翌朝

唯「えーと、私の名前は平沢唯、桜ヶ丘高校の一年生だ」

唯「私には妹の平沢憂がいる。両親と妹の四人暮らしだ。でも両親はよく家を開けるのでほとんど憂と二人暮らしみたいな感じだ」

唯「私には真鍋和という幼馴染みがいる。困ったことがあれば憂か和ちゃんに相談すればいい」

唯「私は軽音部に入ってる」

唯「ドラムの田井中律、りっちゃんとベースの秋山澪、澪ちゃんとキーボードの琴吹紬、ムギちゃんと一緒に今日もムギちゃんの持ってくるお菓子でお茶しよう」

唯「これぐらいでいっか」

唯「あっと、カレンダー」

唯「今日は皆で私のギターを買いに行くのか」


……

律「お~い唯!」

唯「あっ!えーと、りっちゃんだ!」

紬「お金は用意できた?」

唯「うん、20万ほど!」

澪「すごい持ってきたな」

唯「やっぱ欲しいと思ったものを買いたいじゃん」

律「昨日はあまり金出せないって言ってたじゃん」

唯「あれ?そんなこと言ったっけ?」

紬「言ったわよ、昨日」

唯「今両親が長期で家開けてるから妹との二人暮らしじゃちょっと使いきれないくらいあるんだ」

律「ふーん、まぁ早く楽器屋に行こうぜ」

澪「それもそうだな」

唯「レッツゴー!」


唯「よし!このギターに決めた!」

律「うわ、ギブソンじゃん。高いぞこれ…」

唯「こういうのは直感が大事なんだよ、小さいときによくお母さんにあんたは他の人と違って長く考えてる時間は無いってよく言われたもんだよ」

澪「こういう買い物はよく考えた方がいいんじゃないか?」

唯「いや、これだよ!すみません!これください!」

店員「はいはい!」


律「ほんとにギブソンレスポール買っちゃったよ」


……

澪「まさか1週間でここまで上達するとはな…」

唯「えへへ、澪ちゃんの指導が良かったからだよ!ありがとう澪ちゃん!」

澪「………」カーッ

唯「どうしたの?」

澪「まぁとにかく!家でもちゃんとギター触ってあげなきゃ駄目だぞ?」コホンッ

唯「ほいほいさーでございます」ビシッ



翌朝

ジリリリリリ

唯「ほわわわわ」

唯「えーと、私の名前は平沢唯、桜ヶ丘高校の一年生だ」

唯「私には妹の平沢憂がいる。両親と妹の四人暮らしだ。でも両親はよく家を開けるのでほとんど憂と二人暮らしみたいな感じだ」

唯「私には真鍋和という幼馴染みがいる。困ったことがあれば憂か和ちゃんに相談すればいい」

唯「私は軽音部に入ってる」

唯「ドラムの田井中律、りっちゃんとベースの秋山澪、澪ちゃんとキーボードの琴吹紬、ムギちゃんと一緒に今日もムギちゃんの持ってくるお菓子でお茶しよう」

唯「もちろんギターの練習も忘れずに!」

唯「これぐらいかな」



放課後

澪「嘘だろ?弾き方、何も覚えてない?」

唯「…うん、ごめん」

澪「謝られても困るよ、唯、この休みに何をして過ごしたんだ?一度もギター触ってないのか?」

唯「…覚えてない」

澪「またそれか、覚えてなかったら何でも許されると思ってるのか?」

唯「だってホントに何も覚えてないんだもん」ポロポロ

澪「泣きながら覚えてないって言えばどうにかなるなんて思ってるんじゃないか?」

唯「!違う!!違うよ…」ポロポロ

律「………」

律「今日は休み明けで疲れたしここら辺にしとくか!」

紬「えぇ、そうね」

澪「………」

唯「…ヒッグ……うぅっ」ポロポロ



平沢家

唯「…ただいま」

憂「おかえり!ご飯急いで作るね」

唯「今日はいいや」

憂「え?」

唯「ごめん、今日はもう寝るから」

憂「うん、おやすみ…」

憂「………」



唯の部屋

唯「なんでなの?」

唯「なんで…全然昨日のこと覚えてないの?」ポロポロ

唯「昨日の夕飯、何だっけ」

唯「…思い出せないよぉ」グスン

唯「うわああああん…ヒッグ、昨日のこと、全然、グスッ、思い出せないよぉぉぉ」ポロポロ



翌朝

ジリリリリリ

唯「覚えてる…、昨日のことは覚えてる」

唯「あ、習慣付けるように毎日メモを見なきゃいけないんだっけ」

唯「ふむふむ」

唯「カレンダーは…っと、これでよし!」



放課後

ガチャ

唯「…おいーっす」

澪「…唯、昨日は、その…すまん」

唯「澪ちゃん…」

澪「もともと言ってたことだもんな。なのについカッとなってしまった、ほんとすまん」

唯「ううん、こっちこそごめんなさい」

澪「唯が謝ることはないんだよ、さぁ、体で覚える為に練習頑張ろう!」

唯「ありがとう、澪ちゃん」


紬律「………」ホッ



日曜日

唯「ふうぅ、疲れちゃったぁ」

紬「日曜日とは言え、詰め込みすぎたかしらね」

律「まぁその分濃い練習ができたな!」

澪「お陰で唯も大分弾けるようになったな!」

唯「えへへ、澪ちゃんの指導が良かったからだよ!」

澪「どこかで聞いたようなセリフだなおい」

唯「そお?」

澪(………嫌な予感がする)




