紬「律まくら、澪まくら、あずまくら…」
紬「やっぱり平沢まくらが一番かしら?」
紬「いつだったか唯ちゃんが言ってた…」
紬「そう!『あったかあったか』!」
紬「…一度でいいから試してみたいわぁ~」
紬「それだけじゃないわ…!」
紬「和ちゃんののどまくら…」
紬「彼女も合わせると…右に唯ちゃん左に憂ちゃん」
紬「上に和ちゃんで下にベッド……いや…」
紬「下に『ペット』で梓ちゃん!」
紬「これは!!」
紬「これは完璧な布陣!」
紬「かの諸葛亮孔明も敵じゃないわ!!!」ムッギュウウウウウン
紬「…ああ!?」
紬「でもこれだと澪ちゃんとりっちゃん、純ちゃんとさわ子先生までが仲間はずれになっちゃう!」
紬「そんなのダメよ」
紬「みんな仲良く」
紬「でも…」
紬「すでに上下左右の枠は埋まってるし、あと4人なんてどうすればいいのかしら…」ムギュン
紬「…あら?」
桜「サックラーヒラーヒラーマイーオチーテ」ヒラヒラ
紬「きれい……」
紬「は!!?」キュピーン
紬「観賞用!!」
紬「そう!無理に乗せる必要は無いの!」
紬「見るだけでも十分しあわせなのよ!」
紬「昔の人はちゃんと気づいていたのね…」ムギュウ
紬「しかし、見るとしても…」
紬「りっちゃんと澪ちゃんは比較的絡ませやすいわ…」
紬「でも…」
紬「純ちゃんとさわ子先生は…うーん……」
紬「これは難しいわね…」ムギギ…
紬「お布団(上下左右の配役)を変える必要があるのかしら…?」
紬「現在の布陣は、上=和、下=梓、右=唯、左=憂、観賞1=律澪、2=さわ純」
紬「うーん…」
紬「よく考えたら『下』ってないわよね…」
紬「しかも梓ちゃんじゃいくらなんでも可哀想だわ…さびしいけど」
紬「とりあえず、梓ちゃんとさわ子先生のポジションを入れ替えてみましょう」
紬「そして…」キュピーン
ム ギ ビ ジ ョ ン 発 動 !
説明しよう!ムギビジョンはムッギュウウウウウウウウウウウウン!!
紬「まずお風呂上りの私(←ここ重要ね)がさわ子先生の上に寝そべる」
紬「左右から唯ちゃんと憂ちゃんにサンドしてもらって、和ちゃんに被さってもらう」
紬「そして、りっちゃんと澪ちゃん。純ちゃんと梓ちゃんのカラミを見て…」
紬「安らかに眠るの…」ウットリ
紬「……!…!」ムフー
紬「すごい!すごいわ!」
紬「なん…え!?なんなのこれ!?」ムッフー
紬「ああ…ん、んん、んっああああ!!」
紬「一度でいいから試してみたいわ…」
紬「とにかく…」
紬「とにかくやってみなくちゃわからないわ…!」
紬「そうと決まればターゲットの八人を落とすのよ!!」
紬「斎藤!!斎藤ぉ!!さいtp@p@--っ!!」
紬「斎藤はお父様の付き添いでいないんだったわ…」
紬「良く考えたら斎藤にはなんのメリットもないし…」
紬「でも…私一人でできるかしら…?」
紬「…ううん、大丈夫よ紬。負けちゃだめ」
紬「私一人で築いてこそ、ユートピアはユートピアたるのよ」
紬「でも八人は多いわね…」
紬「ロックマンのボスの数と一緒だわ」
紬「まだワイリーがいないだけましだけど」
紬「…よし」
紬「まずはお布団(唯憂さわのど)の四人を落としまっす!」
紬「がんばりまっす!!」フンス
平沢家
紬「ぴんぽ~ん♪」ピンポーン
オネエチャーンチョットテガハナセナイカラデテクレルー?
ウイウイー
唯「は~い」ガチャ
紬「お、おはよう唯ちゃん」ドキドキ
唯「あれ?ムギちゃん?どうしたの急に、遊ぶ約束してたっけ」
紬「えーっとね、唯ちゃん、あのね…(しまったわ…)」ドキドキ
紬(攻略法もないままに来てしまった…)ムギュウーン…
唯「ふ?」
憂「どうしたのお姉ちゃん…あれ、紬さん?」ヒョコ
紬「!?(憂ちゃんまで!!)」
紬(どうしよう…何の装備も無しに一気に二人を相手取るなんて…!)
紬(これじゃロックマンの方がマシだわ!)
紬「お邪魔しまーす」
唯憂「いらっしゃいませ~♪」
紬(とりあえず家にあがらせてもらったわ…そして、ここですかさず…!)
