唯は少しずつ、確実に擬似ペニスを埋めていく。
やがて、ペニスバンドが全て入りきった。
シーツを握りしめて耐える梓を見て、唯は心を痛めた。
唯「全部、入ったよ。あずにゃん」
梓「んあっ、はぁ、はぁ……。嬉しい……です。唯に……初めてをあげられて」
唯は梓を愛おしそうに見つめている。
そして、キス。
唯「ちょっとずつ動くね」
梓「は、はいっ」
正常位の態勢だ。
唯(この体位ならあずにゃんの顔がよく見えるよね)
唯は擬似ペニスを少しずつ秘裂に出し入れする。
しかし――
梓「ぐうっ……、あうっ」
梓(痛いよう……)
唯は心配そうな顔をした。
唯「あずにゃん……」
梓「だっ、大丈夫っ、ですからっ」
唯「……そうだ!」
唯は梓のソレを手でしごきだした。
最初はしぼんでいたソレも、少しずつ硬度を増していく。
梓「あふっ!」
唯「これならきっと気持ちよくなるよ!」
ペニスバンドを出し入れしながら、手でソレをしごく唯。
緩急をつけた手づかいだ。
梓(い、痛いのと気持ちいいのが混ってる……)
梓の喘ぎ声に、少しずつ快楽の色がにじみ出した。
少しずつ快楽が痛みを上回っていく。
亀頭からはガマン汁が、そして、秘所からは血に混じって愛液が噴き出る。
梓「あんっ、あっ、あっ、んあっ……」
唯「おっ、のってきたねー。もっといくよー」
唯はさらに手と腰の動きを激しくする。
梓は、じゅぽじゅぽと子宮を突かれる度に電気が奔るような感覚を覚える。
何分この行為を続けていたのだろうか。
やがて、梓は絶頂を迎える。
唯「よーし、イっちゃえー!」
梓「やっ、あああっ、ダメっ……、き、きもち、いいいいいいいっ」
梓の絶叫。
ソレからドクンドクンと大量の精液が飛び出し、唯の体にぶつかった。
同時に、膣がびくんびくんと痙攣を起こす。
梓「あっ、うう……」
唯「あずにゃんのイキ顔かわいー」
唯は梓にまたキスをした。
セックスの後、梓と唯は裸で抱き合っていた。
唯「お疲れ様、あずにゃん。まだ痛い?」
梓「ちょっとひりひりしますけど、大丈夫です」
唯「そっか。ねね、あずにゃん。ちゅー」
梓「んもう。んっ」
2人はまたキスをした。
その瞬間のことだった。
憂「お姉ちゃーん、居る?」
扉をノックして、憂が部屋に入ってきた。
唯、梓、憂、3人の表情が凍りつく。
憂「えっ。……何やってるの?」
梓「こっ、これはその……」
憂「! なんで梓ちゃんにそんなのが生えてるの?」
梓「っ、それは……」
唯「憂っ。あのねっ、私たち付き合い始めたの!」
憂「!」
唯「今まで言わなかったのはごめん……。でも――」
憂「どうして……。どうして!」
唯が言い終わらないうちに、憂は走って部屋から出ていった。
目尻には涙が浮かんでいた。
唯「ういっ!」
唯の声が虚しくこだました。
星の降るような夜。
憂は逃げ出していた。
実のところ、憂は、唯と梓が付き合い始めているのではないかと薄々感づいていた。
そのことに対して、多少の嫉妬心があったのは事実だ。
しかし、梓ならば唯を任せられそうだし、無理矢理仲を引き裂いて唯を悲しませたくない。
だから、実際に恋人関係になっていると教えてもらえたら祝福しよう。
そう心に決めていた。
先ほどまでは――
憂(あはは。覚悟はしてたのに、実際にあんなとこ見ちゃうと抑えきれなくなっちゃった)
憂(お姉ちゃん。やっぱり私、お姉ちゃんが好きだよ)
憂(でも、梓ちゃんとの仲を引き裂くなんてできない。お姉ちゃんの悲しむ顔を見たくない)
憂は泣きながら街を走り回った。
やがて走り疲れると、公園のブランコに腰かけ、まるで子供のようにこぐ。
キィキィと耳障りな音が響いた。
憂「どうすればいいんだろう……」
和「憂……?」
憂「和さん?」
和「どうしたの、こんな時間にこんなところで」
憂「いえ、ちょっと……」
和「目、赤いわよ。唯と喧嘩でもした?」
和は唯の幼馴染だ。
だから、憂とも付き合いは長い。
憂(そういえば、和さんにお姉ちゃんに言えないような悩み、何度か相談に乗ってもらったことがあったなぁ)
憂「あの、和さん。実は……」
憂は自分の今の気持ちを包み隠さず和に話した。
