律「な…何言ってんだよ、澪」

律「武道館行くって約束したろ?」

澪「………」

律「なんとか言えよ…なぁ澪!」



澪「…転校、するんだ」

律「はぁ?転校って…何言ってんだよ」

澪「父さんが転勤になってさ…私も急すぎてよくわかんないんだけど」

律「澪だけでも残ればいいだろ!」

澪「それは…」

律「澪だけ家に残って…そうだ!ウチにいればいい!」

澪「………」

律「そしたら転校なんてしなくて済む!それに…あんな奴と一緒にいなくて済む!」

澪「律!!!」

律「っ…」

澪「…ごめん…でももう決まったんだ…」

律「澪はそれでいいのか…?」

澪「………」

律「…なぁ澪…」ギュッ

澪「…っ」

律「……澪…」

澪「………」

律「………」

澪「……ゃだ…やだよぅ…」ポロポロ

律「………」ギュゥ

澪「やだよぉ…っ……みんなと一緒がいいよぉ……律と一緒がいい…」ポロポロ

律「…うん…」

澪「あの人と一緒はやだ…みんなとずっと、一緒にいたいよ…!」ギュゥゥ

律「………」

澪「……律と…離れたくない…っ」

律「…澪……わかった」

澪「…グスッ……?」

律「逃げよう、どっか遠くへ」

律「もしもし、ムギか?」

紬『りっちゃん?…何かあったの?』

律「澪と二人で急に旅行したくなっちゃってさ、どっか遠いところの別荘って空いてないかな?」

澪「…律?何言ってるんだ」

紬『今の季節だったら北海道なんて涼しいんじゃないかしら…ちょっと調べてくるわね』

律「急にごめんな…」

澪「おい律…」

紬『いいのよ、折り返し連絡するわ』プッ ツー ツー

澪「おい!律!旅行なんて…何考えてるんだ?」

律「澪、気付かれないように荷物まとめろ」

澪「!…本気で…言ってるのか…?」

律「…ウチで待ってるから、早くしてくれよな」

澪「無理だよ…みんなを巻き込むなんて…」

律「困ってるときに助け合うのが仲間だろ?」ニッ

澪「で、でも…」

律「早く行け、もうすぐアイツが帰ってくる」

澪「………できないよ」

律「澪!」

澪「無理だ…だって見つかったら…」ガタガタ

律「見つからなきゃいいんだ!見つからないくらい遠くへ行けばいい!」

澪「見つかっちゃうよ…無理だよ…」ガクガク

律「そんなのやってみなきゃわからないだろ!」

澪「いやだ…いやだ、こわい…たすけて…」ブルブル

律「澪!!!」

澪「ひっ」ビクッ

律「…ごめん…私も手伝うから、行こう」

澪「…!て、手伝うって、ちょっと、律!」

律「………」グイッ

澪「な、なぁ、わかった、自分でやるから、家で待ってて」

律「お前のことだからそのままベッドで泣き寝入りするつもりなんだろ?」トントン

澪「そんなことしない、絶対!だから、なぁ!部屋には入らないで!」

律「…いいんだ、もう、隠さなくて…わかってるから」

澪「な…に、言って…っ、律、お願いだ!頼むよ!律!律ってば!」

律「………」ガチャ

澪「うああああああああああああ!見るな!見るなぁあああ!」

律「!……っ、…鞄、どこにある?」

澪「見るなよぉ…律ぅ…もう…出てってくれ…おねがぃ…」

律「…あぁ、出てくよ…お前の荷物持って…澪と一緒にな」

澪「グスッ、グスッ」

律「…よし、こんなもんでいいかな」

澪「……グスッ…」

律「よい、しょ…っと、澪!泣いてないでシャキッとしろ!」グイッ

澪「………」

律「ほら、大事なモン忘れんなよ」トン

澪「…ベース…」ギュッ

律「行くぞ」

澪「………」

律「…みーお!」

澪「……うん…」



~律の家~

律「さーて、私も荷物まとめないとなー!アレとーコレとーあとアレもだろー」ゴソゴソ

澪「なぁ、律…」

律「んー?」ゴソゴソ

澪「…なんでこんなによくしてくれるんだ?」

律「さっきも言ったろー?困ってるときに助け合うのが仲間だって」

澪「でも…」

律「それにさ、澪が笑ってないと…なーんか調子出ないんだよなぁ」

澪「………」

律「泣いてばっかりの澪なんて澪らしくないぜ?」

澪「……ありがと…」ボソッ

律「おっと、ムギから電話だ」

