梓「律先輩がジュリエットだなんて…プッ」

梓「笑いたきゃ笑えばいいだろ!」

梓「別に笑ってなんかいませんよ!ただ…プッ」

梓「中野ー!」ガバッ

梓「きゃー!すいませーん!」キャッキャ

梓「こいつめこいつめ」ウリウリ

梓「やめてくださいよー律せんぱぁい///」クネクネ        

梓「…えへへ。律先輩、いい匂いだったなぁー」

梓「あんな風に憎まれ口叩かれでもしないと抱きついて来てくれないからなー」

梓「律先輩ってああ見えて結構恥ずかしがり屋だし…」

梓「ああ律先輩…また抱きついて来てほしいなー」

梓「他の先輩方に抱きつかれるのも結構好きなんだけど…やっぱり好きな人にされるのが一番だよ」

梓「…えへへー律せんぱぁい///」クネクネ



律「…はぁ。梓、いい匂いだったなぁー」

律「あんな風に梓が絡んで来ないとなかなか抱きつけないからな~」

律「私のキャラ的に梓にバンバン抱きついたらおかしいし…」

律「ああ梓…また梓に抱きつきたいなー」

律「澪達に抱きつくのも結構好きなんだけど…やっぱり好きな人抱きつくのが一番だよ」

律「…あぁ…梓ぁぁ///」フトンギュー




がら

律「おいすー」

梓「たー」

律「そーす……って何言わすんじゃい」

ぽけ

梓「あ痛」

律「今日は来るのがはやいな」

梓「帰りのHRがさっさと終わったので。先輩方は?」

律「ああ、なんか数学でわからんところを教えてもらいに職員室に寄るって」

梓「……律先輩は行かなくていいんですかそれ」

律「?あー私はいいんだよ。わざわざそんなことせんでも」

梓「え?で、でも律先輩は勉強あんまり」

律「おう?中野ォ、お前私をみくびっとるな」

梓「あれ、ひょっとして数学は得意だったんですか?なんだか意外……」

律「たとい教わっても理解できる自信がないから、聞きに行っても時間の無駄なんだよ」

梓「……」

律「どーよ、こういう型にはまらない思考ってすげーと思わん?」

梓「……まあ、ある意味」

律「中野ォ!!」

がば

梓「ひぃ」

律「このこの」

うりうり

梓「わ、ちょ、苦しいです先輩」

律「躾のなってない後輩には教育が必要だよなぁーきょ・う・い・く」

うりうり

梓「むぐぐ」

律「このこの……すん……お。あれ、梓シャンプー変えた?」

梓「むぐぐ……あ、はいそういえば。よくわかりましたね」

律「そりゃこんだけくっついてりゃな」

梓「それもそうですね」

律「……」

梓「……」



律&梓「ド キ ド キ し て き た」


ばばっ

律「い、いやそれにしても遅いなーあいつら」

梓「そ、そうですね」

律(……まずった)

梓(……おかしいよね)

律(……そりゃ、あんだけ抱き着いてたら髪の毛からシャンプーの匂いくらいは嗅ぎ取れる)

梓(……でも、なんで"シャンプー変えた"ってわかるかっていうと……)

律(……以前の梓の髪の匂いを知っているからだ)

梓(……た、たしかにさいきんの律先輩は、唯先輩と同じくらい抱き着いてくるけど)

律(……あちゃー失敗した。抱き着きを日課にし過ぎて気が緩んだか)

律(……キューティクルの話題はタブーだな)

梓(……話題を変えないと)



律&梓「「あ」」

律「な、なんだ梓っ?」

梓「り、律先輩こそどうしましたっ」

律「い、いやあどうってわけじゃないんだ。ただ……」

梓「……ただ?」

律「……えーと」

梓「?」

律(……うーん、話題が出てこない)

梓「……話すこと考えてないのに話し掛けてきたんですか」

律「……め、めんぼくない」

梓「しょうがない人ですね」

律「む。そういう梓は何を言おうとしたんだ」

梓「……えーと」

律「中野ォ!」

梓「わぁっ」

律(……と、ここでは飛び掛かるフリだけにしとこう)

