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脱出艇がアリオスの手を離れ、それを庇うようにアリオスが射線軸上に立ち塞がる

澪「律、私をうてるのか?」

律「お前が戻ってきてくれないならな!」

澪「私は何もしない、うってみろよ?」

あいつは薬のせいとはいえ裏切った・・・CBに仇なす事を成すというのなら撃たねばならない
ソレスタルビーイングに甘えは・・・許されない
そうじゃないと自分がいなくなってしまうかもしれないにも関わらず
人の世を守ろうとしている憂ちゃんの覚悟にも本人にも顔向けできない

律(撃てよ・・・)

律(・・・狙い撃てよ・・・)

気持ちとは正反対にトリガーをひく手は臆病なまでに震えている
こんなに震えるのは初めて人を撃った時くらいだろうか
その時の感覚が脳裏に蘇ってくる、本能は撃つなと言っている
頭は撃てと言っている

律(私は何の為にケルディムに乗っている・・・)

律(何の為に・・・ソレスタルビーイングにいる・・・)

澪「どうした?撃たないのか?」



澪『りつぅ~・・・』


澪『私・・・律の子供がほしいな・・・』


澪『律・・・愛してるよ・・・』



律「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーーーーーーーッ!!!」

ライフルが桜色に染まる、それは発射の狼煙、最愛の人を奪う望まざる光

澪「!」

・・・しかしライフルから望まざる光は無地に返っていくように色を落としていく
とって変わるようにケルディムのコックピットからドンとものを叩く音が鳴った


律「なんて情けない奴なんだ・・・田井中律・・・」

律「私の覚悟ってこんなもんだったのかよ・・・」

撃てなかった、敵だとわかっていても撃てなかった、だってあいつは私の・・・

律「こんなぁぁぁぁぁぁぁぁあああーーーーーーーーーーッ!!」

唯「りっちゃん・・・」


澪の眼が金色に染まり、イノベイターの証を見せ付ける

澪「ふふ・・・お前は自分勝手なやつだよ」

澪「いつもそう、自分を棚に上げて他人にはきつく当たるよな」

澪「憂ちゃんと戦った時もそうだ、戦争根絶より自分の憎しみを優先させる」

澪「口では調子いい事いっておきながら、いつまでも変われないやつだよな?」

澪「自分が変われないから、だから、和と戦い変革をしようとした唯にいったんだろ?」

澪「『変われ、唯変われなかった私の代わりに』ってな」

澪「一番人間らしいやつだよ」


律「くっ・・・」

唯(この感じ・・・澪ちゃんの心が・・・)

唯「だ、大丈夫だよ、りっちゃんあの言葉があったから私は純粋種に成れたんだから・・・」

唯はまたそうやっていつものように私を甘やかす
だから甘いんだろうか・・・私は・・・変われないんだろうか・・・
・・・私も変わらなければならない・・・でもそれは・・・澪を撃つという事

律「・・・」

唯「・・・それに無理して戦わなくていいんだよぉ」

律「何いってんだよ・・・あいつと私には戦う理由があるだろ・・・」

唯「戦わない理由のほうが強いでしょ・・・?」

律「・・・」

唯「りっちゃんがそう決めて殺せないっていうのなら、私が・・・引き鉄を引くよ・・・」

律「そんな状態でかっこつけんなよガキが!!」

唯「りっちゃん・・・変わるのは・・・ゆっくりでいいんだよ・・・」

律「・・・・・・そうかよ」

澪「もうお別れはすんだか?」

澪「なら!」

アリオスはビームサーベルを抜き一閃、ケルディムにむかって暴雨のように叩きつける
慌ててケルディムはライフルをしまいビットを展開させながら拳銃で進行を妨げる

澪「興奮すんなよ、律、男前がだいなしだぞ」

律「男前とか言われてもうれしくねーんだよ!」

火花が飛び散り、武装が接触する度に電撃が走る
それは澪の本気さを表すような迫力を晒し出している

――――

紬「ふふ、劇的な再会みたいね」

紬「愛した女の子は自らの敵、正に命がけの恋ってやつかしら?」

紬「いいわぁ!」

唯「むぎちゃん・・・」

観戦する事を望まない観戦者はギターを鳴らし続けるが動には程遠い
MSが動かない事をこんなに歯がゆく思う事はこれが初めてだった


――――

ビームを拳銃で撃ちあい無数の弾数が両機を襲う

澪「わざわざ付き合ってやる必要はないな、アリオスのウリは機動力だ!」

律「澪!!やめろ!」

飛行モードに変形し、百発百中の狙い撃ちの間を縫うように高速移動し、ケルディムに
突撃、変形を解き、翻弄されるケルディムを尻目にビームサーベルでケルディムの左脚を切裂く

