Episode.18
《ブラックシティ》
唯「最強のトレーナー?」
トレーナー「そう! ランクルスってポケモンを使うこと以外、全て謎の最強トレーナー!!」
トレーナー「…なにか思うことはないのか?」
唯「ふぇ?」
トレーナー「はぁ…。お前もトレーナーなら、バトルをしたいとか思わないのか?」
唯「うう~ん…」
トレーナー「実はそのランクルス使いに挑むには条件があってな。
街中には俺みたいなトレーナーがうじゃうじゃいる。そのトレーナー達を10人倒す。それが条件だ」
唯「大変だね~」
トレーナー「……。まったく興味ないんだな」
唯「えへへ…」
トレーナー「…10人倒せば、ケーキ一年分もプレゼントらしいぞ(嘘だけどな)」
唯「」ピューッ!!
トレーナー「あれ…?」
………
……
…
カトレア「ふう…。あの子、大丈夫かしら?」
カトレア「まあこれくらいやってもらわないと困るけど。
……さて、」
律「うーん……」
カトレア「この子にも頑張ってもらわないとね」
コンコン!
カトレア「! はい」
ガチャッ
「こんにちは、カトレアさん」
カトレア「あら、こんにちは。
こちらでは最強のトレーナーと称えられているようですね。元四天王なら当然のことですけど」
「ええ。ここはいいですね。
欲望が飛び交う街…、この荒涼とした中でのバトルはとても手厳しい…。修行に相応しい場所ですね」
カトレア「…なるほど。あなたの性格にはピッタリの街かもしれませんね、ゴヨウさん」
ゴヨウ「ふふ、そんな人聞きの悪い…。確かに一度は悪に手を染めましたけどね。だからこんな所でバトル修行に明け暮れている…。
まあこれくらいで罪が償えるはずもありませんがね」
カトレア「……」
ゴヨウ「それにしても…、私が言うのも可笑しいですが…ここにはろくなトレーナーがいませんね。みながみな、自分のことのみを考えている…」
カトレア「…ですね。しかし、あなたは次の挑戦者を心待ちにしている…」
ゴヨウ「…ふ。
不思議ですね、彼女は…。こんな環境でもバトルを楽しんでいます。
彼女なら、すぐにここにやって来ます。トレーナーすべてを倒して…」
バアアン!!
唯「たのもー!!」
カトレア「!」
ゴヨウ「噂をすれば…、ですね」タッ
唯「やっと勝てたよう。ありがとうね、チー太。ムー太」
チー太「チー!」 ムー太「ムウ!」
唯「聞いた話だと、ここに最後のトレーナーが…」
ツカツカ…
唯「!」
ゴヨウ「どうも、私が“ブラックシティ”最強のトレーナー…ゴヨウです」
唯「あなたが…!
あなたを倒せば、ケーキがいっぱい貰えるんですね!!」フンスッ
ゴヨウ「は? そのような決まりはありませんが…」
唯「……え?」
ゴヨウ「……」
唯「……」
唯(だ、騙された…!)ガーン
ゴヨウ「まあ…どのような経緯であろうと、あなたは私と戦う資格を得た!!
ランクルス!!」ボム!
ランクルス「クルース!!」
唯「あのポケモンがランクルス!」ピッ
ポケモン図鑑『ランクルス、ぞうふくポケモン
ランクルス どうしが あくしゅすると のうみそが ネットワークで つながり サイコパワーが ぞうふくされるのだ。』
ゴヨウ「ランクルス、“サイコキネシス”!!」
ランクルス「クルース!!」ヴオオン!!!
チー太「チー!?」
唯「チー太!!」
チー太「」バタッ
ゴヨウ「ふふ、レベルの差が圧倒的すぎましたか」
ランクルス「クルース!」
唯「チー太、戻って!」シュウウッ
唯「…頑張って! ムー太!」
ムー太「ムウウ!」
ゴヨウ「ふふ、ムンナですか。そんなポケモンでは私のランクルスには勝てませんよ!!
