○ リビング(10分後) ○

憂「……はい、お茶だよ」

和「ありがと」

唯「ありがと~♪」

純「……ありがと」

憂「純ちゃん大丈夫?」

純「う、うん」

和「えっと……鈴木さん? こう言っては何だけど、運が悪かったと思って諦めなさい?」

純「……はい」

和「幸い、女の子だけだったんだし」

唯「それにさ? そんなに悲しむことは無いよ……むしろ胸を張るべきだとわたしは思うよっ! その立派な胸を♪」

純「…………」

憂「お、お姉ちゃんっ」

和「唯……トドメ刺してどうするのよ」

唯「え~? だってさ? 大きさも形も良い感じだったと思うんだけどなぁ」

和「まぁ、お尻も小振りで可愛かったけど」

純「…………」

憂「二人ともっ」

和「ご、ごめんなさい。つい……」

唯「でもでも~」

憂「お姉ちゃん…………めっ!」

唯「ぅひぃっ!? ご、ごめんなさいっ」

純「憂、もういいよ。あたしも悪かったんだし」

和「まぁ、あんな状況なんて誰も予想出来ないだろうし、みんなが忘れるってことでこの話は終わりにしましょう」

憂「うん」

純「はい」

唯「わたしは覚えてるけどねっ ふんすっ!」

純「……ぐすん」

和「唯~?」

憂「お姉ちゃん?」

唯「あぅっ……ご、ごめんなしゃい……」

憂「もう……あ、そういえば和ちゃんはうちで何してたの? こんな時間に珍しいよね?」

和「唯に料理を教えてたのよ。少しずつでいいから覚えたいって」

憂「そうだったんだ」

純「真鍋先輩も料理出来るんですか?」

和「まぁ、それなりに……だけどね。あぁ、私の事は名前でいいわよ」

純「じゃぁ、私のことも名前で……純で結構ですよ、和先輩」

和「えぇ、分かったわ。純」

純「はい」

唯「そーいえば……お鍋の火、そろそろ止めた方がいいかなぁ?」

和「もう少しね」

唯「そかー……じゃぁ、お茶でも飲んでまったりしようか」

憂「純ちゃんも身体、暖めた方がいいしね」

純「うん……こくり……お茶が暖かぁい」

唯「んくんく……炬燵もあったか~」

憂「こくこく……お茶のおかわりいる?」

和「ずず~っ あ~……お茶が美味しい」

唯「…………」

憂「…………」

純「…………」

和「? どうしたの? みんな」

純「な、なんでもありません」

憂「うん、なんでもないよ」

和「そう?」

唯「……和ちゃん」

和「何?」

唯「今の……仕草がおばさんっぽかったよ?」

和「え?」

憂「…………」

純「…………」

和「そ、そんなこと無いわよ。普通よ」

唯「え~? そんなことないことないよ~。ねぇ、憂も純ちゃんもそう思うよね?」

憂「え、えっと……わたしは普通だと思うよ? ね? 純ちゃん」

純「え? あ、うん。私も特に問題はないと思います……よ?」

和「…………」

唯「嘘だ~? 二人とも『今の仕草はおばさんっぽい』って顔してたもん~」

憂「そ、そこまで思ってないよっ」

純「ですですっ」

和「そ。二人とも私の事をおばさんっぽいって思ったのね」

憂「ぅ……え、えっと……」

純「いえ……その……」

和「いいのよ。たまに言われるしね」

唯「だよね~♪」

憂「お姉ちゃんっ」

純「ゆ、唯先輩っ」

和「構わないわよ? えぇ、そうね。真鍋和はおばさんっぽい……これでいい?」

唯「和ちゃん……ちょっと怖い……」

和「何よ……唯と同い年なのに……何で私だけ……ぶつぶつ……」

純「ぇ……えっと……あ、そうだっ 唯先輩、和先輩っ お鍋の火、見なくていいんですか?」

憂「そ、そうだよっ 吹き零れてたら大変だよっ 見てこないとっ!」

唯「そだね~♪ じゃぁ、ちょっと見てくるよ」

和「そうやって追い出そうとして……分かったわよ、行けばいいんでしょ? まったく……どっこい、しょっと」

唯「…………」

憂「…………」

純「…………」

和「…………」

≪のそのそ≫

唯「和ちゃん? やり直そうとしても駄目だよ?」

和「違うのよっ! 今のは……そうっ たまたまっ! 偶然声が出ちゃったのよっ!」

唯「あ、わたしキッチンに行ってるね?」

≪とてとて≫

和「ちょっと待ちなさい、唯っ! あ、二人とも……今のはたまたまよ? いつもあんな声出してるわけじゃないからね?」

純「は、はい」

憂「だ、大丈夫だよ。分かってるからっ」

和「本当よ? 本当だからねっ? あぁ、もうっ! 唯っ 待ちなさいっ!」

唯「そんなこといいからお鍋見ようよ~」

和「そんなことって何よっ!? あ、こらっ まだ話は終わってないわよっ」

≪ばたばたっ ガチャッ バタンッ≫

純憂「…………」

純「……ぷっ ふふっ あはははっ♪」

憂「ふふっ あははっ♪」

純「あの二人、仲良いんだね」

憂「うん。幼馴染だしね♪」

純「ということは、憂とも幼馴染ってことか」

憂「うん」

純「なんかそれって羨ましいかも」

