唯「私には妹の
平沢憂がいる。両親と妹の四人暮らしだ。でも両親はよく家を開けるのでほとんど憂と二人暮らしみたいな感じだ」
唯「私には
真鍋和という幼馴染みがいる。困ったことがあれば憂か和ちゃんに相談すればいい」
………
唯「このぐらいでいいかな?」
ギィギィギィ
唯「おはよう」
憂「…ぐすん、お、お姉ちゃん!?ぐすん、ごめんなさい…、ごめんなさい!」
唯「えぇ!?どうしたの?何かあったの?」
憂「…、ううん、何でもないの、ごめんね、あっ、朝ごはんまだだから先に顔洗ってきて?」
唯「うん、わかった」
唯「………」じゃぶじゃぶ
唯「ふぅ」フキフキ
唯「え!?」
唯「すごく目が腫れてる…」
唯「昨日憂と何かあったのかな?全然思い出せないや」
唯「………」
唯「ま、いっか!それより朝ごはんだ!」
唯「憂~、お父さんとお母さんは?」
憂「…!?…今朝早く出ていっちゃった。今回は新大陸を探すから暫く帰ってこないって…、逃げるように」ギリッ
唯「え?」
憂「いや、何でもないよ…ごめんね?」
唯「そっか」
憂「それより早く着替えないと遅刻しちゃうよ?」
唯「え!そりゃ大変だ!」
唯「着替えてきたよー」
憂「って、それ中学の制服!お姉ちゃん、今日から高校生だよ?」
唯「嘘!?」
憂「…メモに書いてなかった?」
唯「書いてなかった」
憂「カレンダーはちゃんと見た?」
唯「見てない」
憂「もう!ちゃんと習慣付けるように毎日見てって言ったのに!」
唯「あれぇ、そうだっけ…ごめんなさい」
ピンポーン
和「おはようございます」
憂「あ、和さん!ごめんなさい、お姉ちゃんまだ支度ができてないの」
和「え?あ、そうなんだ…」
ダッダッダッダ
唯「お待たせ!和ちゃん!」
和「!?唯…、ごめん」
唯「え?何が!?」
和「何でもない、ごめん、学校行こっか?」
唯「…うん」
唯「ここが私の学校かぁ」
和「ちゃんと名前はメモしてある?」
唯「あ、そのせいで今日は支度が遅れたんだった!」
和「ちゃんとメモしときなさいよ、ほら、教室の場所とかも」
唯「うん、ごめんねぇ」
二週間後
唯「う~ん…」
和「何うなってるのよ唯」
唯「あ、和ちゃん…、どの部活に入ろうか迷ってて」
和「え!?部活やるの!?」
唯「そりゃあやるよ!私だって!」
和「…そうなんだ、憂ちゃんには相談したの?」
唯「うん、お姉ちゃんがほんとにやりたいことをやればいいって」
和「そっか、私も…同じ意見かな?」
唯「でもやりたいことが見つからないよ…」
和「そういえば軽音楽部が後一人部員が足りないって聞いたような」
唯「軽音楽部…かぁ!何か面白そうかも!」
唯「とりあえず!軽音部に入部しました!」
和「え?そうなんだ、ところで軽音部ってどんなことをするの?」
唯「軽い音楽って書くから簡単なこと…かな?口笛とか」
和「なにそのやる気無い部活」
………
和「ほら、バンドみたいなことするみたいよ?」
唯「…私、カスタネットしかできないよ」
和「え?どうすんの?」
唯「申し訳ないけど辞めるって言いに行こう」
………
唯「この扉一枚の距離がすごく遠い…」
ポンッ
唯「!!!」
律「うちの部の前で何やってんの?ってあなたもしかして、
平沢唯さん!?」
唯「え?えぇまぁそうですけど、でも…」
ガラガラ
律「みんな~!あの平沢さんが来たぞ!」
唯「え?あ…」
澪「ホントか!?その人が平沢唯さん?」
唯「えぇ、あ、そうなんですけど…」
紬「やったわ!ついに四人そろったわ!」
唯「や、あの…」
律「いや~、もう少しで廃部になるとこだったんだよ」
唯「…知ってます」
澪「まさに救世主ってわけだな!」
紬「さぁ救世主さん、お茶どうぞ」コトッ
唯「…ありがとう」
唯(分かってたことだけどやっぱり言いづらい…)
…
律「辞めるって…言いに来たの?…そんなぁ」
唯「ごめんなさい、私、生まれつき記憶力が弱くて楽器とか全然駄目なんだ」
唯「軽い音楽って書くからてっきりカスタネットとかやるんだと思って…」
澪「え?でも音楽に興味あったから軽音部に入ったんだよね?」
唯「うん、でもギターとか弾けないよ…」
