「梓」

 なおも膣の敏感な部分を緩やかに刺激され続け、息も絶え絶えになっている梓の口元に澪の指が置かれた。
その意図を汲んで、伏し目がちに中指にキスをして、口に含んだ。

「ん……」

 澪の唇から甘い吐息が漏れる。
指を舐めさせるという行為は、何故かとても支配的に感じられて、無性に嗜虐的な快楽を覚えたのだ。
梓の少しひんやりした唇と、熱い吐息が彩る口内を指で味わっていると、指にねっとりとした愛撫が加えられた。
クチュリと淫らな音が響く。
梓が一生懸命丹念に愛撫する姿を見て、澪の中に愛しさと嗜虐欲が同時に沸き起こった。
無論澪には、そんなサディスティックな悦びを感じている自覚などない。
ただ梓の可愛い姿を見ていたい、もっと可愛い声を聞かして欲しいというだけなのだが。
 一心に澪への愛撫を続けていた梓の体が、不意にぴくりと震えた。
それまでやんわりとしていた澪の責めが、再び激しくなってきたのだ。

「んぅ……ん……う……っん! ……っんん!!」

 恥ずかしくて声を抑えたいのに、それすらままならない。
敏感な場所をぐいぐい押され、ピストンの要領で何度も擦られる。
さらに柔らかくなぞるように中を撫で回したかと思うと、指を回転させて膣の入り口をかき回された。
溢れる愛液を潤滑油に、再びピストン運動が始まる。
さきほど十分に体を弄んで学習した澪の責めは的確で、しかも何度も絶頂を寸止めされた梓に、
その責め苦に抗う術などあるはずもなかった。
酸素を求めて喘いだ口から、自然と熱の籠もった声が漏れる。

「っはぁ……ぁ……あ……ん……あっ……あ!」
「ふふ、気持ち良い?」

 澪の手は梓の愛液ですっかりべとべとになっていた。
ほんの数十回の往復で達しそうになる梓への責めを一旦完全に止める。

「はぁ……はぁ……」
「どうなの?」

 息を整えるので精一杯の梓に、急かすような質問。
梓の口から、唾液でべとべとになった指を引き抜くと、唇から糸が引いた。

「……気持ちいいです。ぞくぞく……します」
「ん、素直で良いね」

 梓の答えに満足げに頷いた澪は、再度ゆっくりと膣の中を撫でた。
敏感に反応する箇所を責め、クチュクチュと音を上げて擦ると、心地の良い梓の悲鳴が聞こえた。
さらに先ほど梓に舐めさせた中指を、クリトリスに押し当てる。

「あぅ……」
「まだ触っただけなのにどうしたの?」

 挿入された指がやわやわと梓の内壁を刺激する。
一時も休まぬ淫らな責めは、極上の快楽で梓を絡め取りながら、、まだぎりぎりの理性を残していた。
いや残されていた、と言った方が正しいだろう。
澪は本能的に、そうやって梓を追い込んでいた。
壊してしまいたい程愛おしい、そんな激情にも似た澪の愛情を、梓は一心に受け止める。

「もう……無理です……我慢、っん……出来ません」

 ふるふると怯えたような表情の梓の哀願に、澪は見惚れて意図せず硬直した。
愛しさが膨れ上がって、一瞬処理できなくなっていた。

「ふふ、梓にそんなこと言われた私も我慢出来ないな」

 あくまで余裕のある素振りを貫いて、澪は止まっていた指を動かした。
中は先ほど同じようにゆっくりと、敏感なクリトリスの裏側を円を描くように犯し、
クリトリスに当てた指は、細かく震えるようにそこを嬲った。
すでに限界近くまで追い込まれていた梓の体が、びくびくと小さく跳ねた。

「っんん! あ……ああ……いや……あああっ!」

 梓の嬌声を楽しみながら、しばらく思うまま体を弄ぶ澪。
とろとろと溢れるように滴ってきた愛液を確認して、徐々に膣に入れた指をピストン運動にしていく。
変わらないピッチのまま、クリトリスと膣に執拗な愛撫を続けていくと、梓が苦しそうな顔で澪を見つめていた。
人生で初めての快楽責めに、梓は消耗しきっていた。

