てくてく

唯「って、」

ぽつぽつ

梓「また、」


唯梓「「雨、降ってきちゃった……」」

唯「ぬれないように急がなきゃ!」


たっ たっ たっ

唯「あ、たしかこっちだから!」ぐいっ

梓「ちょ・・・ほんとに道あってるんですかー?!」

唯「はぁっ…はあ……」

梓「ふぅっ………って、いきおいで入っちゃいましたけど・・・ここってその、えっちな、」

唯「ほえ?」

 ぴっ

梓「あっ!」

唯「ボタン、おしちゃった・・・」

梓「しゅ、宿泊のボタン・・・」

唯「ど、どうしよう・・・」

梓「……ここは、あの、カウンターで間違えましたって、」


唯「あずにゃん」にやにや

梓「へ?」

唯「……泊まってみない?」

梓「ええっ」

梓「でっでもお金とかっ」

唯「そこは大丈夫! 唯先輩にまかせんしゃーい」

梓「はぁ・・・」

唯「あ・・・あずにゃん、おうち大丈夫?」

梓「それは、今日もうちの両親いないですから大丈夫といえば大丈夫ですけど……」

唯「じゃあ行ってみようよ! なんかお風呂とかきらきらしてて面白いとこなんだって!」

梓「あっ・・・ちょっ――」


梓「・・・もう」



へや!