律「くっやめろ澪!なんで私達が戦わなきゃいけないんだよ!」

澪「それは私がイノベイターでお前が人間だからだよ!」

ケルディムの膝からミサイルが出、アリオスの肩に命中し肩が弾ける

澪「うっ」

律「分かり合ってただろ?愛し合ってただろう!!」

澪「偽りの世界でな!」

澪「いつまでも愛が彷徨う影に捕らわれるな!」

互いが互いの手を押さえ込み、ギリギリと駆動音が響く

律「嘘だったっていうのか!」

律「私の気持ちも!」

律「お前の気持ちも!」

眼を細め、無言のままの澪、それは否定を意味するのか。

律「ならよぉ!!!」


トランザムを発動し、その場を急激に後ろへはなれるケルディム

いきなり押し合ってた相手がいなくなり、前のめりにバランスを崩したアリオスに
あらかじめ仕込んでおいたビットがアリオスを襲った

澪「くっ、相変わらず変な時に抜け目ないやつだな!」

律「そうかよ!」

バランスを崩したと思われるアリオスの顔面に銃をめり込ますように押し付ける

しかし思考を司る澪、それを読み、わざとバランスを崩した様に見せ、勢いを利用し
前転のように回りりそのままケルディムにかかと落としを放つ

澪「みえみえなんだよ!」

普段の律ならやられてただろう、だけど相手が澪だからか、律は直感で澪の動きを
読み、その場で回転してもう一度額に銃をつきつける

律「何年お前といたと思ってるんだよ!」

それはデュナメスとスローネ戦で見せたあれに似ていた

律「乱れ撃つぜぇぇええええええええええええ!」

言いながら顔面に銃を乱射させる、アリオスの頭がぶれ、画面がゆらゆらと気持ち悪いくらいに動く
ダメだ・・・気が遠くなる・・・頭を振り意識をしっかり保たせると・・・

澪「調子にのるなぁぁぁぁぁああーーーーーーッ!」

そのまま強引にビームサーベルを振るうが見え見えの反撃に律はあっさりとかわし後ろに下がる
またその後、アリオスにビットから雨が降り注ぎ機体が軋む


澪「なんで律がこんな・・・」

律「お前とずっといたからだろうが!」

直感は時に思考の読みを凌駕する

澪は否定するはずの律との絆が考える自分にとって逆に悪影響を及ぼし、
逆に直感で行動する律には味方となっていた


ボロボロのアリオスを銃で殴りつけるとそのまま銃を構えた状態で止まる、その近くに
6機のビットが赤くそまったまま、狙いを定め停止する


澪「律・・・」

律「澪・・・」


アリオスのあちこちからショートした回路が悲鳴を上げ、今にも崩れ落ちそうだ
その中破した機体のコックピット部分を律は突然もぎとり始めた

澪「な、なにを・・・」

変わる事、それは今までとちがう道をいくという事・・・だから違う道を行くというのなら
何も澪を倒すという事だけが正解ではない、唯・・・こういう道があってもいいよな?

律「決まってるだろ!もう一度お前を・・・」

律「私の女にする!」

コックピットがむき出しになり、そこに呆然とするロングの黒髪の少女が姿を現した

律「いやとは・・・」

律「言わせねぇ!!」

・・・こんなバカな奴いるだろうか?あれだけ否定してもあれだけの事をしても
自分の元に返ってこいというのだ、ばかだと思った

でも感情が溢れて止まらなかった

この感情は・・・嬉しいんだ・・・

喜び?いや、そんな物で表せる、言葉で表せる感情ではなかった
そしてその感情が何かに縛られていた自分を解放してくれる

澪(そうか・・・やっぱり私は好きなんだ・・・こいつの事が・・・)

同時に澪の眼が金から灰に戻り涙をぽろぽろと流し
それはどんな宝石にも負けない透明な輝きを出し律の姿を投影する

澪「りつぅ・・・」

律「欲しいものは奪う、例えそれが敵だったとしてもだ」

律は真剣な顔でこれから二度と澪以外には言うまい人生の言霊を投げかける

律「結婚しよう・・・澪」

優しく笑いながらずっと前から自分に言って欲しかった言葉を投げかける
そいつは今までで一番かっこよく優しく見えた

涙は更に溢れ、人生でこれからないというくらい、陽の気持ちが澪全体を照らす

そこにはどんな気持ちにも負けない愛が膨らみつつあった

澪「・・・うん・・・うん・・・」

律「澪、戻って来い」

ケルディムは手を差し伸べ、澪に手にのるように促す

それを感じとった澪はコックピットに手をついた

澪「律・・・私・・・私は・・・戻りた」



だが澪は手をとめる事になる・・・・


他人のような声が澪の頭に響き渡り感情をえぐり取ってしまう感覚に襲われる

そして・・・さっきとは変わって別人の様な低い声が律の脳に響いた

澪「愚かな人間ね」

律「み・・・みお・・・?」

再び眼を金色に染めた澪はコックピットに戻ると
ビームサーベルを振り回しビットを全て破壊しケルディムの右手を切断する

律「うわぁぁぁぁぁあああーーーーーーーーッ!!」

思いもよらなかった攻撃にケルディムは回転しながら煽りをうける

その姿に照準を合わせ吹っ飛んでいくケルディムに小型銃を連射する

澪「イノベイターは世界を滅ぼす者」

澪「こんな事で世界を滅ぼす事を躊躇い、愛する人の下へ帰るなんて恥さらしもいい所だわ」

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紬「澪ちゃんだめね、こっちから干渉しないとりっちゃんすら殺せないなんて」

澪と紬の言葉、行動がリンクするような挙動を感じ、唯はむぎに呼びかけた

唯「むぎちゃん!?」

紬「言ったでしょ?操り人形にできるって」

紬と唯は正反対の感情をその身に宿らせ激しく身震いする、
気持ち悪い、吐き気がしそうだ---

唯「そんな・・・そんなぁぁぁぁああーーーーーーーーーーッ!」

叫びながらギターを鳴らすが無情にもダブルオーは返事を返してくれない
答えてくれない

紬「ここでダブルオーを、ツインドライブシステムを諦めるわけにはいかないの」

紬「澪ちゃんに勝って貰って持ってかえらないとね」

唯「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

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律「うああああぁぁぁーーーーーーッ」

奇襲をうけた形になるケルディムは正になすがまま、武装は全て破壊され
四肢はもうない

澪「しねぇぇぇぇぇえーーーーーーーーーーーッ!」

ビームサーベルを突きの状態で構え羽から風切り刃の様な粒子を出しケルディムの
コックピットへと突撃する


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最終更新:2011年05月03日 20:03