───二月のある日

憂(緊張して一睡もできなかった…)

憂(そろそろお姉ちゃん起こさないと)

がちゃ

唯「おーでぃねりー、普通の、りらいあぶる、信頼できる」ぶつぶつ

憂「お姉ちゃん…」

唯「はっ!?」

憂「そろそろご飯食べないと…」

唯「おーけぃ、おーけぃ」

憂(大丈夫…お姉ちゃんなら)

唯「ふ~…」とたとた

憂「お姉ちゃん足元よく見て!」

唯「おぅ…いぇす」

憂「階段ですべ…ころ……気をつけないと」

唯「そ、そうだね」そろ~

憂「ふ、ふぅ」

がちゃ


──リビング

平沢父「お、唯憂、おはよ」

憂「おはよ~」

唯「……」ぶつぶつ

平沢父「どうした?唯」

唯「話しかけないで……」ぶつぶつ

憂「お姉ちゃん単語最後まで覚えてるみたい」

平沢父「当日の朝そんなんで大丈夫か唯」

憂「大丈夫だよ!」

平沢父「お、おう」

唯「………」ぶつぶつ

平沢母「ごはんできてるよ」

憂「はーい」すわりっ

唯「いんしゅらんす、ほけん、すとらぐる、もみあう」すわり

平沢母「もう、唯は…」

平沢父「なんだか懐かしいなぁ」

*  *  *

平沢母「それじゃあ唯、リラックスして頑張って!」

平沢父「最後まで落ち着いて」

憂「お姉ちゃんなら絶対大丈夫だよ!」

唯「うんっ!頑張る!」

平沢母「ちゃんと前むいて歩きなさいよ」

唯「おっけぃ!いってきまーす!!」

がちゃん

憂「ぁ…」どきどき

平沢父「憂も来年だな」

平沢母「ふふ、憂も唯と同じ大学に」憂「うん!」

平沢父「自分が行きたいところだよ」

憂「お姉ちゃんと同じところがいいから…」

平沢母「憂が決めていいのよ」

憂「分かってるよ」

平沢母「今年いっぱいはお父さんとお母さんおうちにいるから」

平沢父「羽を伸ばしてね、憂は好きなことをやるといい」

憂「…」

平沢母「第2志望の学校は合格したのよね」

憂「うん」

平沢父「唯もやる時は一生懸命やる子だからな」

平沢母「私たちの子どもだしね~」

憂(今日の学校はお姉ちゃんの偏差値よりだいぶ高い……けど)

平沢父「この学校は学生寮があるんだっけ?」

平沢母「えっとね──」

憂(お姉ちゃん頑張ってたし…)

平沢母「あったあった、これよ」ぺら

平沢父「助かるな、学校にも近いね」

平沢母「ね~」

憂(春からお姉ちゃんと会えなくなるんだね…)

平沢父「随分と綺麗だね」

平沢母「女子寮だしね」

平沢父「今日の学校は軽音部の子たちと同じって」

憂「うん、みんなでここに行く って」

平沢母「すごいわよね…」

平沢父「…ま、まぁ、別に大学ならね」

平沢母「それに女の子だしねぇ」

憂「…合格できるよ」

平沢父「うん」

平沢母「…」

憂「そろそろ学校行くね」


───神社

憂(お姉ちゃんが合格してけいおん部のみなさんと同じ大学に……)

憂(入れますように)

憂「…」

憂(お姉ちゃんが合格してあの大学にいけますように、ってお祈りしてきたのに)

憂(なんだろう……)

憂(お姉ちゃんが大学に入ってみなさんと一緒に…)

憂(でも、私は一体どうすれば)

憂(お姉ちゃんがいない生活…?)

憂(……どうにかなるよね、うんうん)

憂「今日も一日頑張ろっ」


───学校

純「で、軽音部どうするの?梓」

梓「どうするのって…続けるよ」

純「4人集まらなかったら廃部だよ?」

梓「…」

憂「大丈夫だよ、きっと集まるよ」

梓「ありがと」

純「…」にこ

梓「なに?」

純「頼ってもいいんだぞー?」

梓「純はジャズ研があるでしょ。それに集まるもん」


───4月、平沢家

平沢母「唯の部屋もすっきりしたわね」

憂「うん…」

平沢母「見送るわよ、憂」

憂「…」たたっ

平沢母「憂!?」

がちゃん

憂「お姉ちゃん…」

『危ないから手つないで帰ろう』『ういの耳が早く治りますように!』『夜ご飯、わたしが作るよ』
『任せてよ』『そう?』『じゃあ、、お願いします!!』

憂「ふふ…」ぐす

『なんでもないよ~』『なんでもない、これ、おいしい!』『良かった~!』
『ちゃんと話せてるか、ちょっと不安』『ういは口で話していいよ』

『目の下、くまがすごいよ』『寝れなかったの?』『もすこし大きい声で』
『okok、大丈夫だよ』『少しは良くなった?』『お薬飲んでればどんどん良くなるよ、大丈夫』

『やっぱり、しばらく学校休も?』
『学校はうるさいし、ういの耳に何かあったらいやだから』
『わたしも学校休む』
『わたしご飯作ってくる』
『任せて!』

『ういが治るまで休む』
『だから早く治ってね』
『ういのかんびょうならぜんぜんへーき!』

憂「…」ぽろぽろ

『ヨーグルト作ったよ、食べて』
『これ食べれば、すぐ耳よくなるよ!』
『耳もよくなりますように!』

『わたしはなーんにもしてないよ、ういもいつもありがとう』


憂「…」すくっ

がちゃん!

