純「ペットは平等に可愛がらないと、可哀想でしょ? だから、あず猫の次は憂犬」

憂「え……え?」

純「はい、こっち来てー」

憂「う、うん」

≪とてとてとて≫

憂「え、えと……」

純「ここ。膝の上」

憂「……うん」

純「はい、おいでー?」

憂「し、失礼します……わん」

≪ギッ ずしっ≫

純「ぐぅっ!?」

憂「じゅ、純ちゃんっ!?」

純「ぐぁ……お、重……うぐぐ……」

憂「ご、ごめんねっ すぐに退くからっ」

純「ま……待った……少しだけ……お尻、浮かせて……」

憂「う、うん……」

梓「何でそこまでして、抱っこしようとするのよ」

純「ふぅ……あたしさ、犬も飼いたいって思ったことあるんだよ」

憂「そうなんだ……というか、わたし退こうか?」

純「いいのいいの。あ、その代わり腰をもっと……突き出すようにして、こっち来て」

憂「こ、こう……かな?」

≪ぐいぐい≫

純「そそ。足の根元くらいに乗ってくれれば……うん、平気そう」

憂「で、でも、この体勢って……」

梓「……ねぇ、純」

純「梓、猫語忘れてるよ」

梓「……にゃぁ、にゃん?」

純「えへへ~♪ 大型犬、欲しかったんだよねぇ。これくらい大きいのかな?」

憂「どうだろ……っていうか、純ちゃん。この体勢は、いくらなんでも近すぎない?」

純「抱きつくには丁度いいでしょ……えいっ♪」

≪ぎゅぅっ≫

憂「わっ あ、あの……じゅ、純ちゃん? その……ぁ……ぅ……」

純「はぁ~……憂って暖かいねぇ~♪」

梓「ねぇ、純」

純「猫語は~?」

梓「いや、それよりにゃぁ」

純「ん~?」

梓「さすがにその体勢はちょっと……どうかと思うよ?」

純「何でー?」

梓「だって、その……え……えっちしてるみたい……だよ?」

純「は?」

憂「ぅ……うぅ……」

純「…………」

梓「…………」

憂「ぁぅ~……」

純「だ、だってっ! こうしないと、憂を抱っこ出来ないんだもんっ!」

梓「それに、抱きつくのはいいけど……顔、憂の胸に埋めてない?」

純「…………」

憂「うぅ……」

梓「…………」

純「しししかたがないじゃんっ! この体勢で抱きつくと、顔の高さにこの胸が来るんだよっ!」

≪むにゅんっ≫

憂「っ!?」

梓「……純」

純「あ」

憂「…………」

梓「…………」

純「…………」

憂「……っ……っきゃぁぁぁぁぁっ!?」

純「わぁっ!? ごごごごめん、憂っ」

憂「きゃぁっ きゃぁぁっ!」

純「ちょ、待ってっ! 憂、暴れないd」

≪バタバタッ ずしっ めきっ≫

純「ぎゃわぁぁっ!? いいいいいたぁぁっ!」

≪むにゅぅっ≫

憂「きゃぁきゃぁきゃぁぁぁっ! それ以上は駄目ーっ!」

純「いだぁぁぁぁっ!? おおお折れちゃうってばぁぁっ!」

≪ばたばた ギシギシッ むにゅっ めきっ≫

憂「きゃぁーっ!」

純「ぎゃぁーっ!?」

≪ばたばた ごろんっ≫

憂「はぁ……ふぅ……」

純「ぜーっ はーっ」

梓「…………」

憂「うぅ~……」

純「足、折れたかと思った……」

梓「……何やってんだにゃー」


・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

純「…………」

憂「…………」

梓「落ち着いたかにゃー?」

純「うん」

憂「わふ」

梓「純? 悪乗りもいい加減にしときなよ?」

純「うん……憂、ゴメンね?」

憂「うぅん、わたしの方こそ……足、大丈夫?」

純「大丈夫。少なくとも折れてはいないよ」

梓「そもそも、人間を一人、膝の上に乗せるのが間違ってるんだにゃぁ」

純「いやぁ~。梓が平気だったから、いけるかなぁって」

梓「私と憂とじゃ、体重が違うにゃぁ」

憂「……重くてごめんなさい……だわん」

純梓「…………」

憂「しょぼん……」

梓「いや、ほら……わ、私が軽いだけだからっ」

純「そ、そうだよ。梓って小さいしさ……憂は普通だってっ」

憂「くぅ~ん……」

