梓「はい? メンテナンス?」

唯「メンテナンスだよ!」

梓「ギターならつい先日したじゃないですか。もう調子悪くなったんですか!?」

唯「ギー太じゃないよ! むったんでもないよ!」

梓「じゃあなに……」

唯「あずにゃんのメンテナンスだよ!」

梓「え?」

唯「あ~ずにゃんっ!」

ギュムッ

梓「ふぁ!?」

唯「あずにゃ~ん、定期的にメンテナンスしなきゃだめだよ~」

スリスリ

梓「なんなんですか離れてください! ていうかメンテナンスって何!?」

唯「私が効率よくあずにゃん分を補給するためには必要不可欠なんだよ~」ギュウウ

梓「んぐ……意味わかりません」

唯「もしあずにゃんに何かおかしなところがあったら大変でしょ!」

梓「心配しなくても私は正常です!」

唯「のんのん、おかしな人はみんなそう言う。ささ、昼休みの間にやっちゃおう」

梓「もうっ! い、いいから今は離れてくださいって」

唯「ほえ?」


「クスクス、あずにゃ~んだってさ」

「だれだっけ?」

「たしかHTTの……」

「あ~、HTT! 学園祭のあれねー」

「あつあつほかほかなんだって~」

「キャー、うそほんとにぃ!?」

「いっつも抱き合ってるらしいよー」

梓「み、みられてますから……おもいっきり」

唯「ふむ……」

梓「ふむじゃなくて、廊下のどまんなかでこういうのはちょっと……」

唯「えーいいじゃーん、仲良しこよし!」

梓「なんかただの仲良しにはみえないみたいで……」

唯「んー?」

梓「スキンシップ過剰というかですね」

唯「あー、あずにゃんは嫌なんだ……」シュン

梓「いや、べ、別に嫌ってわけでは……ただちょっとこういう所では恥ずかしいかなって」

唯「お、じゃあ場所移そっか!」

梓「え、いや……その、唯先輩の言うメンテナンスはそんなにしたくないっていうか……」

唯「えー、大事なのにー」

梓「遠慮し……」

唯「だめだよ! あずにゃんのためでもあるんだから!」

梓「ただセクハラまがいなことしたいだけですよね」


唯「……ちがうよ! 失礼なっ!」

梓「わかりましたよ、わかりました!……わかったからもう離してください……」

唯「えへっ♪」


「あの子いっつもあの先輩にふりまわされてるらしいよー」

「うわー、たいへんそー」

「クスクス、内心まんざらでもなさそうだけどね」


梓「……もうっ!」



部室


唯「さてと、ここならいいかな?」

梓「ほんと、ちょっとだけですよ……予鈴なったら教室戻りますんで」

唯「なんだかんだで付き合ってくれるあずにゃん優しい!」

梓「はぁ……かえっていいですか?」

唯「先輩をこんな人気のないところに連れ込んで……うふふふ」

梓「どっちが! それと、変なことしたら叫びますから」

唯「うにゃ~ん♪って?」

梓「……あと20分しかないですよ」

唯「わかったわかった。サクっと終わらせるから今日からも安全安心のあずにゃんでいてね」

梓「で、メンテナンスって何するんですか。」

唯「まずは抱き心地チェックかな」

梓「さっきさんざん抱きついてたでしょ!」

唯「あれは事前検査だよ!」

梓「ほんとあれこれ理由つけるの好きですね」

唯「呆れた顔しないでよ~」

梓「ちゃっちゃとしてください」

唯「じゃあまずは後ろから~」

ぎゅっ

梓「んむ……暑い」

唯「ほぉ~~、最高~」

ぎゅううう

梓「そ、そんなに体重かけちゃダメです!」

唯「うへっへ、可愛いつむじだねーぐりぐり」

梓「にゃ、やめてください、それメンテと関係ないでしょ」

唯「後ろからの抱き心地、今日も異常ありません!」

梓「そりゃそうでしょ……なにも変わってませんし」

唯「はいじゃあ次は右からギュー」

梓「うぐっ……くるひい」

唯「む……!」

梓「な、なんですか」

唯「なんか髪くくる位置がいつもよりちょこーっと高いね。直してあげよう」

ワサワサ

梓「気にしすぎですよ……ていうかそういうのよくわかりますね」

唯「あずにゃんの一級整備士免許もってるからね私」

梓「なんですかそれ?」

唯「倍率60億倍の超難関資格だよ~」