梓「私きょう、なんかすっごい流されてる感じがする・・・」

唯「どしたのあずにゃん?」

梓「いえ、なんでもないです・・・」

唯「ふうん・・・それにしても広いねえっ、ダブルベッドだよ」

梓「そりゃダブルベッドに決まってるでしょ」

唯「なんでー?」

梓「いや、その・・・えーっと」

唯「なんでダブルベッドなの?」

梓「・・・しっしらないですっ」

唯「ふふ、あずにゃん赤くなってるよ」

梓「・・・わざとですかっ」

唯「んー、お風呂みてくるねっ」

 たっ たっ たっ

梓「・・・まったく、もう」

唯『わあっ、ねえきてきて! すっごいよ!』

梓「なんですかー?」

唯『こっちこっちー! はやくぅ!』

梓「はいはい・・・」


唯「みて! ここ、お風呂の色がかわるの!」

 ぱっ

梓「わあ・・・」

唯「……あずにゃんこういうとこ初めて?」

梓「なっなに聞いてるんですかっ、初めてに決まってるでしょ!」

唯「わたしはねー、」

梓「え・・・・?」


唯「……うちのクラスの子がね、面白いとこだよって言ってたから気になってたんだぁ」

梓「そ、それだけ?」

唯「うん。……あずにゃん、どうしたの?」


梓「なんでもないです。心配して損しましたよ」

唯「……あずにゃん、もしかしてやきもち?」

梓「ちーがーいーまーすーっ!」

唯「あーずにゃんっ♪」だきっ

梓「ひゃっ…!」

梓「……」

唯「……」ぎゅー

梓「……」

唯「……おふろ、はいろっか?」

梓「あ、・・・・・はい」

梓「あの・・・えっと、とりあえずお風呂にお湯ためましょうよ!」

唯「うん・・・そうだねっ」


きゅっきゅっ
じゃー



唯「そのあいだ、あっちでのんびりしようよ」

梓「・・・はい」


唯「……」

梓「……」

唯「・・・ねむくなってきちゃうよ」

梓「ねたらだめです、しにますよ」

唯「……なんで?」

梓「・・・言ってみた、だけです」

唯「へんなあずにゃん」くすっ

唯「じゃあ、寝ないようにテレビでもつけよっか」

梓「そうですね。映画でもみてみましょうよ」

ぴっ





           ド           ー               ン




                           _,,,,,,,.........:::::::::::--::.,_
                  .,----─''''''''''""~        |  ~"'-:::.,_
                  .|                   .|      ~"'-:::.,_
                  .|                   .|          ~"l
                ._|_______        |             |
          ,:;::=ニニ"─────:::.,    ̄"'''''':, .. .|             |
          /              ,l /''''''''''''''ー‐:,';  . |             |
       .  /               ,l l / ̄ ̄ ̄~~l'';   |             |
    ;''''''l   /             ,---:,.l'''      .|.||.  |             |
    |  |  ./             |   |l |       | ||.. |             |
    '┬' ./  ____         |   .|.l  _,,,...:::::;:::' .||.. |             |
      ̄l''''''''"~ー--:::::::;,.:::''''',:''''''::, .l,,,,,,,,,,l.| ./ .,,.::''"  .||.....|             |
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      | | ~"'''''ー-:::::::::....,,,,,,___,....::'" | ""     ,::::.|| . |        _,.:::::-'
    .  ,::,|             l    |   _,,..::-‐'''"~~| .|     _,..:::-'::,~|
     . l ':,:ー-::::,,,_      . l   _,,...|.:‐''"~   _,,.::-‐'_l,..:::-''"~  /,:::,l |
      |~"';:,'''ー-::::二,''ー-;-:,::':'''"~  ||     ./...,,."':,      _,.:::l l:::l|..l
      ;'''ー'=::,,,,_/':,  ~"''''/,:'--:::::...:-'''|     / ,...,"'; ';l'''"|_,,..:::''ニ-'";'::'/
      |ニ; .;:.....,, ~"''''ー-:::' ,l   :: |.. .|_,,...:::'',l./ ,,,,'; | lニニ.::'"~ 'ー‐''
      ~"''-''=;:.|"''''┐-:::..,_~"''''''''ー‐''''|   l l' ::::::|,l__|
           ~"''ー''=::;;:::'  l'''''ー;   |,..::-'"l l  '''//
                 ~"'''''==---'‐''';"~.':,"'‐'',:'
                          ~"''''''''''"



