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澪「き、緊張する…」

私は、飛び出しそうな心臓のせいで、思わず呟いた。
でも、ムギは優しく微笑んで、「大丈夫よ。」と、言ってくれる。

二人初めてのデートは、なぜかムギの家になってしまった。
ふと、二人きりの時、私がムギの家に興味を持ったのがきっかけだ。

いまはムギの車の中。
運転手は、前に座っている。
後ろの座席は二人の空間を、執事であろう運転手の人は演出している。

ふと、ムギの方を見る。
ムギもこちらを見ていた。
顔を赤くして、慌てて目を逸らす。
でも、ムギは、逸らさずにこちらを見ているのがわかる。

紬「澪ちゃん。」

小さく。私に聞こえる程度に声をかけてくる。
甘く優しい、感じがする。

き、キスしたいのか?
で、でも、う、運転手さんいるし…。

もう一度、ちらとムギの方を見る。
彼女は、あいかわらずこちらに熱い視線を投げかけている。

ふと、手を握られる。
もう、火照りで顔が爆発しそうだ!

紬「澪ちゃん!」

今度は、耳元ですこし強めに、囁かれた。

澪「ひゃう!」

そんなことは思いもしなかった私は、思わず声をあげてしまう。

「どうかなさいました?」

さすがに、運転手の人も叫び声には反応せざるを得なかったようで、声をかけてくれた。

澪「だ、大丈夫です!」

「もう少しで、到着ですので。」

そう言ってまた、出来るだけ気配を消す。

ムギの方を見る。
ムギは、少し顔を逸らして、唇を尖らせている。

すねちゃったかな?
あまり見られないムギの表情に、少しいとしさを感じていた。


もう少しだったのに!

私は残念に思いながら、澪ちゃんから、顔を逸らした。

車でキス…憧れだったのにな~…。
でも、チャンスはまだまだ一杯ある。
だって私たちはー。

「到着でございます。」

運転手である斎藤は、優秀な執事。
卒なく、私たちのエスコートをこなす。

澪「やっ、やっぱりすごい…」

澪ちゃんは、思わず心の声が表に出ちゃったみたい。
またそこが、可愛いわ~。

紬「やっぱり、唯ちゃんたちのお家と比べたら、大きいわよね。」

澪「私の家の何倍もあるよ!」

紬「そう?じゃあ、お部屋へ行きましょう?」

私はナチュラルに、手を繋いだ。
びっくりして、振りほどかれるかしら。
そんな不安があったけれど、澪ちゃんは、ふりほどかずに、手を握り返してくれた。

澪ちゃんを部屋へ案内すると、またまた驚いて、感嘆の声をあげていた。

澪「本当にすごいな!」

紬「ここは私のお茶を飲むお部屋なの。」

澪「え?!ムギ個人の部屋じゃないのか?」

紬「プライベートルームは、他にあるの。ここは、お茶を飲むお部屋。」

私は驚く澪ちゃんの、可愛さに負け、顔が綻んでしまうのを抑えられない。
はぁ~、澪ちゃん、可愛い!

今日のお茶は、けいおん部には、持ち出せない、貴重なお茶。
だって、好きな人だから。
とっておきのおもてなしをしたいと思ったから。

紬「どうぞ!」

お菓子と共にお茶をテーブルへ置くと、澪ちゃんは、いつもと違うカップ、お茶の匂いに目を輝かせているみたい。
そんな、可愛い澪ちゃんに早くキスをしたい。

澪「お、おいしい!」

紬「本当?よかったわ~」

澪「む、ムギ…お菓子もこんなに用意してくれて、嬉しいんだけど…」

紬「え…?も、もしかして、嫌いなお菓子があった?もしかして、アレルギーとか?!」

澪「ち、ちがうんだ…その…」

どうしよう!そんなことも気づかないで、お菓子を出しちゃったのかしら!
私ってば!

澪「ほら…その、最近…ね?」

紬「え?」

澪「また、あの…増えちゃったから…」

下を向きながら、もじもじする澪ちゃんを抱き締めて、キスしたい衝動に駆られるのは、必然的な気がしました。

紬「澪ちゃん!」

私は居ても立っても居られず、席を立つと、澪ちゃんの手を取って、部屋を飛び出しました。

澪「む、ムギ?せ、せっかくだから、一つくらいいただこうかと思ったんだけど…」

もう!どれだけ、私を困らせるの!
可愛すぎよ!澪ちゃん!

