交番
「ウヒャッヒャッヒャッヒャ」

飛び込むと同時に思いきり体を捻り込み、両腕にありったけの力を込める──

律「よぉ」

「ウヒャ!?」

ゴスゥンッ──

バットを思いきり後頭部から叩き込む。その勢いで机に顔がめり込み出来損ないのコント番組みたいな様になった。

律「なんか頭に羽根生えてら」

知ったこっちゃないけど。

ジリリリ……ジリリリ……
律「…………」

ガチャン

律「悪いな、射殺される前に撲殺したよ」

「もしもし!? その声もしかして律!?」
律「えっ……もしかしてその声……」

「ウヒャッヒャッヒャッヒャ」
律「ちっ、追ってきたか!」

パァンッ───

律「ッ~。銃持ってるやつもいんのかよ! やっぱりあの魚潰しとくんだったな…」

「もしもし!? どうなってるの!? 無事なの!?」

律「悪い、話してる場合じゃないみたいだ」
「律!!!」

律「じゃあな、和」

電話を切ると警察官から素早く拳銃を抜き取り不慣れな手つきで構える。

律「死地ってやつか……」

律「上等!!!」

生き残るんだ……!!!
わたしは!!!
──────────



桜ヶ丘 琴吹邸
第二日
AM7:00:00


終了条件1 琴吹邸からの脱出
終了条件2 斎藤を倒す
──────────
紬「ん…」
……またここ。

紬「せっかくいい夢見てたのに」
夢……なのかしら?

紬「……うっ」

自室の扉を出ようとする、

紬「すると斎藤がエントランスの二階から銃を構えていて、私はここから脱出した」

その映像が、さっき見えた内容。

紬「何なのかしら……これ」

益々わけがわからない……。
紬「……どうしよう」
1 素直にここから脱出する。
2 斎藤を倒す為に動く

※2

紬「……斎藤を倒しましょう」

最後の記憶……私を殺したのは……間違いなく斎藤だった。
それに唯ちゃんも……よくわからないけどあれは夢じゃない。
今私がなんでまたここにいるのかわからないけど……またあの未来に行くわけにはいかない。

紬「その為に……封印を解く。あれと戦うために」

あれ? それは……なに?

紬「……わからないことが多すぎるわ」

それでも前に進むしかない。

どうあがいても絶望だとしても

視界ジャック、

──【紬お嬢様……早く出てきてクダサイヨ】──

紬「斎藤…」

このまま出れば間違いなく撃たれる。そこで誘導することにする。

紬「携帯は駄目でも…内線は生きてるはず」

自分の部屋に設置されている電話で内線を押し、お父様の書斎にかける。書斎はエントランス二階の側にあるので斎藤まで聴こえる筈。

prrrrr prrrrr

視界ジャックで確認。

──【ウウ!?】──

電話に気づいたのか一目散で書斎に入って行く。
どうやら屍人は音に鋭く反応するみたいだ。目からは血を流してるだけあって視力は悪いのかも。
その間に自室を出るて、キッチンに向かう。

紬「武器がいるわ…」

斎藤を倒せる武器…。武器庫に行けば拳銃も手に入るのだろうけど…。
他にも屍人がいるかもしれないし…危険かもしれないわね。
慎重に考えないと。

1 出刃包丁
2 果物ナイフ
3 危険を承知で武器庫へ
4 フライパン

※4

紬「フライパンにしましょう!」

琴吹家のフライパンは炒めものに煮物、パンだって焼けちゃうんだから!

紬「銃弾だってへっちゃらよ」

フライパンを持ってキッチンから出る。

斎藤は……

──【琴吹家は……オワリダ……】──

書斎でまだ何かやってるみたい。後ろから殴りかかれば……。

階段を上がり、ゆっくりと書斎に近づく。
都合よく書斎の扉は開いたままだ。
開けたら閉める、それが基本。
いくら化け物になったって言ってもこれぐらいが出来ないなんて、琴吹家執事失格よ、斎藤。
肉眼で斎藤の後ろ姿を捉えた。

