カチカチッ!

「どもー……おはようございまーす……」

「えっと……私はいま、あずにゃんの、寝室にきてまーす」

「ほれ、こんな感じ」

がサガタガタタ


唯「へったくそだなぁ」

唯「なんなのこれ」


「あずにゃんはいったいどんなふうに寝てるんでしょー」

「ま! 私が一番よくしってるけどね! えへへー」


唯「私もよく知ってるもん!」


「そろーり、そろーり」

「あずにゃんさーん、朝ですよー」

「むふふ、めちゃくちゃ寝てる……すぴー! だって」

「んぅ……ん……」

「あずにゃ~ん……朝だよー」

「ん、ぁ……?」

「まだお眠かなー?」

「……すーすー」

「こうなんていうか、あずにゃん相手だと……緊張感ってのがないね!」

「すーすー」

「はい、カメラとちゅー♪」

ガサガサ! ガタタ!

「んぅ……んああああっ!!」

ガタガタガタタタ


唯「うわ、うるさっ……びっくりしたぁ……」

唯「なに考えてるの」

唯「あずにゃん完全にいやがってるじゃん……」


「むぐ……なんあんですか…・・」

「おはようございまーす」

「んにゃ……は?」

「寝ぼけ眼を激写!」

「にゃ! ……なにとってるんですか」

「寝起きあずにゃん」

「むぅ……」

「はいカメラにむかって!」

「……?」

「おはようだよ」

「あぁ……おはよーございます……」

「ほい。いい絵がとれました!」

「……? まだ寝てていいですか? 6時間しか寝てないんですけど」

「うーん、いまいち反応が薄いなぁ。もっと怒ったりびっくりしたりすること思ったのに」

「……ふぁ……もうこういうの、慣れましたんで」

「なんだかホントに眠たそうだね」

「ところで先輩なんで私の部屋いるんですか」

「えー、鍵あいてたから」

「そうですか……ふぁ……」

「夜更かししたの?」

「ちょっとだけ宿題してましたので」

「ふーん、合宿きてまで真面目っこちゃんだね」

「だから寝ます。おやすみなさい」

「えー……」

「おやすみなさい唯先輩。今日はいっぱい練習しますからね」

「……むぅ」

「zzz」

「寝顔かわいい……ほらほら起きないとじゃかじゃか撮るよー」

「zzz」

「……はぁ……なんか一人テンション高くて虚しい……いいや、澪ちゃんたちの寝顔でも撮って遊ぼ」


唯「なにこれ……なんでこれがハメ撮りフォルダに入ってるの。詐欺じゃん」

唯「続きあるのかな……え、残り再生時間1分……?」


「はーい私はいま澪ちゃんの部屋の前にきています」

「ふっふっふー、いったいどんな恥ずかしい寝顔をしていることやら」

「うさちゃん抱いて寝てたリねー」

「さぁいざ禁断の扉の向こうへ……!」

ガチャ ガチャガチャ……

「あれ……開かない……」

ガチャ…ガチャガチャガチャガチャ!

「あーかーなーいーーー!! あーかーなーーーい!」

カチッ ガチャ!

「あ、開い」

「律ぅ! 朝っぱらうるさいぞ!!」ゴチン!