紬「ごめんなさい、ちょっとおトイレ借りてもいかしら…?」モジモジ
唯「え?あ、どうぞどうぞ~…さっきちょっと様子がおかしかったのはおトイレ行きたかったからなんだね」
紬「そ、そうなの~。いきなりごめんね?」
唯「いいよいいよ」
ガチャバタン
紬「…ふう」
紬「なんで私こんなことしてるのかしら…」
紬「いくらなんでもロックマンのボスと友達を一緒にするなんてどうかしてるわ…」
紬「こんな休日の朝から約束も無く押しかけて…」
紬「なんて言うつもりだったの?紬!」
紬「『欲望を満たすために一緒に寝て頂戴』とでも言うつもりだったの!?」
紬「そんな台詞…」
紬「そんな台詞、玄関開けてすぐの唯ちゃんのキョトンとした無垢な顔でぜんぶ吹き飛んだわ…」
紬「それに、平沢姉妹と和ちゃんは、なんていうか、妙に肉付きが良いと言うか…」
紬「一言で言うと」
紬「えっちぃ」 ウフフーアハハー
紬「でもやっぱり、そうじゃないのよね…」 キャッキャッ
紬「そうだわ、こんなことやめて、今日はお泊りしていいか頼んでみよう♪」 オネーチャーン ウイー
紬(騒がしいわね…)
紬「そろそろ出ないと怪しまれちゃうわね」 ホレホレー オネ…チャ…
ジャーゴボゴボ
紬「お待たせー。ごめんね急に…」ガチャ
唯「ほれほれーこちょこちょこちょー」コチョコチョモミモミ
憂「ああ…ん、あ…おねえちゃ…そんな…つむぎさ…んあ、んぅ…きてるのにぃ…」
唯「大丈夫だよ憂~♪ムギちゃんは時間かかりそうだし、今のうちにさっきの続きといこうではないかー♪」クリクリ
憂「ああ!!ぁ…はぁ…おねえちゃあん…」
紬「?」
紬(な…)
紬(何が起きてるというの…!?)
紬(自信満々で事に興じてるけど読みが外れてる唯ちゃん可愛いとか)
紬(口では抵抗しつつも体は正直…いや、むしろ喜んで受け入れてる憂ちゃん可愛いとか)
紬(そんなの問題じゃないわ!)ムギュン!
紬(ここまで見せ付けられたら私も黙っていられないわ…)ワナワナ
紬(私も腹をくくるわ!)ババッ
カチ カシャッ!
唯憂「!!?」
紬「そ、そこまでよ、二人とも」ゲェーン!
唯「む、ムギちゃん!?」
憂「あ…ああ…」ガクガク
紬「二人の情事はこのケータイに収めさせてもらったわ」
紬「そして…」カチカチ ピロローン♪
唯「あ、な、何してるの!?」
紬「…私のPCに画像を転送したの」
唯憂「!?」
紬「これで私からケータイを奪っても意味がなくなるわ」
唯「そんな…」
憂「お…おねえちゃあん…」
唯「ひ、ひどいよムギちゃん!どうしてこんなことするのっ!?」
紬「『どうして』?なんで『どうして』なんて言葉が出てくるのかしら」
唯「あ…う…」
紬「友達そっちのけで事に及ぶなんて、しかも姉妹で…」
紬「そんな興ふ…いえ、驚愕の現場を見てしまった私の気持ちも考えてよ!」
憂「うう…グス」
紬「恐らく、あなたたち姉妹はこんなこと、つまり、友達や家族に見られるかもしれないという背徳的な状況での行為を何度も繰り返してきたんだと思うわ」
紬「なんていうか…唯ちゃんの余裕ぶりとか、憂ちゃんのリアクションとか考えると…」
紬「幼いときからずっと…違うかしら?」
唯「うう…その」
紬「そして憂ちゃん」
憂「……はい…」グスグス
紬「あなた、この状況も楽しんで…いや、悦んでいるでしょう?」
憂「…!!!」ギクギクビクーン!