ギュウウ

梓「う……そんなのきいてませんし……」

唯「あずにゃんのことならなんでもしってるよ!」

梓「ほんとですか~?」

唯「うん、なんでも質問してごらんなさい」

唯「あ、その前に次は前からの抱き心地チェックでーす」

梓「しょ、正面はっ!」

ギュウ

梓「うぅ……」

唯「やっぱりコレが一番好きかな。あずにゃん分がいっぱい流れこんでくるよ」

梓「……暑い」

唯「すんすん、すんすん」

梓「か、嗅がないでください」

唯「シャンプーはずっと一緒なんだね!」

梓「お母さんが買ってくる奴を使ってるだけです」

唯「でもあずにゃんはあずにゃん自身のいい匂いがするよ~、すんすん」

梓「恥ずかしいです……」

唯「なんていうんだろうねーこの匂い、子供みたいな……あ、乳臭いってやつ!」

梓「むっ!」

唯「うそうそ、でもいい匂いがするのはホントだよ」

梓「人の匂い嗅ぐなんて変態でしょ」

唯「だって異臭がしたら要検査でしょ! なにかトラブルの可能性あり! 病気かもっ!」

梓「あーもうわかりました。いちいちテンションあげないでください」

唯「本日もにおいに異常なし!」

梓「……体育午後からでよかった」

唯「……ほんとあったかいねあずにゃん」

梓「あったかいじゃなくて、暑いです」

唯「あずにゃんのぬくもりにも異常なし」

梓「唯先輩もいつもどおりですね……」

唯「あずにゃんなんか耳赤い」

梓「え? あ……それは……」

唯「うわわっ! 大変だよ心臓もバクバクいってるよ!」

梓「あう……ちがうんです、ちがうんですよ」

唯「異常事態だっ!」

梓「ちがいますっ!」

唯「いますぐ精密検査しなきゃ!」

梓「せいみちゅっ!?」

唯「精密!」

梓「ちゃんと言えてますし!!」

唯「あぁ……心なしかあずにゃんがいつもよりぬくい気がする」

梓「……」

唯「このままじゃ熱くなりすぎて抱きつけなくなっちゃう!」

梓「もうっ! わかってて言ってくるくせにぃ!」

唯「もう一刻の猶予も許さないよ。いますぐ検査だよ!」

梓「いみわからないセクハラ大好きですよね」

唯「こらっ! 茶化してる場合じゃないよ!」

梓「う……本気でやる気なんだ……」

唯「そこのソファーに仰向けになって寝てね」

梓「ハァ……はいはい」

ゴロン

唯「いいねいいね。よし、失礼しまーす。よっこらせと」

のしっ

梓「うげ……むぐ、私ちっこいんですから乗られるとつぶれちゃいます」

唯「大丈夫私軽いから~」

梓「唯先輩って50キロくらいあります?」

唯「ないよっ!!!」

梓「あるでしょ。重いですもん」

唯「……は、はじめまーす!」

梓「てか一度こうされると……ほんとなんにも抵抗できないですね」

唯「じー……」

梓(うっ……顔近いなぁ……あ、唯先輩意外とまつげ長い……むむ)

唯「むふふ、無抵抗な後輩にアレコレするイケナイ先輩」

梓「あっ! やっぱり最初からセクハラ目的なんですね」

唯「は、はーいじゃあホントにはじめまーす!」

梓「都合の悪いことはきこえないんですね」

唯「まずはー……耳!」

唯「ふーっ」

梓「ひゃうっ!? な、なにするんですかっ」

唯「耳の点検だよ」

梓「やめましょうよぉ……びっくりするじゃないですか」

唯「聴力も検査しまーす」

唯「私が囁いた言葉を繰り返し言ってみてね」

梓「いや、聞こえてますし」

唯「だからちっちゃい声でいうから! 聞こえなかったら再検査だからね! いくよ!」

唯「あずにゃんは」ボソボソ

梓「あ、あずにゃんは……?」

唯「唯先輩のことが」ボソボソ

梓「ゆ、唯先輩のことが……?」

唯「大好きにゃん」

梓「ダイス……もうっ!!」

唯「んー?」

梓「何言わせるんですか」

唯「えー?」ニコニコ

梓「もうおりてください……」

唯「まだ耳しか終わってないよ。耳はちょっと問題ありかな、あつあつになってるし」

梓「いや……あの……ハァ……」

唯「次は目! お目目!」

梓「やっ、顔は……ほんと勘弁してくださいっていうか」

梓(うぅ……こんな距離でみつめられても……)

