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斬刑に処す。その六銭、無用と思え



───???

?「お父さんとお母さん死んじゃった」

男「ああ」

?「たぶん、お兄ちゃんも」

男「……」

?「今日は、みんなでお月見するはずだったのに」

男「そうか」

?「おじさん、私を殺すの?」

男「……ああ」

?「見て、今夜はこんなにもお月様が───」


~~~

憂「んん……なんだか変な夢だったな……」

憂「あ、もうそろそろ起きないと」 ムクリ

憂「お姉ちゃん起きてるかなぁ。ふふ、きっとまだ寝てるよね」

憂「急いで着替えて、お姉ちゃんのかわいい寝顔を見に行こう」

唯「憂、起きてるー?」 ガチャ

憂「お、お姉ちゃん!?」

唯「おっはよー、憂。今日は私のほうが早かったね」

憂「びっくりしたよ。軽音部の朝練でもあるの?」

唯「ないよ。なんだか夢見が悪くて」

憂「そっかぁ」

唯「そうそう、私ね、頑張って朝御飯作ってみました!」

憂「お姉ちゃんが!?手を切ったりしてない!?」

唯「だいじょーぶだよー、包丁は使ってないから。でも目玉焼きちょっとこがしちゃった、でへへ」

憂「お姉ちゃんが作ったものならおいしいよ!早速食べよう?」

唯「うん!」

憂(だいぶ焦げてる。でもお姉ちゃんが頑張って作ったんだもん!ちゃんと食べないと!)

唯「ど、どうかな?苦くない?」

憂(にがっ)

唯「憂?」

憂「お、おいしいよ、お姉ちゃん。朝御飯作ってくれてありがとね」

唯「えへへ、照れるなぁ」

憂(照れてるお姉ちゃんかわいい♪)

唯「じゃあ、これからは私が朝御飯作るね!」

憂「いいよ、いいよ!普段は私が作るから」

唯「そう?でもー」

憂「あ、そうそう!お姉ちゃん夢見が悪かったって言ったけど、どんな夢見たの?」

唯「夢?うーん、うーんとねぇ」

憂「覚えてないの?」

唯「そうなんだよー。小さい頃の夢だと思うんだけど」

憂「お姉ちゃんが小さい頃の夢……」

唯「うーいー」

憂「な、何?」

唯「私は、今までもこれからも憂のお姉ちゃんだよ?」

憂「……うん!」

唯「えへへ」

憂「おねーちゃん」

唯「なーに、憂」

憂「呼んでみただけだよー」

唯「変な憂ー」

憂「えへへ♪」


律「おっす」

澪「お早う、唯、憂ちゃん」

憂「お早うございます、律さん、澪さん」

唯「お早う、りっちゃん、澪ちゃん。登校中に会うなんて珍しいね」

澪「こいつがいつも遅刻ギリギリだからな。今日はたまたま早く起きたんだよなー」 グリグリ

律「痛い!痛いです、澪さん!!」

憂「まるで、仲良し夫婦みたいですね」

澪「そ、そんなわけないだろ!こいつとは腐れ縁なだけだよ、憂ちゃん」

唯「ほんとですかね、律さん?」

律「最近身の危険を感じます。私に何かあったら秋山の仕業だと警察に!」

澪「変な風に飛躍させるな!」 ポカン

律「あいてぇ!」

律「まったく、澪は手加減をしないな。もっと愛のあるツッコミをしてくれよ」

澪「愛なんてない!!それに、ここ最近いつも眠そうにしてるんだから、丁度いい眠気覚ましだ」

律「ちぇ~」

唯「りっちゃん、最近夜遅くまで起きてるの?」

律「まーなー。深夜のお笑い番組が面白くてさー、ついつい見ちゃうんだ」

唯「そんなに面白いの?」

律「ああ。でも、お子様の唯はすぐ眠たくなっちゃうから、見るのは無理でちゅねー」

唯「なにをー!?」

律「やるかー!?」

澪「こいつら……」

憂「ふふ♪」

憂「最近と言えば、このところ物騒ですよね」

澪「そうだな、あんなこともあったしな」

律「あー、事件のことか」

