唯「…ふぅ~」
王「…」
プフ「…」
ユピー「…」
ピトー「王様、いかがでしたか?」
王「…うむ」
王「おい…そのギターとやらを少し貸してくれぬか」
唯「うん!いいよー!はいっ!」
王「ふむ…持ち方はこれで合ってるか?」
唯「うん!合ってるよ!それでここの弦を弾くと音が鳴るよ!」
王「こうか?」
じゃらブチブチブチバキッばきっ
王「ん?」
唯澪律紬梓「!!!!」
護衛軍「!!!!」
唯「ああああああっ!!!ギー太ぁああああああ!!!」泣
王「!」
唯「ああああああん!うわあああああああん!!!」
律「ゆ、唯ちょっと落ち着け…!」
唯「ああああああん!!!ギー太!ギー太ぁぁぁぁあ!!」
王「な、なんだ…!?余は軽く撫でただけだぞ…!?」
(なんだ!?なぜ泣く!?)
王(こんなに脆い物なのか!?ギータというのは!?ん!?ギータ?ギター?どっちだ!?)
唯「うわあああああああん!!!!!」
王「…ッ!!!」
(な、なんだ…余は…いったいどうしたというのだ…!? 余はなぜこんなにも動揺している!?)
唯「ああああああ!!うわああああん!!ギー太ぁぁぁぁぁぁあ!!」
王「~ッ!ッ!」
(何なのだ!?この人間は!?なんだ!?さっきから余の胸に湧いてくるこの感情は!?)
王(この人間の泣き顔を見てると…胸が…痛む…!!いったい…余は…)ズキ…
王「ピトォッ!!」
ピトー「はっ!」
王「今すぐこのギーターとやらを直せ!」
ピトー「はっ!」
ピトー「ドクタープライス!」ボンッ
しゅうううううううガチャガチャ
唯「!」
律「な、なんだ!ギターがひとりでに直っていくぞ!」
~唯たちにドクタープライスは見えていない~
ピトー「はいっ!直ったニャ!唯ちゃん!」
唯「ギー太ぁぁぁぁ!!」ぱああああ
唯「ああああんギー太ぁぁぁ!」スリスリ
律澪紬梓「ほっ」
護衛軍「ほっ」
王「…ふぅ」
(ってなんだ!?絶対の王たる余が…!なぜ人間が泣き止んだだけでこんなにも安堵しているのだ!?)
唯「あ、取り乱しちゃってごめんね? 王様もわざとじゃないのに…」
王「いや…よい。それより今日は疲れただろう。休め。ピトー!この者たちを迎賓の間に連れて行け」
ピトー「はっ!」
[迎賓の間]
ガチャリ
ピトー「みんなここでゆっくり過ごすと良いニャ!」
コムギ「!」
唯澪律紬梓「!」
唯「わっ!人間!?」
コムギ「!」
(に、人間…???)
ピトー「ああその子はコムギニャ!仲良くするニャ!」
唯「よろしくね!コムギちゃん!」
コムギ「は、はい…よろしくおねげーします」
[玉座の間]
王「…」
プフ「…」
ユピー「…」
ピトー「…」
王「…不思議な者たちであったな」
プフ「ええ。あのような雰囲気の人間は見たことがありません」
王「プフ」
プフ「はい」
王「お主は何か楽器を弾けるか…?」
プフ「バイオリンを少々…」
王「ふむ」
プフ「…?」
ユピー「…?」
ピトー「…?」
王「プフ」
プフ「はい」
王「あの五種類の楽器(パート)は…それぞれなんというのだ?」
プフ「はい。リードギター、リズムギター、ベース、ドラムス、そしてキーボードです」
王「ふむ」
プフ「…?」
王「至急その五種類の楽器を用意しろ」
ピトプフユピ「!!!」
プフ「王…!」
王「余たちもあの者たちから教わろうではないか…!けいおんとやらを!」
ピトプフユピ「!」ぱあああああ
「「「はっ!」」」
唯たちは王たちに軽音楽を教えることになった!