唯と梓が付き合っていると気づいたこと。
そのことに嫉妬していたこと。
けれど、いざとなれば祝福しようと思っていたこと。
でも、結局できなかったこと。
和は黙って憂の言葉に耳を傾けていた。
和「そっか、辛かったわね」
憂「……」
今にも泣きだしそうな憂を、和は優しく抱きしめた。
和「好きなだけ泣きなさい。今は私しかいないから」
憂「和さん…。ひっく、えぐっ、うわぁあああああああああああん!」
憂が人の前で見せる、初めての弱みであった。
泣きやむまで、和は黙って憂を抱きしめていた。
憂「すいません、取り乱しちゃって……」
和「ううん、いいのよ。それに、憂が取り乱すなんて珍しいものが見られたわ」
憂「の、和さん!」
和「冗談よ。さて、憂。自分の気持ちを再確認できたわね?」
憂「はい」
和「2人の仲を認めてあげたい。あなたはそう自分に言い聞かせているだけで、本心では納得できていない」
憂「……」
和「推測の段階ではまだ嫉妬心を抑えつけられたけれど、否応なしに現実が目の前に現れた」
和「唯を取られたくない。でも、唯の幸せを自分勝手に壊そうとも思わない。どうすればいいか分からなくなって逃げ出した」
憂「はい……」
和「今、あなたには2つの選択肢がある。1つは何食わぬ顔で2人と会って、自分の気持ちを心の奥底にしまいこむこと」
和「もう1つは――」
和は憂に公園の入口の方を示した。
そこには、息を切らしている梓の姿。
まもなく、唯が現れた。唯も息切れしている。
和「自分の思いを正々堂々とぶつけてみることよ」
憂「……」
和「もしかすると、あなたにとって辛い結果になるかもしれないわ。さぁ、どうする?」
憂「私は……」
憂は拳を握り締め、2人の元へゆっくりと歩みを進める。
和はその姿を見て呟いた。
和「がんばりなさい」
この言葉は憂にしっかりと届いていた。
唯「うい……。よかった、心配したんだよ」
憂「お姉ちゃん、梓ちゃん。心配かけてごめんね」
梓「憂……」
憂「お姉ちゃんと梓ちゃんに、どうしても伝えたいことがあるの」
憂はぽつりと語り始めた。
まるで溜めこんできたものを吐き出すように。
憂「私ね、お姉ちゃんが好き」
唯「うん……」
憂「ただ、妹としてだけじゃない。許されるなら、恋人みたいになりたいかもって思ってた」
唯「憂……」
憂「でも、お姉ちゃんは梓ちゃんのことが好きなんだよね?」
唯「うん。私はあずにゃんを愛してる。だから、ごめんね、憂。私は……、私は憂の気持ちに応えてあげることはできない」
憂「……」
唯「ごめんね……」
憂は微笑んでこう言った。
憂「いいの! ただ伝えたかっただけだから。梓ちゃんのこと、大切にしてあげてね。私、応援してるから」
唯「うん……、ありがとう、憂……」
憂「それと、梓ちゃん」
梓は無言でうなずいた。
憂「お姉ちゃんを幸せにしてあげてね。泣かせちゃヤだよ?」
梓「うん、必ず」
それを聞いた憂は満足そうに頷いて、夜空を見上げた。
憂「ごめん、2人とも、先に帰って」
唯「憂……」
憂「お姉ちゃん、梓ちゃん。明日からはきちんといつもの私に戻るから。だから、今日だけはお願い」
唯「……うん、分かった。憂、気を付けて」
唯と梓は帰って行った。
夜の公園は再び静寂に支配される。
それを破ったのは、和の言葉だった。
和「憂……。よく頑張ったわね」
憂「和さん……。本当にありがとうございました。悲しいけれど、ちょっとスッキリしました」
和「そう……」
憂「あの、もう1回胸貸してもらえませんか? ひっく、涙が……」
和「ええ。好きなだけ泣きなさい」
憂「えっぐ、ありがとう……ございます。ひっく、うわぁあああああああああああん!」
和はそれ以上何もいわず、憂の頭を撫でた。
頭上では一筋の流れ星が駆ける。
2人は手を繋いで帰っていた。
唯「あっ!」
梓「? どうしたんですか?」
唯「えへへ、流れ星が見えたからお願い事してたんだー」
梓「へぇ、どんな願い事ですか?」
唯「内緒だよー」
梓「えー、教えて下さいよぉ」
唯は照れくさそうに繋いだ手をぶんぶんと振り回した。
最終更新:2010年01月18日 03:05