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突然だがカラオケというものを知っているだろうか
歌で一部屋
いや、トイレの個室2部屋を併せて3部屋もリーズナブルな価格で貸してくれる素晴らしい場所である。
その上ジュースは飲み放題だ。
私たちの人数からすると大体ジュース120杯で無料で一晩歌い放題だ。

先週の打ち上げの後、私は酩酊の気分の悪さと共にそんなカラオケの個室で目を覚ました。
トイレに行こうと思いおぼつかない足で立ち上がると唯ちゃんがImagineを歌っていた。

こんなことを思い出しつつ、私『琴吹紬』は今自分のアパートの部屋でバッグに出かける準備をしている。
唯ちゃんの家に遊びに行くのである。

もちろん目的は彼女『鈴木純』に出会うためだ。

なんと本日彼女がそんな唯ちゃんの家を訪れるらしい。
ついさっき唯ちゃん本人からメールが入ったのである。

そういう事で私は今4畳半の部屋でいそいそと出かける準備をしている。

「私、4畳半で一人暮らしするのが夢だったのー」

冗談で斉藤に言ったら、本当に4畳半を用意されてしまった。
こればっかりは斉藤の生真面目な性格を読みきれなかった私の責任だったかもしれない。
しかし、それとともに4畳半は意外と生活しやすいことにも気づけた。

それにしても今日は楽しみだ

ピンポーン

そのときチャイムが鳴った
急な来客だ、ったく一体誰だよ、こんなときに

先週お隣さんにアコースティックギターを頂いたわけですが
皆さんアコースティックギターと言う楽器をご存知でしょうか。

8の字型のボディに半音ごとに20本前後のフレットを付け
そこに張った6本の弦の振動をボディのサウンドホールに響かせ
豊かな音色を奏でる楽器です。略してアコギともいいます。

高校のときに楽器を齧っていた分こういった知識は少なからずありますが
弾き方と言うものを良く知りません。頂いたからには弾きたいのですが・・・

そこで同じ大学に通う梓に相談してみると
「じゃあ金曜日に私の家に持ってきなよ、教えてあげる」
とのことだったので、二つ返事で梓の家に行くことになりました。

そんな経緯で東に二駅電車を乗りついで金曜日に梓の家に来ましたが
梓の家はやっぱりなんともシンプルです。
と言うより、生活観が有りませんでした。
ギターとベッドしかありません。

 こんな部屋で一体どうやって生活をしてるんだろう?そう疑問に思っていると梓が
「ちょっとご飯勝手来るね、何かリクエストはある?」
と言って買い物に出かけました。
どうやら私が持ってきたドーナツセットはご飯とは認められなかったみたいです。

大学の講義が終わって一度家に帰ってから準備してきたため
気づくと時間は19時になっていました。
私は思いました。

生活感がないというよりそもそも生活をしていないのではないだろうか?

それともう一つ疑問なのですが
家主が他人をおいて出かけていってしまいましたが
私が信用されているのでしょうか?それとも彼女が無用心すぎるだけでしょうか?

と言うわけで家主が不在の部屋に残されてしまいましたが
どうやらやることが今の所見当たりません。

律先輩ならエロ本探しでもやるのでしょうか?いや、まさか。
そんなことを考えて私も試みようと思いましたが、こんなシンプルな部屋では探しようもなさそうです。

そして私が床に寝そべった時、部屋の床の隅に一冊のノートがポイと置かれていることに気づきました。

手にとって見ると表紙には『日記帳』と書かれていました。
しめたと思い寝そべったまま私はその表紙をめくり読み始めました。

日記にはなんとも奇妙な内容がなんとも実に拙い表現で書かれていました。
簡単に説明しますと、日記というより梓が二人になった物語が書かれていたのです。
それに私のお隣さんまで登場しています。
内容というよりもその拙い文章に、私は少し気味というより気分が悪くなりました。

さらり目を通すと日記を閉じました。
うーん、それにしても暇です。

まさに何の捻りもなくそう思うと玄関のドアがガチャリと開きました。
「ご飯買ってきたよー」
の声と共に梓が買い物から帰ってきました。

すると梓は私の手元を見ました、私の手元には先ほどの日記(?)があります。

「ってこら!勝手に人の日記見るな」

じたばたしながら梓が言ったので
まあまあまあまあとなだめながら私は梓に聞きました

「結局この日記ってどこまでが本当でどこまでが嘘なの?」
すると「え」と言った後に、梓はクスクスと笑いながらいいました。
「全部嘘だよ、神様に誓って」
「ふーん」
私はそういうとこれ以上日記の話はしませんでした。
どちらが本当でも気味の悪い文体には変わりないからです。

