翌日 アシスタント・律


紬「次の方ー☆」

律「あの人はアリなのかねぇ…?」コンッ…

律「んん??」
律(……おいおい、壁に耳当てれば結構聞こえるじゃんよ……)


ガラッ

さわ子「あのー、私も良いでしょうか?」

紬「(この声は……)えーと、本日はいかがいたしましたか?」

さわ子「最近、私の中のキャラクターが合ってないといいますか…その…」

紬「と申しますと?」

さわ子「私は!もっとおしとやかでいたいんです、でも、周りの環境がそれを許さないと言うか…」

さわ子「おかげで彼氏にはフラれるし…クラスの問題児は進路も真面目に決めてくれないし…うううっ…」

律(生徒に何愚痴ってんだよあの人…飲み屋のオヤジかっ!)

紬「やまな…コホン、あなたは無理に自分を貫こうと焦っているんですね~…」

紬「もっと、周りを信じてみましょう、そうすれば…きっと、道は開かれますわ…☆」

紬「たとえあなたがどう変わろうとも…それがあなたなのですよ」

紬「むしろ、そうやって壁を作ってばかりいると…誰も本当のあなたに気付けないかも…それは少し寂しいと思いませんか?」


さわ子「………確かにそうかも…私、無理に自分を曲げてたような気が……」


紬「いいじゃないですか、無理に型にはまらなくても…もっとあなたらしいあなたをさらけ出して、それを受け入れてくれる周りを信じてみましょう…☆」

紬「自分を愛せなければ人だって愛せません、そうでしょう?」


さわ子「あ…ありがとぅございます、シスターぁぁ~~」

紬「いえいえ…では、何かあれば、またここにおいでください。」

さわ子「はい、ありがとうございます!」

律「さわちゃん…仕事疲れてんのかな……」

紬「りっちゃーん、次の方を…」

律「あーい、ええと…次の方ー?って、純ちゃん?」


ガラッ

純「失礼します…」

紬「はい、どうもこんにちは、今日はどんなお悩みを?」

純「シスターは…存在感についてどうお考えですか?」

紬「…はい?」

純「私…その……あまりキャラが立ってないって言うか…髪もアフロだし…てか箒って言われるし…その…………」

純「とにかく!私もっと目立ちたいんです!!mopとかmobとか言われるのもう嫌なんです!」

紬「……あなたの悩みはわかりました…」

紬「あなたには…自分が思ってる以上に輝けるものがあると思いますよ?」

純「と言いますと…?」

紬「あなたはそう、いわばダイヤの原石…磨けば光る事もきっとあると思います」

紬「まずは、19日を待ちましょう…」

純「19日…?」

紬「ええ、その日、あなたの認知度はますます大きくなると思います。」

紬「その時こそ、大いに名乗りましょう、ジョース○ー家の血族、ジ○ジ○の名を…」

純(もしかして…あのジャケ絵の事…?)

純「……はい、よくわからないけど、元気が出てきました!ありがとうございます!」

紬「いえいえ……では、頑張ってくださいねー☆」

紬(憂ちゃんと和ちゃん相手にどこまで伸ばせれるか…頑張ってね~)


律「今日はこんなもんか…しっかし、みんなけっこう悩んでるのな…」



同日 放課後部室


ガヤガヤ…ガヤガヤ……

律「うーっす……って、何このにぎやかさ?」

梓「あ、律先輩、澪先輩のベース講座の見物生ですよ」

唯「ほとんどの人がファンクラブの隊員みたいだけどね~」

紬「みんなー?お茶とお菓子運ぶの手伝って~~」


澪「えと…ここのコードは…人差し指と中指を使って……」ドキドキ…


ジー…

「秋山先輩かっこいい~~☆」

「憧れるよねぇ~☆」

澪(……………………は…恥ずかしい~~!!)

澪(あの子にいつでも待ってるとは言ったけど…こんなに大勢なんて聞いてないぞ~~~!!)

律「うふふ、澪ちゃんはモテますのね~☆」

純「ふむふむ…あー、そうやって弾けばいいのか…メモメモっと…」
梓(純…あんた何ちゃっかり参加してんの~!!)


