梓「なんかもう、そこからはじめなきゃ何もはじまんない気がしてきました」

律「え?いやいやいや、何いってんの?」

梓「告白して拒絶なりなんなりされるならそれまでの関係だってことですよ」

律「いや、無理だよ、無理無理無理。告白なんてしないっての」

梓「いつもみたいにあんなおちゃらけた態度をずっとつづけてても何も変わりませんよ?」

律「・・・・いや」

律「無理だってば・・・」

梓「人生で2、3度ぶっちゃけた日があったっていいと思いません?」

律「思いません」

梓「はぁ・・・・・」パシィ

律「え!(顔を両手ではさまれた!?)」ビク

梓「」クグッ

律「か、顔ちかづけんな!!!!!!ちちち、ちかいって!!!!///」

梓「逃げるな」

律「」

梓「ここで逃げたら、澪先輩との思い出、いつか全部忘れたくなる」

律「・・・・・」

梓「そんな自分自身を先輩は憎むと思う。今、今日の自分を絶対に悔やむと思う」

梓「だから、逃げないで」

梓「澪先輩なんだから」

梓「先輩がすきになったんだから」

梓「だから」

律「・・・・」

梓「大丈夫ですよ」ポンッ

律「・・・・・」

律「・・・・あずさは?」

梓「・・・・」

梓「私のことなんか気にスンナですよ」

律「いや、気にするって・・・・告白、してくれたのに・・・・・」

梓「ん~~~・・・・まぁ確かに、告白したのにその相手の恋路を手伝うってのもなんか尺にさわりますね・・・・」

律「・・・・・だろ?」

梓「じゃあ」

律「うん」

梓「断られたら付き合ってください」

律「」

律「え?」

梓「あ、先輩に拒否権はありませんから」ニコッ

律「え・・・・・?」


キンコ~ンカンコ~ン


梓「あ、授業終わったんで教室戻りますね」

律「いや、ちょっと待ってさっきのはちょっと」

梓「澪先輩には『律先輩が話しがあるからここに来いっていってました』っていっとくんで先輩はここで待っててください」

律「え?いやいや、ちょっとまってちょっとまって私も教室戻らなきゃ。バッグとかあるしホームルームもあるし」

梓「ムギ先輩にメールしとくんで大丈夫です。では」スタタタタ

律「え・・・・?」

律「マジ・・・?澪に告白?え?・・・・・・・」ポツン


律「はっ!!気を遠くしてる場合じゃなかった。澪とムギメールしてやめてもらえばいいんだ」

律「あったまいいなぁ~私」テヘ

律「えっと、ケータイケータイ・・・・」ガサゴソガサゴソ

律「けーたいけーた・・・い・・・・」ガサゴソガサゴソ

梓「先輩なにさがしてるんですか?」ヒョコ

律「ひゃい!」ビク

律「び、びっくりしたぁ」ドキドキドキ

律「忘れもんか?」

梓「先輩のケータイは私が預かってるんで無駄です」ヒョイ

律「」

律「え?」

梓「ちなみに先輩が私の胸で泣いているときにすりました」

律「」

律「なぁ」

梓「はい?」

律「お前に惚れた弱みってあるの?」

梓「ないです」サラッ

律「ですよね~」

梓「では、告白がんばってください」スタタタタタ


律「オワタ」ガックシ

律「ん?まてよ?別に従順に澪を待つことはないんだよな」

律「・・・逃げるか?逃げてしまおうか?逃げるのか…?」グズグズ

律「いや、逃げるとかじゃなくて…だって、なあ」

律「(私はもう・・・・)」


「なにボケッとつったってんだよ」


律「!?」クルッ

律「み、みお」

澪「人を呼び出しといてびっくりすんな」ビックリ!

