澪パパ「タダイマァァァ」

澪「パ…パ…?」

目の前に立つのは片腕のない私のパパだった。

澪パパ「ウヒャッヒャヒャッ」

澪ママ「アラァ澪ちゃん……帰ってタナライッテクレナイト」


挟まれた……。

澪パパ「コッチハスバラシイゾ~澪」

澪ママ「コッチニオイデ……澪ちゃん」

澪「あ、ああ……」

そうだ……これは夢なんだ。
きっと悪い夢で……起きたらまたあの楽しい日々が待ってるんだ。

目を瞑る。

澪ママ「澪チャアアアアアアアアアアアアアアン」

覚めたらきっと……会いに行くから、律。



斎藤「そんなんじゃ生き残れませんよ、澪さん」

この声の後、銃声が二つ響いた。

終了条件達成



桜ヶ丘 琴吹邸
PM??:??:??

琴吹紬
終了条件1 琴吹邸からの脱出
終了条件2 斎藤を倒す

紬「ここは……」

見渡せばそこは私の部屋だった。

紬「地震があって……その後……」

どれぐらい私は気を失ってたんだろう。辺りはもう真っ暗で夜と言うことだけしかわからない。

紬「携帯…、駄目ね。壊れてる」

地震のせいでクローゼットが倒れて携帯を踏み潰したのだろう。画面は無惨にひび割れている。
自分がこうなっていないだけでもよしとしておこう。

紬「お父様は出張で遠くに行かれてるから大丈夫だけど…他のみんなが心配ね」

耐震設備が完璧なこの家でさえこの有り様だ。一般家庭の家がどうなっているか…なんて考えたくもない。

紬「とにかく斎藤に車か何かを出してもらってみんなの安否を確かめに行きましょう」

着替えようと思ったけどクローゼットから服を出すのは一苦労だろう。
ネグリジェのまま彷徨くのも恥ずかしいけど事が事だけにそんな場合ではない。

紬「斎藤…無事かしら」

部屋を出ようとドアノブに手を回した時だった。

──【琴吹家は……オワリダ…】──

紬「何…さっきの」

一瞬頭に浮かんだのは猟銃の様なものを構えた誰かだった。

紬「あの声は……斎藤?」

もう一度見れないか試みるも、見えない。

紬「……気のせいにしては鮮明だった気がする…」

それにあれはエントランスの二階から見た私の部屋じゃなかった…?
私の部屋の扉を猟銃で狙いを定めてた…?
なんで……?