憂「羨ましい? 純ちゃんも幼馴染が欲しかったの?」

純「そうじゃなくて……幼馴染ってことは、憂と昔から一緒だったわけでしょ?」

憂「うん」

純「憂のこと色々知ってて羨ましいなぁ……ってね」

憂「え、えっと……それってどういう……」

純「ほら、憂とは中学から数えて……結構長い間、友達やってるでしょ?」

憂「だね」

純「でもさー? そんな自分よりも沢山? 深く? 憂の事を知ってる人がいるっていうのが、羨ましくてね」

憂「…………」

純「ま、ただの我侭だけどさ♪」

憂「…………」

純「……どしたの? 憂」

憂「えと……その……」

純「ん?」

憂「あ、あの……ね?」

純「うん」

憂「……じゅ、純ちゃんが知りたいならっ! なな何でも答えるよっ! わたしっ!」

純「ぅわっ!? びっくりしたぁ……どうしたの? 急に」

憂「だってだってっ わたしのこと知ってもらえば、純ちゃんともっと仲良くなれるかなって思うしっ!」

純「ちょっ! 憂? お、落ち着け~?」

憂「それに、そのっ! わ、わわわたしの事をもっと知って欲しいって……思うし……純ちゃん……に……」

純「テンション上がったり下がったり、忙しいね。憂」

憂「うぅ……」

純「何か今日は様子が変じゃない?」

憂「そんなことは……ないよ」

純「ならいいけど……」

憂「うん」

純「ん~……それにしても、憂のことで知りたいことかぁ」

憂「うんうんっ」

純「そーやって改めて言われると、何を聞くか困るなぁ」

憂「な、何でもいいよ?」

純「む~……う~ん……ぬぬぅ~~……」

憂「…………」

純「あ、そうだっ あるある、聞きたいこと」

憂「どんなことっ!?」

純「スリーサイズ教えて?」

憂「それは駄目っ!」

純「じゃぁ、体重」

憂「もっと駄目っ!!」

純「えぇ~」

憂「だってそれはっ……その……いくらなんでも言いづらいよぉ」

純「何でも教えてくれるって言ったのに~」

憂「ご、ごめん……」

純「まぁ、冗談だったからいいけどね」

憂「うぅ……純ちゃんのイジワル~」

純「えっへへ~♪」

憂「あ、そうだっ……純ちゃんも教えてくれたら、わたしも言うよ?」

純「いやぁ~、それは……」

憂「?」

純「恥ずかしいって……特に体重とかウェストとか……」

憂「わたしだって恥ずかしいよっ」

純「ですよねー♪」

憂「もう~」

純「ん~……他に聞きたいこと~……聞きたいこと~……くしゅんっ!」

憂「寒い? 暖房ちょっと強くする?」

純「大丈夫大丈夫。炬燵にもっとこう、深く入れば……」

≪もぞもぞ ごそごそ≫

憂「背中が寒くない?」

純「これくらいなら平気平気♪」

憂「それならいいけど……」

≪ピーッ ピーッ≫

純「ん? 何の音?」

憂「お風呂が沸いたみたい……お姉ちゃ~ん?」

唯「ん~? なーに~?」

憂「お風呂沸いたよ~」

唯「そいや、沸かしてたっけ……じゃぁ、ちょっと入ってきちゃおうかな」

和「こらこら、料理の途中でしょ」

唯「むむぅ~……あ、そうだっ」

≪てってってっ≫

唯「純ちゃ~ん」

純「はい?」

唯「雨に濡れて身体冷えたでしょ? お風呂入ってっていいよ~」

純「えぇっ!? いや、さすがにそれは……」

唯「お風呂入って暖かくした方がいいよ? でないと風邪引いちゃうかも」

純「でも突然お邪魔して、お風呂までもらうっていうのは……」

和「遅くなったらお家の人に怒られたりする?」

純「いえ、今日は家に誰も居ないんでそれは大丈夫です」

憂「そうなの?」

純「お母さんとお父さん、二人で旅行に行ってるんだよ」

唯「だったらいいじゃない? 入っていっちゃいなよ~」

和「どうせ、服が乾くまでにまだ時間がかかるだろうしね」

唯「なんだったら、泊まっていってもいいしね~」

憂「それ、いいかも♪」

純「え……いいの?」

憂「うんっ いいよね? お姉ちゃん」

唯「もちろんだよ~」

純「えと……じゃぁ……泊まってっちゃおう……かな?」

憂唯「はぁい♪」

和「そうと決まったら、さっさと入ってきちゃいなさい」

純「あ、だったら憂が先に入ってよ。憂もかなり濡れちゃったでしょ?」

憂「純ちゃんほどじゃないよ。だから、純ちゃんが先に入っていいよ」

純「でも、家の人を差し置いて先に入るっていうのはなぁ」

唯「だったら、わたしに名案がありますっ」

和「それはどうかと思うけどね」

純憂「?」

唯「まだ何も言ってないのに~」

和「大体予想出来るけど……試しに言ってみていいわよ」

唯「こほんっ……二人で一緒に入ればいいと思うよっ!」

和「……だと思ったわ」

純「…………」

憂「…………」

純憂「え?」


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最終更新:2011年04月13日 23:05