Episode.15
《シッポウシティ》
唯「戻ってきたねーっ! “シッポウシティ”!!」
律「アーティさんに感謝しないとな」
唯「うん! じゃあ博物館に行こう!」タッ!
律「……」
律(“ヤグルマのもり”…、なんか懐かしい感じがしたけど……)
律「なあ、唯…」クルッ
律「……」
律「あれ? …いねえ」
………
……
…
《シッポウはくぶつかん》
唯「ついたあ!」
唯「ここが博物館かあ…。色んなものがあるねえ、りっちゃん」
唯「……あれ?」
唯「り、りっちゃんがいない!
はぐれちゃった!?」
唯「置いてきちゃったんだ…!
ど、どど…どうしよう…」
「こんにちは。“シッポウはくぶつかん”へようこそ」
唯「ふぇ!?
あ、あなたは?」
キイチ「僕はキイチです。
あなたは唯さんですよね?」
唯「へ? なんで私の名前を…」
キイチ「アーティさんから話を聞いたんですよ。さあ、ジムへ案内しますよ」
唯「あ、えと…でも……」
唯(まありっちゃんも後で来るよね…)
キイチ「さあさあ、こちらです」
唯「あ、はい!」タタッ!
ウィーン
受付「いらっしゃいませー。ようこそ、“シッポウはくぶつかん”へ!」
梓「あ、どうも…」
紬「すごい所ね~。骨や化石がたくさんあるわ~♪」キラキラ
受付「よろしかったら、展示品をご案内しましょうか?」
紬「いいんですか!?」キッ
受付「え! あ…はい…」
紬「やった!」
受付「こちらです」
紬「行こう行こう♪ 梓ちゃん!」
梓「え…? ちょっと…」
梓(復元を先にやりたいんだけど…。まあムギ先輩だし、悪気はないだろうし……。
イッシュのポケモンや歴史を知るいい機会かもしれない…)
受付「まずはこの世界中を飛び回っていたドラゴンポケモンの骨格標本ですが……」
…………
………
……
…
《はくぶつかん・・・シッポウジム》
キイチ「着きましたよ」
唯「へえ~、ジムは図書館の中にあるんですか?」
キイチ「そうですね。でもジムリーダーに会うには…」
唯「あーっ! 絵本がある~♪」タタッ
キイチ「あれれ…」
唯「『はじめましてポケモンちゃん』、これ面白そう~♪」ガシッ
唯「♪」ピラッ
『へえ…、入ってきた手前、すぐにこの本を手にとるとはね……』
唯「!?」
『ずいぶんと運のいい子だね。いや、直感力があるのかい?』
唯「ほ、本が喋ってる…!?」
『馬鹿だね、本が喋るわけないじゃないか』
ガタッ!
唯「今度は本棚が動いて……!!」
ガタアン!!
ツカツカ…
唯「!!」
「ようこそ、シッポウジムへ」
………
……
…
律「唯ー! いるか~!?」
律「いたら返事……。ん? あれは…」
受付「そして最後に、こちらが“こだいのしろ”に埋もれていた古代の丸い石です」
梓「これはなにかすごい石なんですか?
見たところ、ただの石ですけど…」
受付「はい。そのとおり、ただの石でございます」
梓紬「え?」
受付「何の変哲もない、ただ古いだけの石で、ですがとても綺麗なので展示しているんです」
梓「そうなんですか…」
紬「面白いわね~」
受付「これで展示品はすべてご案内いたしました。また何かあったら気軽に言ってください。
ではごゆっくりと」
紬「ありがとうございました~♪」
梓「じゃあ化石の復元をしましょうk…」
律「ムギ~! 梓~!」
梓「…へ?」
紬「りっちゃん!!」
律「ようっ! 久しぶりだな!」
梓「律先輩!」
律「なにしてるんだ?」
梓「私達は化石の復元をしに…」
律「なんだそりゃ?」
梓「科学技術で、太古のポケモンの化石を生き返らせることができるんですよ」
律「すげえな」
紬「りっちゃん、博物館にいたのね~」
律「まあ今さっき来たんだけどな」
梓「律先輩が博物館って、全然似合いませんねっ」クスッ
律「なんだってぇ?」ズイッ
梓「にゃああああ!!!」
………
……
…
《シッポウジム》
唯「すごい! 本棚が動いて、階段が!!」
「驚いたかい? この仕掛けは私が考えたのさ。
博物館の中にジムを置いたのも私…」
唯「っていうことは…!!」
アロエ「そう、私はアロエ!
