同時刻、リビング
澪「律はテーブルを拭いて。唯は雑誌を片付けて。ほら、早く」
唯「澪ちゃんは、合宿に来ても真面目だね」
澪「これが普通なんだ。何より私達は、ムギのお世話になってるんだぞ。その事も踏まえて行動をしないと」
唯「田舎のお祖母ちゃんちに来たみたいにくつろぐのは?」
澪「どこにお祖母ちゃんがいるんだ」
律「小姑はいるかもな」
澪「お前という奴は。・・・唯、ちょっと押さえてろ」
唯「りょーかいです」 がしっ
律「ひ、平沢さん?あ、秋山さん?ほら、テーブル。テーブル拭かないと」
澪「問答無用。言っても分からないなら、体で教え込んでやる」 もみもみ
律「ば、馬鹿っ。ちょっと、本当っ。やだってっ♪」
唯「二人とも、仲良いねー」
律「そ、そういう状況かっ。むひゃーっ」
梓「片付け終わり・・・。律先輩、どうしたんですか?」
律「穢された。穢されちゃったよ、中野さん」 ぐったり
梓「良く分かりませんけど、汚れたならお風呂に入ったらどうですか」
紬「お風呂は命の洗濯っていうものね♪」
唯「サウナはともかく、お風呂は楽しみだー♪」
澪「だったら今日はお風呂に入って、早めに寝るとするか」
唯「あずにゃん、あずにゃん。洗いっこしようか」
梓「しませんよ」
唯「だったら、アララーイって叫ぼうか」
律「どこのローマ人だよ、お前は」
コテージ離れの温泉
律「あー、くつろぐー」
澪「手足を思いっきり伸ばせるのは気持ち良いな」
梓「少しぬるめで、ずっと入っていられますね」
紬「冬だと雪がちらついて、とても綺麗なのよ♪」
梓「それは風情がありそうですね。・・・唯先輩?」
唯「ういー、アイスー」 ぐったり
律「早いよ、お前は」
澪、紬、梓「あはは」
翌早朝
澪「・・・朝か」 のびー
梓「澪先輩、おはようございます」
澪「ああ、おはよう。みんなは、・・・まだ寝てるみたいだな」
梓「昨日は結構疲れましたからね」
澪「起こす時間でもないし、散歩にでも行こうか」
梓「はいです」
コテージ周辺、散策路
ちゅん、ちゅん
澪「少し寒いくらいだな」 ぶるっ
梓「昨日までの暑さが信じられませんね」
澪「全くだ。・・・あれ、ウサギか?」
梓「あ、本当にっ。野生のウサギなんて、初めて見ましたよ」
澪「ウサギはウサギで頑張ってるんだな」
梓「え?」 びくっ
澪「・・・ちょっとはしょりすぎたか。つまり普段なら、私達はまだ寝てる時間だろ」
梓「確かに、そうですね」
澪「でもウサギはこんな朝早くから起きて、食べ物を探したり敵から逃げたりしてるんだ」
梓「ああ、なるほど」
澪「なかなか真似が出来ないというか、色々勉強になるよ」
梓「澪先輩は、本当に真面目ですね」
澪「そ、そうか?」
梓「はいですっ♪」
コテージ内リビング
紬「澪ちゃん、梓ちゃん。おはようー♪」
澪「おあ。ムギ、おはよう」
梓「ムギ先輩、おはようございます。・・・唯先輩と律先輩は?」
紬「朝ご飯作ってるわよ」
梓「唯先輩が?」
澪「律は料理得意だし、大丈夫だろ。ふぅ-」 ぱたん
紬「澪ちゃんは、まだ眠そうね」
澪「駄目だな、私は。ウサギを見習わないと」
紬「あらあら、寝言なんて言っちゃって♪」
梓(起きてますよ、多分)
コテージ内、スタジオ
唯「とっまっら、なーい♪」 じゃーん
律「ひー、疲れた」
紬「朝ご飯を食べてから、ずっと練習してたものね」
澪「でも、これが普通だぞ」
律「それはそれ、これはこれ。今日はもう、終わりにしようぜー」
唯「さんせー」
澪「私はあまり賛成出来ないんだが」
紬「だったら澪ちゃんは、アルカリ性ね♪」
澪「え、なんで?肌質の事?」
梓(素で分かってないな、澪先輩)
律「・・・なんか、音がするな」
唯「そう言われてみると、確かに。今まで楽器の音で気付かなかったよ」
紬「コテージの後ろに、川が流れてるの。泳げるような深さではないけど、十分に遊べるわよ」
唯「川遊びなんて、それっぽいかも」
律「おー、なんかテンションが上がってきたぞ」
唯「私、水着に着替えてこよーっと」
律「なんだとー」
紬「新品の水着も用意してあるから、りっちゃんもそれに着替えてみる?」
律「おう。私のダイナマイトバディを見せつけてやるぜ」
紬「うふふ♪」
澪「・・・ああ、酸性とアルカリ性って事か。あははははは」 じたばた
梓(一周回ってぼけてくるな)
コテージ裏手 川原
梓「綺麗な川ですねー」
澪「川に山が映り込んで、その中を魚が泳いでる。これは感動すら覚えるな」
律「いちばーん」 じゃばーん
唯「りっちゃん、ずるいー」 じゃばーん
梓「・・・情緒も何もかも、吹き飛びましたね」 びっしょり
澪「まあ、これも夏の思い出だ」 びっしょり
紬「自然にいると、気持がおおらかになるものね」 びっしょり
律「みお、みお。みー、おー」 じゃば
澪「そう。自然とは、おおらかな気持に」 ざばっ
唯「みおちゃん、みおちゃん、みーおー、ちゃーん」 じゃば
澪「おおらかな」 ざばっ
律、唯「イャッホーイッ」 じゃば、じゃば
澪「・・・何だろう、この気持。心の底から沸き上がる、体が震えるような感覚は」 ぶるぶるっ
唯「多分それは、心の底から楽しいって証拠だよ」 にこっ
梓(えーっ?)