ランクルス、“シャドーボール”!!」
ランクルス「クルース!!」
唯「ムー太!」
ムー太「ムウウ!!」キイイン…
ランクルス「」ビュオッ
パアアン!!
ムー太「ムウウ!?」
ゴヨウ「ふふ…、攻撃をしようとしたようですけど不発だったみたいですね」
唯「…ムー太…!」
ムー太「ムウウ…!!」キイイン!
ゴヨウ「そんなもの、何度やっても無駄です!!
ランクルス、“シャドーボール”!!」
ランクルス「クルース!!」ビュオッ!!
ムー太「ムウウ…!」キイイン…!!
ドガアアアアアン!!!!
ゴヨウ「ふ…、勝負ありですね」
唯「……」
ランクルス・ムー太「」ガクッ
ゴヨウ「…なっ!?」
ゴヨウ「ランクルスとムンナ、どちらも倒れている!? な、なぜ…」
唯「“シンクロノイズ”だよ!」
ゴヨウ「! 自分と同じタイプにしか効かない技の…?」
唯「うん。ランクルスって、身体は周りの液体に守られているけど、じゃあ内部に攻撃を加えたらどうなるのかな? って思ったの」
唯「それであなたに聞こえないように“シンクロノイズ”で少しずつダメージを与えていったんだけど…」
ゴヨウ「あれは不発ではなかったんですか…」
唯「私の勘が当たってたみたい」
ゴヨウ「“シンクロノイズ”により内部が攻撃され、内部から液体の細胞が破壊され、そして暴発した…ということですね?」
唯「うん。…でもムー太もやられちゃったけどねえ」
ゴヨウ「いえ、私のランクルスと相打つとは…。
…あなたの名は?」
ゴヨウ「平沢唯…?」
ゴヨウ「!!
まさか…あなたが、和さんの言っていた平沢唯さん!?」
唯「え? 和ちゃん?」
ゴヨウ「…私は和さんの師です」
唯「ええ~! 和ちゃんの!?」
ゴヨウ(まあそう胸を張っては言えませんけどね…)
ゴヨウ「…しかし、」
ゴヨウ(なるほど…。和さんも平沢唯さんには一目置いていた。
カトレアさんの目は確かだったようですね)
唯「ムー太~、ありがとねえ」ヨシヨシ
ムー太「ムウウ…♪」
ゴヨウ「…唯さん、ついてきてください。あなたのお友達もこの奥にいます」
唯「ふぇ? りっちゃんのこと?」
………
……
…
律「ん…」ムクッ
カトレア「あら、お目覚めになられたようですね」
律「お前は…! カトレア!!」カチャ
カトレア「うふふ、だから待ってください。
アタクシはあなたの敵ではない」
律「…そんなの信じられるかよ」
カトレア「アタクシはね、あなたたちに用があるんですよ」
律「…たち?」
唯「りっちゃあん!」ダダッ
律「唯…!」
唯「やっと見つけたよおっ!」
ゴヨウ「……」スタスタ
律「…お前達、なにが狙いだ…?」
カトレア「…アタクシ、あなた方に興味を持ちましたの。特に…あなた!」ビシッ
唯「ふぇ?」
カトレア「…のムンナです」
唯「ム、ムー太に…?」
ムー太「ムウウ?」
カトレア「まああなたにもですが…。
先程会った金色の髪の毛のお嬢さん…」
律「…ムギのことか?」
カトレア「おそらくそのお方。あの子の言っていたことは本当です。
“ゆめのあとち”でプラズマ団からあの子を守ったのはアタクシ、とアタクシのムシャーナです」
ムシャーナ「ムゥー」
律「あんた…プラズマ団なんだろ?」
カトレア「アタクシはプラズマ団を調べるため、スパイとしてプラズマ団に属しているだけですわ。
あまり四天王を見くびらないでくださる?」
唯「じゃあ他の四天王さんたちもスパイなの?」
カトレア「いえ、彼らはゲーチスに本心から従っています」
律「どっちなんだよ…」
カトレア「まあレンブさんは分かりませんが…」ボソッ
唯律「?」
カトレア「そんな話はいいです!