ケースから取り出すとこのアコースティックギターは結構年季が入っていそうです。
夕食を梓より先に食べ終わった私がケースからギターを取り出し構え
何だ私にも似合うじゃない
なんて姿見の前でやっていると

梓がドーナツをぶふっと笑いながら吐き出しました。

「く、どうせ私にはギターは似合いませんよ。」
ぷりぷりと怒って梓に言うと

「違う違う、何その斬新なステッカー」
と梓が言いました。

梓が指差すギターの側面には『粗大ごみ』のシールが鮮やかに貼ってありました。

さて気を取り直してギターを構え、ピックを持ち、いざ弾こうと思いましたが
今気づきました、私、ギター弾けないから梓に教わりに来たんじゃん。と言うことに。

とりあえず、梓に見本を見せてもらおう。

「ぶふっ!粗大ごみ押し付けられてるっ!」

ギターを外し、床をバンバン叩きつつ笑い転げている梓の首にぎゅっとストラップをかけました。

え、ストラップの掛け方が違う?
何を言ってるんですか、私には高校のときに楽器を齧っていた分こういった専門的な知識が少なからずあるのです。
皆さんが間違っているんじゃないですか?


数分後ギターを構えると、梓がネックを握って言いました
「あれ、これって大分ネックの太いやつだな、大丈夫かな?」
首をさすりながらいうと、さっそく弾き始めました。

それにしても試しにパープル○イズなんて弾くから、やっぱり梓はむかつ
いえ、ギターが上手だなあと思いました。

さて梓が曲を弾き終わった後の話です。梓が一通り弾いた後、私が弾きながら教えてもらうことになりました。
おかげで少しコツをつかみ始めた気がしはじめた時、梓が言いました。
「やっぱり、こういうのは、慣れた人に教えてもらおう」

梓が言うには、普段から重くてネックの太いギターを弾きなれている唯先輩に教えてもらうのが一番とのこと。
………
梓が唯先輩の家に行きたいだけではないのだろうか?

梓がさっそく唯先輩に電話して明日行きますとのことを伝えると
二つ返事で承諾いただいたので明日行くことになりました。
この日は同級生のお泊り会です。

梓は得意げにない胸張って言いました
「やっぱり餅は餅屋だね」
私は言いました
「あんたのとこの餅屋はわらび餅しかないのか?」

さてとここで私『琴吹紬』である。って、え?あれ?私なのか?
何で!?

これから梓ちゃんと彼女の親友同士のお泊りの一夜である
普段ならその二人の甘い一夜を
いや、甘い一夜過ごされても困るが
それをみて、あらあら、などと言うシーンである

それに私はまだこの物語に絡んでいないのだ。来客に玄関のドアを開けようと数歩あるいたところだ。

一体何で!?
放送事故が起こっている!

こうなったら、直接クレームを言いに行くしかあるまい

いざ行かんってあれ?え、尺が足りない?・・・


翌日私は梓のベッドで目を覚ましました。見ると梓は床で寝ていました。
友達にベッドを貸して、自分は床で寝るなんて、何て心優しい親友でしょう。
唯先輩の家に行くことになっていましたが
昨日、夜更かししたこともあって、時計を見るとすでに11時ちょっと前でした。

準備をした後に梓と近くのお店でお昼ご飯を食べ、唯先輩の家に向かいました。

唯先輩の家に着いたのが大体午後2時でした。
着くと唯先輩が言いました。
「今日はお泊りでいいんだよね?」

二つ返事で梓は「はい」と答えたのですが、今日はお泊りだったのか、私としては初耳でした。
というより、梓は手ぶらで来たのですが・・・
しかし、せっかく唯先輩が私たちのために用意してくれたものを無碍に断るわけにはいきません。