紬『今そっちに迎えを送ったわ。別荘も、あまり大きくはないけれど、いいところを借りれそうよ』

律「ムギはホントに気がきくなぁ」

紬『でもりっちゃん、その前に話を聞かせてもらいたいの…いいかしら?』

律「…あぁ、さすがに何も話さないわけにはいかないよな…」

紬『発つ前にウチへ寄ってもらって、直接お話を聞かせてもらいたいの』

律「…わかった」

紬『おいしいお茶を用意して待ってるわ』

律「おぅ、サンキュなー」ピッ

澪「ムギの家に行くのか…?」

律「ん…協力してもらうんだから、話はしとかないとな」

澪「………」シュン

律「ムギには私から説明する」

澪「…うぅん、私が話す」

律「!…澪」

澪「律にばっかり、面倒なことはさせられない…」

律「…辛かったらいいんだぞ?」

澪「………」フルフル

律「…そっか、わかったよ」

ピンポーン

律「お、来たみたいだな」スクッ

ピンポンピンポーン

澪「………?」

ピンポピンポピンポーン ガンッガンッ

澪「…!」ガタガタ

律「落ち着け澪!大丈夫だ…大丈夫だから…」ギュッ

澪「律ぅ…やっぱりやめよう…?」

律「ダメだ!大丈夫…ちょっと様子を見てくるから…」ナデナデ

澪「………うん」

律「押入れに隠れててくれ…荷物も一緒に、な」

澪「……律…」

トン トン トン トン トン

澪「……隠れなきゃ…」モゾモゾ

ガチャ バタン!

澪「!」

バタバタバタバタ…

澪「っ……」ガタガタ

キィ…

澪「っ!」ビクッ

律「みーお」

澪「り、律…?」コソコソ

律「心配ない、聡だったよ…鍵忘れたんだってさ」

澪「うぅぅ…」

律「泣くなよぉ澪ー」ポンポン

澪「だって、だって…」

律「車も来てたし…行こう、澪」

澪「……グスッ…」

律「失礼しまーす」

澪「…失礼します…」

聡「ねーちゃーん!どっか行くのー?」

澪「!」

律「あー、ちょっと散歩ー」

聡「ふーん…?ま、いいや!いってらっしゃい!」

律「おーぅ!いってきまーす」

ブロロロロ…

澪「…なぁ律、ホントに一緒に来るのか?」

律「あったりまえじゃーん!澪一人だったら心配だしさー」

澪「……いいんだぞ、律は来なくても…」ボソッ



~琴吹家玄関~

律「うぉー!でけー!」キラキラ

澪「ほ、ホントに、すごいな…」オドオド

律「玄関から家まであんなにあるぜ!見ろよ澪!」ベター

澪「こら!そんなにひっついたら汚れるだろ!」

律「大丈夫だって!向こうから来る人もおんなじことしてるぞ!」

澪「そんなわけ…って唯!?」



~琴吹家~

唯「いや~、ムギちゃんから急にお呼ばれされちゃって~」

律「しっかし広いよな~このお屋敷!どこがムギの部屋だか…」

斉藤「ようこそいらっしゃいました、紬お嬢様のお部屋はこちらでございます」

唯「こ、こんにちは!」

斉藤「こんにちは、ご案内いたしますのでどうぞ」

唯「は、はいぃ!お世話になります!」

律「そんなにかしこまらなくてもいいだろ…」

紬「みんないらっしゃい!さ、ここに座って!」

唯「オ、オジャマシマス」

律「恐縮しすぎだって!」ガツッ

紬「あっ、その花瓶高いから気をつけて!」

律「ヒィィー」ビクビク

紬「なんてね、冗談よ♪」

律「お、おどかすなよなー」

紬「ふふ、ごめんなさい♪」

唯「りっちゃん!このソファーふかふかだよぉ~♪」ポヨンポヨン

律「あー!ずるいぞ唯ぃー!私にもやらせろー!」

澪(律、私といるときより楽しそうだ…)

澪(…私には律の日常を奪う資格なんて…)

紬「澪ちゃん」

澪「!あ、あぁ」

紬「…お話、聞かせえもらえるかしら」

澪「………あぁ」

律「…唯、ムギの隣行ってくれるか…」

唯「ほぇ?…うん…んん?」

紬「梓ちゃんは用事があって来れないそうなの…」

律「そうか…」

唯「澪ちゃん、顔色悪いよ?」

澪「あぁ、大丈夫だ…」

律「澪…」

澪「…わかってる」

紬「………」

唯「……?」キョトン



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