私は……
1 宇理炎で憂を……
2 宇理炎で憂を……
※2
唯「……焼かないよ」
憂「なんで……? お姉ちゃんを刺したり…みんなにいっぱい酷いことしてるのに!!」
唯「だったら怒る。めっ、そんなことしちゃダメでしょ!」
憂「なんで……なんでそんな優しいの……? お姉ちゃん」
唯「お姉ちゃんだからだよ。憂」
憂「…………」
唯「それに……憂を宇理炎で焼いても終わらないしね」
憂「!? なんで……そのことを」
唯「前はそれで失敗したから、もうしない。憂を助け出すから……必ず」
憂「お姉ちゃん……って呼んでもいいの?」
唯「いいに決まってるでしょ? 姉妹なんだから」
憂「お姉ちゃん……」
憂「うっ……あ……ああっ……」
唯「!?」
突然頭を抱えて苦しみ始める憂。
憂「お姉ちゃん……来ちゃ……ダメ……ああ……ああああああああああああああ」
ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──────
間近で聴こえるサイレンの音、いや、違う……あれよりもっと獰猛的な……。
唸り声のような…………。
憂「お……姉ち……ゃん……」
憂の伸ばした手を、
唯「憂いいいいいっ」
わたしは、掴めなかった。
唯「憂……」
跡形もなくどこかへ消え去ってしまった憂……。
唯「どれだけ時間がかかっても……」
唯「どれだけ絶望したって……!」
唯「絶対に助けてみせるから……!!!」
だから待ってて、憂。
そう決意するのと、爆発の余波が来るのは、同時の出来事だった。
わたしはりっちゃんとの約束通り石を投げ入れ封印を解く。
光の塊が天へ穿たれ、最後の封印が解かれた。
唯「ここから始まる……」
でも、それはもうちょっと先になりそうだ。
終了条件達成
??? ???
???
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───────────
「ウアアアアアアアアア」
「グギャアアアアアア」
「ギイイイイイイ」
唯「何匹でもおいで……」
右手には火掻き棒、左手には宇理炎。
唯「はあっ!!!」
宇理炎を掲げ、浄化する。
「ギイイイッ」 「ウオオオオオ」 「ヒイエエエエエエ」
唯「次こそは……絶対に」
今はただそのピースが揃うのを待とう。
この、煉獄で。
ジェノサイドEND
いよいよ次から真エンドに向かいます
今まで寝かせに寝かした伏線も全回収、そしていよいよ和ちゃんの登場!と見所目白押し
私がその事を知り、愕然としたのはちょっと前のこと。
塾が終わり、桜ヶ丘行き、帰りのバスに乗り込みうとうとしていた私は突然の急ブレーキという派手な起こし方により強制的に意識を覚醒させられた。
桜ヶ丘への通行が全面封鎖───
不可解、としか言いようがない。
桜ヶ丘一帯にだけ強烈な地震が襲いかかるという現象。隣町の私が揺れさえ感じなかったのだからこれはもう珍事なんて言葉じゃ済まされないだろう。
更に不可解なのは桜ヶ丘の住人は一人を除き全て……消息不明と言うことだ。
当然、桜ヶ丘に住んでいた私の幼なじみ……平沢唯もその例外ではない。
隣町 避難所
PM18:14:32
────────────
和「……唯」
国が一時的に用意した避難所で昨日は一日を過ごした。すぐにでも唯達を探しに行きたかったけれど街は封鎖されている為入れない。
和「……」
テレビに目を向けると、恐らくどのチャンネルでもやっているだろう桜ヶ丘についての
ニュース。桜ヶ丘怪奇現象なんて面白半分のタイトルをつけられた特集番組が視聴率を集めてると思うと無性に腹がたった。
少女「和お姉ちゃん……」
和「ん? どうかしたの?」
少女「私達……お家に帰れるのかな?」
和「大丈夫よ。きっとすぐ帰れるから。心配しないで」
そう言って頭を優しく撫でると不安がっていた顔がゆっくりと笑顔に変わって行く。
少女「うんっ!」
そのまま私の膝にちょこんと座ると安心しきった猫の様に一緒にテレビを見始める。
私はすぐさまテレビの番組を楽しそうな童話の話に変えるとその女の子は嬉しそうにテレビを見始めた。
和「……」
私にもこれくらいの妹がいた。弟も……、勿論両親も。
今じゃ消息不明なんて言う勝手のいい言葉に握り潰され、生きてるのか死んでいるのかさえわからない。
そして、この子の両親も……。
そもそも地震が起きて消息不明とはどういうことなのだろう。
死体さえ発見されないと言うのはどう考えたっておかしい。世論では集団失踪やら桜ヶ丘地盤沈下等々勝手に盛り上がっているがこれはどう考えたって現実から逸脱している。
何かが起きているのだ、あの街で。
和「……」
ただ、どうすればいいのか……。街に行ったところで私みたいな学生は門前払いだろう。
