紬「でね、クラシックと言ってもバロック音楽なんかシンプルで心地いいコード進行だから聴きやすいし、けっこうロックの人達が真似てたりするの」カチャカチャ

唯「」ジー

澪「へぇ、そうなのか」

紬「それにきちんとしたアンサンブルとか、アレンジの勉強にもなってると思うわ」クイッ コク

唯「」ジー

律「そっかー。私も普段聴かないの聴いてみようかなー」

澪「帰りにレンタル屋に寄るか?」

紬「りっちゃんもクラシック聴いてみるの?」パク ムグムグ

唯「おぉ~///」

律「いんや、私の場合はファンクやR&Bなんかだな」

澪「私もそうだな。リズム隊の基本だし」

律「やっぱドラムってオカズとかバシっと決まるとカッコイイけどさ、そのためには引き出しを広げとかないとね」

紬「ああ、そうね! 引き出しって素敵な表現かも」クイッ コクン

唯「おおぉ~~///」

澪「…………で、唯はなんでムギをガン見してるんだ?」

唯「うわっ、な、なんでもないよ~/// あ、あはは…」



紬「?(最近、唯ちゃんの視線をよく感じるけど、何かしら?)」

律「唯も初心者だからって甘えないで、アレンジに参加してくれよ」

唯「は、はいぃ。面目ないです…」シュン

澪「唯はカッティングとかアルペジオ、ミュートとか、基本のテクニックも覚えてきたし、あとはペンタトニックを練習すれば自分でリフやソロが作れるようになるよ」

唯「ぺ…ペンタ? ペンタ! なんか可愛いね! あははは!」

澪「はは…(なんか唯って、いくら腕が上がっても音楽用語とか覚えないで終わりそう…)」

律「よしっ、昨日に続いて新曲のアレンジやるぞー!」

澪唯紬「おー」


紬「唯ちゃん、イントロのギターリフ考えて来たの。聴いてくれる?」

唯「おぉ~! ムギちゃん、いつもありがとう」

 ~♪~♪~♪

紬「こんな感じよ」

唯「わぁ、凄いよ、ムギちゃん! 気に入りました!」

澪「唯、早速弾いてみて」

唯「えーと…」

 ~♪~♪~♪

唯「こんな感じ?」

律「完璧じゃーん!」

唯「いえー」

澪「(あ、相変わらず凄いな…絶対音感…)」

唯「ねぇねぇムギちゃん、これにみょーんって言うの入れちゃ駄目?」

紬「チョーキングね。みんなで合わせてみたとき決めればいいんだから、最初は唯ちゃんの好きに弾いていいのよ」

唯「じゃあ、やってみる! んと…」

 ~♪~♪~♪

澪「あ、カッコイイんじゃないか?」

律「いいね!」

澪「ムギ、今のところのコード進行教えて」

紬「えっと、ここは…」

唯「ぷ…」

澪律紬「ぷ?」

唯「ぷははは! あははははははは!」みょ~んみょ~ん

律「まだウケとったんかい!」

澪「はは、本番では笑い出さないようにな…」

紬「(唯ちゃん、可愛い///)」



ぶかつご!

律「うぅ~、文化祭終わったら、一気に寒くなった気がするなー」

唯「あわわわ、早く帰ってこたつに入らなきゃ…」

澪「もう、2人ともだらしないぞ」

紬「うふふ」

律「ところで新曲だけどさ、まだイントロのインパクトが足りない気がしないか?」

澪「そうか? けっこういいと思うけど」

紬「また別なリフ考えてくる?」

唯「えぇ~、あのリフ好きなのに」

澪「そうだな、私も」

唯「あ、りっちゃんのドラムから入ってみるのは? どんたかたんだだんじゃららら~ん、みたいな」

律「それだ! なかなか賢いぞ、唯」

唯「えへへ~」

紬「唯ちゃん、すごーい」

唯「えへへぇ~///」



唯の家!

