Episode.11
《ヒウンストリート》
ウィーン
アーティ「う~ん…」ポリポリ
アーティ「手がかりはなし、か…」
「キバキバー!!」タタタッ
アーティ「!? 君はアイリスちゃんのキバゴ!!」
キバゴ「キバー!!」キキッ
アーティ「どうしたんだい!? 君が一匹でいるということは…」
アーティ「いや、待て…。アイリスちゃんが助けたのか…? キバゴが分かるのはアイリスちゃんだけ……」
キバゴ「キバキバ!!」グイグイッ!
アーティ「…! まさか、アイリスちゃんに何かあったのかい!?」
キバゴ「キバキバ!」コクッ
アーティ「大変だ…! アイリスちゃんはどこに…、いや……。
まずは唯くんと合流しよう!」タッ!
………
……
…
《カフェ いこいのしらべ》
唯「あ~…幸せ~♪」
カランカラン♪
唯「ん?」
アーティ「…やっぱりここだったね、唯くん」
アーティ「……」
唯「ぁぁぁぁあああああ!!!!」
アーティ「まあ話は後だよ。とりあえず来てくれ」
…………
………
……
…
キバゴ「キバー!」
アーティ「ここかい?」
唯(まだ状況把握できてない…)
アーティ「すみませーん!」
シーン……
アーティ「…しょうがないなあ。悪いけど、入るよ!」
ウィーン
唯アーティ「!?」
キバゴ「キバー!?」
律アイリス「」ガクッ
唯「りっちゃん!!」 アーティ「アイリスちゃん!!」
律「うっ…、唯……か?」
唯「りっちゃあん!」
アイリス「うう…、アーティさん……」
アーティ「アイリスちゃん!」
律「う…」ヨロッ…
アイリス「ここはどこ…?」
唯「りっちゃん達はここで倒れていたの!」
アーティ「…まずいな。嫌な予感がするよ」
ウィーン…
律「! エレベータが…」
アーティ「誰かが降りてくる…!」
ウィーン
「もうお目覚めになりましたか…。それに皆さんお揃いで」
唯「あなたは…!」
律「ゲーチス!!」
ゲーチス「どうも」
アーティ「あなたがゲーチスか…!」
ゲーチス「いかにも。ワタクシがゲーチス。プラズマ団のゲーチスです」
アイリス「許さない! よくも私のキバゴを!!」
ゲーチス「勘違いしないでくださいよ。あなたのキバゴを盗むように言ったのはワタクシじゃありませんし、彼らはあなたのキバゴを“解放”しようとしただけなんです」
律「解放、解放って……お前達はポケモンのことをちゃんと思ってるのか!?
ポケモンの気持ちを尊重する気はないのかよ!! 少なくともキバゴは…アイリスと離れて悲しそうだった!!」
ゲーチス「…それを差し引いても、ポケモンを解放するのは必要なことなんですよ」
律「なに?!」
ゲーチス「ワタクシは、ただ完全で“理想”的な世界のポケモン、“真実”の世界のポケモンをみてみたいのですよ」
ゲーチス「あなた方トレーナーにも分かりますよね?
強さという“理想”…」
律「……」
ゲーチス「トレーナーとしてポケモンと向き合う“真実”…」
唯「……」
ゲーチス「まあワタクシは前者も後者も理解しかねますがね」
アーティ「……」
ゲーチス「おや? これはこれはジムリーダーのアーティさん。やはりジムの近くにアジトを置くのは面白いですが、危険でしたねえ」
アーティ「…プラズマ団って人が持っているものが欲しくなると盗っちゃったり、人を襲っちゃう人達?」
ゲーチス「……さて、あなたがた…イッシュ建国の伝説はご存知ですか?
多くの民が争っていた世界をどうしたらまとめられるか……?」
ゲーチス「その“理想”を追究した英雄のもとに現れ知識を授け、刃向かう存在には牙を剥いた……黒いドラゴンポケモン。英雄とポケモンのその姿、その力がみんなの心を一つにして、イッシュを造りあげたのです。
今一度! 英雄とポケモンをこのイッシュに蘇らせ、人心を掌握すれば! いともたやすくワタクシの……いや、プラズマ団の望む世界にできるのです!」
唯律「英雄…?」
アイリス「ドラゴンポケモン…」
アーティ「…このヒウンにはたっくさんの人がいるよ。
それぞれの考え方、ライフスタイル、ほんっとバラバラ。正直なにを言ってるか分からないこともあるんだよねえ」
ゲーチス「……はて?」
アーティ「だけどみんなに共通点があってね。
……ポケモンを大事にしているよ。
初めて出会う人ともポケモンを通じて会話する。勝負をしたり交換したりね」
アーティ「カラクサの演説だっけ?
ポケモンとの付き合い方を見つめ直すきっかけをくれて感謝しているんだよ。そして誓ったね……!
もっともっとポケモンと真剣に向き合おうってね!!」
律「アーティさん…」
アーティ「あなたたちのやっていることはこのようにポケモンと人の結び付きを強めるんじゃないの?」
ゲーチス「フハハハ!