私は澪ちゃんをぐいぐい引っ張り、自分の寝室、兼プライベートルームに連れ込む。
連れ込むって、なんだか、エッチな響よね。

澪「こ、ここがムギの部屋?」

私は澪ちゃんに、無言で頷き返す。

澪「やっぱり、部屋もすごいなー!」

キョロキョロする澪ちゃん…可愛い!

澪「べ、ベッドも…テレビで見たような作りだな!」

紬「一緒にお昼寝しましょう!」

私の頭の中には、澪ちゃんとのキスでいっぱいでした。

澪「え?!」

お、お昼寝!ムギとお昼寝…。
も、もしかして、もうなのか?!
は、早いな…思ったより…。
こ、心の準備がまだ…そ、それよりお風呂は入りたい…緊張のせいで汗かいてるし…。
でもそんなこと言ったら、あからさまになる…。

紬「お昼寝…いや?」

澪「いやじゃないよ!で、でも…」

ムギは、首をかしげている。
その姿も可愛い!…じゃなくて、やっぱりそうだよな…。

澪「そ、その…お風呂に入りたいなー…なんて…」

我ながら、よくこのセリフが出てきたなって、思った。

やっぱり、お風呂もすごかった!
私は今日、この表現を何回使ったのだろう。

ホテルのような広さの脱衣所に、並のホテル以上の、浴室。
思わず、はしゃぎたくなるような、広さの湯船。
唯とか律が居たら、泳いで回りそうだな…。

そんなことを考えていると、背後の気配に気づかなかった私は、ムギの突然の抱きつきに、めちゃくちゃ驚いた。

紬「み~おちゃん!」

澪「うひゃあ!!」

紬「ご、ごめんなさい!そんなに、驚くとは思ってなかったわ」

澪「わ、私もごめん!他のこと考えてたから…」

紬「…他のことって…?」

少し拗ねた顔をするムギ。
可愛い。すっと、抱きしめる。

澪「ほら、唯とか律が居たら、この湯船を泳ぎそうだろ?」

ムギはクスクスと笑って、「そうかも。」と、言った。

お互いにシャワーを浴びて、浴室をあとにした。
時折見える、ムギの身体に、お風呂に誘う以上にドキドキした…。

もう、シャワーも浴びたし…覚悟はできた…。
貸してくれたバスローブは、どことなくエッチな雰囲気を醸し出している。

二人とも何も言わずに、ムギのベッドに横たわり、見つめ合う。
しーんとした。二人以外に誰も居ない空間。

なんの気なしに、お互いに手を握る。
ぐいと、二人の距離が縮まる。

吐息がお互いの顔にかかる。
二人の距離はさらに縮まる。
ここまできたら、待ったはなし。

お互いの存在を確認し合うように、熱く甘いキスをする。
絡ませたてを解き、お互いを抱きしめる。

紬「うふふ…また澪ちゃんと、キスできたわ。」

澪「うん。」

紬「やっぱり澪ちゃんは、スタイルが良い!」

澪「な、なんだよ、突然?」

紬「だって私は…」

澪「そんなことないよ!ムギの身体はなんか、ふかふかしてるというか…抱きしめると、ほっとすると言うか…」

うまい表現が浮かばない。
こういう時にこそ、作詞の腕がひつようなんじゃないか?!

紬「うふふ…ありがとう。澪ちゃん。」

ムギは、天使の様な微笑みで、笑いかけてくれる。
思わず、ほっぺにキスをする。

紬「あ…!」

澪「え?嫌だった?」

紬「キスするなら、ここに…」

ムギは誘う様に、唇を指で指す。

澪「うん…。」

私はその誘いに乗って、また唇に優しくキスをする。

紬「もっと…して?」

上目遣いのムギは本当に、本当に可愛かった。

だめ!もう耐えきれないわ!
キスをする度、澪ちゃんの身体の、まだ誰にも触られていないであろう、綺麗な部分に触りたい。
そう思ってしまう。

お風呂に入るって言ったのは澪ちゃんだし…そういうことも大丈夫…よね?