シッポウジムジムリーダー、アロエさ!!」
唯「あなたが…!」
キイチ「アロエさんはこの博物館の館長でもあるんですよ」
唯「すごーい!」
キイチ「それと…僕の自慢の、強くて優しい妻でもあります」
唯「ええ! 夫婦なんですか!?」
アロエ「挑戦者が来る度に、いちいちそんなプライベートなこと報告しなくていいんだよ、キイチ」
キイチ「はは、すみません」
アロエ「さあ下りてきな、挑戦者。
私が相手をするよ」
唯「…はい!」
………
……
…
唯「ここでバトルを?」
アロエ「ああ。私の書斎でもあるけど、まあ競技場もあるからね」
唯「よおーっし! やっるぞー!!」
アロエ「ふふ、アーティを敗った実力…見せてもらおうか!!」
唯「…?」
アロエ「…どうかしたかい?」
唯「えと…私、アーティさんと戦ってないです」
アロエ「!」
唯「アーティさんに勝ったのは私と一緒に旅をしている子で…」
アロエ「……」ジロッ
アロエ「まあ確かに。あんた、バトルに向いてる感じじゃないね」
唯「ええっ!」ガーン!
アロエ「……。あんた、手持ちを見せてみな」
唯「ええと…」
唯「えいっ」ボム!
チー太「チー!」
アロエ「……」
アロエ(レベルはあまり高くないか…)
アロエ「んー…まあいいか。せっかく来てくれたんだ、ジム戦を受けよう。あんたのバトルも見てみたいしね」
唯「はい!」
キイチ「では、ジムリーダーのアロエと、挑戦者の唯さんのバトルを行います!
使用ポケモンは二体です!
では……、始め!!」
アロエ「ハーデリア! いきな!!」ボム!
ハーデリア「ワン!」
唯「…ああっ!!」
アロエ「…!?」
唯「かっわいい~!!」スリスリ
ハーデリア「ワン!?」
アロエキイチ「」ガクッ
唯「ふくふく~♪」スリスリ
アロエ「おいおい、バトルの最中だろ?」
唯「はっ! そうでした!」
アロエ「まったく…」
唯「まずは…」ピッ
ポケモン図鑑『ハーデリア、ちゅうけんポケモン
ヨーテリーの進化系。マントのように からだを おおう くろい たいもうは とても かたい。 うけた ダメージを へらしてくれる。』
唯「いけえ! ムー太!」ボム!
ムー太「ムウウ!」
アロエ「ムンナかい。
…どこからでもかかってきな」
唯「じゃあ遠慮なく! ムー太、“サイコウェーブ”!!」
ムー太「ムウウ!!」ヴオオン!
ハーデリア「」ピクッ
アロエ「フフ、ハーデリア! “シャドーボール”!!」
ハーデリア「ウオオン!!」ビュワッ!!
パアアアン!!!
ムー太「…!!」
唯「“サイコウェーブ”の軌道を的確に…!」
アロエ「ハーデリアの顔の毛はレーダーなのさ!
どんな攻撃も、軌道を読めさえすれば弾き返せる!!」
唯「レーダー…!」
アロエ「フフ、怖じけづいたかい?」
唯「ううん! 全っ然!!」
アロエ「!? ハーデリアがいない!?」
ハーデリア「ワオオン!?」フワフワ
アロエ「…! 空中に?!」
唯「ムー太の“テレキネシス”だよ!」
アロエ「ムンナの念力で浮いているのか!」
唯「そう! でもハーデリアはあの状態で、自由に動けないよね?」
アロエ「…まさか!」
唯「レーダーも意味ないよ!
今度こそ、“サイコウェーブ”!!」
ムー太「ムウウ!!」ヴオオン!!
ハーデリア「」ドサッ
アロエ「…!!」
キイチ「ハ、ハーデリア戦闘不能です!」
唯「やった!」
アロエ「へえ…、なかなかやるじゃないかい」
アロエ「戻りな、ハーデリア!」シュウウッ
唯「!」
アロエ「ミルホッグ! 頼んだよ!!」ボム!
ミルホッグ「ミール!!」
唯「む!」ピッ
ポケモン図鑑「ミルホッグ、けいかいポケモン
ほっぺの ふくろに ためた きのみの タネを とばして こうげき。 てきを はっけんすると しっぽを たてる。』
唯「強そうだね…」
ミルホッグ「ミルゥー!!」
唯「よし、また“テレキネシス”で…」
アロエ「そう何度も同じ手に引っ掛かるかい!
ミルホッグ、“みきり”!」
ミルホッグ「ミル!」キッ
ムー太「ムウウ!?」
ミルホッグ「…ミル!!」スタッ!
ムー太「ムウウ…!」グラッ…
唯「え…!?」
アロエ「“いかりのまえば”…、体力を根こそぎ奪ってやったさ!」
ミルホッグ「」ニヤ
アロエ「今度は戦闘不能にしてやる! “ひっさつまえば”だ!!」
ミルホッグ「ミル!」ダッ!