再び唯先輩が言いました。
「じゃあ、みんなも呼んだほうが面白いよね、後、憂も」
私は二つ返事で「はい」と答えました。隣でチッと音がした気がしました。

唯先輩が電話をするとわずか数分足らずでいつもどおりにニコニコした憂が来て、私たちをおもてなししてくれました。
唯先輩がきらきらした目で見せてと言うので、ヴィンテージ風ギターを出し、貸すと、唯先輩はさっそく弾き始めました。
梓が「餅は餅屋」と言っただけあって、なるほど確かに唯先輩の方が梓よりも慣れた感じで弾いているのかもしれません。

唯先輩は大層アコギを気に入ったようで、ある程度弾いてからアコギを置くと
「純ちゃん、これ、素晴らしいよー」
と言いながら私にぎゅっと抱きついてきました。

先ほど聞こえたような、チッという音が2箇所2方向からした気がしましたが、気のせいでしょう。


そして私はゆらゆら電車に揺られています。電車と言っても2駅区間なのですが。
不意なお泊りの予定だったので一度家に帰って準備をしなければならないのです。

唯先輩と私がアコギを弾いている間、梓はキッチンで憂のケーキ作りを手伝っていたようでした。
皆さんが集まったら食べようと言うことです。

唯先輩と今晩ギターを教えてもらう約束をして、一度帰ることを伝えると唯先輩が
「今夜は寝かさないよ、子猫ちゃん。」
と言ったので、私は二つ返事で「はい、私も寝かせません」と答えました。

キッチンの方から南瓜を切ったとき独特の包丁をまな板に叩きつけるようなズダン!という音が2つしました。

ゆらゆらと走る電車にふわふわと揺られながら思いました。

憂と梓が作るパンプキンケーキはとっても楽しみ!


ぴんぽーん、ぴんぽん、ぴんぽん

先に忠告しておく急にチャンネルが変わってクイズ番組になったわけではない。
誰かがせわしなく私『琴吹紬』の家のチャイムを連打しているのだ。

この時私は4畳半の一室のワインセラーで今日持っていく酒選びをしていた。
憂ちゃんがいるということで、食べ物には不便しまい。
私が澪ちゃん用の焼酎とスポーツドリンクの組み合わせを思案していたときに私の部屋に来客が来たのだった。
一言言っておくがこれは彼女がどれだけお酒を飲めるのか復習するためである。決して復讐するためではない。

ワインセラーが102号室にあるので
来客が来た私の部屋である203号室に行くには一度外に出て階段を上らなければならない。

斉藤が用意してくれたこの4畳半8部屋のアパートであるがこういうときは少し不便かもしれない。

そんなことを思いつつ、私が外に出ると

私の視野の中には彼女がいた
なんと

私が自分のアパートに向かって帰っていた時のお話です。
私がアパートの前の道を歩いているとお隣さんに会いました。するとお隣さんがまた声を掛けてきました。

「ああ今、留守にしていたのか、君の部屋にお友達が訪ねてきていたよ」

お友達?誰だろう?
そう思って、道の反対側から私の部屋の前を見ると

アパートの前には、梓がいたのです。
なんと

昨日梓の家で見た日記を思い出しました。
気づかないうちに汗をびっしりかいています。目が合いました。

「ひえええええ!」
私は無意識の内悲鳴を上げると540度向きを変えて走り出しました。

気づくと私はここの近くに住む紬先輩のアパートのチャイムを連打していました。

実は私、ホラーが大の苦手なのです!


思った以上に気が動転していたらしいです。紬先輩は他の部屋から出てきました。
私はどうやら違う住人の部屋のチャイムを押していたようです。

事の経緯を早口でカクカクシカジカと紬先輩に話すと紬先輩は言いました。
「あ、あれを見ちゃったんだ」
「あ、あの日記って、、、」と私

紬先輩はニコニコしながら続けました。

「まあ、本当の話といったら本当の話なんだけどね」

彼女のためにも説明させていただく。
まず結論から言うと、彼女が目撃したのはおそらく澪ちゃんであり、彼女が読んだのは映画の台本である。
そして彼女が言う隣人、古河原俊之助さんは我がN女子大の人の良い警備員さんである。

私達はN女子大で『放課後ティータイム』というバンドを組んでいるわけだが
この春梓ちゃんが大学に進学しまた私達のバンドに再加入することで、ひとつの事が話題となった。

「再結成記念ビデオを作ろう」
ということである。


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最終更新:2011年05月05日 03:05