1年「あの…平沢先輩…」

唯「…あ、はい?」

1年「私に…その、ギター教えてください!」

1年「新歓ライブ見て感動しました!私達!平沢先輩みたいなギタリストになりたいんです!」

唯「いやぁ~…照れるなぁ~~/////」

唯「じゃあ教えちゃおう!そのかわり、私の授業はちょっと厳しいからねぇ~?」

梓「また適当な事言って…唯先輩!私も手伝いますから!」

1年A「琴吹先輩!あの…今度私ピアノのコンクールに出るんですけど!」
1年B「ママから聞きました!桜高の琴吹先輩って人が、ピアノでいくつも賞を貰ってるすごい人だって!」

紬「あらあら、もしかして、私にピアノを教わりたいのかしら?」

1年「「はい!!☆」」

紬「いいわよ、でしたら音楽室に移りましょうか?」



律「………………」

律「なーんで私んとこだけ……」

律「ええい!この中にドラマー志望はいないのかぁ~~~~!!!」


ガチャッ

さわ子「あらあらどーしたの?今日はずいぶん大賑わいじゃない」

唯「さわちゃん!こっち来て~!みんなー!この人が昔軽音部の、デスデビルのヴォーカルだった山中さわちゃん先生だよー!」

さわ子「ちょっ!何勝手に人の黒歴史暴露してっ…!」ダッ…


「きゃー!さわ子先生すてき~~!!かっこいい~~~☆」


紬(先生……っ!)

さわ子(…………………)
さわ子(『もっとあなたらしいあなたをさらけ出して、それを受け入れてくれる周りを信じてみましょう…』ね…)



さわ子「………ッチィ、しゃーねーな………」

唯「おおお!さわちゃん覚醒??」

さわ子「おめーらぁ!ここに来た以上タダで帰れると思うなよぉーーーー!!!!」


「きゃーーー!!ステキ~~~~☆」


紬「先生……かっこいいわぁ☆」



数時間後


「平沢先輩!中野先輩!ありがとうございましたー☆」

「澪先輩!今度お弁当作ってきますので…食べてください!」

「さわ子先生!今度現役時代のビデオ見せてください!」



澪「つ…疲れた」

唯「でも、楽しかったね~☆」

梓「今までで一番部活やってる感じがしましたよね…」

紬「そうね~…はい、お茶が入りましたよ~」
律「ありがと……ううう……私もドラム教えたかった~~~!!」

梓「でも、あんなにファンがいるのに…なんで新入部員は相変わらずいないんでしょうね…?」
さわ子「前に聞いたけど…HTTの輪に入れるかどうか自信がないんだってさ」

さわ子「クラスでもいるでしょ?あまりに仲良しな仲良しグループって、なかなか輪に入りづらいものなのよ…」

梓「別に…気にしなくてもいいのに…」

さわ子「その変わりにあの素晴らしい名演奏が生まれるんだから、良いっちゃ良いんだろうけどね…」

唯「難しいね~」

澪「とりあえず…しばらく続くんだろうな…きっと…」

律「まぁ…そうだろうな…」
梓「私的には賛成です、練習にもなりますし、先輩たちのやる気もこれなら下がらなさそうですし…」チラリ…

律「なーんでそこで私と唯を見るかな~?」

梓「そんな事ないですよー?」


澪「まぁ、石の上にも3年って言うし、新入部員が入ってくれることを信じてこれからも頑張ろう、な!みんな」

一同「おー!!」



数週間 後昼休み


憂「え?シスタームギのお悩み相談室?」
純「そう、憂は何か悩みとかある?あったら是非行ってみなって、けっこう為になるからさ☆」

憂「ん~…じゃあ今度行ってみるよ、ありがと純ちゃん」


曽我部先輩「ありがとうございましたーー!!澪ちゃん私はあきらめないわよぉ~~~!!」

和「今…見覚えのある人がいたよーな………」


憂「和さん!」

和「憂、どうしたの?」

憂「すごいんですね…紬さんの悩み相談室」

和「こうまで人気があると何があってもおかしくないからね…」
和「かといって…解散させて生徒との間に溝を作るのもよろしくないし…だから生徒会として公式に自治にあたってるってわけ」
和「おかげで昼休みはパーよ、まったく…」

憂「大変ですね…」

和「でも、生徒の明るい笑顔が見れるんだから、悪い気はしないけどね…☆」


―――

梓「次の方ー!って、唯先輩??」

唯「えへへ、じゃー入るよ~」ガラッ…

憂「お姉ちゃん…?」

憂(お姉ちゃんが悩みって…なんだろう…?)