梓「……?」ちら

律「……そんなにおびえるなよ。りっちゃんショック☆」

梓「……」

律「おいそんなクサイ臭いかいだネコみたいなカオをするな」

梓「律先輩はぶりっ子なんですか?」

律「ちげーよぉ!今のはあーいうキャラなんだよぉ!」

梓「だから、ぶりっ子キャラってことですよね?」

律「ちっがーう!ボケキャラだよぉボ・ケ・キャ・ラ!」

梓「ぼ・きゃ・ぶ・ら」

律「天国……ってだからやめんかー!」

梓「はいナイスボケでしたー」

律「うわっ重ねてボケづらいなそのリアクション」

梓「ごめんなさい、つまんないボケって相手してて疲れるんです」

律「は、はうぅっ」

律「……梓はそんなに私のことが嫌いか」

梓「えっ」

律「……」

梓(……こ、答えづらい質問するなぁ)

律「……そうか、口には出せないくらいのバリゾーゴンを私に浴びせたいくらいには嫌いかぁ……よよよ」

梓(あ、なんかネタで流してくれた。助かった)

律(……っぶねー。勢いに任せてあの質問はやばかった)

梓「……それにしても、みんな来ませんね」

律(な、ナイス話題切り替えだ中野ォ!)

律「ほ、ほんとになー。たかが数学にどんだけ時間くってんだか」

梓「私たちだけでできる練習っていっても限られてますよね」

律「っていうか、完全に個人練習になるだろうな。リズム隊揃わなきゃ合わせらんねー」

梓「まあ、私は個人練習でもいいんですけどね」

律「つれないこと言うなよん」

梓「なんですかその最初っから練習しないのが前提みたいな駄々のこねかた」

律「私は、みんながいないなら、ドラムは叩かない」きり

梓「凛々しい表情でおキレイな言葉並べても本音が透けてますよー」

律「チラリズムやな!」

律「ままま梓ちゃんよ。これは、今日はもうお茶でも飲んでノンビリしようぜぇという神のお告げだよ」

梓「……はあ。仕方ないですね。実は私も今日あんまり乗り気じゃなくて」

律「今日唯一いる先輩がこんなだからなー」

梓「自覚があるならちゃんとしてください」

律「むーりーしんじゃうー」

梓「ある意味唯先輩よりやっかいだ」

律「私紅茶の入れ方なんか毛ほどもしらんから午後ティーあっためるだけなー」

梓「ああはい、お構いなく」


ずず

律「ん。美味しゅうございますわね」

梓「なんですかそれ」

律「いやさ、紅茶って淑女の嗜むもの、みたいなイメージあるじゃん」

梓「昔は、ですよね」

律「五限が世界史だったんだよ。産業革命あたりのエゲレス」

梓「って、そんな風に脚くんで片肘椅子の背もたれにひっかけてる姿のなにが淑女ですか」

律「ぬっ。じゃあ梓がやってみろよ、淑女っぽい午後ティーの飲み方」

梓「私だって知りませんよ、そんなの……」

律「じゃああんがい私の姿勢が正しかったり」

梓「それはないです」ずず

律「だんだん日が暮れてきたな」

梓「きませんね、先輩方」

律「今日はもう帰るか?たぶん来ないぞあいつらも」

梓「なんだかそんな気がしてきました」

律「うっし、ほんじゃ帰ろう」

梓「あ、待ってください律先輩。ティーカップ出しっぱなしです」

律「ああ、そうだったな。どれ、ちゃちゃっと洗いますか」

かちゃ

梓「わ、律先輩そんな乱暴な持ち方」

律「ん?そうかあ?」

梓「律先輩危なかっかしいです。ムギ先輩のティーカップ、高いんですよ?」

律「知ってるよ。これはこれで注意してるから大丈夫だって」

梓「その油断が命取りです」

律「斎藤かおまえは」

梓「は?」

律「じゃーこうしよう。私が洗うから梓はダスターで水気を拭いてくれ」

梓「あ、はいわかりました」

じゃー

律「すっすい~だしゅんかん~」

梓「きゅきゅっとおちてる~」

かちゃかちゃ

きゅ

律「ま、二人分のソーサーとカップなんか瞬殺だわな」

梓「じゃあ私、これ棚に戻してきますね」

てくてく

律「おうー」

梓「あ」

つるっ

律「!あ、梓!!」

がしゃん

梓「いたた……」

