「・・・・・・・・・・だ・・・・・」
「・・・・・・・・・・ん・・・・・・き・・・・・」
愛しい人が語りかけてきたまでは覚えてる
暖かくなって心を満たしてくれた
万華鏡の様に綺麗なその顔を思い出すのに時間などかからなかった
それは---
「お姉ちゃん!」ガバッ
辺りを見渡すと生命の育みとは無縁な荒野
先ほどの心とは正反対の世界を形づくっている
「起きたか」
声に導かれそちらを向く
憂「ひっ」
大破し花が咲き誇り膝をついた機体の前にあるその姿は正に人間
だが違うのは、右手がないその金属のような体
否--正に金属そのものであった
その男が近づいてくる度にシャリシャリと金属をすりあわせているような音が荒野に反響する
憂「ごごご、ごめんなしあ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あなたは」
噛み、声がフルフルと震えているのが自分でもわかる
それは今正に肉食動物に食い殺されそうな草食動物のそれに似ていた
「俺が誰かなんてどうでもいい」
「伝えたい事がある」
どうやらとって食われるわけではないらしい
ホッと胸を撫で下ろして呼吸を落ち着け、聞き返す
「つ、伝えたい事ですか?」
「そうだ、ここはお前があの爆発に巻き込まれてから5年後、お前はずっと眠り続けていた」
憂「5、5年後!?」
気づかなかったがよく見ると髪が大分伸びている
憂「ふぇぇ」
嘆いていても仕方ない、話の続きに耳を傾けた
「これを聞いてどうするのかはお前次第だ」
憂「は、はぁ?」
「この世界は滅んでいる」
憂「え・・・・?」
憂は冗談だと思った、唯がイノベイター純粋種に覚醒し、あの時心を通わせ、人々は分かり合えると確信していたからだ
憂「そ、そんな格好で冗談言われても困りますっ」
憂「お姉ちゃんがきっと人々を・・・」
憂「へぁ?」
自分でもわかる程、間抜けな声がでた
頭がまわらなかった、その言葉を理解するのに、数十秒かかったと同時に怒りがこみあげてきた
憂「お姉ちゃんの悪口は許さないもん」
「嘘だと思うなら確かめてくるといい」
どこからか粒子音がする
--と聞こえてきたと同時にファングらしきものが、粒子を纏った輪をつくり憂にむかって輪を通らすように駆けていった
憂「きゃぁーーーーーーーーーーーーー!!」
叫び声が終わったと同時にそこに憂の姿は無かった
「・・・・種はとんだ・・・・」
そこに別の粒子音が聞こえはじめた
「やっと見つけたよ」
「お前か」
「ふふ」
「しんじゃえ」
彗星のごとくビームサーベルが金属の体へと接触しそうになる
「俺は・・・ガンダムになれなかった・・・」
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憂「あれ?ここ・・・」
気づくとそこは木の匂いが漂う昔見慣れた桜ヶ丘の講堂だった
憂「さっきの何だったんだろう」
憂「それに私あの時、律さんに撃たれて、その後お姉ちゃんの意識の中で会って・・・」
ガガガガ!と扉が開く音がし、元気そうな声が講堂へこだまする
女生徒「今日バスケだってー!」
女生徒「えぇーやだなぁ」
女生徒「あれ?」
桜ヶ丘の生徒であろうその子は、こちらをちらっと見ると頬を染め、モジモジしだした
女生徒(下乳みえてる・・・///)
憂は自分の姿を見、所々破れたパイロットスーツのままの状態に気づくと顔を真っ赤に染め、胸を隠しながら講堂から走って逃げ出した
憂(はぅぅ・・・恥ずかしいよぉ///)
猛ダッシュでトイレへ駆け込み、鍵をかける、そこで今置かれている状況等を整理しはじめた
憂「たしかあの変な夢をみて・・・起きたらパイロットスーツを着て桜高の講堂にいて・・・」
憂「これ着てるって事は、律さんとの戦闘後のはずっ」
憂「ってそれだけしか分からないよぅ」
憂「ここにいても仕方がない、恥ずかしいけどジャージもないし、家に帰ろう・・・」
カギを外し、その豊かな胸をゆらしながら走り、桜高を出、帰路へとつくがすれ違う人すれ違う人から驚きの声が耳につく
憂(なんか胸が大きくなってるような・・・走りづらい・・・)
憂(あぅ~・・・///)
安心できる我が家に帰ってくると植木鉢の下にある鍵を素早く取り、衝突するように鍵を開け、靴を揃えて脱ぐ
憂(お姉ちゃんいるかな)
憂「お姉ちゃ~ん?」
大声を出し、愛しき姉を呼ぶが、フワフワとしたあの声が返ってくる事はなかった
憂「部活かぁ」
リビングへ行き、心を落ち着かせる空間に居座るとテレビをつけ、畳んであった服へと手を伸ばす