ああっ! いやっ……! もぅ……ムリ……っっ!」

 肉芽を責めていた指に、垂れ流されている愛液を絡め、再び肉芽を摘んだ。
大きく跳ねた体に追い打ちをかけるように、ピストンを早めていくと、梓の嬌声の間隔がだんだんと短くなっていく。

 クリトリスを摘まれ、優しく扱かれ、少し押されて、軽く指で叩かれた梓は、体の内側からやってくる感覚に体を震わせた。
ぐちょぐちょにかき混ぜられる秘所の刺激に、もはや到底抗えるはずもなく、

「ゃ……ああああ――ッ!」

 艶めいた鳴き声を上げて、梓は果てた。
快楽に反らせた体を、くたりとベッドに寝かせる。
細かく体を震わせて余韻に浸る梓から指を引き抜くと、ぬるぬるの白く濁った愛液が絡んでいた。



「んふふ、あっけないねえ」
「……ムリですよ、あんなの……」

 全身が弛緩しきった梓に覆い被さって、澪はその耳元で囁いた。

「だけど、まだ終わりじゃないよ」
「え? ぁ……んっ!」

 絶頂の直後で敏感になっている梓のスリットに、澪の指が這った。
先ほどの粘度の高い愛液を、肉芽に塗りつけられる。
そのまま指の腹で擦りあげられると、梓の体は自然に反応してしまう。

「んぅ……ダメ……少し……休ませてください……っくぅ」
「駄目、今日はたっぷり可愛がらせて」

 梓の耳元を澪の吐息と囁きがくすぐった。
不意に澪に耳を甘噛みされる。
柔らかな唇に挟まれ、耳のへりや付け根のあたりを丹念に舌で愛撫されると、
梓の中にくすぐったいような、性快楽のような感覚が広がった

「ひゃっ……ぅ……ぁ……」

 同時に澪の指は梓の秘所を責め、そこから再び蜜が零れ始めていた

「梓、また濡れてきてる」
「……澪先輩のせいです」
「おかげだろ?」
「…………」
「ん?」
「……んっ! ……ぁ……ん……ずる、い……あっ……」

 クリトリスを嬲られて、梓の声にどんどん艶が混じっていく。
梓の前髪を掻き上げて、おでこにキスすると、澪はいたずらっぽく笑った。
ぬちぬちと淫靡な水音を上げて、澪の指は梓の急所を責めながら、
舌での愛撫は頬、唇、顎、首筋、胸、へそと順に下腹部へと下がっていく。
体の様々な所にキスされ、舐めあげられ、さらに最も敏感な部分まで弄ばれている梓は、ただその刺激に翻弄されるだけだった。

「澪先輩……私……おかしくなっちゃいます……」
「これからなのに?」

 小首をかしげて微笑む澪。
澪は右手の指を二本口に入れて、たっぷりと唾液を絡ませてねぶり始めた。
そんな光景が、梓には無意味に妖艶に思えた。
ただぞくりと、体の中の何かが蠢いたのだけはわかった。

「痛かったら言ってね」
「え、あ、はい」

 梓の秘所にあてがわれた二本の細い指が、ぬるりと中に挿れられた。
先ほどまで散々嬲り倒されていたせいか、梓は思ったほど痛みは感じなかった。
むしろ、中で折り曲げられた指が蠢動する快楽に、おそれるように体を丸めた。
澪が気を遣って、緩慢な動作で刺激するので、なんとも言えない官能が身に蓄積されていく。
やわやわと確かめるような愛撫は、だんだんと二本の指が与える快楽を梓に覚えさせ始めた。
膣を圧迫されながら、中で敏感な箇所を撫でられ、徐々に思考が快楽に蕩けていく。

「ぅ……ぁ……くぅ……っ……」
「良い声だな、私梓の声好きだぞ」

 澪の甘い囁きが、さらに梓の思考を麻痺させる。
しだいに往復運動が大きくなっていく指の動きに比例して、梓に性の快楽が流れ込んでいく。
くちゅ、くちゅ、と緩慢な動作でありながら、徐々に大きな動きになっていく澪の責め、
それに耐えきれなくなって、梓が艶めいた声を零しだす。

