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梓「こんにちは。みんなのアイドル、あずにゃんです」

梓「朝起きたら何故かアイドルになってました」

梓「今日からアイドルらしく振る舞うです」


~登校中~
梓「みんなのアイドルの基本その1、モデル歩きです」クネックネッ

梓「ちょっと大げさな歩き方のほうがメリハリがつくです」クネックネッ

梓「もちろん目線は上向きで、胸を張るです」クネックネッ

梓「腕は大きく振るです」シュンシュン

梓「…………」クネックネッシュンシュン

子「おかーさーん、きもちわるい歩き方してるひとがいるよー」

母「凛ちゃんダメよ。あれは見ちゃいけません」

梓「そこの親子、ちょっと待つです」クネックネッ

母「ひいっ!!」

凛「わー、へんな人だー」

梓「おはようございますです。みんなのアイドル、あずにゃんです」

母「は、はぁ……」

梓「あずにゃんです」

凛「あずにゃんです!」

梓「そうです、あずにゃんです」

母「あの、何でしょうか……」

梓「さっき私を見て何を思ったですか?」

母「えと……個性的な人だなと……」

梓「そうですか」

母「あの……私たちはこれで……ほら凛ちゃん、はやく行くよ!」タッタッタッ

凛「あずにゃんですばいばーい」タッタッタッ

梓「そうです。みんなのアイドル、あずにゃんです」

梓「…………」

梓「みんなのアイドルの基本その2、アイドルを変人扱いした親子を許す心の寛大さです」

梓「…………」クネックネッ

純「梓ー、おはよー」

梓「あ、純。おはようです」クネックネッ

純「うえ……道端で何してんの梓。気持ち悪いよ」

梓「」

梓「私はみんなのアイドル、あずにゃんなので許すです」

純「はあ? 何言ってんの梓?」

梓「アイドルじゃなかったらその頭に付いてるモップで牛乳拭き取ってるところです」

純「モッ……!?」

梓「あ、そうだ。モップもモデル歩きで一緒に学校まで歩くです」クネックネッ

純「モップ……」


~教室~
純「憂、おはよー」

梓「憂、おはようです」

憂「純ちゃん梓ちゃんおはよー」

純「ちょっと憂、こっちこっち」クイックイッ

憂「? どうしたの純ちゃん?」

純「今日の梓なんかおかしいからさ、あまり近づいちゃダメだよ」ゴニョゴニョ

憂「梓ちゃんが? 何かよく分からないけど……うん、分かった」ゴニョゴニョ

梓「みんなのアイドル、あずにゃんがいるのに内緒話ですか」

梓「モップに続きデカ尻もマナーが悪いです」

憂「デカ……尻……」


~授業中~
梓(みんなのアイドルの基本その3、多少の隙を見せるです)

梓(完璧なアイドルは確かに綺麗です。でも隙を見せると人間臭さが上がるです)

梓(それは人を惹きつける魅力になるです。あずにゃんです)

梓(さっそく隙を見せるです)

梓「…………」カチャカチャ

梓「…………」カチャカチャ

先生「ねえ、中野さん」

梓「…………」カチャカチャ

先生「あなた、授業中に何してるか分かってるのかしら」

梓「分かってるです。隙を見せてるです」

先生「いい加減にしなさい! そんなにシャーペン分解したいなら休み時間にやりなさい!」

梓「アイドルの趣味がシャーペン分解なんて、いい隙です」

先生「何をわけの分からないことを……」


~昼休み~
憂「純ちゃん、梓ちゃん、一緒にご飯食べよ」

純「憂、今日の梓はそっとしといたほうが……」コソコソ

梓「一緒に食べるです」

憂「うん! 皆で食べよう」

純(うう……憂、お人よしすぎ……)

梓「今日モップはパンですか?」

純「え!? ああ、うん。そうだけど(モップ言うなし……)」

梓「そうですか。デカ尻は相変わらず手作り弁当ですね……」

憂「う、うん……」

純(あ、憂のやつ相当怒ってる。手、強く握りすぎてプルプルしてるし……)

梓「美味しそうです」

憂「あ、梓ちゃん少し食べる?」

梓「いらないです。みんなのアイドル、あずにゃんは人からものを貰ったりしないです。デカ尻とは違うです」

憂「そ、そうなんだー。あはは……」

純(憂耐えろ……耐えてくれ……)

純「梓のお昼ご飯は?」

梓「みんなのアイドル、あずにゃんは、もちろん手作りのお弁当です」

憂「わー、すごいね梓ちゃん、お弁当作れるんだ」

梓「みんなのアイドルとして、料理の特訓は欠かさないです」

憂「それで何作ったの?」

梓「今からお弁当の蓋を開けるので慌てるなです。デカ尻はせっかちです」

憂「」

梓「これです」カパッ

純「うえ……何その赤いの……」

梓「マグロを弁当箱サイズに切り取って詰め込んだです」

憂「す、すごいね梓ちゃん、お豆腐みたいだね。えへへ……」

梓「豆腐じゃないですマグロです。尻がデカいと豆腐とマグロの区別すらできなくなるですか」

憂「」

純(てか弁当に生魚つめんなよ……)