唯「きゃああああっ?!」


梓「いやあああああっ!!」




梓「ゆっゆいせんぱい、音が!!」

唯「こっ、これかな・・・!!」

ぴっ


しーん


唯「・・・ふぅ」

梓「死ぬかとおもいましたよぉ・・・」ぎゅっ

唯「よしよし」なでなで

梓「でも、まさか音量が最大になってたなんて・・・」

唯「ひどいいたずらだよ。ぶーぶー」


唯「あ、あずにゃん・・・・いまの映画、なんだったの……?」

梓「はい、えーっと番組表番組表……」


梓「――スティーヴン・スピルバーグ監督の『激突』、みたいです」

唯「そ、そうなんだ・・・」

梓「出世作ですよ、たしか」

唯「へぇ……こわかったねぇ」

梓「ほんとですね・・・ジョーズかと思った・・・・」


唯「あ、そろそろわいたんじゃないかな?」

梓「そうですね。もう、水に流しましょう!」

唯「さんせーっ!」

唯『あずにゃーん、まだあ?』

梓「待ってください・・・」ぬぎぬぎ

がらっ

唯「まあまあ、そんな恥ずかしがらないで」

梓「きゃっ?! いっいきなりあけないでください!」

唯「……もう、はやくぬいじゃいなよぉ」

梓「いつも思うんですけど、唯先輩にははじらいっていうのがないんですか?!」

唯「はじらい?」ぽかーん

梓「もういいです。なんかふっきれました」ぬぎぬぎ

唯「ささっ、あずにゃんおじょうさまこちらへ」

梓「はいはい」

唯「・・・えいっ!」ばさっ

梓「あっ、バスタオルかえして!」

梓「うぅ……!」もじもじ

唯「あずにゃん、かわいいねぇ」

梓「唯先輩のばか・・・・うぅ・・・・!」

唯「ぎゅー」ぴとっ

梓「ひゃっ・・・」

唯「からだ、ひえちゃうよ?」

梓「・・・・・ゆいせんぱいが、わるいんだもん・・・」

唯「ごめんね。……じゃあ、からだあらってあげるね」

梓「えっ・・・・・・は、はい」

唯「あずにゃんはいつもどこからあらうのー?」

梓「えっと・・・肩、とか」

唯「この辺かなー」

梓「やっ・・・」

唯「んー?」

梓「……あの、耳元に息かかると、その・・・・」

唯「ふー」

梓「ひゃあっ」

唯「あずにゃんってほんとかわいいよねえ」

梓「・・・・さいっていです…」

唯「ごめんごめん、ちゃんと洗うからあ!」

唯「~♪」ごしごし

梓「……」

唯「いいなああずにゃん、足がしゅってしてて」ごしごし

梓「そんなこと・・・・ないですよ」

唯「肌がね、つるつるのすべすべなんだよ」つるっ

梓「やっ・・・くすぐったいですって」

唯「……足のゆびもちょこんてしてて、あずにゃんみたい」

梓「あんまりみないでください……ていうか、あずにゃんみたいってなんですか」

唯「……」ごしごし

梓「・・・んっ・・・」

唯「きもちいい?」

梓「……はい・・・」

唯「ちゃーんと洗ってあげるからねっ」

梓「……はい」かあっ

唯「あいをーこめてーすらっすーらとねっ♪」ごしごし

梓「……ゆいせんぱい」

唯「なあにー?」ごしごし

梓「どうして……どうして、私なんかのために、ここまでしてくれるんですか?」

唯「あずにゃん・・・?」

梓「……わたし、唯先輩に迷惑かけてばっかりなのに・・・」

唯「……あずにゃん」

ぎゅっ

梓「……ううっ・・・ひっく・・・」うるっ

唯「……私、あずにゃんが入ってくれてよかった」

唯「あずにゃんのこと、ほんとに大好きなんだよ」

梓「・・・ぐすっ……くふっ……ひっ・・・」

唯「だから……そんなこと、言わないで」

梓「……はい・・・」ぎゅっ

唯「さ、あわ流しちゃお!」

ぱしゃーっ

梓「ひゃっ・・・」

唯「うりゃ! シャワーこうげきだぞっ」きゃっきゃ

梓「きゃっ、目にはいっちゃいますってえ!」きゃっきゃ

唯「あははっ」

梓「もう・・・ほんとうに子供みたいな人ですね」くすっ


唯「あずにゃん、全部ながせた?」

梓「……はい!」にこっ

唯「じゃあ、一緒にお風呂はいろうよっ」

梓「・・・そうですね」


かぽーん

唯「ふぅ・・・あったかあったか」

梓「……ひろいですねえ」

唯「あずにゃんこっちきなよぉ」

梓「・・・は、はい……」

唯「えいっ」だきっ

梓「……えへ」

唯「あったかくて気持ちいいねえ」

梓「……なんだか、とけちゃいそうですね」

唯「・・・そうだねっ」

梓「……」

唯「……はじめて、だね」

梓「なにがですかー・・・・?」

唯「こうやって……ちょくせつ、抱きしめるの」

梓「……あったかいです」

唯「そう、だね……」


梓「……」

唯「あずにゃん、どしたの」

梓「なにがですか?」

唯「……今のあずにゃん、すごくさみしそうな目してた」

梓「……ふふ、超能力者みたいですね」

梓「なんだか……明日が来るのが、怖くなっちゃいました」

唯「……うん」

梓「わがままとかも、思っちゃいますよ」

唯「どんな? ・・・・・きくよ?」

梓「いいです」

唯「言って」

梓「………」

梓「たとえば、もし……」

唯「……」

梓「……このまま、離れたくない・・・なんて言ったら、おこりますか?」

唯「………」

梓「……すいません、やっぱりなんでもない――」

ちゅ


梓「……!」

唯「……」



梓「……」

唯「……ごめんね」

梓「……勝手、ですよ」

唯「……ごめん」

梓「わたしの気持ちなんて知らないで、どんどん振り回して」

唯「……」

梓「いっつも一歩前で、わたしの知らないとこを引きずりこんでいって」

唯「……」

梓「……わすれられなく、なっちゃいますよ」

唯「……ごめん」

梓「……はなれられなく……ぐすっ・・・なっちゃい、ます……」

唯「……じゃあ、離さないもん」

ぎゅっ

梓「……どういう、いみ、ですかっ……」


ちゅ

唯「……こういう意味じゃ、だめ、かな」

梓「……意味、わかんないです。ちゃんといってください」

唯「うん……じゃあ、あずにゃんだけに、言うね」





梓「……あ…」

唯「……聴こえた?」

梓「・・・はい。……聴こえました」にこっ

梓「唯先輩、私も・・・おねがいします」

唯「……ありがと。だいすき!」ぎゅっ

梓「……わたしもです」ぎゅー

唯「……のぼせちゃいそう。あがろっか」

梓「あ・・・はい」

唯「……ねむくなってきちゃったもんね」

梓「……はい」

唯「えっと・・・一緒に、ねよ?」

梓「・・・はい」


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最終更新:2011年04月11日 22:57