「はぅ……あ……あぅ……ぁ、ああっ!」

 そのタイミングを見計らって、澪が梓の秘所に口付けた。

「ひゃうっ! 澪先輩……ダメ……きたないです……!」
「そんなこと無いぞ、梓、お風呂入ったばっかりだろ」
「でも……うっ……あ……くぅ……っやぁ……」

 淫靡な水音が梓の秘所と澪の口内から響いた。
二度の絶頂と焦らしですっかり体力を消耗している梓は、懸命に澪に抗おうとしても、
主人に強く出ることも出来ずに為すがままにされていた。
澪は唾液と愛液を絡めて舌でクリトリスに塗布し、執拗にそこを責めている。
ちろちろとクリトリスの付け根を舐めていると、愛液が溢れてどんどん指がスムーズに動かせるようになっていく。
澪の指が、先ほどから責められている膣の敏感な箇所、Gスポットに当てられた。
十分な量の愛液は、そこへの責めをより苛烈にする。
ぬちゅぬちゅと卑猥な音を上げて、容赦ないピストン責めが行われる。

「ぁんっ……っんん!! ……ぅ、っく! ……んああ!!」

 Gスポットを責めながら、さらに澪の唇は優しく梓のクリトリスを吸った。
たまらず梓の悲鳴のような嬌声があがる。
それを愉しむように、吸い付いては、ちゅぽんと音のするように唇を離し、再度吸い付く。
無論その間も、秘所は澪の二本の指によって辱められ続けている。

「やめっ……って! あぁっ! ……ん! ……やぁ! 澪、先輩……!」
「んちゅ……ん?」
「やめ、……やめてください……、また……」
「また梓の可愛いところみせて」
「そん、……な……ぁ……ひぅ……あああっ!」

 秘所への指の往復はますます激しくなり、梓の蜜は少し泡だっていた。
苛烈な責めに容赦はなく、澪は梓の肉芽を口に含んだ。
唇で柔らかく挟んでは離しを数回繰り返し、さらに吸い付いて、尖らせた舌で肉芽を撫で回す。
愛液と唾液でどろどろになったクリトリスへの刺激で、梓の頭はただでさえ快楽に飽和している。
さらにその状態で、Gスポットを擦りあげられていた。
クリトリスへの責めに集中するせいで、単調化しているその機械的な動きが、返って梓を能率的に快楽漬けにしていく。
ずちゅ、くちゅ、と水音をあげて、一定の刺激はたやすく梓を追い詰め、

「――あぁ」

 か細い声が漏れた。

「ああああっ――!!!」

 体を大きく仰け反らせて、梓が絶頂を迎えた。
澪の指を、痛いくらいの締め付けが襲う。
ゆっくり指を引き抜くと、梓がびくりと体を震わせた。
とろりとベッドの上に梓の蜜が滴る。

「ぁ……はー……はー」

 三度もの絶頂を迎えた梓は、ぐったりとベッドに横たわって、荒い呼吸をしていた。
澪が寄り添うようにその隣に寝て、顔を覗き込む。

「うぅ……もう……」

 梓は澪の首に腕を絡めて、浅く口付けた。
澪が優しく笑う。

「ちょっとやりすぎちゃったかな?」
「ちょっとじゃないですよ……」

 拗ねるように梓は答える。
愛しい人の温もりを抱いて、目を閉じると、静かな部屋で息づかいだけが聞こえた。
わけの分からない感情――大好き――が膨れ上がって、澪をぎゅっと抱いた。

「えへへ、梓大好きだよ」
「……私もです」

 しばらくだまって澪先輩を抱いた。
それだけで、どうしようもなく幸せだった。

 不意にくるりと姿勢を変えて、梓が澪の上に覆い被さった。
ちょうどベッドで澪を押し倒した形になる。

「今度は私の番ですね」

 梓はやんわり微笑んだ。

「今日はもう良いよ」
「私にも奉仕させて下さい」

 上目遣いに言われて、澪は続く言葉を飲み込んだ。
梓の妙に色っぽい表情が、断りの言葉を頭から掻き消してしまっていた。
澪の無言を肯定と受け取って、一枚ずつ澪の衣服を取り去っていく。