唯「事件って、あの吸血鬼事件のこと?」

律「そうそう、被害者はみんな身体中の血を抜かれてるんだってな」

憂「現代に蘇った吸血鬼!ってテレビで騒いでますね」

澪「……ゴクリ」

律「澪は大人しいから標的にされやすそーだな!」

澪「夜出歩かなければ平気だ!」

律「それはどうかなー?」

澪「大丈夫ったら大丈夫だ!!」


律「唯はやけに静かだなー。どうかしたのか?」

唯「……」

澪「唯?」

律「どうしたんだよ、唯」

唯「あ、ごめん。ちょっと考えごとしてたんだよー」

律「ほほー、何を考えていたのかなー?」

唯「りっちゃんでもニュース見るんだなーって」

律「このやろー!」

唯「わー、りっちゃんが怒ったー!」

律「待て!おまえはドラムスティックでボコる!!」

澪「先に学校に行こうか、憂ちゃん」

憂「そうですね」


唯「もー!置いて行くなんてひどいよ、澪ちゃん!」

律「私とは遊びだったのね!」

澪「おまえらがいつまでもふざけあってるからだろ!」

唯「ぶーぶー!」

律「……」 キョロキョロ

澪「ムギだったら、まだ来てない」

律「そうみたいだな」

唯「今日もお休みなのかなぁ」

澪「心配だな」

律「あんなことがあった後だからな……」

唯「メールでは大丈夫だからって言ってたけど、やっぱり心配だよね」

律「ムギが休み始めてから、もう一週間は経つんじゃないか?」

澪「そうだな」

唯「よっぽどショックだったのかな」

律「かもしれない。それに、色々ともめてるらしい」

澪「もめてるって、どういうことだ?」

唯「遺産とか、次の当主のこととか?」

律「噂だけどな。ムギのお父さんはここらでは相当な権力を持ってたみたいだから」

律「お父さんが亡くなって、次の当主はどうするかでもめているんだとさ」

澪「次の当主はムギになるんじゃないか?」

唯「でも、若すぎる」

律「ああ、分家の連中が反対してるらしい。それでごたついてるみたいだ」

澪「お父さんを亡くしたばかりなのに、つらいだろうな……」

唯「それにしても、りっちゃん妙に詳しいね」

澪「そうだな、どうしてそんなことまで知ってるんだ?」

律「……くく」

澪「おまえ、まさか……」

律「ふははは!ばれてしまってはしょうがない!そうさ、私はスパイだったのさ!!」

唯「すぱいー!?」

律「知られてしまっては、生かしておけぬ、お命頂戴!きぇー!!」

唯「ひゃー!」

さわ子「あんたたち、何してんの」

唯「さわちゃんお助けー!」

律「さわの助、覚悟!!」

さわ子「誰がさわの助よ!ちゃっちゃと席着く!」

 「「はーい」」


───放課後

律「はぁ……」

唯「あふぅ……」

梓「先輩、やる気を出してくれなきゃ困ります!」

律「だけどなぁ」

唯「え、エネルギーが足りないんだよ」

梓「またケーキのことですか。しょうがないじゃないですか、ムギ先輩休みなんですから」

澪「まぁたしかに、ムギの紅茶とケーキが恋しくはあるな」

梓「もぉ、澪先輩まで」

律「梓だってケーキ好きだろー?」

梓「好きですけど……。でも、ムギ先輩がこんなときだからこそ練習しないとだめですよ」

澪「だな、梓の言う通りだ。私たちは私たちのできることをしっかりとやらないとな」

梓「はいです!」

律「……うん、今の演奏よかったな」

梓「ばっちりでした!」

唯「いやぁ、照れるなぁ」

澪「調子に乗らない」

梓「これでムギ先輩がいれば、完璧なのに」

澪「……梓」

律「少し早いけど、そろそろ帰るか」

梓「もうですか?もう一曲合わせていきましょう!」

律「気持ちは分かるけど、最近物騒だからな。遅くなると危ないだろ?」

唯「りっちゃんはたまに部長さんになるね!」