つかみどころがないようで、存外キレ者でしたか。
ワタクシは頭のよく、強い人間が大好きでしてね…」
ゲーチス「王のため世界各国から知識人を集め、七賢人を名乗っているほどです」
アーティ「……七賢人って?」
ゲーチス「…そのとおり、ワタクシを含めた七人の知識人の集まりです」
ゲーチス「あなた方にも関係がある人ですねえ…」チラッ
唯「!」
律「私達に…?」
ゲーチス「…これを見れば思い出しますかね。シビビール!」ボム!
シビビール「ビビー!」
ピカアアッ!!!
唯律「!?」
唯「まぶしい…」
律「こ、この光は…!!」
唯「あの謎の光!?」
ゲーチス「そのとおり!
光のショックでワタクシのことをお忘れになっていたようですが、これで思い出してくれました?」
唯律「…!!」
アーティ「ど、どうしたんだい? 二人とも…」
律「てめえ!!」
ゲーチス「ふふふ…」
律「澪とシルバーはどこだ!!? 何か知ってるんだろ!!!」
ゲーチス「さあて…、ワタクシは何も存じませんねえ」ニヤ
律「くそ…!!」
唯「待って、りっちゃん」
律「…! 唯、」
唯「“私達に関係がある人”って…どういうことですか…?」
ゲーチス「……。ふ、どうもこうも…」
ゲーチス「あなた方はワタクシの掌で踊っていたということですよ」
唯律「…?」
ゲーチス「一年前と半年前のロケット団の事件…。すべてワタクシの指示で動いたものです」
唯律「!!」
律「な、なんだって…!?」
ゲーチス「ふふ、まあ半年前についてはワタクシの思惑ではないのですがねえ…」
ゲーチス「…ズバリ言いましょう!
ロケット団の首領“サカキ”。そして、ミュウツーとデオキシスを作った研究者“フジ”は、ワタクシの部下……、七賢人です」
唯律「…!!!」
唯「フ、フジさんと…通りすがりのトレーナーさんが……?」
律「そんな…!」
ゲーチス「ちなみにあなた方は知らないことですが…、ホウエン地方で暗躍していたアクア団総帥“アオギリ”もマグマ団頭領“マツブサ”も…、シンオウ地方を騒がせたギンガ団BOSS“アカギ”も………すべて七賢人……」
ゲーチス「各地方の事件にはすべてワタクシが関わっているのです!」
律「なんて野郎だ…!!」
唯「フジさんはあなたのせいで…!!」
ゲーチス「さあ? あの程度の人心を掌握することなど、ワタクシにはたやすいことです」
律「お前、フジさんを操っていたのか!?」
ゲーチス「そうですとも。まあ最後にはフジも正気に戻ってしまいましたがね…、
自分の命と引き換えに…」ニヤリ
律「てめえッ…!!!」
ゲーチス「ふふ、フジ以外にも、サカキやアオギリ…四人ほど七賢人のメンバーを失ってしまいましてねえ。他三人は裏切りによりですが…」
ゲーチス「しかし、ワタクシは几帳面でね。“七賢人”と名乗るのですから、きっちり七人はいないといけないと思いましてねえ」
アーティ「新しい四人は、誰なんだ…?」
ゲーチス「…いいでしょう。ちょうど今、このビルにいるのですよ。
さあ出てきてください!!
ご紹介しましょう…」
タッ タッ タッ タッ タッ タッ
「いやあ、あの時はどうなることかと思ったな。ゲーチスさまさまだな、あんたもだろう? 任務失敗したんだっけか」
「……ふん」
「おや…先輩方々、いらしたんですか? てっきり四人だけの紹介だと思ってたぜ」
「失礼ですよ。まったく」
「まあまあ皆さん。ワタクシ達の晴れ舞台なんですから、そう頭に血を上らせずに」
「………」
アイリス「ああっ…!」
アーティ「あなた達は!!」
マツブサ「マツブサ!」
アカギ「……アカギ」
ギーマ「ギーマさ」
シキミ「シキミです」
カトレア「…カトレア」
レンブ「………レンブだ」
ゲーチス「彼らが“新・七賢人”です!!」
Episode.11 fin
Episode.12
アイリス「そんな…嘘でしょ…?」
ゲーチス「ふふふ…」
律「どうしたんだ?」
アイリス「あの人達は…」
唯「知ってるの?」
アイリス「ええ…」
アーティ「あの四人…、カトレアとシキミ、ギーマにレンブは……」
アーティ「…イッシュ四天王だ……」
唯律「…!!」
律「な、なんで四天王が…」
ゲーチス「…今日は顔見せだけにしておきましょうか」
ギーマ「? なぜです? 我らの顔を見られて…」
シキミ「別にどうすることもできないでしょう」
カトレア「ですね。下等なトレーナーが何人集まろうと、アタクシ達の前では無意味です」
レンブ「………」
ゲーチス「では、我等はこれで。…ごきげんよう」スッ…
律「待てッッ!!」
モクモク……
律「!?」
唯「けほっけほっ!」
アイリス「煙幕…!?」
アーティ「吸い込んだら危険だ!