憂「梓ちゃん!」

梓「憂!びっくりした、どーしたの?」

憂「今入ってったのって…」

梓「ああ、やっぱり気になる?」

憂(…………)ジッ…

梓「ふう、これは私の独り言だからね?……なんでも、壁に耳を当てれば中の音が聞こえるらしいよ?」

憂(……………)コクリッ

梓「私、前しか見ないから、何も見てないからね?」

憂(うん…ありがとう、梓ちゃん。)


唯「失礼しまーす」

紬「あら、聞き覚えのある声…」

唯「ムギ…ちゃん、あのさ…」

紬「いいえ、私はシスタームギ、決してムギちゃんではありませんわ。」

唯「うん、ごめんね…」

紬「それで、本日はどういったお悩みを…?」

唯「あのね…すごく言いだしづらいんだけど………」

唯「妹の……事なんだ…………」

憂(………………!!!!)
梓(憂…?)

紬「まぁ…、う…い妹さんと何か?」

唯「あのね…こんな事…妹には絶対に言えないんだけど…………///笑わないで聞いてもらえますか??」

紬「私は迷える子羊を救うシスター、笑うなんてとんでもない…さぁ、どうぞ悩みを打ち明けてください…」
憂(……………)ドキドキ…


唯「前ね…妹にカレーを作ってもらったの…っても、ウチのごはんはいつも妹が作ってくれるんだけどね」
唯「その時に気付いたの…最初はぼやけてたんだけど、今なら胸を張って言える!私のこの感じ、やっぱり間違いなんかじゃないんだよ…」

憂(まさかお姉ちゃん……わたしのことが…)

紬「……それは、何に気付いたのでしょう?」

唯「憂の作るカレーはね…………」

紬憂(……………)ドキドキ…


唯「からいんだよ!!!!」



紬「………ッッ!!」ガタッ!!
憂(ズルルルルルルゥゥゥ!!!)

梓「………憂???今すごい音がしたような………」

唯「もうね!!からくてからくてしかたないんだよ!」
唯「憂の前では頑張って食べてるけど…けど、スパイス2杯は私的には多いんだよ!!って、シスター聞こえてる??」

紬「(ガタッゴトッ…)ええ…大丈…夫ですよ…そ…それはそれは…今まで言えなくて大変だったでしょう……」(お尻が…
憂(お姉ちゃ~~ん………)

唯「それで…いつも憂にはお世話になってるし…いつも作って貰ってるからそんな文句言えないし………でもね、私これだけは譲れないの!」

唯「私は、もっと甘口がいい!!」ドーン!

唯「なんだけど、こんな事をいつもお世話になってる妹に向かって言うにはどうすれば良いでしょうか?」

紬「ええと…少々お待ちください…………はい、あのですね~」

紬「やはり姉妹でしたら、そういった小さな不満も遠慮なく打ち明けるべきだと思います。」

紬「小さな不満でも溜めるとやがては大きな溝にもなりかねません…」
紬「ですから、早速今日にでもその気持ちを妹さんに打ち明けてみてはいかがでしょう?」

紬「大好きなお姉ちゃんの為に毎晩夕飯を作ってくれる妹さんですもの、それで喧嘩になるような方だとは思えませんよ?」

唯「そっか…………うん!ありがとー!早速話してみるよ☆」

紬「いえいえ、また何かあれば…ここにいらっしゃいな☆」

唯「うん!ムギちゃ…じゃなくってシスター、ありがと~!」ガラッ…!

紬「唯ちゃん…面白い子ね~……」


憂(そっか…私のカレー…からいんだ…おねえちゃん今までごめんね~)


―――

唯「あ!憂~!」
憂「お姉ちゃん!ど…どうしたの?」アセアセ…

唯「おねーちゃんは今日憂に言いたい事があります!」フンスッ!
憂「はい!な…なんでしょう??」

唯「うい~~…あのね~~~??」

唯「カレー、今度からもうちょっと甘めに作ってもらってい~い?」

憂「……うふふっ…わかった。ごめんね?今までからくして……」
唯「こっちこそごめ~ん、いつも作ってもらってばっかりなのに…」

憂「いいって☆お姉ちゃんには私の料理、もっと美味しく食べてもらいたいから♪」

唯「うい~、ありがと~~~」スリスリ
憂「お姉ちゃん、人が見てるよ~~…」


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最終更新:2011年04月06日 01:11