梓「さて次は………澪先輩?」

澪「梓…まだ、空いてる……?」

梓「ええ…大丈夫ですか?魂抜けかかってますよ??」

澪「あはは…後輩に教えるコードの復習と…受験勉強と授業の予習復習で…あまり寝てなくてさ…あと作詞も………」

梓「ちょっ!澪先輩!!肩貸しますから!とりあえず中入りましょう!」

澪「わるいなぁぁぁ…でも、もーだいじょーぶ…だいじょー……ぶ………」



紬「ええと…大丈夫ですか?顔色の悪さが布越しにでも伝わって来るようですが………」

澪「ムg…シスター…聞いてください…私は……私のような下等な生き物は…みんなの期待に添えられるだけの人間ではないのです…」

紬「とりあえず私としては…ここよりもまずは保健室に行く事をお勧めしますが…」

澪「ふっ……シスターも…こんな私用済みだと思ってるんですね…ああそーだそーだ…どーせ私なんて…」

紬「え? ああああ!落ち着いて!分かりました…あなたの悩みを…お聞かせ下さい!いえむしろ喋って下さい!心の底からぶちまけて行って下さい!」

澪「いいのですか…?私のような者が口を聞いても……??」

紬(澪ちゃん完全にノイローゼね…頑張れ私!カウンセリングよ!)フンスッ!

紬「…コホン…あの、とりあえずハーブティーを飲んで落ち着きましょう…ね?」

澪「はい…いただきます………」コクッ…コクッ…

紬「………………」


待つこと数分…


澪「私は…駄目な女です…」

澪「慕ってくれる後輩もあんなにいるのに……私は…みんなに何もしてやれてない…」

紬「ええ…そうですか…」

澪「部活だって勉強だって…期待に添えられるような人間なんかじゃないのに…みんなの期待が私にかかってきてる気がする…」
澪「いや、気がするんじゃなくてきっとそうなんだ…」

紬「そう…ですか…」

澪「でも私は…期待に応えなきゃいけないのに…それから逃げようとしている、今まさに現状がそうだ…だからこうやって言い訳をして…私はダメな女なんだ……」

紬「………………」
紬(言ってあげたい事はいっぱいあるけど…まずは相談者が全部言い終わってから…よね。)

澪「……シスター…どう思いますか…?」

紬「はい…では、私から…」

紬「まず期待をかけられる、これはとても名誉な事だと私は思いますよ?」

澪「………」

紬「そして…それに応えようとする姿勢、これもまた素晴らしいことです…」

澪「でも…私は……その期待から逃げ出そうとして……」

紬「あなたは逃げてなんかいない…むしろ、今、立派に戦っているじゃないですか…!」

澪「そんな……私は………」

紬「では…何故あなたは……そんなにも今ボロボロなのでしょう…?」
紬「逃げずに今まで戦っていたから…今傷ついているのでは…?」

澪「……………」ウルッ…

紬「そして、戦いを続けているうちに…自分が何のために戦っていたのかを…忘れてしまったのでは……?」

澪「そ…それは……うっ…」ポロポロ…

紬「良いんですよ…人が頑張るのに、理由はいりません。」

紬「ただ、理由はなくても…それを支え合える仲間は…必要だと思います」

紬「あなたに必要なのは…己の士気を支える強固な意思ではなく…その背を支えられる…仲間なのでは…?」

澪「仲…間……」

紬「優しいあなたのこと…きっと、仲間にその傷を見せるのも臆病だったのでは…?」

澪「そ…それは…確かに…心配させたくなかったのはあったかも……」

紬「うふふ…仲間に遠慮は…いらないんじゃないかしら…?」ギュュウ…

澪(ムギ…いや、シスターの手……あったかい…)