律「いつもだ!」

澪「ほらほら、帰るならさっさと後片付けしちゃおう」

唯「練習ならまた明日頑張ろうよ!だから今日は帰ろう、あずにゃん」

梓「むぅ、分かりましたよ」

紬「みんなっ!!」 ガチャ

律「ムギ!?」

梓「ムギ先輩!」

紬「まだ部室にいてくれて、よかった」

唯「ムギちゃん、すごい久しぶりだね!会いたかったよー」

紬「ふふ、私もよ。唯ちゃん」

澪「久しぶりだな、ムギ。色々あって大変だったみたいけど、もう大丈夫なのか?」

紬「ええ、お父さんが亡くなったことはとてもつらいけど、いつまでもくよくよしてられないから」

梓「ムギ先輩は強いんですね」

紬「そうじゃないわ。正直に言うとね、いつまでもくよくよしてられる状況じゃなかったの」

律「大変だったみたいだな」

紬「ええ、とっても。それに、まだ問題は片付いてないの」

唯「じゃあ、今日は私たちに会うために来てくれたの?」

紬「うん、みんなから元気を貰いにね」

律「そっか」

梓「あの!私たちに何かできることはないでしょうか?」

澪「そうだ、どんな小さなことでも構わないぞ!何かムギの力になれることはないか?」

紬「ありがとう、梓ちゃん、澪ちゃん。その気持ちだけで嬉しいわ」

梓「でも!」

紬「ごめんなさい、電話がかかってきたみたい。はい、もしもし?」

梓「うぅ」

唯「よしよし、あずにゃんは優しいね」

紬「分かったわ、急いで戻る」 ピッ

澪「もう、帰っちゃうのか」

紬「ごめんなさい、もっとみんなとお話していたいんだけど」

律「澪、行かせてやれよ」

澪「だけど!」

紬「ありがとう、りっちゃん。落ち着いたら、またみんなでお茶しようね」

唯「うん、きっとしようね」

紬「きっとね、唯ちゃん」 ギュッ

紬「……」 ボソボソ

唯「……うん」

紬「それじゃ、元気でね!」

澪「何かあったら遠慮なく相談するんだぞ!愚痴でもいいからな!」

梓「いつでもメールしてください!」

唯「……行っちゃったね」

律「そうだな。ところで唯、最後にムギが何か言ってなかったか?」

唯「別に何も言ってなかったよ?」

律「そうか?私には、ムギが唯に何か言って、相槌をうってるように見えたけど」

唯「気のせいだよー。それより、私たちも早く帰ろう。遅くなると危ないよ!」

澪「だな。帰るぞ、律」 ペチペチ

律「もー、デコを叩くなよー」

唯(夜に電話して、か)


―――――

唯「ごちそーさまでしたー」

憂「あれ、もういいの?晩御飯いっぱい食べておかないと、お腹減っちゃうよ」

唯「うん、もうお腹いっぱいなんだー。でもアイスなら入るかも!」

憂「ごめんね、アイスは買って来てないんだよ、お姉ちゃん」

唯「ちょえー」

憂「今度買ってくるから、ね?」

唯「うん!そしたら一緒に食べ比べしよーね」

憂「食べ比べ?」

唯「そーだよー、二人で食べさせあったりするんだー、えへへ」

憂「コンビニまでアイス買いに行ってくるね!」

唯「憂!?別に今日じゃなくてもいいよー!……行っちゃった」

唯(さて、今のうちに電話を済ませてちゃおうかな)

唯「……」 プルル

唯「出ないな、ムギちゃん取り込み中なのかなぁ?」

唯「だめだ、また後でかけなおそう」 ピッ

憂「た、ただいま……はぁ……はぁ……」

唯「おかえりー。わざわざアイス買ってきてくれてありがとー」 ギュー

憂「やだ、恥ずかしいよー、お姉ちゃん」

唯「よしよしよし」 ナデナデ

憂「も、もぉ」

唯「じゃあ、一緒に食べ比べしよっか」

憂「うん♪」


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最終更新:2011年05月07日 23:21