澪「そういう事に、しておくか。・・・えいえいっ」 じゃばじゃば
唯「ひゃー」
律「つめてーよー」
澪「あははー」
梓「本当ですかね、今のは」
紬「それが自然の良い所。夏休みの楽しい所じゃないかしら」
梓「・・・なんだか、分かるような気もします」
律「おーい。ムギと梓も早く来いよー」
澪「ムギー、水が冷たくて気持良いぞー」
唯「あずにゃーん、カニさんがいるよー。カニさんがー」 ちょきちょき
紬「はーい、今行きまーす。梓ちゃん♪」 きゅっ
梓「ムギ先輩♪」 きゅっ
紬、梓「えーいっ♪」 じゃばーん
コテージ、玄関前
律「うー、結構冷えたな。ムギ、サウナ借りるぞー」
紬「ええ。温度を調節するから、ちょっと待っててね」
律「唯はパスとして、澪は?」
澪「私はお昼の用意をするよ。大して冷えてもないし」
律「そっか。梓、行くぞ」 すたすた
梓「え?あ、あの。律先輩?」 とたとた
コテージ裏手、サウナ入り口
紬「・・・だいぶ温まってきたし、そろそろ良い具合かしら」
律「ムギは?」
紬「私もお昼の用意をするわ。お二人はごゆっくり」
律「おう。梓、行くぜっ」 カチャ
梓「はぁ」
サウナ内
律「あちー、あちーよ。なんだよ、これ」
梓「サウナですよ」
律「本当にお前は醒めてるな。あちーっ」
梓「・・・でも良いんですか?私達だけ入ってて。それに、ムギ先輩の事も」
律「澪もだけど、お前も本当に真面目だよな」 くすっ
梓「はぁ」
律「まあ二人きりだし、ここでなら良いか。あちーっ」
梓(変な事する気じゃないだろうな) びくっ
律「私達はムギに呼ばれて来てるんだから、少しは遠慮しろって事だろ」
梓「まあ、ニュアンスとしては」
律「それもそうなんだけど、私は逆に考えてるんだよな」
梓「はぁ」
律「呼ぶからにはもてなしたい。楽しんでもらいたいって思う人もいる訳さ」
梓「・・・ムギ先輩の性格としても、ですか?」
律「そういう事。だったらむしろ遠慮しない方が、ムギにとっては嬉しいんじゃないかな」
梓「確かに、言われてみるとそうかも知れません」
律「結局、私の勝手な解釈だけどな。・・・あちー、あちーよ。サウナって何だよ。意味分かんないよっ。あちーっ」
梓(もしかして律先輩、無理して入ってるのかな)
律「あちー、あちーっ。誰だよ、サウナを発明した奴はっ」
コテージ内、リビング
澪「おい、律。大丈夫か?」
律「平気平気。元気溌剌・・・」 ぐったり
梓「ちょっとはしゃぎ過ぎました」
紬「楽しんでもらえたみたいで、何よりだわ♪」
唯「そんなに楽しいなら、少しだけ入ってみようかな」
澪「だったらこれを食べた後で、入りに行くか」
紬「それなら私も♪」
唯「りっちゃんは?」
律「私はもう、一生分入ったよ」 ぐったり
梓(今の見た目はあれだけど、ちょっと恰好良いな。それに、お風呂上がりの良い匂いがするし♪) くんかくんか
1時間後
律「・・・あー、よく寝た」
紬「りっちゃん、おはおう」
律「おう。唯と澪は、完全に寝てるか」
紬「サウナの効果はてきめんね」
梓「私、夕ご飯の買い出しに行って来ます」
律「慌てるな、慌ててるな。梓も少し休めよ」
紬「そうそう。ほら、こっちきて♪」 ぽんぽん
律「太ももなのに、膝枕とはこれいかに」
紬「そう言われてみると、案外不思議ね-」
律、紬「あはは」
梓「はぁ」 ごろん
紬「梓ちゃんも少し疲れたんじゃない?」
梓「そんな風に見えますか?」
紬「少し寝てから、みんなで買い物に行きましょうね」
梓「はぁ」 こくりこくり
律「・・・寝たか」
紬「梓ちゃんは自分一人が後輩だから、気疲れする面もあるのかしら」 撫で撫で
律「澪と同じで、真面目だしな。ま、それも梓の長所って奴さ」
紬「そうね」 くすり
梓「やってやるですっ」 すかー
律「何をだよ、何を」
紬「うふふ♪」 撫で撫で
梓(・・・妙に柔らかくて、良い匂い♪) くんかくんか
唯「おはよー」
梓「唯先輩。・・・でもさっきは、ムギ先輩の膝枕だった気が」
唯「ムギちゃんもよく寝てたから、今度は私の膝枕で寝てもらったの」
梓「失礼しました。皆さんは、良くお休みですね」
唯「起こすのもなんだし、私達だけで買い出しに行こうか」
梓「はいです」
最終更新:2011年04月30日 01:41