翌朝

ジリリリリリ

唯「ほぁ!?」


唯「ふむふむ」

唯「カレンダーは…よし、準備万端だ!」


放課後

ガラガラ

唯「おいーっす!」

澪「やぁ、唯」

律「おいーっす」

紬「今、お茶入れるわね?」

澪「なぁ、唯。ちょっといいか?」

唯「どうしたの?澪ちゃん」



澪「Cコード押さえてみてくれ」


唯「こうでしょ?」

澪「じゃあミュートは?昨日何度も教えたはずだよな?」

律「おい、澪?」

唯「あれ?」

澪「どうしたんだよ、昨日あれだけやったじゃないか」

澪「昨日は普通にできてたじゃないか!なぁ唯!!!」

唯「…ひっ」ビクッ

澪「なんでできないんだ?」

唯「…それは」

澪「答えろよ!!!」

唯「………覚えてないから」


紬「どういうこと?コードは押さえれたじゃない」

澪「なんてことはない、ただ体で覚えただけだよ」

律「そんな、じゃあ」

澪「そういうことなんじゃないのか?」

唯「…え?え?」オロオロ

澪「なぁ、みんな!もうすぐ夏休みだし合宿しないか?」

律「なんだよ、急に」

紬「どうしたの?澪ちゃん」

澪「唯にもちゃんと体で覚えてもらわないといけないしな」

唯「…うん」

澪「そうだな、日程は…土日月曜日なんてどうだ?」



平沢家

唯「今度ね、みんなで合宿やる予定なんだ」

憂「え?いつ?」ガタッ

唯「まだ決まってないんだけど、土日月曜日にやるらしいよ」

憂「だめだよ!」

唯「え?何で?」

憂「何でもだよ!」

唯「それって、私の物覚えが悪いのと関係してるの?」

憂「え?お姉ちゃん?」

唯「いや、ね?澪ちゃんがさ、私がミュート忘れたって言った直後に提案したもんだからさ」

憂「………」

憂「分かった、行ってきなよ」

唯「うん、最初からそのつもりだよ」

唯「………」

憂「………」


そして夏休みの合宿 土曜日


平沢家

憂「…もしもし」

和「あら、憂ちゃん珍しいわね、どうかしたの?」

憂「お姉ちゃんが今日から三日間、軽音部の合宿に行っちゃった」

和「…そんな!どうして?引き留めなかったの?唯にばれるかもしれないわよ!?」

憂「止めたよ、でもお姉ちゃん、私が止めたのを自分の記憶力のせいなのか?って聞いてきたの」

憂「あのまま引き留めても絶対にばれてた」

和「そう…ね、なら、いっそのこと軽音部のみんなには言っておいたほうが良かったのかもね」

憂「………」



合宿二日目 日曜日

澪「お、大分弾けるようになったじゃないか!」

唯「まぁ強化合宿だしね!上手くなってないと困るんだけどね」

澪「明日には…、綺麗さっぱり忘れてたりしてな」

唯「ちょっとぉ、それ酷くない?」

澪「あぁ、すまない」

澪「………」

澪「やっぱり今日で解散にしよう!」

唯「え?」

律「なんなんだよ、お前ちょっとおかしくなっちまったのか?」

紬「そうよ、澪ちゃんが提案したのよ?」
澪「どうしても、今夜をここで明かすことはできない」

律「だーーっ、もう、くそっ!理由ぐらい話せよ」

澪「それを知りたくないからここを早く出なくちゃいけないんだ」

律「………わかったよ、ったく」



バスの中

律「………」イライラ

澪「………」そわそわ

唯「………」ウトウト

唯「…………」ウトウト

唯「ぐー、すかぁー、ぐー、すかぁー」

紬(もう夜中の一時か…、日付変わっちゃったな)


澪「ん?着いたか」

紬「えぇ着きましたよ」

律「ん?唯の奴、寝てやがる。」

澪「え?」

唯「ぐおぉぉぉ、ぐおぉぉぉ」

律「おーい、着いたぞ!唯!」


澪「起こしちゃだめだ!!!」

律「なんだよ、でかい声だして」

唯「ほあああ!?」

澪「しまった…」

律「おーい、もう着いたぞ」

澪「………」

唯「……誰?」

律「おいおい、冗談はよせよ」

唯「…えぇとメモは…っと」

澪「唯、メモってなんだ?」ドクン

唯「え?唯って私のこと?」

澪「…あぁそうだ」ドクンドクン

唯「起きた後はね、必ずメモ見なきゃ駄目なんだ!っていうよりもう習慣だね…、あったメモ!」


唯「あ、なぁんだ!皆は軽音部の人達かぁ」

律「は?」

唯「えーと、あなたがりっちゃんだよね?」

唯「そんで、あなたが澪ちゃん、あなたがムギちゃんだ!」

紬「え?どういう…」

澪「…やっぱり」

澪「ちょっとそのメモ見せてくれ」バサッ

唯「あ、もう…、まだ見てる途中なのに」

澪「記憶のことは書いてないな」

律「どういうことだよ、澪」

澪「唯は多分、日曜日が終わると記憶が無くなるんだ…」


唯「え?何それ」

律「訳分かんないぞ」

紬「…そっか、記憶は無くなっても体に染み付いたことなら」

澪「そういうことだ」

唯「ねぇ、それどういうこと?」

澪「唯、昨日のことは覚えてるか?」

唯「あれ?忘れちゃった」

澪「わかったか律、こういうことだよ」

律「…そんな」


3
最終更新:2010年01月10日 01:10