憂(お姉ちゃんに伝えないと…)たったっ

憂「…」たったっ

平沢母「あら…」

憂「お姉ちゃんは…」

平沢母「もう行っちゃったわ」

憂「…そっか」

平沢母「何かあったの?携帯通じると思うよ」

憂「……うん」

*  *  *

憂「お姉ちゃん進学おめでとう、…違うなぁ」ぴっぴ

憂「お姉ちゃんあの時は、……う~ん」ぴっぴっ

憂「……そうだ」ぴぴ

prrrrr

憂「もしもし、梓ちゃん?」

梓「憂?どうしたの?」

憂「学祭でやる曲でね」

梓「ああ。なに?」

憂「お願いがあるんだけど…」

憂(お姉ちゃんと同じやり方で、私もお姉ちゃんに伝えるんだ)


───10月、部室


梓「ちょっと…」ずいっ

純「はは…」

澪「なんだか懐かしいな」

律「梓も憂ちゃんも変わってないな~」

憂「えへへ…」

唯「そういえばどういう曲やるの~?」

梓「ああ。ふでペン、カレー、ふわふわ、あと…」

唯「あと!?」

梓「私たちのオリ曲です!」

がちゃ

和「ちょっと!講堂の使用申請許」唯「和ちゃん!」

和「可書が……って、ボケられなかったじゃない」ぼそっ

澪「和も来てたのかー!」

和「ええ、憂に招待されてね」

律「ところで、あと一人はどこにいるんだ?」

梓「三人ですよ」

紬「あら?」

梓「特別に認めてもらいました。今年だけってことで」

唯「え~」

梓「先輩方には申し訳ないです……」

律「なんで?」

梓「せっかくできた軽音部が私のせいで…」

澪「梓、忘れたのか?放課後ティータイムは」

唯「いつまでも放課後だよ!」

がちゃ

生徒会「軽音部のみなさん、そろそろ準備お願いします」

梓「あ、はいっ」

梓「…じゃあ純、憂、いくよ!」

純憂「おー!」

唯「ういっ」がしっ

憂「お姉ちゃん」

唯「一年でよく頑張ったよ…うい」ぐす

憂「えへへ~…」

唯「頑張ってねぇ…応援してるからぁ」ぐすん

澪「おいおい…」

憂「お姉ちゃん、ずっとお姉ちゃんに」

純「憂ー!早く行くよー!!」

憂「…続きはライブで!」

たたっ

唯「う、うん…?」

がちゃん

紬「ふふ、楽しみね~♪」

唯「うんっ!」

律「…」

澪「どうした?律」

律「ドラム…」


───講堂

唯「お客さんいっぱいだね…」

律「私たちの時はこの3倍はいたぞ~」

澪「誇張すんなっ」

紬「ふふ♪」

「次は、軽音部による演奏です」

*  *  *

純「こんにちは、桜高軽音部です!」

「ジャズ研~!」

純「軽音部ですっ!」

あははは…

律「そっか、佐々木さん転部して来てくれたのか」

澪「鈴木さんな」

梓「今日はありがとうございます」

梓「去年も来てくださった方は気付いたと思いますが
先輩4人が卒業して、私1人になったところを、ベース、
キーボードの2人が入ってきてくれて、廃部を免れました。
2人ともありがとう!純!」


唯「そういやうい、昔オルガンやってたっけ」

紬「そうなんだ~、上手だわ~」

純「というわけで、ジャズ研から転部しましたベース担当です。
残り一曲ですが、よろしくお願いします!先輩達も最後まで観てって下さい!」

「頑張れー!」

律「かっこいいぞー!!鈴木さん!」

澪「ジャズ研のOGも来てるんだな」


純「最後に憂!」

憂「は、はじめまして!キーボード担当です!」

唯「ういー!!」

憂「お姉ちゃん!」

唯「頑張ってー!!」

憂「うんっ!」

梓「憂!」

憂「あ、最後の曲は周りの人への感謝、そして、家族への感謝がテーマです!聞いて下さい!」


*  *  *

~♪

澪「この歌詞、なんだかu&iと」

唯「…」じーっ

律「若干違うんじゃないか?」

澪「うん…そうだけど」

紬「いいわぁ…」しんみり


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最終更新:2011年03月18日 23:15