紬「むしろ、仲間の傷を癒すのが仲間…でしょ?」


紬「コホン…この場で私は『頑張れ』とは言いません、何故ならあなたは…もう充分に頑張ったから…」

紬「後は、みんなに任せて…ゆっくりお休みなさい。澪ちゃん…」

澪「……はぃ………あ…ありがとう…ございます……!」

紬「梓ちゃん、出口へ…」

梓「はい!澪先輩!」

紬(事前に頼んでおいた方、お連れできたかしら?)
梓(ばっちりです、今廊下で待ってもらってます!)
紬「うふふっ、ありがとうね☆」

唯「み~おちゃん☆顔色悪いよ大丈夫?」

律「バカ澪~、お前昔っから何でも背負い込みやがって…このこのっ!」ガシガシッ

梓「澪先輩、今日はゲストがいたの見てなかったんですか?」


「秋山さん…」


澪「この声は…曽我部…先輩…?」

曽我部「聞いたわよ、ファンクラブのみんなのために…ベースを教えてくれてるんですって…?」

澪「そんな…大した事じゃ……」

唯「それだけじゃないんですよ!それに…私やりっちゃんの勉強も見てくれて!」

律「澪のおかげで最近は部活もメリハリついたっていうか!!もう!澪がいなきゃ始まらないっていうか~!」

梓「もう、いっそ澪先輩が部長でもいいってかんじで!!」

律「あー!中野それはどーゆー意味だぁ!」

唯「じゃー澪ちゃんが部長で!」

澪「………ぷっ…くくくっ」


一同「んん?」



澪「あはははははっっ!もう、なんだよみんなしてっ…あはははっ!」

梓「澪先輩…やっと笑ってくれましたね……☆」

澪「みんな、律は確かにだらしないけど…やっぱ、私は律が部長の方がいいな、なんていうか…そうであるべきだと思う、うん!」

唯「澪ちゃん……」

曽我部「…今まで……ありがとう…秋山さん」

曽我部「でも、もう大丈夫よ、だからみんなの為に無理はしないで…ね?」

澪「……………はい…!でも、私…もう少し頑張れそうです…今度は一人じゃなく…みんなで頑張ってみます!」

律「へへっ…」
唯「澪ちゃん、大人だね~」

梓「感心してないで、お二人ももっと澪先輩に世話焼かせないで下さいよ?」

澪「そもそも、二人がいらん負担をかけるから私が疲れるんだからな!仲間ならもっと気を遣え~」

律「ちぇー、なんだよ元気になったからって~」

澪「あははははっ!!」


曽我部「秋山さん…良い仲間に出会えたのね…私、ここに来て…ファンクラブを作って…本当によかったわ~」

梓「上手く行きましたね…ムギ先輩」

紬「澪ちゃんにとって『みんなの為』ってウエイトが大きかったみたいだからね」

紬「やっぱり、最後は仲間…よね~♪」


キーンコーンカーンコ-ン……

紬「あら、予鈴ね…」

紬「うふふっ…みーおちゃ~ん☆」ギュッ!

澪「うわ!シスター!」

紬「私はシスターなんかじゃないわよ? 今の私は…みんなの仲間の琴吹紬よ?」

澪「うん、ムギ、さっきはありがとうな…」

紬「なんのことかしら~?私は何も知らないわよ~☆」

唯「ムギちゃん…」



律「ふぅ…よーし!今日もあと2時間、放課後まで頑張るぞー!」

一同「お~~!!」


唯(そうして1ヶ月…2か月と日は進み…



コンコンッ…

梓「コホン…あの…人生相談…あるんだけど………!」

紬「(梓ちゃん…あらら、無理にキャラ変えちゃって…)はいはい?いかがなさいましたか?」

梓「ぅぅ……先輩達が卒業しても…私、大丈夫なのかなーって思って…さ……」

紬「うふふ…それはですね…」


…………………

ガラッ!

梓「ありがとうございました!!」

憂「梓ちゃん!どうだった…?」

梓「うん、なんか、私の想い過ごしだったみたい、あーあ、なんかお腹すいちゃった…あはは♪」



――シスタームギの相談室も相変わらずの大盛況で…OBの方や先生の間でも結構評判がよく…

律「あのー、すみませーん」

紬「りっ……コホン…本日はいかがなさいましたか?」

律「あのーわたし、某部活の部長なんですけどー、部活見学の子がー、私の所に全然こなくてー…」

律「それでなんていうか~、私の部長としての尊厳ってなんていうか~…」ブツブツ…

紬「では…イメチェンなんてどうでしょう?」
紬「たとえば前髪を降ろしたりして、イメチェンを図ってみては?あなたの新たな魅力に気付く人がいるかも知れませんよ?」

律「いや、私が前髪降ろすっておかしーし!!」

――おかしくねーし!!!――


律「誰だ今のーーー!!!」



―――たまに解決されたのかよくわからないときもありますが…相変わらずの大盛況です。


―――もちろん、部活もすごい賑わいです!

澪「じゃあ今日は………前回教えたコードの復習と…」

「はい!澪先輩!!」


唯「ええと…じゃあみんなでふわふわ時間の演奏を」

「私…ラヴがいいなー」

梓「ですって…さわ子先生…」

さわ子「ああぁん?? テメーらみてーなヒヨッ子がアタシの領域に踏み込むだぁぁぁ!??面白ぇじゃねーーか!!」

―――ギターは…へヴィメタと普通の2パターンに別れてるけど…気のせいかな…みんなさわちゃんっぽくなってるような……。

梓「じゃあ、ふわふわ時間のハードロック版でいきましょうか? こんな風に」ギュイギュイギュイィィンン……!!

さわ子「いいビートだぜAZUSAぁ!気に入った…それだ!!」

唯「あずにゃん…すごすぎる……」


―――みんな、演奏技術は前と比べものにならないぐらい向上してます。


紬「お茶は…あと15人分かしら?」


律「ううう……恥ずかしい…///」

紬「あら?りっちゃんイメチェン?」

律「お前なぁ…///」

紬「??どーかしたのかしら?」ニヤニヤ


「あれ?あの先輩……」
「可愛い~~~☆」
「あのー、田井中先輩…ですよね?ドラム…教えて下さい!!」

律「…えっと、それ、私に…?」

「はい…!」

律「へへっ…しょ…しょーがないな…………///」



―――りっちゃん、念願の後輩ができてよかったね☆


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最終更新:2011年04月06日 01:12