もし上手く入り込めたとしても、国が何百人体制で探しているのに見つからない人達を私が見つけられるとは思わない。
和「八方塞がりね……」
少女「はっぽ~ふさがり? ってなぁに和お姉ちゃん」
和「どこに行っても出口が見つからないな~って意味よ」
少女「怖いね……」
和「そうね…」
和「でもほら、あの仔猫はちゃんとお母さんのところへ帰れたでしょ?」
テレビを指さすと丁度母猫と仔猫が仲良く抱き合っているシーンで、少女も安心したのか「良かったね!」と笑顔を取り戻した。
和「そう……出口のない迷路なんてない」
ここでこのまま何もせず、ただ時が過ぎるのを待つなんて出来ない。
どう動いていいかはわからない……けど、必ず唯達や家族を見つけ出してみせる。
隣町 図書館
第二日
AM9:00:00
真鍋和
───────────
次の日から私は唯達を助ける為に動き出した。世論のように現実的に捉えても埒が明かないと思い別の観点から物事を見ることにしてみる。
過去に同じ象例がなかったか調べ、その事件との関連性がないかを調べてみる。
少しでも関わりがありそうなものはファイリングし、コピー、ないしは書き写す。
それを何時間も行った結果たどり着いたのが……。
和「羽生蛇村土石流災害……?」
和「今から27年前…か」
村全体が土石流災害に合い…死体も出てこなかったと言う点では今の桜ヶ丘で起きている事と合致する…。
和「当時はこれを自然災害として処理…ね」
多分このまま行けば桜ヶ丘の件もこうやって風化していくのだろう。
和「実際に行って確かめた方が早いかしら」
いや、その前に桜ヶ丘にも足を運びたいわね。何か見落としてることがあるかもしれない……。
和「……」
1 桜ヶ丘へ行く
2 羽生蛇村へ行く
※2
和「羽生蛇村へ行きましょう。何かわかるかもしれない」
善は急げと云う言葉に従い荷物をまとめると、私はすぐさま羽生蛇へと向かった。
──羽生蛇村跡地
和「地図だとこの辺りだけど……」
思ったより近く夕方になる前につけた。
和「立ち入り禁止……か」
村全体を襲った土石流災害なんて……ちょっと出来すぎてるわよね。
中に入ろうかとも思ったけれど、入口は土に埋もれて入って行けそうもなく……仕方なく引き返すことにした。
和「無駄足だったかしら……」
とりあえず現場を見れただけでよしとしておこう。
──
それからも色々調べてみたけれど……結局有力な情報は得られなかった。
それから時間はあっという間に過ぎて行き……桜ヶ丘の立ち入り禁止が解かれたのは、事件発生から1ヶ月後のことだった。
とは言ってもまだ住めると言うレベルにはほど遠く、ただの一時的な帰宅が許されただけだ。
和「地震があったにしてはあんまり変わってないな……」
1ヶ月振りに見た自分の家。勿論……誰もいなかった。
唯の家にも行ってみた。本当は盗難防止の為に自分以外の家には入ってはいけないのだけれど……見つかっても幼なじみだと言えば疑われはしないだろう。
やっぱり二人はいなかった。写真やアルバムなどを見つけ出してはどうしてこんなことになったのかと悲痛に嘆くしかなかった。
階段を上がり、右の部屋に入る。
和「唯の部屋……懐かしいわね」
部屋の片隅に置かれてあるギターの埃をはらうと大事にギターケースの中に収納する。
和「全く……世話が焼けるわね……ほんと」
あんなに……大切にしていたギターを置いて……どこに行ったのよ……唯。
和「このまま置いといたら唯が帰って来る前にボロボロになっちゃうわね……」
ギターケースを肩に背負う。
和「これは私がちゃんと預かっておくから。ちゃんと取りに来るのよ、唯」
そう言い残し私は平沢家を出た。
──
その後も澪の家や律の家何かに言ってみたけれど……やっぱり誰にも会うことは出来なかった。ムギの家は交通機関がストップしてる中では時間的に行けそうにない為断念することにした。
和「そろそろ帰ろうかしら……時間もないし」
生徒会の人達と良く行った大手スーパーを横切り、交番を通った時だった。
ジリリリ……ジリリリ……
和「えっ……」
電話が……鳴ってる
まだ復旧してない筈の電話が何故か鳴っている。まるで私が通るのを見越していたかのように。
和「……」
交番に中に入るとその音の主、今の時代で型遅れな黒電話の受話器を……ゆっくりと耳元へ持って行く。
もしもし、なんて流暢な返しも忘れ……ただあっちが喋るのを待った。
「悪いな、射殺される前に撲殺したよ」
いきなりそんな物騒な言葉を吐き捨てる相手、しかし私はその声の主を知っていた。
和「もしもし!? その声もしかして律!?」
律「えっ……もしかしてその声……」
あっちも同様に驚いたのかさっきと声色が変わる。
「ちっ……追ってきたか!」
パァンッ──
何?! あの音……銃声?