それぞれのパートも決まった!
リードギター→王
リズムギター→ピトー
ベース→コムギ
キーボード→プフ
ドラムス→ユピー
そして各々の練習が始まった!
唯「そうそう!王様上達早いねぇ!」
王「ふん。こんなもの少しコツを掴めば簡単ではないか」ジャカジャカ
梓「あっ!そこはこうやってチョーキングするんですよ!」
ピトー「こうかニャ?」みょ~ん
梓「そうです!ピトにゃんうまいです!」
ピトー「えへへ、ありがとうあずにゃん!」
澪「そこはもうちょっとこうした方が良いよ?」べべベン
コムギ「ほ~!いや~やっぱ澪さんすげーす!尊敬するす!」
澪「コムギだって…凄いよ!」
(目見えないのに…しかしこの子…どことなく唯に似てるな…)
紬「まぁ…プフさんもうそこまで弾けるようになって…!とても始めたばかりとは思えませんわ♪」
プフ「ふっ…ありがとうございます。しかし紬さんの腕前にはまだ程遠い…」ポロロン
律「だからそこはもうちょっと弱くって言ってんだろ!さっきから!」
ユピー「ちっ…難しいんだよ…この力加減がよ…」ドコドン
[唯たちがこの世界に来て三日後]
[給湯室]
紬「~♪」コポコポ
ガチャ
プフ「…おや?紬さん?」
紬「あら…プフさん」ニコ
プフ「何をなさっているのです?」
紬「今お茶を用意してるところですの。あっ…プフさんも良かったらお飲みになって?ピトにゃんは凄く気に入って下さったの♪」
プフ「はぁ…」
紬「はい、どうぞ。召し上がれ」
プフ「いただきます」ズズ…
プフ「!」
紬「どうかしら…?」
プフ「…美味しい」
紬「良かった♪」ニコ
プフ(この美味しいお茶を…王にお出ししたら…!!)
プフ「紬さん!」
紬「はい?」
プフ「私に…お茶の淹れ方を…教えていただきたい!」
紬「ええ、良いですよ♪」ニコ
ーーーーーーーーーー
紬「そうそうお上手ですわ」
プフ「…」コポコポ
プフ「ふぅ…どうでしょうか?」
紬「…」ズズ…
紬「ええ!とっても美味しいです!」ニコッ
プフ「ありがとうございます…紬さんの…おかげです」ズキ…
プフ(何なのでしょうか…この胸を叩くような痛みは…紬さんの笑顔を見る度に…)
紬「?」
[迎賓の間]
唯「だーっ!また負けたーっ!」
コムギ「いや~唯さんも恐ろしく上達がはえーす。次は本腰入れねーと足元すくわれかねねーす」
ガチャ
紬「みなさーん、お茶が入りましたよー」
ワイワイキャッキャッ
[外のベランダみたいな所]
ユピー「しかしあいつら…本当に人間なのか?って疑っちまうよな」
ピトー「天使とか妖精とかそういう部類かと思えて来るニャ。癒しのオーラがハンパじゃないニャ」
プフ「そうですね…」
ピトー「2人とも、あの子たちを攻撃しようとしたことあるかニャ?」
ユピー「いや…ねぇな。初めて見た時からなぜかそういう気が起きねぇ」
プフ「同じく」
ピトー「実はボク、あの子たちの世界に行った時にいきなり唯ちゃんに抱きつかれて咄嗟に攻撃しようとしたことがあるニャ」
プフ「ふむ」
ユピー(抱き…!?…ちくしょう…俺も行けば良かった…)
ピトー「でもなぜか攻撃出来ないんだニャ。あの子たちに限らずあの世界の人間みんな」
プフ「…ふむ」
プフ「これはあくまで推測ですが…彼女たちの世界には暴力というものが存在しないのではないでしょうか」
ピトー「!」
プフ「私たちの世界には…血や暴力…そういうバイオレンス的なアレがごく当たり前に存在している」
プフ「しかし彼女たちの世界には…そういったバイオレンス的なアレが全く存在しない」
プフ「だからその世界の住人である彼女たちに危害を加えることが出来ないのかも…」
ユピー「そんなことあり得るのか?」
プフ「…もしこの世を創ってる神が存在するとしたら…我々の世界を創造した神と彼女たちの世界を創造した神は全く別人なのでしょう」
プフ「彼女たちの世界は平和そのもの…もしかしたら向こうの神は、自分が創りだした生命を、存在を、傷つけるなんて考えられないって思想なのかもしれない」
ピトー「そして左利きでギターとか集めてそうだニャ」
プフ「…なぜそう思うのです?」
ピトー「いやなんとなく」
プフ「…対してこちらの世界の神は…」
三人は満天の星空を見上げた!