~放課後~
梓「放課後です。みんなのアイドルあずにゃんは部活に励むです」

純憂「また明日ね、梓(梓ちゃん)」

梓「またあしたです。あずにゃんです」

梓「…………ふぅ」

梓「いい友達を持ったです」

憂「梓ちゃんどうしちゃったんだろ……」

純「今までは何ともなかったのにね」

憂「それに梓ちゃん部活行くって言ってたし、お姉ちゃんと軽音部の皆さん、大丈夫かな……」

純「まあでも、軽音部の先輩なら案外受けとめてくれるかも」

憂「そうだよね。それに明日になったら元に戻ってるかもしれないし」

純「うん。それじゃ私、ジャズ研よってくから」

憂「うん。じゃあね、モップ──じゃなくて純ちゃん」

純「」


~部室~
梓「」ガチャ

澪「お、梓か。おつかれ」

梓「おつかれさまです。澪先輩一人だけですか?」

澪「ああ、もうすぐみんな来るけどな」

梓「そうですか」

澪「…………」ペラッ

梓「…………」

澪「…………」ペラッ

梓「あの……なに読んでるですか?」

澪「ん? 音楽雑誌だよ。梓も読むか?」

梓「いえ、いいです」

澪「…………」ペラッ

梓(くそっ! 音楽雑誌とは……まるでアイドル……!)

梓(この人はみんなのアイドル、あずにゃんに匹敵するくらいのアイドルです。それは認めるしかないです……)

梓(正直、人気ではまだ勝てないです。私にファンクラブなんてないです)

梓(で、でも、アイドルとしての優位さでは私のほうが上です)

梓(澪先輩になくて私にあるもの、それは敏捷性です)

梓(私のほうが素早いです)

梓(それを見せしめてやるです)

梓「……」ガタッ

澪「ん? どうした梓、急に椅子から立ち上がって」

梓「……」シュッシュ

澪「??」

梓「……」シュッシュシュッ

澪「おい梓、何してるんだ?」

梓「見て分からないですか?」シュッシュ

澪「……」

梓「シャドーボクシング、もといシャドーあずにゃんです」シュシュ

梓(効いてるです。私の見せしめ攻撃が効いてるです!)シュッシュッシュ

澪「そうか」

澪「…………」ペラッ

梓「」

梓(くっ……! こうなったらシャドーボクシングとモデル歩きの合わせ技『シャモデにゃん』を見せ付けるです)

梓「……」クネクネシュッシュ

澪「…………」ペラッ

梓「……」クネッシュクネッシュ

澪「…………」ペラッ

梓「……」クククネクネシュッシュッシュ

澪「おい、梓」

梓(!? やったですか……!)

澪「人の周りで暴れるな」ゴチンッ

梓「痛っ!」

澪「まったく……」

梓「? ? ?」

梓(こ、この人、みんなのアイドル、あずにゃんに手上げたです……!)


律「おーっす」ガチャ

梓(ぐう……とりあえず澪先輩は後回しです)

律「梓、澪になんかされたのか? 涙目だぞー」

梓「大丈夫です。エロガッパに心配される謂われはありません」

律「エロ……ガッパ……?」

梓「そうです。デコ出しエロガッパです。キュウリでも食ってろです」

律「」

唯「やっほー」ガチャ

律「……」

澪「おお唯、ムギはどうしたんだ?」

唯「ムギちゃんはもうすぐ来るよ~。今日のお菓子はなんだろな~」

唯「あれ? りっちゃん元気ないね。どうしたの?」

律「……」

澪「ああ、律はさっき梓にエロガッパ認定されて落ち込んでるんだ」

律「う……」

唯「ええっ! あずにゃん、何でそんな酷いこと言ったの?」

梓「マジキチうんたん黙れうるさい」

唯「」

澪(お前がマジキチだろ……)

紬「ごめんなさい、遅れちゃって」ガチャ

律「……」


澪「気にしなくていいぞ。みんな今来たところだ」

紬「あら? 唯ちゃん、りっちゃん、どうしたの? うなだれちゃって」

澪「いや、ムギは気にするな」

紬「そう? あ、今日はケーキよ唯ちゃん」

唯「うん……」

紬「??」

律「…………」

澪「…………」ペラッ

梓「早くお茶入れるです。財布」

紬「」


梓「ふう……財布の入れた紅茶は美味しいです」ズズー

律「…………」


紬「…………」

澪「…………」ペラッ

梓(ん? 何故だか空気がいつもより悪いです)

梓(みんなのアイドルの基本その4、空気を読む力です)

梓(こういうときはみんなのアイドル、あずにゃんが場を盛り上げるです)

梓(アイドルが場を盛り上げるといったらやっぱり歌です)ガタッ

梓(えっと、確かこの棚にCDプレイヤーと自前のCDが)ガサゴソ

梓(あ、あったです。よしコンセント差し込んでCD入れて、再生です)ピッ

チャーチャラチャラッチャー♪

唯律澪紬「!?」ビクッ

梓「んでんでんでー」

律(うぜぇ……)

梓「かまってかまってほしいのー」

唯(今日のあずにゃん頭おかしいよ……)

梓「ちょうしにのっちゃだめー」

澪(調子乗ってるのお前だろ……)

梓「侵略攻略イカ娘、キュッ!」

梓「ふうー、とりあえずこのくらいにしとくです」

律(キュッ!じゃねーよ……何だよあいつ……)

紬(唯ちゃん頑張って。私も耐えてるのよ)

唯(うぅ……ぐすん……)

梓(あ、マジキチうんたんは感動の涙まで流してるです)

梓「大成功です。みんなのアイドル、あずにゃんです」

澪「おい梓」ガタッ

澪「いい加減にしろ!」ゴチンッ

梓「痛っ!」

澪「律、唯、ムギ、今日は帰ろう」

律「ああ……」

紬「唯ちゃん、一緒に帰りましょ。さあ立って」

唯「うん……えっぐ……ぐすん……」

澪「じゃあな梓」スタスタ

──バタン

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「……ふぅ」


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最終更新:2011年03月21日 01:35