律「え!?い、いや。ちょっと気分転換に・・・な」

澪「いや、返事になってないんですけど」

律「・・・ははは(なんかテンパっててわけがわからねぇ・・・。てか、みお来るの早すぎるだろっっ!!!)」

澪「こんなところよく知ってたな。梓に言われなきゃ多分在学3年間で私は知らないままだったぞ?」

律「あ・・・!」

澪「ん?」

律「いや、なんでもない(澪にこの場所バレたじゃないか!!梓のやろう!!)」

澪「?で。なんだよ、こんなところで話って」

律「・・・・(ど、どうしよう・・・)」ドキドキ

澪「?」

澪「…それって帰り道とかじゃダメなのか?」

律「か、帰り道・・・?」ドキドキ

澪「うん。部活行きたいしさ、2人だけで話すなら別にみんなとわかれてからでもいいだろ?」

律「(たしかに。だが、帰り道ってどうなんだろう…?)」

律「(梓は今日中に告白しろって…いやいや、だから梓に従う必要はないんだってば!!)」

律「(でも…)」

澪「りつ」

律「ん?」

澪「なにか、話たいことでもあるならさ、帰り道にちゃんときくからさ」

澪「そ、それでいいだろ?」ソワソワ

律「・・・・」

律「(こいつなんでソワソワしてんだ?)」

澪「み、みんな待ってるし、ほら、部活いくぞ」ギュ

律「!?」

律「・・・・お、おう・・・わかった・・・・・(手にぎられた)」

スタタタタタ



梓「・・・・・ばか」

―――

律「おい」

澪「あん?」

律「もう、部室なんだから・・・・その、・・・・手、離せよ」

澪「あ、ごめん」

パッ

律「(あいかわらず私のが手、ちっさいな)」クスッ

澪「(なに手見て笑ってんだ?)」

ガチャ

律「ち~~~す」

澪「遅くなってすまん」

唯「お!!澪ちゃんちーーーす!!!」シュビッ

唯「りっちゃんひさしぶり~~」ニヤニヤ

律「あ、あぁ・・・・久しぶりだな」ハハハ

澪「唯、ひさしぶりってなんだよ?」

律「いや、ちょっと、な」

唯「澪ちゃん、聞いて!!!りっちゃん今日午後の授業全部サボったんだよ!!!」

律「ちょ!おい、唯!いうなよ」

唯「ふへへ。サボリはだめだよ、りっちゃん!!」フンス

澪「へ~~」ジー

律「(くそ、唯のやつめ)」

澪「あの場所にずっといたのか?」

律「あぁ・・・・まぁな」タジタジ

ムギ「あ、りっちゃん、これ、バッグ。一応机の中のもの全部中に入れてきたんだけど・・・・」

律「あ、ムギ・・・・わるいな。サンキュ」

ムギ「いいのよ」ニコニコ

律「(すっげぇいい笑顔だな・・・・。梓はムギになんて言ったんだろうか)」

澪「あれ?梓は?」

律「」ビクッ

ムギ「一番最初にきてたんだけど」

唯「さっきトイレ行くって言っていちゃってからまだ帰ってきてないんだよ」

澪「そうなのか」

律「・・・・」

唯「でも、結構時間たってるんだよね」

ムギ「そうなのよね」チラッ

律「!」

律「(・・・・・もしかして)」

唯「私ちょっとさがし」

律「ちょっと梓探してくるわ!!!!」ダッ

澪「あ、おい、律!!!」

唯「あ!私が行くって今言おうとしてたのに!!」

唯「私もあずにゃん探しにいくよ!!」ダッ

ガシ

唯「え!?」

ムギ「まぁまぁ、梓ちゃんのことはりっちゃんにまかせておきましょう?」

唯「で、でも・・・・」

ムギ「今日はケーキもってきたんだけどなぁ」

唯「ケーキ」ピクッ

唯「ムギちゃん!!!」

唯「あずにゃんはりっちゃんにまかせてケーキたべよう!!!」ドゥ~ン

ムギ「ふふ。今用意するわね」

唯「わーーい」

澪「律だけで大丈夫かな・・・」

ムギ「澪ちゃん」

澪「ん?」

ムギ「りっちゃんにちゃんと話できた?」

澪「い、いや・・・・できなかった・・・いざ、2人きりになると照れちゃって///」

ムギ「あらあら」

澪「で、でも、今日帰りに2人で話することになったぞ!!!律もなんか話あるみたいだし!!!」

ムギ「そう・・・。がんばってね?」