憂「な、なんか埃がいっぱいついちゃってる」
しばらく自分が家を離れていたからであろうか、部屋の隅にも少し埃が積もっていた
憂「お姉ちゃんったら、掃除してくれなかったのかな」
愛用のエプロンをつけ掃除用具をひっぱり出し、洗濯機を回し、テレビに耳を傾けながら部屋を綺麗にしていく、姉の事を思えばその行為も決して苦ではなかった
姉が喜ぶ姿を想像しながらニコニコしていると、テレビから驚くべき情報を耳にした
「各国家郡はCBの壊滅から地球連邦と名を改め、発足してから3年余り、先日起こった内乱も政府直属の独立治安維持部隊「アロウズ」の活躍により鎮圧され・・・
憂「CBが壊滅!?」
憂(どういう事なの・・・?地球連邦!?それに3年余りって・・・」
頭に混乱という事柄が巻き起こる、そこで一人の男の声が頭の中に吸い付いていった
「ここはお前が爆発に巻き込まれてから5年後だ」
憂「狂った年月・・・あの時のままパイロットスーツで講堂にいた私、そしてこのテレビの言っている事」
そこから導き出される答えは--
憂「時系列が歪んでる!?」
物理法則を捻じ曲げているその事象は憂を呆然とさせる要素には十分なものであった
憂「と、とにかくお姉ちゃんの無事を確認しなきゃ」
頭をクリアにし、掃除機を置き、自分の部屋から少し窮屈になった制服を着、長くなった髪を整え、家を出る、そう目指すは--
憂「学校なら誰かいるかもしれない!」
--桜ヶ丘高等学校--
憂「はぁはぁ・・・えっと、お、お姉ちゃんがいそうな所・・・軽音部だっ」
心臓が張り裂けそうなスピードで階段を上がり、いつも音符が零れていた部屋へと入る
憂「はぁはぁ・・・いないよぉ・・・」
憂(!!そうだ、あれから3年後って事はお姉ちゃんいないんだ)
肩をガックリと落とし、肩で息をする憂に後ろから近づく影があった
「あ・・・あなたは?」
憂「さわ子先生?」
さわ子「う、憂ちゃん!?」
さわ子は目尻に涙をためながら、憂を強く、しかし優しく抱きしめた」
さわ子「あなたよく生きて・・・」グス
憂(そうだ、私死んでる事になってるんだ)
憂「は、はい、あのお姉ちゃんは?」
さわ子「・・・・・・・・・・・いの」
憂「え?」
さわ子「唯ちゃんは和ちゃんと戦ってから行方が分かっていないの・・・」
憂の頭にガンッと鈍器でたたかれた様な衝撃が走った、と同時に眼に涙が溜まっていくのが分かる
憂「ぞんなお姉ぢゃんは・・・」
制服にシトシトと水の跡が染み渡っていく
さわ子「大丈夫よ・・・唯ちゃんならきっと!」
確信がない事をなぜ信じられようか、だが信じざるをえなかった憂はそれに同意する
憂「はい・・・」グス
そこで憂は胸につかえていたいくつかの事をきく事にした
憂「先生、私が爆発に巻き込まれてから、何年たったんですか?」
憂「それに
ニュースで見たんですがCB壊滅って・・・」
さわ子「えっ?あれから3年とちょっとくらいね、ソレスタルビーイングはね」
さわ子「機体や太陽炉を残して、全マイスターの行方が分からなくて・・・動くに動けないのよ」
憂「澪さんと紬さんもですか?」
さわ子「えぇ・・・」
さわ子「憂ちゃんは今までどこにいたのかしら?」
憂は正直にいおうか迷った、正直にいった所で信じてもらえるか、しかし今は
あの事は言わずにそっと心にしまう
憂「それが分からなくて、気づいたら講堂にいました」
さわ子「講堂に?それ以外は?」
憂「すいません、本当に分からなくて」
さわ子「そう・・・」
さわ子は納得いかなそうな顔をし、頷いてみせた
それでも本当によかったわと言いさわ子は再び憂を抱きしめる
グルルルル
さわ子(う、お腹が痛くなってきちゃった)
ジーッ
憂(どうしたんだろう、無言でさわ子先生動かなくなっちゃった)
憂「あのせんせ・・・」スッ
さわ子「動かないで!!」クワッ
憂「はひっ」
さわ子(いまのでまた波が強く)
さわ子「動くも地獄、動かぬも地獄)
さわ子「憂ちゃん・・・少しずつ・・・絶対に振動をあたえないように・・・離れてちょうだい」
憂(な、何だろう)
憂「はい・・・」ソーッ
さわ子(ん?あ、あれは私がお昼休みに部室で食べてたバナナの皮のゴミ)
さわ子「ちょ、まっ」
憂「あっ」ツルッ
なぜか後ろにあったバナナの皮に足をとられ、かなしいかな、人はバランスを崩した時に何かに捕まろうとする修正がある
それは憂も例外ではない
そしてあろう事か憂が掴まろうとしたのはさわ子のお腹であった