梓「変な意味で言ったんじゃないんだよ……えっと……にゃぅ~」

純「え、えっとぉ……ほーら、よしよしよし~。ごめんね~?」

≪なでなで≫

憂「…………」

純「よ~しよしよし~♪ 機嫌直して~?」

梓「いやいや、さすがにそんなんで……」

憂「わふぅ」

梓「…………」

純「よ~しよし♪ 良い子良い子~♪」

≪なでなでなで≫

憂「わんっ♪」

梓「……まぁ、いいんだけどね」

純「ふぅ……ちょっと暴れて疲れたから、一息入れよう」

憂「じゃぁ、お茶入れるわん」

純「ありがとー……じゃなくて、今日はあたしが入れるんだよね」

憂「あ、そっか」

梓「憂って、根っからのお世話体質だよね」

憂「そ、そうかな」

純「とにかく、憂と梓は座っててよ。あたしがお茶入れるから」

憂「うん」

梓「何だかんだで、純も結構ノってるね」

純「あたしって、意外と世話好きなのかも?」

梓「それは無いにゃん」

純「言い切るな……と言いたいけど、確かにそれは無いか」

梓「自分で言っちゃうんだ……」

純「ま、ね~♪ あたしは甘える方が好きだしね。んじゃ、ちょっとお茶入れてくるー」

憂梓「いってらっしゃ~い」


・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

純「……ふぅ~♪」

憂「……わふぅ~♪」

梓「……にゃふぅ~♪」

純「このダラ~っとしてる時間が、たまんないね~」

憂「お姉ちゃんが居たら、ゴロゴロしてそう~♪」

梓「光景が目に浮かぶよ……」

純「憂はゴロゴロしないの?」

憂「わたしは……しないなぁ」

純「じゃぁ、ちょっとゴロゴロしてみてよ」

憂「え?」

梓「何て無茶振り」

純「だって今日は犬でしょ? ほら、犬って仰向けで、ゴロンッて転がったりするじゃん」

梓「また、無理やり理屈こねたね」

純「梓、猫語」

梓「にゃー、にゃにゃーっ」

憂「ゴロンッてするの?」

純「そそ♪」

憂「えっと……ゴロンッと」

純「んで、こっち来て」

憂「うん……ゴロゴロ~」

梓「……う、憂っぽくない……にゃん」

純「……確かに」

憂「ひどいよぉ~」

純「あ、それでお腹上にして?」

憂「……こう?」

≪ころんっ≫

純「にひひ♪」

憂「?」

純「えいっ」

≪むにっ わしゃわしゃ こしょこしょ~≫

憂「わっ あはっ あははっ じゅ、純ちゃん……あはははっ くすぐったいよ~……あはははっ♪」

純「犬ってこうやって、お腹をわしゃわしゃーってやると喜ぶじゃない? だから……わしゃわしゃ~♪」

憂「そ、それ……ぷっ あははっ くすぐってるだけじゃ……あははははっ♪」

純「そーとも言う」

憂「や、やめて~……あははははっ♪」

梓「憂が大声で笑ってる……何てレアな光景」

≪カシャッ≫

純「…………」

梓「…………」

憂「あははっ だ、駄目だよっ! あははははっ♪ 撮らないで~」

純「にひっ♪」

梓「さいてー」

純「じゃぁ、梓は撮らないんだね?」

梓「…………」

純「…………」

≪ごそごそ カシャッ≫

純「さいてー♪」

梓「にゃぁ?」

純「誤魔化した」

憂「ふぇ~ん……あははっ 梓ちゃんまで~……あはははっ♪」

純「こっちは泣き笑い……」

梓「ペットの不始末は飼い主が取るってことで……全部、純が悪い」

純「むぅ……じゃぁ、飼い主命令。ちょっとこっち来て」

梓「な、何よ……」

憂「はぁ……ふぅ……はぁ……ふぅ……」

純「憂、大丈夫?」

憂「もう~……純ちゃんがやったくせに~……ふぅ……」

純「ゴメンゴメン。そんなに苦しかった?」

憂「クタクタだよぉ……」

梓「で? 何すんの?」

純「梓は猫だからね~♪」

梓「え……わっ あははっ ちょ……あごの下はくすぐったいって……あははははっ♪」

純「こしょこしょこしょ~♪」

梓「や、やめ……あははっ こら……にゃははははっ♪」

純「……嬉しそうだね」

梓「嬉しくな……にゃははっ♪ も、もうっ にゃははははははっ♪」

≪カシャッ カシャッ≫