「梓、ちょい立ってもいい? 脱ぎづらい」
「あ、はい、すいません、気が付かなくて」

 澪は赤らめた顔をごまかすように微笑んで、梓の頭を撫でた。
ショーツ一枚の格好になると、胸を手で覆い、先ほどとは打って変わって体を小さくさせている。
まだ触れられていないはずの澪の下着は、じっとりと愛液に濡れていた。
ショーツに手をあてて、澪の性器全体を手のひらで包むように触れた。

「私を弄んで興奮してたんですか?」

 指を一本、陰唇の中に沈ませると、はっきりと水気が感じられた。
意地悪をするように、クリトリスのあたりを擦ると、澪は目を閉じて小さく体を震わせた。

「……うん、そうだな」

 すこし仕返するつもりが、あっさり認められてしまい、梓は肩すかしを喰らった気分になった。

「梓……」
「はい」
「して……」

 ぞくりとするほど甘やかな澪の声音は、梓の思考を灼き切るのに十分過ぎた。

「分かりました、私の澪先輩」

 梓の指は優しく澪のスリットを撫でて、僅かに堅く隆起している箇所を探した。
ぬるぬるになったショーツの上から、手触りだけでクリトリスを見つけると、そこを軽く圧迫する。
そのまま指の腹で微かに擦っただけで、澪がびくりと震えた。

「ん……」
「ここ、感じますか」
「う、うん……」
「ふふ、顔が真っ赤ですよ」
「駄目だな……なんか、されるだけだと、恥ずかしい……」

 澪がたまらなくなったように、顔を背ける。
そんな澪の様子がますます愛おしくて、梓は両手で優しく澪を抱いた。
互いに肌で触れると、蕩けるような温もりを感じた。

「じゃあ座ってください」

 澪をベッドに座らせると、梓はその脚を手に取って、足の甲を顔の前に持ってきた。
愛おしそうに、そこに軽くキスをする。

 澪の小さな足の指に舌を這わせ、丹念に舐めていく。
ときおり、ちゅく、と粘ついた水音が部屋に響いた。
くすぐったいような、けれども確かに官能的な感覚が澪を戸惑わせる。

 両足を綺麗に舐め終えると、梓は澪の脚に何度も口付けた。
足から徐々に秘所に近づいていくキスに、羞恥心を煽られた澪の顔は紅潮している。
脚の付け根にキスをされ、そのまま下着越しに秘所にもキスをされると、澪の情感は一気に高まった。

「ん……」

 二、三度クリトリスのあたりにキスをされて、澪が悩ましげな吐息をつく。

「ここはまた後で」

澪が下着をじっとりと濡らしていることに、すっかり気を良くした梓が、いたずらっぽく微笑んだ。
上気した澪の表情は、年齢に似つかわしくないほどに色っぽくて、ますます梓を魅入らせる。
愛しい澪の体を愛撫する愉悦に酔っていた梓は、さらにその感覚に呑まれていった。

 自らの興奮を自覚し、澪以上に秘所を濡らしていることさえ分かっていた。
それでも梓は、恥ずかしさに己を抑制することはない。
それほど澪との時間は甘美で、その快楽は梓を耽溺させるものだった。
そんな一種の狂気に気が付かぬように、二人は体を重ねて愛し合う。
あるいはそんな狂気を、愛などと呼ぶのかもしれない。

「澪先輩、手を」

 梓に告げられるまま、右手を差し出すと、足と同じように甲にキスをされた。
そのまま指を咥えようとした梓が、一瞬静止する。

「どうしたんだ?」
「あ……いえ……その、」

 澪が差し出した手の指には、先ほど梓の体を愛した時の蜜が、乾ききらずに残っていた。
梓は恥ずかしそうな表情のまま、指を咥えて、それを丹念に舐め取った。

 澪が優しく笑った。連られて、梓も少し微笑む。
両手を舌で丁寧に愛撫し、そのまま細い腕、華奢な肩と思うままにキスをしていく。
そんな愛撫に、澪の体は確実に熱に侵されていった。
性の快楽ではない。
幸福の、愛しさの快楽。
それに心も体も満たされていく。

「梓、ちょっとお水飲んでも良い?」

 首筋にキスをしようとした梓を制止して、澪は訊ねた。

「あ、ごめんな。こんな時に」
「いえ、どうぞ」


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最終更新:2011年03月23日 21:11