紬「そんなことないわよ?」
律「カスタネット叩けるんでしょ?記憶力なんて関係無いよ!ようは体で覚えればいいんだよ!」
紬「他に入りたい部活はあるの?」
唯「え?いや、無いけど」
律「じゃあ私たちの演奏を聴いてみてよ!それで判断して!」
唯「え?演奏してくれるの?」
澪「もちろんだ!」
唯「じゃあお願いします!」
ジャラララーーーン
律「えへへ、どうだった?」
唯「上手くは…ないね」
澪「ははは」
律(…終わったな)
唯「でも感動したよ!すんごく!」
律「お?」
唯「私、軽音部に入部します、いや、させてください!」
翌朝
唯「う~ん」
ジリリリリリ
唯「ほあ!?」
唯「えーと、私の名前は平沢唯、桜ヶ丘高校の一年生だ」
唯「私には妹の平沢憂がいる。両親と妹の四人暮らしだ。でも両親はよく家を開けるのでほとんど憂と二人暮らしみたいな感じだ」
唯「私には真鍋和という幼馴染みがいる。困ったことがあれば憂か和ちゃんに相談すればいい」
唯「これくらいでいいか」
昼休み
律「ゆーーーい!」
澪「あっ、こら律!」
唯「…えっと、だれ?」
律「だーっ、ちょっとそれは酷くないか?」
唯「え?え?和ちゃんの友達?」
和「………」
澪「おいおい、いくら記憶力悪いったって昨日の今日だぞ」
ガタッ
和「もしかして軽音部の方ですか!?」
律「そうですけど…」
和「昨日、唯は軽音部を辞めるって言いに行ったはずなんですが」
澪「いや、私たちの演奏を聴いてもらったら感動したから入るって言ってくれたはずなんだけど」
唯「ねぇ、和ちゃん、何の話?」
和「唯、メモ貸して」
唯「え?」
和「やっぱり、メモに書いてない」
律「どういうこと、ですか?」
唯「え?どうしたの?」
和「唯は、確かに感動したから入部するって言ったんですよね?」
律「そのはずだけど」
和「唯、メモに書いといて、あんたは昨日から軽音部員だって」
唯「え?そうなの?」
澪「唯、お前…そんな軽い気持ちで軽音部に入部したのか?」
唯「え?」
澪「入部したことも忘れるなんて、やっぱり軽い気持ちだったのか?」
律「おい、澪!」
唯「ごめんなさい、でもほんとに覚えてないんです」
和「すみません、今は黙って許してやってください」
唯「ヒッグ、ごめん…なさい」ポロポロ
律「いいんだって、それよりも入部してくれる、ってことでいいんだよね」オロオロ
唯「はい…うぅ、すみませんでした」
澪「………すまん、悪かった」
和「それより、教室までいらしたなら何か用事があったんじゃ」
律「あ、今日部活やる予定だから一応連絡しとこうと」
和「ごめんなさい、今日はどうしても駄目なんです、ね?唯」
唯「え?そうだっけ」
和「大事なことだから忘れないでって言ったじゃない」
唯「あ、そっかそっか、ごめんなさい皆さん」
律「いや、良いんだ良いんだ。じゃあな」
澪「………」
平沢家
唯「ただいま」
憂「あ、お帰り!あ、和さん!こんばんは!」
和「こんばんは、ごめん、唯は自分の部屋に戻ってくれないかな?」
唯「え?なんで…」
憂「お姉ちゃん」
唯「うぅ、分かったよ」
和「…憂ちゃんは、唯が軽音部に入ったの知ってた?」
憂「え!?お姉ちゃん、結局部活入ったの?」
和「私もさっき知ってさ、まぁ四人しかいないんだけど部員の皆に本当のことを言った方がいいのかなって」
憂「ダメです!そんなの」ガタッ
和「うん、やっぱりそうだよね」
和「でもこのまま隠し通せるか不安で」
憂「………」
和「もちろんギターも練習しなきゃいけないし、ちょっとしたボロから唯にも気づかれるかもしれない」
憂「それは…!!……駄目です、絶対に」
和「………」
憂「………」
和「結局みんなには黙ってるってことになったけど、これで良かったのかしら」
和「仕方ないことなのよね」
和「………」
次の日
律「じゃあ改めて自己紹介するぞ!私が部長の
田井中律だ、担当する楽器はドラム!よろしくっ」
唯「うんうん」メモメモ
唯「じゃあ私の自己紹介だね!」
律「平沢唯さんだろ?」ニカッ
唯「も~りっちゃんの意地悪!」
律「りっちゃん?」
最終更新:2010年01月10日 01:08