唯「じー……じー……」

梓「……う」フイッ

唯「こらっ! こっち見なさいっ!」

梓「む、無理です……」

唯「30秒あわせられなかったら異常ありとしまして後日再検査です」

梓「さ、30秒……は、無理です……」

唯「どうして? あ、瞬きはしていいんだよ?」

梓「そうじゃなくてその……」

唯「あれれー? あずにゃんはどうして唯先輩の目を見れないのかなーおかしいなー」

梓「う、うっさいです」

唯「じゃあ目もダメってことで! わぁどんどん異常がみつかるよ」

唯「せいみちゅ検査してよかったねーあずにゃん」ナデナデ

梓「馬鹿にしてないでください……」

唯「次は鼻!」クニッ

梓「ふぐっ……むあ……」

唯「かわいいー、ほれ豚さーん」グニッ

梓「むぐぅ!!やめ、やめてくださいー」

唯「あ、そうだ。あずにゃん、私の匂い嗅いでみて!」

梓「えっ?」

唯「ほらほら、すんすんって! 鼻の検査なんだから」

梓「……」スゥ

唯「どんなにおいした?」

梓「え……っと」

唯「私どんなにおい? くさい?」

梓「いえ……全然。くさくはないです」

唯「ふーん? じゃあどんなにおい?」

梓「……」

唯「おしえてよー、あ、もしかして嗅覚もダメなのかなーあずにゃんは」

梓「唯先輩は……唯先輩のにおいがします」

唯「いいにおい?」

梓「い、いいにおい……かな」

唯「ほう。ちなみにあずにゃんにとってそれは好きなにおい?」

梓「えっ……ま、まぁまぁです」

唯「そっかー、まぁまぁかー、そっかー……」

梓「いえ、その……まぁまぁの中では上の方っていうか」

唯「うんうん」

梓「好き寄りって考えてくれれば……って何言わせるんですか」

唯「わーあずにゃんは私のにおい好きなんだーうれしー」

梓「ちがいまっ……あ、ちがいませんけど……」

唯「次はお口でーす」

梓「……」

唯「お口だよ……ほら開けて」

梓「……」

唯「あーんって。んでハァ~ってしよ?」

梓「しませんし」

唯「えー、でもチェックできないよ」

梓「じゃあパスで」

唯「どして嫌がるの。ここまできて」

梓「お、お昼たべたからにきまってるでしょ!」

唯「あー、私はそんなの気にしないよ? 大丈夫大丈夫!」

梓「私が気にするんです」

唯「じゃあこじあける」

梓「!」

唯「指いれる。それでグワッと!!」

梓「や、やめましょうよ……」

唯「なら検査にご協力ください! 検査にご協力ください!」

梓「うぅ……嗅ぐのは一瞬だけにしてくださいね」

唯「おっけーおっけー」

梓「はぁー」

唯「すんすん、すんすん」

梓「はい終わりです! 終わり! ヤですそれ以上嗅がないでっ!」

唯「すんすん。おーなんか甘ーい匂いがするよ」

梓「チョコパン……と、なんだっけ。あ、カスタードクリーム」

唯「あずにゃんは全身からいい匂いがするんだね!」

梓「う……いい匂いですかほんとに」

唯「だからもっかいハァ~ってしてよ~えへへへ」

梓「だめです」

唯「どして~?」

梓「は、恥ずかしいからに決まってるでしょっ!」

唯「ケチ!」

梓「ケチで結構です」

唯「じゃあお口の最後として。むちゅちゅ~」

梓「なっ~!?」


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最終更新:2011年04月06日 04:59