今だっ!
紬「ええいっ」

パコン

斎藤「うぐぅ」
怯んだ! もう一撃!
紬「このっ!」
パコン
斎藤「があ……」
紬「これでとどめよ!」

バァン───

紬「あっ……っ……」
脇腹の肉が吹き飛ぶ、
紬「負け…………な…………」
カチャリ……
フライパンで……防御……。

バァン──

紬「ぐぶっ……」

銃弾はフライパンを突き抜けて紬の頭に突き刺さる。
血が吹き出し、天を仰ぐように仰向けで倒れ込んだ。
斎藤「お嬢様……くひゃひゃひゃ……こっちはいいでしょお?」

終了条件未達成



桜ヶ丘 澪宅
第二日
AM9:44:44


───────────

澪「律……もう…ダメだぞ。みんな見てるんだから…」ムニャムニャ

澪「そんなことないよ……律の髪も綺麗だよ」ムニャムニャ

澪「カチューシャつけた律も好きだけど……外した律も……好き」ムニャムニャ

澪「はっ!!! 私何を言って……」

澪「ここどこ…? 律? ムギー! 梓~」

…………

澪「夢……だったのかな」

目を瞑る。

──【ミオチャアン……】──

澪「ひいいいいっ! 夢じゃないいいっ」

終了条件1 秋山家からの脱出
終了条件2 梓を倒す


澪「と、とにかくここから出ないと」

どこまでが夢でどこまでがあったことかわからないけど……。

澪「行こう、守られるんじゃなくて守るんだ!」

大切なものを!

この決意はちょっとやそっとのことじゃ揺らがない!!!


トス……トス……トス……

澪「(マ、ママだ!!! もう上がってきた!!! 早く隠れないと!!!)」

どこに隠れよう…?

1 クローゼット
2 ベッドの下
3 屋根裏
4 迎え撃つ
5 寝たフリ

※1

澪「よ、よし! クローゼットに隠れよう!」

ベッドの下は前隠れたしな。

そそくさと服をかき分け中に潜り込む。

澪「……」ドキドキ

キィィィ……

澪ママ「ミオチャアン……」

澪「」ポカーン

ママが……唇お化けに…………。

澪『あはははは~』
澪「」

魂が抜けていく…………

澪ママ「ミオチャアン……オトモダチキテルワヨー」

澪ママ「ミオチャアン~ドコニイルノ~?」

澪「」

澪ママ「カクレンボカシラー?」

澪「」

澪ママ「ウフフ……カクレテモムダヨー」

ゴオオオオッ

ベッドを叩き折る。

澪ママ「オカシイワネ~イルトオモッタノニ」

掛布団の下に枕が噛んでいて膨らみ、それを澪だと思い込んでいたようだ。

澪ママ「ミオチャンどこイッタノカシラ……オトモダチがキテルノニ」

いないと思ったのかそのまま唇の化け物は澪の部屋を出ていく。一方澪は、

澪「」チーン

まだクローゼットの中で気絶していた。

澪「……ここは?」

真っ暗だ。私は何をしてたんだろう。

澪「クローゼットの中に入って寝るなんて余程疲れてたんだなぁ。律に笑われちゃうよ。顔洗いに行こっと」

ママにもおはようの挨拶しなきゃ。

部屋を出て、階段を降りる。
緩やかなカーブを描きながら下りリビングに出る。

澪「」

唇のお化けが羽根が生えたお化けと一緒にテレビを見ている。

あれ? 寝ぼけてるのかな?

澪「」ゴシゴシ

澪「」

…………。階段を上り、クローゼットに戻ると閉め、私はまた気絶した。


澪「あれ……ここは?」

暗いな……って何回もやったよ!

澪「げ、げ、げ、現実を受け止めなきゃ……」ガクブル

澪「うう……うっ……」

駄目だ……怖すぎる。こんなの私じゃなくても卒倒するよ!

澪「このままここに引きこもろうかな…」

澪「そうだ! イルクーツクに行こう!」

澪「律と一緒に行くんだ! 楽しいだろうな~」

澪「イルクーツクって海とかあるのかな? わかんないや。けどあるならまたみんなで泳ぎたいな~」

澪「最近エリザベス触ってないな…」

1 エリザベスを弾く
2 そんなことをしてる場合じゃない

※2

澪「そんなことしてる場合じゃない!」

みんなと約束しただろう……あの光る世界で。大切なものを守る為って!

澪「今この世界で生きてる人を私が救うんだ…!」

まずはみんなと合流しよう。学校に行けば誰かいるかも。
先に律の家かな? とりあえずここを脱出しないと!

澪「あの唇お化けと羽根お化けを倒すんだ……!」

武器になるようなもの……。

1 ギターケース
2 エリザベス
3 MDコンポ
4 椅子
5 ふでペーンFUFU
6 私の甘い歌詞で卒倒させてやる!

※6

澪「私の歌詞で卒倒させてやる!!!」

勢いよく階段を駆け降りる!