外へ出よう!」
………
……
…
ハアハア……
アイリス「“けむりだま”で逃げたのね…」
唯「ビルの中を探します?」
アーティ「いや…、もう中はもぬけの殻だろうね」
律「くそう!」タッ!
アーティ「!」
唯「りっちゃん!?」
アーティ「待つんだ!!」
唯「大変…! 追わないと!」
アイリス「あのバカ…!」
…………
………
……
…
律「どこだ…、ゲーチスウウ!!」タッタッ
アイリス「待、ち、な…」ダッ!
アイリス「さい!!」ガバッ!!
律「!?」
アイリス「まったく…、何いきなり走り出してんのよ」
律「…アイリス」
唯「りっちゃあん!」タタッ
律「唯…、アーティさんも…」
アイリス「後先考えずに走り出すなんて、子供ね。人の迷惑を考えなさいよ」
律「……ねえよ」
アイリス「…え?」
律「わかんねえよ…。気がついたら、走ってた……」
律「澪とシルバーのこと、サカキやフジさんのこと…。色々、あいつが言って……」
律「許せねえよ、あいつ! 今までの…サカキ、サキ、ロケット団……他の誰よりも許せねえ!!」
アイリス「……」
唯「りっちゃん…」
律「私はあいつを追う! 一発ぶん殴ってやんねえと気が済まねえ!!
澪とシルバーのことも聞き出さねえと…!!」
ガシッ!!
律「…!
……アーティさん」
アーティ「…待つんだ」
律「どうして止めるんですか…。
あいつは何か知ってるかもしれないんです! なにより私はあいつを…!!」
アーティ「君が行ってなんになる!!」
律「!!」
アーティ「相手は…僕らジムリーダーを凌ぐ実力者、四天王。それに、それを従える奴だ。
言い方が悪いが、一介のトレーナーの君が行ってなんになるんだ!! なにができる!?
なにしろ危険だ!!」
律「そ、れは…」
アーティ「…………ごめんね。キツイことを言っちゃって…」
律「……」
アーティ「でも、君自身が本当にプラズマ団を倒したいのなら、方法がないわけでもない」
律「! な、なんですか!?」
アーティ「簡単だ。強くなること!」
律「!」
アーティ「君はジムに挑戦しているんだろう? 僕とも戦った。そして勝ったね。
どうだい? ジムに挑む前よりは、ずいぶんと強くなったことだろう。
……ジムをすべて勝ち抜けたら、もっと強くなっているはずだ」
律「……」
律「へへ…、最初からジム制覇は目標だったんだ…」
アーティ「…!」
律「全ジム制覇!! やってやる!!!」
唯「はいはい! 私も強くなりたい!!」
律「じゃあ次は唯が挑戦するか?」
唯「やるー! 制覇協力するよお!!」
律「へっへー、二人で制覇だー!!」
唯「おーっ!」
律「おーっ!!」
唯「お…、ケホケホ!!」
律「おいおい…、大丈夫か?」
唯「大丈…ゲホゲホ!!」
ワイワイ
アーティ「…はは、やっぱり面白い子達だねえ。あの子達はあれでいいよ」
アイリス「なにか不思議な力を感じるわ…、あの子達」
アーティ「……また“勘”かい? アイリスちゃん」
アイリス「うん。“勘”ね」
アーティ「ふふ、そう…」
…………
………
……
…
律「…“シッポウシティ”?」
アーティ「うん。まだジムに行ってないだろう?」
唯「ジムが見つからなかったんだよねえ」
アーティ「あそこのジムは中々見つけられないからねえ」
唯「どこにあるんですか?」
アーティ「博物館の中だよん」
唯律「博物館の中ぁ??」
アーティ「シッポウのジムリーダーは粋な人でねえ。わざわざ博物館の中にジムを建てたんだよ」
律「博物館か…、気づかなかったぜ…」
唯「すごいねえ」
アーティ「ぼかぁ、シッポウジムをスルーしてきちゃった挑戦者にそれを伝えるように言われててね。ま、案の定…ね」
律「図星だ…」
アーティ「とりあえずそういうこと。ジム挑戦ならまず“シッポウシティ”へ行きなよ」
唯律「はい!!」
律「そういやあ、アイリスは?」
アーティ「アイリスちゃんなら自分の街に帰ったよ。またプラズマ団にポケモンを盗まれちゃかなわないからね」
唯「アーティさんはこれからなにを?」
アーティ「ぼかぁジムリーダーだし、挑戦者を相手しないと…。まあジムリーダー達にプラズマ団のことを伝えることは伝えるけどねん」
唯「ほぇ~、大変ですねえ…」
アーティ「まあねえ。
…それじゃあ、もう行くかい?」
律「はい。色々ありがとうございました」
アーティ「いいよいいよ。
…じゃあ、頑張ってね」
律「はいっ!」
最終更新:2011年04月05日 23:00