唯「って感じなんだぁ」

憂「すご~い! お姉ちゃんのアイデアが採用されてよかったね!」

唯「えへへ~。あー、早く澪ちゃん、歌詞作ってくれないかなぁ。早く歌いたいよぉ」

憂「私も早く聴きたいなぁ」

唯「あ、タイトルはもう決まってるんだって。『わたしの恋はホッチキス』って言うんだよ」

憂「そ、そうなんだ…」

唯「ご馳走さまでした! 今日も美味しかったよ、憂!」

憂「うふふ、お粗末さまでした。それじゃ、お茶淹れるね」

唯「あっ、憂、紅茶にして! 紅茶でお願いします!」

憂「? うん、いいよ」


唯「」カチャカチャ

憂「……」

唯「」クイッ コクン

憂「……?」

唯「ねっ?」

憂「えっ!?(な、何が…?)」

唯「わっかんないかなー。もっかいやるね!」

憂「う、うん」

唯「」カチャカチャ

憂「……」

唯「」クイッ コクン

憂「……」

唯「憂、どう!?」

憂「えっと………………何が?」


唯「もーっ」

憂「ご、ごめんね、お姉ちゃん。私には難しいみたい」

唯「これはね、ムギちゃんの真似なんだ~」

憂「紬さん?(ほんわかした綺麗な人かー)」

唯「ムギちゃんはお嬢様だからね、お茶を飲んでるだけでも絵になるんだよぉ」

憂「ああ、それでお姉ちゃんも優雅にお茶を飲もうとしてたんだね」

唯「そう! 優雅! そんな感じなの!」

憂「うふふ」

唯「優雅かー、憂はいいこと言うなぁ」

憂「頑張ってね(お姉ちゃん、可愛い)」



つぎのひ!

唯「おいっす!」ガチャ

律「おいっす、唯!」ドコドコダン!

唯「!! りっちゃん隊員がもう練習してる!」

律「ははっ、たまにはな」

唯「あわわわわ…」ガクブル

律「それは動揺し過ぎだ!」

律「昨日、唯に言われたアレな、考えてたんだ」

唯「おぉ~! それじゃ、ちょっと合わせてみよう!!」

律「よっしゃ!!」


そのころ!

澪「お、ムギも今から音楽室?」

紬「あら、澪ちゃんもお掃除当番?」

澪「ああ。一緒に行こう」

紬「今日はミルフィーユを持ってきたの」

澪「ああ、いいな。きっと律と唯が首を長くして待ってるだろうから急ごうか」

紬「ええ」


音楽室!