唯「ムー太!!」
ミルホッグ「」ガキイイッ!!!
ムー太「ムウウ…」バタッ
キイチ「ムンナ戦闘不能です!!」
唯「ああ…」
アロエ「フフフ、こいつは一筋縄ではいかないよ」
唯「ごめんね、ムー太。休んでて…」シュウウッ
唯「チー太、お願いっ!」ボム!
チー太「チー!」
アロエ「そのチラーミィに、私のミルホッグに対抗できるほどの力があるかな?」
ミルホッグ「ミル!!」ダッ!
唯「“スイープビンタ”!」
チー太「チー!」シュッ!
ミルホッグ「…!」
アロエ「受け止めなァ!!」
ガキイイッ!!!!!
ミルホッグ「ミル…!」ガシッ…
チー太「チー…!」ガチッ…
アロエ「ふうん…、やるねえ」
唯「“くすぐる”!!」
チー太「チー!!」スッ!
アロエ「おっとお! “みきり”だ!!」
ミルホッグ「ミル!」キッ
チー太「!!」
アロエ「パワーで押し切って駄目なら、戦い方を変えてみようか!」
唯「なにを…?」
アロエ「“シャドーボール”!!」
ミルホッグ「ミール!!」ビュワッ!!
キイチ「いっ!? その方向は…!!」
パリイイン!!!
唯「なんの音!?」
フッ…
唯「!? 真っ暗に…!」
キイチ「ちょっとお! アロエさん!!
ここを照らしていた蝋燭の火を消してしまって!!」
アロエ「ハッハッハ! まあ気にするな、キイチ!」
キイチ「気にしますよ!」
唯「なにも見えない…」
アロエ「フフ、そうさね。私もなにも見えないさ」
唯「じゃあどうしてこんな…」
アロエ「フフ…」
バシイイン!!!
チー太「チー!?」
唯「! チー太!?」
アロエ「…確かに私達はこの闇の中では視界が奪われるだろう。
…私達は、ね」
ミルホッグ「ミール!!」カッ!
唯「!」
アロエ「ミルホッグ、“ひっさつまえば”!」
ミルホッグ「ミル!!」ダッ!
ガキイイッ!!
チー太「!?」
アロエ「ミルホッグはね、“暗闇でも周りを見通す目”を持っているんだ!
もうあんたに勝機はないよ!!」
アロエ「ミルホッグだけがこの暗闇の中を自由に動けるのさ!」
唯「……!」ジリッ
アロエ「降参するかい? 挑戦者」
唯「…降参なんてしないよ!
ここで降参なんてしたら、ムー太とチー太の頑張りが無駄になっちゃうもん!!
私はトレーナー! ポケモンを裏切りたくない!!」
アロエ「そいつは立派だねえ。でも…どうするんだい?」
唯(うう…なにも見えない…。ううん、そんなことチー太も一緒だよ! チー太が不安になってる…、私がしっかりしなくちゃ!)
唯(だけど、どうすれば…)
キラッ
唯「!」カチャ
唯(チー太の“フレンドボール”…。微かだけど光ってる……。こんなに磨いてたっけ?)
フサッ…
唯(! この毛は…)
唯「…」カチャ…
唯(それと…りっちゃんのジムバッジ……)
アロエ「どうした? 黙りこくって。
諦めな、この状況を打破する方法なんてないよ!」
唯「…思い付いたかも」
アロエ「! なに…!?」
唯「チー太、“くすぐる”!!」
チー太「…!」ダッ!
アロエ「ミルホッグ、一応気をつけな!」
チー太「」シュッシュッ
フキフキ…
アロエ「!? なにをしてる…?」
唯「私もさっき気付いたんだけど、チラーミィってみんな“きれい好き”みたいなんだよね」
アロエ「……?」
唯「あと、ジムバッジって汚れたりするとちゃんと拭かなきゃダメみたい」
唯「そして、綺麗に拭いたら…」
キラッ!
唯「いつも以上にピカピカになる!!」
ピカアアッ!!!
ミルホッグ「ミル!?」
アロエ「バッジの光で“フラッシュ”だって…!?」
ミルホッグ「ミル…」
アロエ「ミルホッグの自慢の目も、今は効かないじゃないか…。ミルホッグ、大丈……」
チー太「…」タッ!
アロエ「…!!」
唯「今だよ! “スピードスター”!!」
チー太「チー!!」
カカッ!!
ミルホッグ「ミルゥ!?」
ドガアン!!!
アロエ「ミルホッグ!!」
ミルホッグ「」バタッ
キイチ「ミルホッグ戦闘不能、よって勝者は…
平沢唯さん!!」
唯「勝ったあ!!」
最終更新:2011年04月05日 23:05