澪「お、おう!!!相談のってくれてありがとうな!!ムギ!!!」

ムギ「いいのよ、私が好きでやってることだから」

唯「ねぇ、2人ともなんの話してるの?」

澪「え!?いや、ちょっと・・・な///」

ムギ「唯ちゃん、ケーキは何がいいかしら?チョコレートとかチーズケーキとか、結構種類もってきたんだけど」テキパキ

唯「え!?ホント!!!どれにしようかなぁ~~」ワクワク

ムギ「あせらなくても大丈夫よ」ニッコニッコ

唯「うひょ~~い!ムギちゃんだいすきーーー」

ムギ「あらあら、私も唯ちゃん好きよ」

澪「(ムギ、唯の扱いうまいな。てか、唯なんか不憫だ)」

澪「(・・・・・・律)」


――――

律「梓、さっきのまさか見てたのか?まぁ、なにもなかったんだけど」タタタタタ

律「ったく、・・・・ばかだなぁ」タタタタタ


「こら!!律!!!!」


律「うわ!?」

和「廊下走ったらダメじゃない!!」

律「の、のどかかぁ。驚かすなよ。びっくりした」ドキドキ

和「律が廊下走ってるのが悪いんじゃない。というか、どうしたの?そんなに急いで。部活は?」

律「あ、そうだ、和、梓みなかったか?」

和「梓ちゃん?生徒会室からここまでそれらしき人は見かけなかったけど・・・・」

律「(こっちで見なかったってことはやっぱあの場所か!!)」

律「和!ありがと」ダッ

和「いや、だから廊下走らない!!!!」

律「わわわ!へへへ」・・・・スタスタスタ(早歩き)

和「ったく」クス

和「それにしてもどうしたのかしら。梓ちゃん探してるなんて」

和「まぁ、私には関係ないわ、ないよね、・・・・やっぱないわ」ウンウン

ゴメーンユズレナイーユズラナイー

和「あら?唯からメールだわ」

和「・・・今日一緒に帰ろう」

和「ひさしぶりに唯と下校・・・・」ポワワワ

和「がってんしょうちのすけ、っと」カチカチ

和「フフフ、さて、あと少しがんばりますか!!!」

ダダダダダダ(階段を駆け上がってる)

ガチャ

律「!!!」


律「あずさ!!!」

梓「あ、へたれ」

律「・・・ははは」


律「おまえ、いつからここにいたの?」

梓「澪センパイがくる・・・・ちょっと前くらいから・・・です」

律「そっか・・・」スタスタ

こちらに背を向けて座っている梓にゆっくり近づいていく。
体育座りをしてるこいつは、とても小さく見えた。


梓「今日中って言ったから、別に帰り道でも、・・・・いいですよ、告白」

私が隣に座るうちに、ひざに顔をうずめながらそういった。

律「・・・・盗み聞きなんて、性格わるいぞ?」

梓「そうやってまた話をそらすんですね」

律「・・・・」

梓「あと、性格わるいはいいすぎです」

律「さよけ」

律梓「・・・・・」

      • ふぅ。

律「あのさ」

梓「はい」

律「私は梓に」

梓「はい」

律「いいたいことが3つある」

梓「・・・・なんですか?」

ひざに顔をうずめたまま、梓は言う。
おまえ、バレバレだぞ?

律「1つ目」

梓「はい」

律「今なんで泣いてたんだ?」

梓「・・・・泣いてませんよ」

律「うそこけ」

梓「泣いてません」

律「いや、声が涙声だろうが」

梓「・・・・・」

律「泣いてたろ?」

梓「・・・とある個人的な思春期です」ズズッ

律「・・・・じゃあ・・・まぁ・・・そういうことでいいよ」

梓「はい。そういうことでお願いします」ズズッ

律「てか、私のせいか?」

梓「・・・・じゃあ、それもそういうことでお願いしときます」スンスン

律「・・・・」

時間って経つ。なにかそのせいで変わってく。
自分でも無意識だ。無意識だった。
自覚ってのは、いつからあったのかな。
そもそも自覚をするってこと自体できることなんだろうか。

律「2つ目いうぞ」


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最終更新:2011年04月20日 03:25