問題は……、ムンナがあなたにすぐに懐いたということです!!」
唯「え、ええ?」
カトレア「そのムンナはプラズマ団に暴力を振るわれた!
本来ならそれを理由で人間を恨み、恐がり、トラウマになっているはずです!!
しかし…、ムンナは人間であるあなたにいともたやすく懐いた!! これは何故ですか!?」
唯律「……」
律「私はその場にいなかったからわかんないけど…、唯がムンナを体を張って助けたからなんじゃないのか?」
カトレア「…そんなことを言ったら、他にもムンナを助けた人がいたでしょう」
唯「あずにゃんとムギちゃん…?」
カトレア「ええ。その人たちを差し置いて…です」
唯律「うーん…」
ゴヨウ「カトレアさん、お気持ちはよく分かりますが…今は少し抑えましょう」
カトレア「! ゴヨウさん…」
ゴヨウ「今はするべきことがあるのでしょう?」
カトレア「…そうでしたね」
律「おい、全然話が…」
ゴヨウ「ポケモン図鑑を開いてください」
律「は?」
ゴヨウ「その方が話しやすいでしょう」
律「……ったく、なんだよ」ピッ
ポケモン図鑑『ムシャーナ、ゆめうつつポケモン
ムンナの進化系。たべた ゆめを じったいか させる。 おでこから もれる けむりが ゆめに でてきた ものに すがたを かえる。』
ゴヨウ「図鑑の通り、ムシャーナは“ゆめうつつポケモン”。そしてムンナは“ゆめくいポケモン”です」
唯「ゆめうつつ、ゆめくい…」
ゴヨウ「そう、キーワードは『ゆめ』!!」
唯「ゆめ…」
カトレア「ムンナとムシャーナは“ゆめのけむり”というものを出すことができるんです」
律「前にも聞いたことがあるけど…、なんなんだ? その“ゆめのけむり”って」
カトレア「『ゆめ』へ連れて行ってくれるんです。ムンナとムシャーナは…。
“ゆめのけむり”はそれに必要な材料です」
律「…その『ゆめ』と私たちになんの関係があるんだよ?」
ゴヨウ「ありますよ。唯さんのムンナに“ゆめのけむり”を出してもらい、そして律さん…」
カトレア「あなたに『ゆめのせかい』へ行ってもらいます」
律「は、はあ!?」
唯「『ゆめのせかい』!?」
ゴヨウ「そうです。ムンナとムシャーナが導く『ゆめのせかい』へ行ってもらいたいのです!」
律「な、なんで私が…」
唯「それに、私たちじゃないといけないのかな…?」
ゴヨウ「はい。“ゆめのけむり”を出すには、心から親しみ合うムンナとそのトレーナーである実力者。
そして…、『ゆめのせかい』へ行くには心から信頼し合う二人のトレーナーが必要なのです。
それが絶対条件です」
唯律「……」
律「でも…」
カトレア「おね…がいです…」
唯律「…!」
カトレア「『ゆめのせかい』へ行って…ある人を助けてほしいのです……」
唯「ある人…?」
カトレア「はい…、とても大事な人なのです……」
ゴヨウ「……」
カトレア「でないと…、アタクシは……!!
ううっ……」
唯「…りっちゃん」
律「……はあ、しょうがないな」
律「行ってきてやる! 私にできることならさ!」
カトレア「…!」
律「あんたを信用したわけじゃないけど、でもこんなに泣かれちゃあな!」
カトレア「ありがとうございます…!!」
ゴヨウ「ふふ…、では始めましょうか」
カトレア唯「」コクッ
ムシャーナ「ムゥー…!!」
ムー太「ムウウ…!!」
モクモク……
律「…どうすればいいんだ?」
ゴヨウ「二つの煙のちょうど真ん中に飛び込んでください。そうすれば行けます…」
律「」タッ!
ゴヨウ「…『ゆめのせかい』へ…!!」
Episode.18 fin
最終更新:2011年04月05日 23:09