「ふぅええええっ!!」

「えっ、ゆ、唯!? ご、ごめんつい」

「えーん」

「ってなんだそのカメラ!!」

「ごめんなさーい!」

プツリ


唯「……これは……削除できないね」

唯「ていうか思ってるのと全然内容ちがった……」

唯「あれー、寝起きのあずにゃんとえっちする動画どれだったかなー」カチカチ

唯「タイトルつけてないからわかんないー」

唯「何年前かも何月かも覚えてないや」

唯「だめだなぁ、ちゃんと日頃から整理しないと……」

唯「これだからいつまでもあずにゃんにうるさく言われちゃうんだ」

唯「……ま、そこはご愛嬌~♪」

唯「さてと、青春フォルダに移したし。そろそろまともにえっちなのがみたいなぁ」

唯「んー、っていっても動画ファイル名が数字の羅列じゃねぇ……」

唯「んー……」カチカチ

唯「やっぱパソコン重い……」

唯「あっ」

唯「もしもしピエロ?」

唯「もしもしピエロってなんだっけ」

唯「あ、ラブホだ」

唯「そうそうこれだよこれ私が見たかったやつ」

唯「ラブホえっち動画だよ!」

唯「うんうん。いつ行ったか忘れたけど期待できるね」


カチカチッ

唯「再生スタート♪」


「ほんとにここ入るんですか?」

「だってもう泊まる所この辺ないし」

「うーんでもここって……お城?」

「ラブホ!」

「知ってますし!」

「いいじゃんいいじゃん。そんなしないよ」

「お金のこと言ってるんじゃないですよぉ」

「女の子同士でも入れるって聞いたよ?」

「そういうのでもありません」

「じゃあなあに? 年齢も平気だよ?」

「……入ったら絶対えっちするでしょ」

「…………」

「する気でしょ」

「……する……かもね!」

「……私今日あんまりそういう気分じゃないんですけど」

「ひどいっ! 愛しの唯ちゃんとはえっちできないっていうの!?」

「カメラとめてくれたら考えてあげてもいいです」

「カメラはほら。もう私の体の一部みたいなもんだから」

「……」

「呆れてる?」

「いーえ。もうそのカメラに付き合いだして一年と……二ヶ月くらいですか?」

「うーん、そんなもんかな?」


唯「あーもう! いいから早く入ってえっちしなよ」

唯「あ、ていうかこれ案外最近だ……」

唯「これこのときは気づかなかったけどもうちょっと歩いたらビジネスホテルあったんだよね」


「ほらいくよー」

「ちょ、ちょっとぉ……引っ張らないでください」

「ラブホ~ラブホ~ラブラブホテル~♪」

「恥ずかしい人……はぁ」


唯「やっと入った……」

唯「そいやここアイスがおいしかったようなー」

唯「あれ? 違うとこだっけ」

唯「なんかもうラブホもいっぱいいったからわかんないや」


「えっとねぇまずこのパネルで空いてる部屋みてー、それでーボタンをねー」

「もう部屋どこでもいいでしょ。寝るだけなんですから」

「寝るだけ? えっ? え? 寝るだけ!?」

「寝るだけです」

「うえーん……」

「はい。この部屋でいいですね。ほら行きますよ」

ピッ

「ちょ、ちょっとあずにゃん……」

「なんです?」

「もっとムードを……」


唯「またちょっと早送りしようかな……」

唯「もうさっきからずっと生殺しでムラムラしてきたし……」

唯「……」カチカチ

唯「あっ、えっ、ストップ!」


「んちゅ……んっ」

「えっ、あずにゃ……」

ガサガサガタタ

「ちゅ、ちゅぅ」


唯「うわー……部屋入った瞬間おっぱじめたね……」

唯「しかもあずにゃんからなんて……えっろー……うわぁーすごい音立ててる……」

唯「この時の私はそんなあずにゃんとえっちしたんだ……ほふぅ……」


ちゅるっ、ちゅぱ、んちゅ……ちゅちゅ、ちゅう

「んっ……んぅ……あっ、なんなのあずにゃん」

「カメラとめてください」

「えっ?」

「ね?」

「や、やだ!」

「……ちゅ」

「んぅ……どしたの? なんかやけに情熱的だね」

「……さっきのライブで、すこし興奮してて」

「……えへっ。やっぱりしたかったんじゃん」

「……する」

「ほら、ちゃんとベッドいこ?」

「……カメラ」

「うん、ちゃんと置いてするから」

「絶対絶対ですよ!? ちゃんと……してくださいね」

「ほいほい。お姫様」

ガタタ

「置いたよ。あ、ちゃんと映ってるかな」

「もうっ、カメラなんていいでしょ!!」

「ま、まってぇ、ん……ちゅ……」

「ちゅぷ、ちゅるっ。んちゅ……」

「んっ、ヘアピンだけ先はずさせて」

「ちゅ、ちゅる……」

「んー、ちゅうしすぎー」

「ゆいっ……ねぇはやく……ちゅぅ、ちゅ」


唯「ハァ、はぁ……あずにゃんが、あずにゃんが……自分から」

唯「うへ、うへへ。たまにあずにゃんすごい発情するんだよねぇ」

唯「いいなぁ。この時の私いいなぁ……」


「ちゅ、ちゅぅぅ……ちゅぷ」

「んんちゅ……ちょっと……ちゅうばっか……しすぎ……んちゅ」

「ゆいっ……すき……好き……」

「さっきは気分じゃないっていってたのにー」

「それはだって……」

「だって?」

「唯をみてると……とまらなくなっちゃいそうだから……」

「あ、あずにゃん……あずにゃ~ん!!」

ちゅるっ、ちゅ、んちゅ……

「ゆいっ。もっとちゅうして! ちゅう、ちゅう欲しいです!」

ギシギシ


唯「ちょ、ちょっと……ちゅうだけで激しすぎだよ……」

唯「あわわわ。カメラが揺れてる……なんでこんな端っこに置いちゃうかなぁ」

唯「横の机とかにおけばいいのに……ってあああああ!」

ガタガタガタタタ

ゴトン! ゴン! 

唯「ほらね。落ちちゃった…………以降音声だけで70分もお楽しみくださいってことなのかな……?」

唯「……にしても音も微妙に拾ってないなぁこれ……」

唯「イヤホンしたら聞こえるかな」

キュポ

唯「……」


「や、だめ……あずにゃん……んっ」

「……どうです?」

「そこぉ……は……」

「唯の匂い……好き」

「や、やめてヨォ……んんっ」

「家じゃないから、声我慢しなくていいんですよ?」

「あん、あずにゃ、ああんっ、やっ、んぅ……」

「ほら、すごい濡れてます……」

「やっ、んっ……あっ、あああん、あずにゃ……」


  • 20分後-

唯「なんで自分が喘いでる音声を延々と聞かなきゃならないんだろ」

唯「しかもあずにゃん全然しゃべらないし」

唯「ついに水音と私の甲高い声しかしなくなった……」

唯「なんなの!なんなの!なんなの!」

唯「もぉー、せっかく気分高まってきたのにー」

唯「ってそういう目的で動画整理してるわけじゃないけど……」


「あ、カメラ落ちてますね。確かここ置いてましたよね?」

「んぅ……そう?」

「ほら、あ、やっぱり落ちてました」

ガサガサガタタ


唯「ナイスあずにゃん! そう、そのまま横の机にってあれ……」


「たまには私が撮ってあげますね♪ 唯のえっちな顔♪」

「んっ、あずにゃん恥ずかしいよぉ……」

「いつも私にやってることですよ?」

「なんか、変な感じ……えへへ」

「さぁ、続きしましょうね。いっぱい可愛い顔撮ってあげますからねー」



唯「……」

唯「……停止停止停止停止」カチカチカチカチカチカチ


唯「ふー……ヤな動画だった!」

唯「このまま見続けたら新しい扉をひらいてたかもしれない」

唯「自分のエロ動画とか保存する価値すらないでしょ。即削除候補だね」

唯「私はあずにゃんのえっちな動画がみたいだけなのに……」

唯「なんでこんなに運が悪いんだろう……」

唯「うぅ、時間もあんまりないよぉ……」

唯「次は適当にコレ」カチッ


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最終更新:2011年04月26日 20:37