梓「へ?」

純「にひひっ♪」

憂「えへへ~♪」

梓「憂までっ!?」

純「おぉ~……梓の笑い顔って結構スゴイね」

憂「でも、やっぱり可愛いと思うよ」

梓「…………」

純「爆笑してる顔が可愛いって、何かズルイ」

憂「あ……ねぇ、純ちゃん。わたしの写真、消してね?」

純「やだ」

憂「えぇ~」

梓「……こ、このーっ!」

純「ぅわっ!?」

≪がしっ グイッ はむはむ≫

純「ちょ、ちょっ!? あははっ こらっ! 手を甘噛みするなーっ! くすぐったぃ……あはははっ♪」

梓「にゃぁにゃぁ♪ はむはむ♪」

純「にゃぁ、じゃないって……あはははっ♪ あ、今舐めたでしょっ!?」

梓「にゃぁ?」

純「う、憂~、助けてーっ」

憂「えへへ~♪」

≪がしっ グイッ ぺろぺろ≫

純「わっ ちょっ あははっ♪ や、やめ……あはははっ♪」

憂「わんわん♪」

梓「にゃぁにゃぁ♪」

≪はむはむ ぺろぺろ≫

純「あははは……ぁんっ んもうっ! や、止めて……くすぐった過ぎる……あははははっ♪」

≪カシャッ カシャッ≫

純「こ、こら撮るなー!」

憂「わぅんっ♪」

梓「にゃぅんっ♪」

≪はむはむ ぺろぺろ≫

純「は……んんっ……や……ちょっと……ま……ひゃぅ……あはははっ♪ あんっ……んっ」

憂「…………」

梓「…………」

≪カシャカシャカシャカシャカシャカシャッ≫

純「何でそんな……あははっ……撮る……のよ……んっ あははっ♪ あ……ぅん……んっ……あ……ん……」

憂「わふわふわふっ」

梓「にゃぁにゃぁにゃぁっ」

≪はむはむ ぺろぺろ カシャカシャッ≫

純「う……んぅ……も……ホント止め……てってば……は……んっ……ぁ……」

憂梓「……ふんすっ」

≪はむはむはむはむ ぺろぺろぺろぺろ カシャリッ≫

純「……ぅ……ぁんんっ……ふぁ……ぅぅぅうぅっ 止めろーっ!」


・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

純「…………」

憂梓「ごめんなさい」

純「…………」

憂「じゅ、純ちゃん?」

梓「ゴメンってば」

純「犬語と猫語」

憂「……わん」

梓「にゃぁ」

純「二人とも……加減を考えようよ」

梓「最初にやり出したの、純のくせに……」

憂「くぅん」

純「そ、そうだけどさ……今のはちょっと……ぶつぶつ」

梓「何ぶつぶつ言ってるのよ」

純「何でもないっ! あと猫語っ!」

梓「にゃぅ~……」

憂「純ちゃん、ごめんなさい……だわん」

純「う」

憂「くぅ~ん」

純「……わ、分かったよぉ。じゃぁ、お相子ってことにしよう」

憂「うん……だわん」

梓「分かったにゃぁ」

純「というわけで、さっき撮った写真は消してくださいっ!」

梓「純もね」

純「消す消す……っていうか、撮られた写真の危険度が違い過ぎるっての」

憂「そ、それは……」

梓「確かに」

純「さっきのあたしの写真を消してもらえるなら、二人の面白画像なんて、いくらでも消してあげるよ」

憂「あ、あはは……」

純「うぅ……恥ずかしくて死にたい」

≪ピッピッピッ ピピッ ピッピッ≫

純「はい、削除っと……二人とも、携帯見せて見せて」

憂「はいだわん」

梓「ちゃんと消したってば……にゃん」

純「この目で確認しないと安心できないっ」

梓「はいはいだにゃん」

純「ん~……よしっ これであたしの名誉は守られた」

梓「大げさな」

純「猫語っ」

梓「にゃんにゃにゃーにゃにゃにゃ~」

憂「それより、これからどうする?」

純「あたし、妙に疲れちゃったんだけど」

梓「ちょっと早いけど、寝る?」

純「寝るにしろお喋りするにしろ、布団に入りたい気分……かな」

憂「じゃぁ、お部屋行こうか」

純「そだねー」

梓「にゃーい」

憂「わぉーん♪」


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最終更新:2011年04月17日 21:18