紬「琴吹家は…終わりだって言ってた…」

もしかしたらこの地震に便乗して私を殺して財産を盗みだそう…とか。

紬「斎藤は信用してるけど…あり得ない話じゃないわ…」

どうしよう…。

1 扉を開け斎藤に話を聞いた後、斎藤と共にみんなを探しに行く。

2 部屋から何とか外に脱出し、自力でみんなを探しに行く。

※2

紬「やっぱり危険だわ。この部屋から何とか脱出出来ないかしら…」

そう言えば昔お父様がもし火事になってこの部屋から出られなくなったりした場合に使いなさいって言われてたものが…。

紬「え~と…確かここに」

お父様が買ってくださった絵画を外すの何種類ものボタンが現れる。

紬「確か…」

その中の赤いボタンを押すと何やら窓の下から何かが勢いよく中庭に降り、固定される。
スロープ状に伸びたそれはまるでプールのスライダーのようになっている。

紬「わぁ…」

楽しそう…。

紬「家にこんな滑り台が…ずっと隠しておくなんてお父様も意地悪だわ」

ゆっくりとクリーム色のそれに体を預けてみる。

紬「1.2.3…ッ!」

手を離し、私は滑降を開始した。

終了条件達成



桜ヶ丘 中野宅
PM19:15:44

中野梓
終了条件1 侵入した屍人を倒す
──────────
梓「う…ううん」

梓「……はっ」

梓「地震……はもう止まってる」

梓「凄い地震だったけどどれぐらいの震度だったんだろう」

散乱している物の中からテレビのリモコンを探しだしてつけてみる。
ザアーーーーー

砂嵐。
梓「お父さんとお母さんは大丈夫かな? 仕事先で怪我とかしてなきゃいいけど…」

梓「唯先輩達にも電話してみよ……」

圏外。

梓「はあ……」
携帯やテレビがないだけでこれ程まで何も出来なくてわからないなんて……ちょっと自分が嫌になる。

ガタタッ……

梓「何…? リビングの方からだ…」

「ウヒャアッヒャアッハァ」

グチャグチャ……


梓「(何…あれ……)」

冷蔵庫のものをひたすら口に運んでいる…。
強盗…?

梓「(どうしよう!!! とりあえず警察に……って電話使えないんだったよぉ!)」

「タリナイータリナイイイイイ」

グチャクチャグェップブチャ

梓「(自分の身は自分で守らなきゃ…。追い払ってやるです!)」

そそくさと部屋に戻ると武器になりそうなものを探す。

梓「後ろから思いっきり殴って気絶するぐらいのものがいいかな…」

1ムッタン
2ギターケース
3MDコンポ
4部員募集のポスター

※2

梓「ギターケースなら思いっきり殴っても死んじゃったりしないよね」

ムッタンは外に出して置き、空のギターケースを両手で担ぐ。


梓「……」

恐る恐る覗いて見ると……。

「ウメエ……ウメエ……」

まだお食事中のようだ。冷蔵庫の方を向いたままひたすら口に物を運んでいる。

梓「(よっぽどお腹がすいてたのかな…。でも強盗は良くないですよ!)」

正面から行けば何されるかわからないのは明白だ。そして力のない私はただそれに従うしかなくなる。
そうならないようにこの一撃を見舞ってやるです!

梓「……」

「クヒャッヒャ」

梓「このっ!!!」

ガツーーーーン

「ウア……?」

梓「ひいっ……」

ギョロリと瞳だけが動き蒼白の男がこちらを見据える。

「邪魔スルナアアアアアアア」

梓「あっ……あ……」

食事を邪魔されたのがよっぽど気に障ったのか物凄い力で私の首を締め上げてく……る……。

梓「あ……うあ……」

両手で……何とか……振りほどこうとしても……全く……動かな……。

「コッチニオイデ……」

梓「(こっちって……どこ……?)」

もう何も……見えない……よ。

意識が遠くなって行く。

梓「…………」

もう腕にも力が入らない。元々こんな細い腕じゃ敵いっこない……。
私は余りにも無力だ……。

梓「…………」

涙が溢れた。

悔しくて、こんな所で死んじゃう自分が情けなくて。

「ウヒャアッヒャアッハァ!!!!」

ギリギリ……と首を圧迫していく。
もう折れてしまいそう……。

梓「…………」

言葉も出せない。

そのまま、目を閉じた。最後くらいこんな奴の顔じゃなくて……私の大好きなみんなの顔を思い浮かべながら死にたい。

──【はっ……はっ……】──

何だろう……この景色は。私の家?

──【っつはっ……はっ……!】──

中に入って来た……。走馬灯かな……?

──【このっ……!】──

あれ……私が見える……。


純「梓を離せっ!!! この化け物!!!!!」

ガスンッ!!!