「ッ! 銃持ってるやつもいんのかよ! やっぱりあの魚潰しとくんだったな…」
和「もしもし!? どうなってるの!? 無事なの!?」
銃と云う単語に一気に不安感が高まる。
「悪い、話してる場合じゃないみたいだ」
和「律!!!」
「じゃあな、和」
そう言い残し、電話は切れてしまった。
和「律……」
かけ直すことも出来ず、またかかって来る可能性もあの様子だと薄いだろう。
和「でも……」
これで確信出来た。
律達は消えてなんかいない。生きている……どこかで。
それから避難所に帰宅し、物事を整理する。
和「律達が生きてるとして……どこにいるのかしら」
ヒントは律が撲殺なんて仄めかす程の治安……銃がどうこうと言うのと掛け合わせると益々危険な場所に身を置いているのがわかる。
和「あ~もうっ! なんでどこにいるのかぐらい言ってくれないのよ! 全く律はいつもいつも……」
三年間全ての書類を忘れに忘れただけのことはある。
和「変わってないわね…ほんと」
律が生きていると言うことは唯や憂、私の両親に弟や妹、他のみんなも生きている可能性は高いだろう。
希望は見えてきた。後はみんながどこへ行ったのか…と言うことだけだ
次の日、私はまた桜ヶ丘に一時帰宅をした。数少ない生存者だからか二度目の帰宅に対してあれこれ言われることもなかった。
今日は昨日行けなかったムギの家に行ってみる。
和「大きいわね……」
唯から合宿した別荘のことやチェーン店を展開しているなどムギの話は聞いていたけれど……まさかこんなにもお嬢様だとはさすがに思わなかった。
和「門から玄関までがこんなに長い家初めて見るわね……」
ようやくたどり着いた入口の扉を開け、中に入る。
解放感あふれるエントランスに圧倒されながらも一部屋一部屋回ってみる。
和「あんまりいい趣味じゃないわね……他人の家にづかづか上がり込んで物色なんて」
いくら手がかりを掴むためとはいえさすがに気が退ける。
最後にここを見たら帰ろうと、扉を開けてみた時だった。
和「本……それも凄い数ね」
ムギのお父様かお母様か、それともムギ自身が勉強家だったのか。その本の数は並みの図書館なら凌ぐほどだった。
和「……」
その中の、たった一冊に目が行く。
それを手に取ると、タイトルを読み上げてみる。
和「羽生蛇村異聞……」
内容は、異界に取り込まれた人達が色々な思惑を抱いて繰り広げられる群像劇のようなものだった。
多分羽生蛇村の事件をネタに書いたフィクションだろうけど……何故か無視出来なかった。
和「異界……まさか……そんなわけ……」
もしも、律達もこれと同じような状況にあるとしたら?
和「……非科学的過ぎるわ」
それでも、律からの電話はもうこの可能性しかないと告げてくれた。
和「…………」
パタン。
和「ムギ、ちょっとこれ借りて行くわね」
やっと、やっと繋がった。それは紙よりも薄い可能性だけれど…………もう、これしか考えられない。
唯達は何らかの影響で異界に取り込まれたのだ……。
──避難所
和「これでよし……」
準備は整った。後はもう信じるしかない。
自分がたどり着いたこの結論に。
少女「和お姉ちゃん……またどこか行くの?」
和「……ごめんね。お姉ちゃん大切なお友達を助けに行かなきゃいけないの。だからまた今度遊ぼうね」
優しく撫でる、けれど不安な色は消えていない。多分この子も何となくわかっているのかもしれない。私が今からどれだけ危険なことをするのかを。
和「大丈夫。お姉ちゃんは生徒会長なんだから」
少女「生徒会長……?」
和「そう。みんなを守る力が備わってるの。だから心配しないで」
少女「……うん」
ゆっくりと立ち上がり、少女に背を向ける。
和「じゃあ……」
ほんとに何でもないことのように。まるでちょっと散歩に行くような気軽さでこう告げる。
和「じゃあ、私羽生蛇村に行くね」
少女「??」
今はわからないだろう。でももしいつか……覚えていてくれたら。
こんな変なお姉ちゃんが居たなって思い出してね。
それが、私達が確かにここに居た証になるから。
最終更新:2011年03月19日 03:15