唯「え…?」
憂「ち、ちが…わたしそんなんじゃ…!」
紬「さっきまでの憂ちゃんが考えてたこと、当ててみる?」
憂「え…」
紬「『ああ…ついに、ついに見られちゃったよお…写真まで撮られちゃうなんて、私これからどうなっちゃうんだろう。でもお姉ちゃんと一緒ならどんなところでも天国だよぉ。ああ、それにしても紬さんに立ち向かうお姉ちゃん可愛い…♪』」
唯「…」
憂「…」
紬「…」
憂「合ってます…一言一句…」
唯「うい…」
紬(合ってたんだ…)
紬「と、とにかく!写真を預かってるからには二人には私の言うことを聞いてもらうわ」
唯「わ…わかったよう…それで、何をすればいいの…?」
紬「え、え!?あ、えっと…ま、まだ何もしなくていいわ」
唯「え?」
紬「でも用ができたら二人にも協力してもらうから、その時まで…えっと…仲良くしててね」
紬「少なくとも写真は流出されるとか、見せびらかすような真似はしないから安心してちょうだい」
唯「う…うん。ありがとうムギちゃん」
紬「え、ええ…どういたしまして…(なんかお礼言われた…)」
憂「ありがとうございます。紬様」
紬「いいのよ…(憂ちゃん…様って…)」
公園
紬「…はぁ」キィコキィコ←ブランコの音
紬「本当に私何やってるんだろう…」
紬「友達の家に勝手にお邪魔して、おトイレ借りて…」
紬「写真撮って脅して…」
紬「これ…もしかして私逮捕されちゃうのかしら…?」
紬「そんな…そんなの嫌よ…」
紬「私はただ、みんなと一緒に寝たかっただけなのに…」
紬「というかあの状況なら…」ポワンポワン
紬『そこまでよ二人とも!私も混ぜて!』
唯『うん!いいよー♪』
憂『一緒に気持ちよくなりましょう♪』
アハハーエヘヘーウフフー…
紬「こっちの方が遥かに理想的だわ…」
紬「何より私は悪役になりきれないわ…」
紬「勢いでなんとかなっちゃったから良かったものの」
紬「憂ちゃんが泣いてたのは辛かった…」
紬「…」
紬「でも憂ちゃん、私に言葉を向けられるたびにビクビクってしてたから途中からこっちも興奮してきちゃったのよね」
紬(帰る間際、玄関の隙間から見えた光景…)
憂『おねえちゃあん…』ギュッ
唯『憂…』ギュッ
紬「…」ムフー
紬「これからは私が頼めばあれ以上のことを目の前で…いえ、私も一緒に!」ムッフー
紬「そして他の皆も!」ムッハーシュシュポポ
紬「…はっ!?」
紬「ダメよ紬!こんなことのために友達を悲しませるなんて…」
紬「誰かが言ってたわ。『悲しみの連鎖は誰かが止めない限りいつまでも続くんだってばよ!』って…」
紬「私が…私がこの悲しみの連鎖を止めないと…」ムギギ
和「…あら?」
紬「…」ムギギ
和「…ムギ、どうしたの?」
紬「えひゃ!?あ、わ、の、和ちゃん!?」
和「そんなに驚かなくても…よほど集中してたのね、何か悩み事でもあるの?」
紬「え?い、いや…あのね?」
紬(言えるわけ無いわ…あなたの幼馴染の情事を写真に収めて脅したなんて)
和「うん?」
紬「えと…やっぱりなんでもないの!」
和「…そう?それなら無理には聞かないわ」
紬「ごめんね?」
和「いいのよ。ムギなら他にも話しやすい人はいるでしょうし。もちろん、私にも話す気になったらいつでも相談して頂戴」
和「それに…あなたたちには唯が世話になってるから。こうやって、私は私のできることで軽音部の力になってあげたいの」
紬「う…」グサッ
和「ムギ?」
紬(心が痛いわ…話を変えないと)
紬「う、ううん、大丈夫。それより和ちゃんはどうしてここに?」
和「私は、ちょっと書店に。参考書をね。この公園は近道なのそうしたらムギが頭抱えてブランコ漕いでたから…」
紬「そうだったんだ…(他の人からはそう見えてたんだ…気をつけなきゃ)」
和「ふふ…でもね、ムギがこの公園を選んだ気持ち、分かるわ」
紬「え?」
和「ここって人通りも少ないし、穴場?っていうのかしら。気分転換にはちょうど良いのよ」
紬「…」ボー
紬(ただふらふらっと辿り着いただけなんだけど…そう言われてみると)
チュンチュン
クルッポー
紬「良い所ね…」
和「この公園はね、昔唯と憂と私の三人で良く遊んでたの…」
紬「!!?」グサグサ
和「ちょ、ちょっとムギ?」
紬(せっかく落ち着けたのに…)ドキドキ
和「…あなた、唯とケンカでもしたの?」
紬「え…」
和「さっきから唯の話題になるたび急に顔色が悪くなるわ」
紬(さすが和ちゃん…するどい)
和「さっきは嫌なら話さなくていいと言ったけど、事情が事情みたいだしできれば教えてほしいの」
紬「和ちゃん…」
和「高校生活だってあまりもう長くないし、こういうことは引きずらないほうがいいわ」
和「唯と律はまだ進路決めてないみたいだし、しがらみを残したまま別れる。なんてことも、このままだとありえないとは言い切れない」
和「できるなら早いうちに解決したほうがいいわ…文化祭、受験が控えてるのに、長引かせるのは良くないわよ」
紬(和ちゃん…唯ちゃんだけじゃなく、軽音部全体のことをそこまで考えてくれてるなんて…)
紬(でも…ごめんね和ちゃん)
紬(何で悩んでるかなんて言 え る 訳 無 い じ ゃ な い !)ムギギ
和「ムギ…?」
紬(…よし)
紬「ありがとう和ちゃん。でもごめんね、この問題は一人で解決したいの。私一人で立ち向かわないと意味が無いの」
和「…」
和「…そう、そこまで言うなら、私が言うことは何もないわね」
紬「和ちゃんのお陰よ。私、必ずなんとかしてみせるから!」
和「そんな、私は何もしてないわ」
紬「謙遜しなくってもいいの。今回だけじゃなくって、私達、和ちゃんにはいっぱい助けられてるんだからっ」
紬「だから、ありがとう」ニコ
和「…ふふ…参ったわね」テレテレ
紬「!(和ちゃんが照れてる…これはかなりレアなんじゃないかしら…)」
和「私は…ほら、あの…」
紬「?」
最終更新:2011年04月28日 20:43