律「おい梓!!大丈夫か?!ケガしてないか?!」

梓「り、律先輩、私よりムギ先輩のカップが……」

律「そんなもんあとでいくらでも弁償するからいい!!……ってお前、指から血ィ出てるじゃねーか!!」

梓「うあ、ホントだ……」

律「あー、もぉ」

ちゅう

梓「~~~~~~っ?!」

律「こら、じっとしてろ」

ちゅう

梓「り、律先輩……」

律「染みるか?」

梓「い、いえ大丈夫ですが……」

律「そうか。絆創膏貼るぞ」

ぴた


まきまき

律「ほい、これでどうだ」

梓「あ、ありがとうございます……っ?!」

ぎゅう

律「……ばか」

梓「……あ、あぅ」

ぎゅうう

梓(近い近い近い近い近い近い)

律「寿命縮んだぞ、このやろう」

梓「……はい。ごめんなさい、心配かけて」

律「……気をつけてくれよぉ。お前に何かあったら私は……」

梓「律先輩は……」

律「ん?」

梓「私のこと、どう思ってるんですか?」

律「……大切な存在だよ。大切な……後輩」

梓「……後輩、ですか」

律「そうだよ。後輩だ。……ははっ、不満気なカオしやがって。欲張りかおまえ」

梓「……私は、律先輩のこと、先輩よりももっと別の存在にしたいです」

律「欲張りだなーホント。……今は、これくらいじゃダメか?」

梓「今、は……」ぎゅ

律「そう、今は」ぎゅ

梓「なんだか歯痒いです。こんなに近くにいるのに」

律「掴みきれない感じな。手の届くところに欲しいものがあるのに、取らせてもらえない」

梓「……律先輩、もしかしてSですか?」

律「ばーか、歯痒いのはお互い様だ」

梓「……どうして」

律「そうだな。例えばこのけいおん部が、私と梓の二人だけならこうはならないんだけど」

梓「それ、その前に部として成立しませんよね。部員数的に」

律「うわっ野暮言いやがる」

梓「……まぁ言いたいことは分かりました。私たちは、」

律「二人じゃない。五人で一つだからな」

梓「……ですね」

梓「私、律先輩のこと好きです。大好きです」

律「……やめろばか。禁句だよそれ」

梓「唯先輩も」

梓「澪先輩も」

梓「ムギ先輩も」

梓「みんな、大好きです」

律「……はぁ。ずるいなぁ、その言い方」

梓「だから、私もう少し待ちますね」

律「うん。……梓」

梓「はい」

律「おまえばっかりずるいぞ。……私だって梓が大好きだ。そりゃもうシャンプーの違いがわかるくらいには大好きだっ」

梓「ふふっ」

律「でもって、唯も澪もムギもさわちゃんも和も憂ちゃんも純ちゃんもみーんな大好きだっ!!」

律「どうだっ!!」ふんす

梓「い、いや張り合われても」

梓「……とりあえず」

律「今やるべきことは、」

がちゃ

澪「悪い二人とも!待たせたな!」

紬「なかなか理解しきれなくて何度も説明受けてたの。ごめんね」

唯「もぉ頭の中が数字でいっぱいだよぉ~」

梓&律「「ごめんなさいっ!!」」どげざ

澪「……へ?」

律「ごめんムギ!私の不注意で、ティーカップ落として割っちゃっんだた!!」

梓「なっ?!ち、違いますよ!!私です!!私が滑って転んで割ったんです!!」

律「ちがーう!!梓のせいじゃねー、私が悪いんだっ!!なぁムギ、弁償するよいくらアレ?!」

梓「だから違いますってば!!私です!!私がやったんです!!」

紬「……ふふっ。いいのよ、二人とも」

律「いや、でも……」

紬「いいから、顔をあげて。一緒に片付けましょう」

梓「あぅ……」

澪「ほうき持ってきたぞ」

唯「チリトリスタンバイおっけーです!」ふんす

紬「ほら」

梓「……は、はい」

律「じ、じゃあさ。せめて後片付けは、私たち二人にやらせてくれないか」

紬「はい♪」

律「ありがとう、ムギ。……よっし、やるかー梓」

梓「はいっ。やってやるです」


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最終更新:2011年02月13日 22:09