キスに夢中な、澪ちゃんには悪いけど、私には限界…。

澪ちゃんの肩に回していた腕を、そっと澪ちゃんの胸に添える。
少しピクッと身体が反応したけど、拒否反応ではない。

バスローブの上から、優しく優しくもみほぐす様に…

澪「あっ…」

キスをする時とは違う。大人っぽい吐息が、口から聞こえてくる。

澪ちゃんも、私の胸に手を添えている。
吐息が、漏れるのも仕方がない。
むずがゆいというか、なんというか…。

他の人に触られるというのは、こういう感覚なんだ…。
好きな人に触ってもらえるという感覚は、こういうかんじなんだ…。

澪ちゃんの、バスローブを脱がそうとしたところで、澪ちゃんの抵抗が現れた。

澪「く、暗くして欲しい…」

紬「…そ、そうよね。明るいもんね。」

途中で、留まるのが勿体無い気もしたが、確かに明るい中では恥ずかしい。
恥ずかしがる澪ちゃんもやっぱり可愛い…もう、こう言うのは、しつこいかな?

カーテンを閉めても、まだお昼時ということもあって、あまり暗くならなかった。

澪「く、暗くならないな…」

紬「うん…」

澪「私から、誘ったみたいだけど…もうちょっとまっても良いかな…?」

残念だけど、仕方がない。
私は、頷いて、澪ちゃんにキスをする。
また少し唇を重ね合うと、お互いにだきしめいながら、本当にお昼寝をしてしまった。

目が覚めると、真っ暗な中、私は目を覚ました。
思った以上の寝心地に、もう一眠りしてみたいと思ったほどだ。

ムギはまだ、腕の中で眠りについていた。
可愛らしい寝顔に、思わず額にキスをする。

そのキスでムギは目が覚めてしまったらしい。
ムギはえへへと、微笑むと、「ぐっすり眠っちゃったわ。」と、言った。

澪「今なんじかな?」

ムギは、身体を起こして、時計があるのだろう、そちらを向いて、「五時すぎだわ。」と、言った。

澪「そっか…案外寝たなー。」

紬「澪ちゃん!今日はどうするの?」

澪「ど、どど、どうするとは?!」

それは、これなら、どんなプレイを…って、何考えてるんだ!私は!

紬「明日は、おやすみだから、泊まっていかない?」


お泊り…!
そしたら、時間無制限…って、そんなこと!

澪「マm…お母さんに、聞いてみるよ!」

許してくれるだろう。メールを打って送信すると、ドアから、ノックの音がする。

「紬さま。お夕食のお準備の時間でございます。」

紬「あ、そうか…そうだったわ!」

澪「え?まさな、夕食の準備を手伝うとか?」

紬「そのまさかなの!お父様が、料理を習った方が、良いって…」

過保護すぎて、包丁も握らせないくらいかと勘違いしていて私は、思わず笑ってしまう。

紬「どうしたの?」

澪「ううん。なんでもないよ。ムギの手料理、食べたいな。」

そう言い終わるや否や、二度目のノックがなる。

紬「今行きます!じゃあ、ここで少し待ってて。何もないけど…DVDがあるから、それを見ても良いから!」

澪「うん。楽しみにしてるな。」

私はそう言って、ムギを送り出した。

もう!これからだったのに!
暗くなったら、澪ちゃんは、本格的に私のものに…!

って、いけないいけない…余計なことを考えてたら、お料理で怪我をしちゃうわ!
澪ちゃんもたのしみにしてくれたし…。

「紬さま。今日はお客様がお見えだそうで。」

紬「そうなの!だから、腕によりをかけたいの!」

「では、得意料理をお作りになられては?」

紬「そうね!そうするわ!」

今日の私は、いつも以上に張り切っている。
その張り切りの裏の気持ちに、きっと、誰も気づくことはないだろう。

私たちの恋愛は、他人から見たら、異質なのだから。


最高潮の気分が、一気に降下するとは、思わなかった。
澪ちゃんは、明日、お家に都合ができ、今日中に帰らなければならなくなったのだ。

澪「ごめんな…」

紬「ううん。良いの!」

澪「うん…」

紬「そんなお顔で食べても、折角のお料理が台無しよ!澪ちゃん!」

澪「あ、ご、ごめん!」

紬「…どうかな?」

得意料理を口に運んだ澪ちゃんに、問いかける。
がっかりしたのは、私も一緒だ。
でも、ここでがっかりし続けても仕方がないわ。
時間はまだまだある。
二人の空間を作れる時間は。

澪「おいしい!もし良かったら、レシピを教えてくれ!」

紬「うん!喜んで!」

私たちは、お互いに食べさせあったりして、食事を楽しんだ後、また学校で会おうと、キスをした。
一日会えない分、少し長めに、熱く、甘く。



終わります



最終更新:2011年04月24日 21:38