いつもと変わらない日曜日
変った事と言えば唯が早起きをしたことくらいか

唯「ふぃー、気持ちのいい朝だー」

カタンッ

ポストの新聞をとる唯

唯「あれ?なんだろこれ」

一通の手紙が入っていた


唯「ふんふん………」

唯「よくわかんないから憂に読んでもらおう♪」

唯「ういー、なんか変な手紙入ってたー」

憂「変な手紙? 見せて」

唯「懸賞でも当たったのかなー」ワクワク

憂「おお、お姉ちゃんこれ」

唯「どうしたの?」

憂「裁判員の候補に選ばれたんだよ!」

唯「へ? なにそれ」

憂「知らないの? ニュース見たり新聞読んだほうがいいよ」

唯「だってニュースは芸能しか見ないし、新聞はテレビ欄くらいしか読まないもん」

憂「だからって裁判員制度を知らないっていうのは……」

憂「分かりやすく説明するね」

唯「お願い」

憂「お姉ちゃん裁判はわかるよね?」

唯「それくらい分かるよー」

憂「今までの裁判っていうのは裁判官3人だけで議論されていたの」

唯「あー……」

憂「裁判員制度っていうのは一般の人たちに裁判に参加してもらうことなんだよ!」

唯「ほう……」

憂「その裁判に参加する人の候補にお姉ちゃんが選ばれたんだよ!」

唯「何となくわかったー! 大変だー」

憂「まぁ、まだ候補だけど」


唯「もし選ばれたら、静粛に!って言えるの?」

憂「それは言えないと思うよ…」

唯「ちぇー、あれ憧れてたのに」

唯「静粛に!」キリッ

憂「お姉ちゃん、そのセリフを言いたいならいっぱい勉強しないと」

唯「で、候補の人の中からどうやって選ぶの?」

憂「くじで選ぶんだよ」

唯「私くじ運いいから選ばれるかも♪」

憂(心配だなー……)


憂(まぁ、選ばれる確率は低いよね)

唯「静粛に!」キリッ

憂「いつまで言ってるのお姉ちゃん、早く朝ごはん食べようよ」

唯「やったー」



―数ヶ月後―
候補に選ばれたことなど二人はすっかり忘れていた


憂「あっ、お姉ちゃん夕刊とってきて」

唯「はーい」

ポストを覗く唯

唯「ん? また難しい手紙……」

唯「憂に読んでもらおー♪」

唯「ういー、難しい手紙があったー」

憂「見せて」



憂「…………」

唯「どうしたの?」

憂「選ばれた…」

唯「何に?」

憂「この前、裁判員の候補に選ばれたでしょ?」

唯「そういえばそんなことあったね」

憂「お姉ちゃん、裁判所に行かないとだよ……」

唯「どういうことかな?」

憂「この前よりさらに裁判員に選ばれる可能性が上がったんだよ」

唯「ホント!? わーい」

憂(心配だよぉ……)

唯「静粛に!」バンバン!


唯「そういえば、どんな事件の裁判に参加するの?」

憂「刑事裁判だよ」


憂「殺人、強盗致死、放火とかの重い犯罪を対象とした事件だよ」

唯「へぇー、勉強になるな~」

憂「お姉ちゃん大丈夫?」

唯「大丈夫だよ」

憂「心配だからちょっと勉強しない?」

憂「あと一カ月以上あるし」

唯「憂がそこまで言うなら」


唯は裁判について勉強した


憂「普段からニュースとか新聞を読むことが大事だよ」

唯「ふんふん」



―3週間後―


唯「すぐにでも裁判に参加できそうだよ!」

憂「じぁあ、問題を出すよ」

唯「うん」

憂「裁判員に選ばれる人数は?」

唯「6人!」

憂「正解、じゃあ、裁判員制度はいつから始まった制度?」

唯「平成21年5月21日!」

憂「すごい、大正解だよ!」

唯「えへへ」

憂「じゃあ、ちょっと難しい問題いくよ」

唯「どんとこーい」

憂「被告人が知人の場合、裁判員を辞退しなくてはいけないか?」

唯「えーっと……」

唯「んーとね……」

憂「がんばって、お姉ちゃん」

唯「辞退しなきゃいけない?」

憂「うーん、おしい」

憂「ただ単に被告と知り合いってだけで辞退しなきゃいけないわけじゃないんだよ」

唯「へぇー」

憂「不公平な裁判をする恐れがあるって裁判所が判断したときは辞退させられるけどね」


憂「でもだいぶ裁判についての知識がついてきたね!」

唯「えへへ」

憂(これで少しは心配がなくなるかな)




一週間後、裁判当日


唯「うわー、緊張してきた」

憂「裁判所までついて行くね」



ー裁判所内、候補者集合場所―


憂「じゃあ、私はここまでね」

唯「う、うん」ドキドキ

憂「選ばれたら多分5時くらいまで裁判に参加することになるから先に帰ってるよ」

唯「うん、おいしい夕飯作って待っててね」

憂「わかった!」


唯「憂帰っちゃった……」


キョロキョロ


唯(サラリーマンから普通のおばさんまでいろんな人がいるなぁ)

説明係「本日はお集まりいただきありがとうございます」

説明係「皆様に参加していただくのは殺人、放火などの重大事件です」

男1「あのー、裁判員に選ばれるとお金とか出るんですか?」

説明係「日当はちゃんと出ます」

男1「交通費は出たりするんですか?」

説明係「往復の交通費がちゃんと出ます」

唯(あのおじさんこんなことも知らなかったんだ)


説明係「皆さんにはこれから裁判長と個別に面談を行ってもらいます」

唯(面談かー、勉強もしてきたし大丈夫だよね)



―面談室―

裁判長「この度はご苦労様です、では早速ですかいくつか質問をさせていただきます」

唯「は、はい」ドキドキ

裁判長「裁判員制度というのは一般の方からの意見を取り入れることが最大の目的です」

裁判長「ですから、緊張しなくても大丈夫ですよ」

唯「は、はい」



面接では辞退を希望するか、事件関係者との利害関係があるかどうかが質問される


この面接で残った人からくじ引きで結果を決める


唯「ええ、選ばれちゃった!」ドキドキ

男1「げっ、選ばれたか、まぁ金ももらえるしいいか」

唯(あの人も選ばれたんだー)

全員で男3人、女3人の構成となった



―法廷―

唯(うわー、ドラマで見たとおりだー)

女1「ちょーすごーい」

男2「ちょっと静かにしろよ」

女1「えー、おじさんのほうがうるさいんだけど」


男1 30代サラリーマン

男2 40代自営業

男3 50代サラリーマン


女1 20代雑貨屋店員

女2 40代主婦



この場で事件の詳しい概要を知らされる

被告人の罪名は殺人罪である


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最終更新:2010年01月11日 00:38