、アーチャーがクラス特性スキルとして保有する対魔力スキルにある。
魔力によるダメージを無効、もしくは軽減するこのスキルの恩恵から、三大騎士と呼ばれるこれらのクラスはキャスターの行使する魔術を恐れる必要がない。
弱いキャスターがそれら障害を乗り越え確実な勝利を掴むためには緻密な作戦に加え、要所々々での宝具使用も視野に入れなければならない。
こうなったら令呪を使って無理矢理にでもどこの英霊だか吐かせて……!


「だってぇ……妾の真名を知ったら、きっとご主人様は妾のこと嫌いになってしまうわ……。
 せっかくお仕えするために召喚されたのに、そんなの、妾堪えられない……」


……あぁ、なんだ、そういうことか。 こいつは多分、反英霊なのだろう。

反英霊――崇められ、恐れられ、討伐されることによって平和をもたらす英雄。
勇者に倒されることで名を馳せた彼らは、当然悲劇的な結末を迎えた者が多い。
例えば前回の聖杯戦争に参加していたライダーなどはその典型だ。


「――なら私も、無理して聞き出そうとはしない。あなたが気の向いたときに話してくれればいいから」
「ご主人様ン…。 ウフフっ、お優しいご主人様に会えてよかったわん♥ ならますます妾がんばらなくっちゃ♥」
「……だけどあんたが聖杯にかける願いだけは教えてもらうから。 それ次第で私も色々考えなくちゃいけないし」


私の目的はあくまで聖杯の破壊にある。
それはつまりキャスターの願いは叶えられなくなってしまうということ。
如何に穢れた杯と言えど、万能の願望機には違いない。
……場合によっては、キャスターを裏切ることになってしまうかもしれない。


「妾の願い? ン~~、特にないかしらん? ここに喚ばれたのだってただの暇つぶしみたいなものだし……。
 結構多いのよんそういう英雄ちゃんも。思いっきり暴れたいとか、誰かに仕えてみたいとか、特に願いはないってタイプ。
 せっかくのお祭りなんだもの。参加することに意義があるのよぉン♥」


……暇つぶし、か。納得できないこともない理由だろうか。
そもそも英雄なんて類の輩は大抵二度目の生に興味はないと聞く。
清純な英雄ならば世の安寧だし、反英霊でもライダーは自分と似た桜を幸せにしてやりたいという個人的な願いだった。


「――そう、よかった。なら私の目的とは相反しない。 キャスター、私の目的はただひとつ。聖杯の破壊、これだけよ」
「ワァーオ、なんでも願いの叶う願望機を破壊しちゃうの? もったいなーい。 ううん、でも面白そうね♪ 気に入ったわん、ご主人様♥」
「なんでも願いが叶う……。あ、そっか。これも教えてあげないとダメなんだ。 いい?あんたは知らないだろうから教えるけど、そもそもあの聖杯は―――」

………………………………………



あぁン、いいマスターに当たってよかったわん本当に♥
供給される魔力量も十分で実力も一流の魔術師だし、妾も遜色なく力を発揮できるじゃない♥
しかも別の場所で起きた聖杯戦争を経験して生き残ってるだなんて本当に優秀な子。
妾の誘惑の術《テンプテーション》がレジストされたのも納得ねん♥ なら時間をかけてゆっくりじっくり慣れさせましょう。

ガイアと一体化したのはいいけど、やっぱりどうしても暇になるのよねぇ。 
せっかく暇つぶしに来たんですもの、オモシロ可笑しく妾がプロデュースしてあげるわぁん♥
『この世全ての悪(アンリマユ)』なんて楽しそうなのもあるんだし、あぁん妾ウキウキしちゃう♥
――妾の真名は蘇 妲己。稀代の悪女よぉん♥ 今後ともよろしくねぇん、ご主人様♥


【参加者No.?:遠坂凛@Fate/stay night】
【サーヴァント:キャスター(蘇 妲己)@藤崎竜版封神演義】



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