グニッと音がし、掴まろうとするが掴みきれずさわ子の足の間にバンザイをした形でコテンと倒れてしまった
さわ子「アフ]
次の瞬間、憂が見たのはナイアガラの滝さながら、いやババナガラの滝がさわ子のお尻を膨張させ茶色の流れ星となって憂の眼の前におちてくる
憂「もっ!!!!!!!」
憂は間一髪その身を引き、ババナガラの滝がババゾン川に変わっていく
そしてうんこを垂れ流しながら、体を障壁させるさわ子は文字通り正に畜生であった
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憂「クサッ!掃除おわりました?ばば子先生」
さわ子「えぇ、ごめんなさいね」
憂「あのっ」
さわ子「なにかしら?」
憂「それで、お姉ちゃんが望んだ世界は実現したんですか?」
さわ子「・・・・・統一はしたわ、いえ正確にはしつつある、でも唯ちゃんが望んだ世界には変わらなかった」
憂「え?」
さわ子「国家郡は統一し、正規軍を結成したわ」
さわ子「でもそれとは別に政府直属の独立治安維持部隊「アロウズ」が結成された」
さわ子「表向きは聞こえはいいけど、やっている事は、思想の弾圧や反連邦組織の虐殺」
さわ子「メディアに圧力をかけて、その事はもみ消されている」
さわ子「知っているのは、情報力に豊かな組織のみ」
憂「そんな・・・まだ争いは戦争は起こっているんですか」
さわ子は虚ろな眼をし、窓から虚空を眺める
さわ子「つい先日の事よ、コロニープラウド重量工業区画という所で反連邦組織カタロンが騒ぎを起こしたの」
さわ子「目的はアロウズによって捕らえられた、奴隷の様な働きをさせられる仲間の救出」
さわ子「でもね、それは失敗に終わって救出にきたカタロンのMS、艦」
さわ子「挙句には、弾圧にきた、アロウズの対人兵器、新型のオートマトンのテストによりほぼ全ての人が虐殺されてしまったのよ」
憂「なんで!反連邦組織なんかつくっちゃうの・・・」
床にドンッと強く踏みしめた疑問がぶつかる、茶色い物が少し飛んだ
さわ子「・・・」
憂「・・・」
さわ子「この世は化石燃料がなくなり、太陽光エネルギー主体になったのは知ってるわよね?」
憂「はい」
さわ子「連邦はその太陽光システムの総エネルギーを、盾に大国をいいなりにさせて、指示に従わない国にはエネルギーを与えず見捨てようとしている」
さわ子「そして統一を急ぐ余り、アロウズを使って、反対勢力を鎮圧」
憂「それじゃあこのままじゃ連邦の独裁になるって事・・・」
憂は歯を食いしばった、それはあの時の輝くような想いとは違う、世界の現状に怒りがこみ上げてきたからだ
憂「変わってない・・・」
憂「あの頃から何一つ!!」
さわ子「う、憂ちゃん!?」
憂「そんな物求めてなかった!」
いつもマシュマロのように柔らかく笑っていたはずの、その顔からは想像がつかない程怒りがにじみでている
憂「こんな世界求めてない!」
憂「お姉ちゃんも!私も!」
さわ子は次の言葉に唯の面影が浮かぶ
憂「破壊しなきゃ」
さわ子「ちょtt」
憂「こんな世界、私が駆逐します!」
さわ子「憂ちゃん落ち着きなさい、あなたはまだ変革したこの世界の事をまだよく分かっていないわ」
憂「だからこそですよ!」
なだめようとした憂から思ってもいない言葉が返ってき、ハテナマークが飛び交う
さわ子「え?」
憂「私は世界を知らな過ぎます、だからっ」
憂「私は私の眼で見る!世界を!」
憂「こんな世界、私が駆逐します!」
さわ子「憂ちゃん落ち着きなさい、あなたはまだ変革したこの世界の事をまだよく分かっていないわ」
憂「だからこそですよ!」
なだめようとした憂から思ってもいない言葉が返ってき、ハテナマークが飛び交う
さわ子「え?」
憂「私は世界を知らな過ぎます、だからっ」
憂「私は私の眼で見る!世界を!」
憂の意志は強くどんな強い兵器でも破壊する事ができない、その意志を感じ取ったさわ子
さわ子「そう・・・わかったわ、唯ちゃん用に設計しつくりあげた機体」
さわ子「あなたなら、憂ちゃんなら使いこなせるかもしれない、起動テストは終わってないんだけどね」
憂「お姉ちゃんの・・・機体?」
さわ子「えぇ、ただパイロットは、あなたしかいないわ、それでも擬似太陽炉をつんだガンダム達アヘッドと」
一旦言葉を切った
さわ子「世界と戦うというのね?」
かっこつけて、おちゃらけて唯のように答えた
憂「むろんだっ」
さわ子「ふふ、ソレスタルビーイング復活ね!」
戦う理由編終了です
最終更新:2011年05月02日 21:30