どんたかたんたた! じゃららら~ん!♪


澪「…………………………」

紬「? 澪ちゃん?」

澪「…どうやら部屋を間違ったみたいだ」

唯律「うおぉ~い!!」

澪「ど、どうしたんだ、2人とも!! 何か悪いものでも食べたのか!?」オロオロ

律「くっ、マジで言ってやがる、こいつ」

唯「新曲のイントロ、いい感じになって来たから合わせてたんだよ~」プンプン

紬「うんっ、とっても良かったわ」

澪「な、なんかまだ信じられないけど……それじゃあ、今日はお茶の前に1回合わせてみるか!」

律「一言余計だー!」

唯「余計だー!」

 ~♪~♪~♪

澪「うん、これでばっちりだな!」

紬「ええ、とっても素敵でした」

律「よぉ~し、お茶だお茶だ~!」

唯「お茶だ~!」

紬「うふふ。すぐに用意しちゃうわね」


律「あとはサビの前のブレークだな。もうちょっとカッコよくしたいんだ」

紬「私、今度はコーラスを考えてくるわね」

澪「それじゃあ私は、歌詞を早く完成させないとな」

律「唯は?」

唯「うんっ! このミルフィーユとっても美味しいよ!」

律澪「おいおい」


紬「そうだ、唯ちゃん、見せたいものがあるの」

唯「ふぇ? なになに~?」

紬「ギターのピックを通販してるサイトがあったから、ページをプリントアウトしてきたの」

唯「おぉ~! ムギちゃん、大好き!」

紬「うふふ///」ガサゴソ

澪「あ、私も見たい」

律「あれ? 澪は指で弾くようにするって言ってなかったか?」

澪「でもやっぱり可愛いのがあったら欲しいもん」

唯「わかるわかる~」

紬「きゃあっ!」


唯「ムギちゃん!?」

律「どうした!?」

紬「どうして今日提出したはずの宿題のプリントが鞄の中に入ってるの…?」

澪「ええ? もしかして別のプリントを出しちゃったのか?」

紬「ああっ、本当! 今日もらったプリントがない!」

唯「なぁ~んだ~、びっくりした。そんなの私はしょっちゅうだよ~」

律「自慢になんないぞー」

紬「今から先生の所へ行って、取り替えてもらってくるわね」

唯「えぇ~、ムギちゃんがいないとお茶が不味くなるぅ!」

紬「ゆ、唯ちゃん…///」

澪「こら、ゆーい。わがまま言っちゃ駄目だよ」

唯「じゃあ私も付き合う!」

紬「ええっ、でも悪いわ」

唯「いいのいいの。ほら、行こう!」



……

澪「あ~あ、鞄放り出して、中身が出ちゃってるよ。ふふっ、ムギがこういうの、珍しいな」

律「そうだけどさ。唯にゃかなわないだろうけど、けっこうムギも天然だぜ」

澪「あー、んー、まぁ、ちょっと私もそう思ってた」

律「ははっ、だろー」

澪「あ、プリントアウトしたって、これかな? 勝手に見ていいのかなぁ?」

律「いいんじゃない? おっと、漫画発見!」

澪「こらっ! それは流石に駄目だろ」

律「いいじゃんいいじゃん~、えーと、ゆりひめコミックね…なんだ少女漫画かー」パラパラ

澪「もう、知らないぞ」

律「うおっ!!」

澪「うわあっ!? ど、どうした律?」

律「この漫画……女同士でキスしてる……」

澪「ええっ!?///」

律「って言うか、シちゃってるよ///」

澪「うわぁ…///」



……

紬「ありがとうございました」

唯「終わった?」

紬「ええ。さあ、帰ってお茶の続きをしましょう?」

唯「うん!」


紬「」スタスタ

唯「」ジー

紬「?」スタスタ

唯「」ジー

紬「あの…唯ちゃん?」

唯「」ジー


唯「あわっ、あわわわ」

紬「んもう。どうしたの?」クスクス

唯「あははは、ごめんね。ムギちゃんが歩くたび髪の毛がふわふわ揺れて綺麗なんだもん」

紬「ゆ、唯ちゃん…///」

唯「これがホントのふわふわ時間だね!」

紬「は、恥ずかしいわ。この髪、湿気があるときはまとまらなくて大変なの」

唯「あー、私も私も。私たち、くせ毛仲間だもんね!」

紬「うふふ」

唯「でもやっぱりムギちゃんは特別に綺麗だよ!」

紬「そ、そう? ありがとう///」

唯「私、ムギちゃんがお茶を飲んでるトコ見るのも大好きなんだー、優雅だし!」

紬「そうだったの(だから最近、お茶のときに唯ちゃんの視線を感じてたのね)」

唯「ムギちゃんはお姫様だね!」

紬「お、お姫様って…(なんて天真爛漫///)」



……

律「やっぱムギってそっちの人なのかなー?」

澪「そ、そっちって…?」

律「いやまあ、わかるだろ?」

澪「う、うーん、まぁ、趣味は人それぞれだからな(どっちかって言うと男同士のそういう漫画がメジャーだと思ったけど…)」

律「うん、まあ…」

澪「こういうの読んでるからって必ずしもそうだとは限らないんじゃないか?」

律「そっか」

澪「それに、もしそうだとしても、ムギに変な態度取ったりしたら駄目だぞ」

律「ばっ、そんなことするわけないだろ!」

澪「そ、そっか、ゴメン。律はそんな奴じゃなかったな」

律「うん」


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最終更新:2010年01月13日 00:48