「ゴオッ………」

純の振りかぶったバットが屍人の脳天にクリティカルヒットした。
余りの威力にそのまま土下座するように地に伏した。

純「梓っ!」

梓「ゲホッゲホッ……ゴホ…ッ……あ、純」

純「命がけで助けに来た友達に向かって第一声がそれ!?」

梓「ごめん……何だか夢みたいで。ほんとにもう死んだかなって思ってから」

純「私のウルトラCがなかったら間違いなく絞め殺されてたよ! 立てる?」

梓「……無理っぽい」

純「全く……。よいしょっと」

純に肩を貸してもらい立ち上がる。

純「とにかくここを出よう。またこいつが起きる前に」

梓「でも……さすがにあれじゃ…」

バットで思いきり殴ったのだ。幾ら女の力でも…。

純「…こいつらは死なないんだよ。どういうわけか知らないけど」

梓「死なない…?」

純「そ。多分後10分もすればまた起き上がるよそいつも」

梓「そんな…」

純「詳しい話は車でしよう。そっちの方が安全だから」

梓「車?」

純「乗ってきたの」

梓「純って運転出来たっけ…? そもそも免許は…?」

純「あんなの簡単簡単。こうやってぐわーってやった後、ぶしゃーって踏んで後は曲がりたい方にハンドルを切るだけ」

幾ら非常時? といっても正直……

梓「………乗りたくないなぁ」

純「つべこべあべこべ言わずに来るのっ!」

梓「あっ、ちょっと! 純! バットは?」

純「いいのいいの。また探せばいいから(……間に合って良かった……)」

終了条件達成?



桜ヶ丘 平沢宅
PM19:30:33


終了条件1 わかりやすい置き手紙を書き残す

唯「隠れながら帰ったから時間かかっちゃった…」

もう辺りは真っ暗で、ちらほら街灯が灯り初めている。

唯「憂~いる~?」

家に入ると一目散に憂を呼びながら部屋に行く。

唯「憂~」

そこには憂の姿はなく、ただ可愛らしい部屋が薄暗く映し出されていただけだった。

唯「まだ帰ってないんだ…憂」

心配だ。

もしも憂があの変な人達に襲われたのかもしれないと思うと心臓がキュッと締め付けられる。

待ってられないっ!

唯「探しに行こう…!」

唯「でも入れ違いになったら困るなぁ……。携帯も使えないし」

唯「う~ん……」

唯「!」

唯「そうだ! 置き手紙をしておこう!」

何て書こうかな~。これを見たら家にいなさい! とかかな~?

※憂が家にいないので外に探しにいっています
 20:30までには私も帰ります
 もしも20:30までに私が帰ってこなかったらあずにゃん達と一緒に隠れてて!

唯「……と、これで完璧!」

唯「よし! 探しに行こっと!」

手紙をわかりやすくリビングの机の上に置くと着替えるのも忘れて再び真っ暗闇へと体を投じる。

唯「憂……みんな……無事でいてね」


終了条件達成

置き手紙の内容◎



桜ヶ丘 大手スーパー前の交番
PM19:10:00


終了条件1 警察官からの逃亡
──────────

律「大変なんだよお巡りさん!!! スーパーの中がもうてんやわんやで…」

警察官「……」

律「聞いてんのかよ!!! 早くしないとあいつらが……」

ジリリリ……

ジリリリ……

時代に似つかわしくない黒電話が鳴り響く。その音に一旦間を取られた私は仕方なくその電話が終わるのを待つことにした。

警察官「もしもし…………」


律「(早くしろよな~……)」イライラ

警察官「……了解…射殺します…」

律「は…?」

律「何言って……」

カチャリ……カチャリ……

律「なんで弾なんて込めて……」

そうか……、

警察官「イイアーッ」

こいつもか。

踵を返すと急いで交番を出る。

律「銃なんて卑怯だろ!!」

走りながら片目を閉じ視界をジャック。

──【無駄ナ抵抗ハやめなさい】──

照準が見事に私の背中を捉えてるのを見て、
律「くっ……!」

思いきり体を揺さぶりながらジグザグに走る。

パァンッ
パァンッ

二発の銃弾はどちらも私を捉える事なくどこかへ消えていく。
律「相手が狙ってる場所がわかるなら避けるのも意外と簡単だな…」

上手くやれば拳銃を奪えるかもしれない…。

律「どうする……」

拳銃があればこの先楽になるかもしれないけど……その分リスクはあるか。


1 警察官を倒し、拳銃を奪い取る

2 いくら相手の視界を盗み見れると言って弾が完璧に避けられるとは限らない。危険だ、このまま逃げよう

※1

律「危険は承知の上だ!」


5
最終更新:2011年03月19日 03:01