ガタンッ

澪ママ「」
羽根屍人「」

音に反応して階段の方を振り向く二匹。

澪「屍人。こっちにおいでと呼びかける。綺麗な世界があるからと」

澪「でも中々聞いてくれない…。おめめからちょっぴり赤い涙」

澪ママ「」
羽根屍人「」

澪「唇が大きくなったり、羽根が生えたり、みんな違うよ愉快だよ」

澪「パタパタパタパタ、私も大空を飛んでみたいなどこまでも」

澪ママ「」
羽根屍人「」

澪「(即興にしては良くできたな!)」えへんっ

澪ママ「こっちにオイデエエエエエエエエエエエエエ」

羽根屍人「ププ……」
澪「駄目だったみたい」

バササササササ

羽根がついた屍人が私の肩を掴む。

澪「えっ……あっ」

澪ママ「遊びにイクノ? 気をツケテネ」

ママが裏口を開け、そのまま裏口から外へ。
羽根屍人「ププ……」
どんどん……どんどん地上から遠ざかって行く。

澪の「高い……」

ここから落ちたら……。見上げる、私を掴みあげてるものの顔を見てみる……と、それは。
梓「ミーオ先輩」

澪「あ、梓……?」

その瞬間手を離され、私は一瞬だけ空の旅を満喫した。

ドシャッ──

終了条件未達成



桜ヶ丘 大手スーパー交番前
第二日
AM7:00:00

───────────

律「1.2.3.4.5……あ~やめたっ!!!」

敵の数を数えていたが多すぎて嫌になる。

交番に立てこもりながら銃で応戦するも上手く狙いが定まらず、当たらないことの方が多い。
それも当たり前だ、どこの世界に銃を撃つのが上手い女子高生がいると言うんだ。

パァンッ──
パァンッ──

律「ひっ」

交番の壁がすり減る。

律「……どうする、一か八か突撃するか…」

どうするっ…!

1 一か八か突っ込む
2 きっと誰かが……誰かが助けに来てくれるはず! それを信じて待つ!

※2

律「きっと誰かが……誰かが助けに来てくれる……」

でも……誰が?

律「くっ……」

こんな場所に?

律「それでもぉ……」

来てくれるわけないじゃん。
わたしが誰かを助けても、みんなはわたしを助けてくれない。そんなこともわかんないのかよ?

律「違うっ…! 違うっ…! きっと来てくれる!!!」
約束したんだ…!
わたしは仲間を信じる!
わたしは、思いきり仲間の名前を叫んだ。

1 澪
2 唯
3 ムギ
4 梓
5 和
6 憂ちゃん
7 純ちゃん
8 さわちゃん
9 トンちゃん

※2

律「唯ーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」


交番に木霊する声、それに…………。


唯「りっちゃん!!!!!!!」


答えてくれた!!!

外だ!!!

律「唯!!!」

パァンッ──

律「っと!」

どうやら狙われてるらしい。
すぐさま交番内に戻り唯の視界をジャック。

そこから見えるのは屍人の大群。恐らく唯は物陰からこっちを見ているのだろう。

律「唯!!!」

唯「りっちゃん!? 無事だったんだね!」

律「なんとかな!」

律「話は後だ!!! そっちで何とか銃を持ってる屍人を何とか出来ないか!?」

唯「わかった!!! やってみるよ!!!」

頼もしい唯の声。ここに来てから唯に会うのは初めてなのに自然と意志疎通出来た。
それにしても懐かしい気がする……、最後に会ったのは多分昨日?のことなのに……。


唯「こっちだよ!!!」

手を振って屍人達に陽動をかけているようだ。その声に釣られ屍人の何人かが唯に向かって行く。

律「あっ……逆に唯が危ないんじゃ!」

と思ったが唯は上手く曲がり角を利用して屍人達を巻いていく。

律「頼りになるぜ唯!」

それしても知ってる人の目線を盗み見るって……何か照れるな。ドキドキするっていうか、あっ~もうっなんでもないっ!

律「この数なら!」

交番を一気に飛び出す。

「ウアアアアアアアアア」

律「そいやっ!」

金属バットで首をへし折る。

「ギュルルルルルルルル」

律「この近さなら外れる方が珍しい!!!」

パァンッ──

「ギイイイイイイヤアアアアアア」

律「いける……!」

けど相手にしてる時間が惜しい。銃を持った屍人が唯を追ってったんだ、のんびりしてたら唯が危ない!

片目で唯の視界をジャックしながらその後を追った。


終了条件1 唯を救出する



9
最終更新:2011年03月19日 03:07