紬「あら? どうしたの? 唯ちゃんとりっちゃん大丈夫?」

純「実はケーキを貰いに来る途中二人が倒れてて」

唯「うーん……」

純「あ、意識取り戻した」

律「ここは……?」

紬「ここは私の別荘よ」

唯「良かった、無事着いたんだ! 私達ムギちゃんにケーキ貰いに来たんだよ!」

純「まさか、こっちのケーキも食べつくす気ですか!?」

律「違うよ、澪と和には悪いことしたから、せめてケーキ持っていってあげようと思ってさ」

紬「そうだったの、そういうことならいくらでも持っていって!」

唯「ムギちゃんありがとー!」

純「……いいのかこれで」

こうして無事澪やぎさんと和やぎさんは冬を越せるだけのケーキを取り戻しました

もちろん、唯タウルスとりっちゃんライオンはこっぴどく叱られました


冬も深まったある日、おさかな憂ちゃんと誰かが話しています

?「でね、その男がまた酷い奴でね!」

憂「はぁ……」

純「憂おはよー」

憂「あ、純ちゃん」

?「この子は?」

憂「私の友達の純ちゃんです」

?「ふーん……」

純「あ、あのー、なんでしょう?」

?「……チャイナ服? いや、あえてのゴスロリ……」

純「あのー……」

?「あ、ごめんね、わたしはさわ子、みんなからは先生って呼ばれてるわ」

さわ子「……別に呼ばれてる理由は年齢じゃないわよ」

純「は、はい!」

みずがめさわちゃんはみんなの先生です

いつもみんなを見守ってくれています

さわ子「あ、憂ちゃん水お願い」

憂「はい!」

でも、ちょっと人使いは荒いです

純「あのー、ところで先生は何の先生なんですか?」

さわ子「そうね……強いて言うなら人生、かしら」

純「それっておb……」

さわ子「殺されたい?」

純「すみませんでした」

さわ子「実は私音楽の先生なの」

純「音楽ですか、私実はベース弾けるんですよ!」

さわ子「まぁ、ちょっと聞かせて」

憂「先生、お水用意できまし……」

純「ベベンベン!」

さわ子「いい感じになってきたわ!」

憂「……いつの間にか仲良くなってる、ふふふ」

純「まだまだー!」

さわ子「その調子よ!」

憂「もうちょっと、そっとしておこうかな?」

みずがめさわちゃんと純ちゃんひつじさんは気が合うみたいです


またある日、おさかな憂ちゃんは悩んでいました

憂「……」

純「どうしたの、憂?」

憂「あ、うん、私おさかなじゃない」

純「うん」

憂「だから冬の間もずっと水の中にいて、実はちょっと寒いんだ……」

純「不便だね」

憂「うん、どうにかならないかなー」

純「うーん……」

純「そうだ! 私の毛を使いなよ!」

憂「純ちゃんの!? 寒くない?」

純「私は大丈夫だよ、だって前刈った毛使えばいいんだもん」

憂「あ、そっか」

純「ちょっと待っててね」

純「できた! 純ちゃん特製耐寒用憂スーツ!」

憂「何その名前~、ふふっ」

純「カッコいいでしょ!」

憂「うん、面白いね!」

純「……あれ、何かずれてる気がする」

純「まぁいいや、早速着てみてよ!」

憂「うん!」

憂「いそいそ……」

憂「あ、これ……水吸って……」

憂「……」

純「縮んじゃったね……」

憂「仕方ないよね、ありがとう」

純「まー処理に困ってたし、小さくなって捨てやすくなったかもね」

憂「プラス思考なんだね」

純「それだけが売りだからね」

憂「そんなことないよ」

純「例えば?」

憂「純ちゃんといると、気持ちが明るくなるよ」

純「それってプラス思考と被ってない?」

憂「あ、そうかも」

純「ま、いっか」

憂「さすがプラス思考だね」

純「へへへー」


冬が過ぎ、季節が春めいてきたころ、純ちゃんにお客さんが来ました

澪「純ちゃん、だったっけ」

純「!? 澪先輩!」

澪「この間は律が迷惑かけたな、ごめん」

純「いえ、いいんですよ、私が勝手に山に登っただけですから!」

澪「実は純ちゃんに手紙が来てるんだ」

澪「……正直運ぶ間に何度食べそうになったことか」

純「え?」

澪「な、なんでもない! 手紙は置いておくからっ!」

純「変な澪先輩……何々?」


『純ちゃんへ この間の毛、フェルトにして有効活用しました。 良かったら何でも作るよ! 憂』

『純ちゃん、さわ子です。 練習はちゃんとしていますか?
 今度あなたのために特別にあるものを用意したので、期待していてください。』

『和です。 この間は唯がお世話になりました。 あなたとは会う機会はほとんどないけど、次会うときもよろしくお願いします』

『唯です、この間はありがとうね。 純ちゃんのモフモフのおかげで助かったよ!』

『特に手紙を書いてまで話すことなんてないけど、これからもよろしくね 梓』

『この間は助けてくれてありがとな! 今度ハンバーグごちそうするからぜひ来てくれよな! 律』

『純ちゃん、紬です また暑い季節になったら毛を刈りに来ませんか? 今度はお茶も用意して待ってます♪』

純「なんかすごい数の手紙ですね」


澪「それと、これは全員から」

澪「純ちゃん、お誕生日おめでとう!」

純「!」

澪「じゃあ私はこれで……」

純「待ってください! みんなにありがとう、って伝えて貰えませんか?」

澪「わかった」

純「……」

今年の春は純ちゃんひつじさんにとって、ちょっぴり自分のことを好きになれた、そんな春でした


おわり



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最終更新:2011年04月24日 01:57