プフ「…残酷だ」
ユピー「そしてろくに仕事しねーでゲームばっかりやってそうだな」
プフ「…なぜそう思うのです?」
ユピー「いやなんとなく」
プフ「…この世界の神は残酷だ。我々は常に死と隣り合わせの日々を生きている」
ユピー「ふっ…まっそれで良いじゃねーか…!面白くてよ」
ピトー「ニャ」
プフ「ふっ…そうですね」
ユピー「でも俺、澪が律をポカッて叩いてるとこ見たぜ?」
プフ「それはただのツッコミでしょう。敵意のあるものでは決して…ん?澪?澪ってだれです?」
ユピー「なんだお前まだ覚えてなかったのか?澪っていや左利きで長くストレートな黒髪がトレードマークのカワイコちゃんだろうが」
ユピー「身長160センチぐらい、五人の中じゃ一番背が高く胸もでけぇ。B87、W59、H87ってもんか?」
ユピー「1月15日生まれの山羊座でA型だ。真面目でベースもうめえが恥ずかしがりやってとこがまた可愛いよな」
プフ「……」
ユピー「ちなみに俺にドラムを教えてくれてるのが律だ。おでこ全開の元気娘だ。」
ユピー「8月21日生まれの獅子座、身長は154センチかな、んでB型だ。B78、W58、H81ってもんかな」
ユピー「放課後ティータイムの部長だ。大したもんだよな、廃部になりかけた部活を立て直したらしいぜ」
ユピー「カチューシャで全開のおでこがトレードマークだが…前髪下ろした姿も見てみたいよなぁ」
プフ「……」
(ユ…ユピー…あなた…)
ユピー「王にギター教えてるのが唯だ。なんといっても全身から放出するほわわんとした暖かい癒しのオーラが魅力だよな」
ユピー「11月27日生まれの」
プフ「も、もういいです!充分分かりました!もういいです」
[宮殿・地下]
チーター「おいおい聞いたか?明日王様たちがライブするらしいぜ」
ザリガニ「ライブ…………ね」
オオカミ「最近ずっと練習する音聞こえてたもんな…」
ヒナ「なーんか…ちょっと変わったよね…王様と護衛軍。あの子たちが来てから」
チーター「…そうだなぁ」
[翌日・正午]
ワイワイガヤガヤ
玉座の間には宮殿内の蟻たち全員集まっていた!
そして最前列の席にはHTTのメンバーが座っていた!
唯「どんな演奏するんだろうね?王様たち!」ワクワク
律「しかしあいつらもすげーよなー!ちょっと基本教えただけでもう一流の腕前だぜ?」
梓「本当に上達が早いとかそういうレベルじゃありませんよ」
紬「でも、あの人たちに音楽の楽しさを教えてあげられてよかったわ」
澪「そうだな…コムギ…大丈夫かな。なんかこっちまで緊張してきた」
ワイワイガヤガヤ
ガー!
ステージのカーテンが開いた!
最終更新:2011年05月02日 23:59