───???
?「そのガキは?」
男「はい、うちで引き取ろうかと思いまして」
?「……貴様もか」
男「貴様も、とは?」
?「俺もガキを1人養子にしようと思ってな」
男「理由をお聞きしてもよろしいでしょうか」
?「単なる道楽だ」
男「左様でございますか」
?「……あらかた片付いたようだな。引き上げるぞ」
男「はっ!」
唯「ふぁーあ……」 ムクリ
唯(結局、ムギちゃんとは連絡取れなかったなぁ。今夜あたり、もう一度電話してみよう)
憂「おねーちゃーん、起きてるー?」 コンコン
唯「起きてるよー」
憂「朝御飯できたから、準備ができたら降りてきてねー」
唯「はーい」
唯「……起きるか」
───お昼 学校
律「さーて、飯だ飯だー」
澪「律、今日はどうするんだ?」
律「私は久しぶりに学食かなー」
唯「学食かー。私もたまには学食で食べようかな」
律「おー、そうしろそうしろ。澪はどーするんだ?」
澪「学食は人が多いからな……」
律「澪は1人で食べるってさー」
唯「澪ちゃん、強く生きるんだよ。じゃ!」
澪「待て!誰も行かないなんて言ってないだろ!私も学食行く!みんなと食べる!」
律「ツンデレめー」
唯「愛いやつめー」
澪「う、うるさい!早く行かないと席なくなっちゃうぞ!」
律「今日は何食べようかなー」
唯「カレー!学食のカレーおいしいってあずにゃんが言ってた!そして私にください!」
澪「それは唯が食べたいだけだろ」
律「はは、カレーは職場の先輩に嫌ってほど食わされたからなぁ。しばらくは見たくもないぞ」
澪「職場?」
唯「りっちゃんアルバイトでもしてるの?」
律「ああ、前にな」
澪「へぇ、知らなかったな」
唯「うんうん」
律「言ってなかったからな。……げ、食堂すごい混んでるぞ」
澪「席あいてるかな」
唯「探してくるよ!りっちゃんと澪ちゃんは食券買ってていいよー!」
律「おー、頼んだぜ。澪はどうする?」
澪「私は売店のパン買ってこようかな」
律「分かった、んじゃまた後でなー」
TV『次の
ニュースです。○○町で起こっている連続殺人事件、通称吸血鬼事件ですが───』
律「そういやまた新たな被害者が出たんだってなー」
唯「襲われたのは、隣町の高校に通う女子高生だってね」
澪「怖いな」
律「この事件もだけどさ、夜になると物騒な感じの連中が増えたよな」
澪「そうなのか?」
律「夜にコンビニ行こうとしたんだけど、危なそうなのがフラフラしてたからさ、慌てて帰ってきたぜ」
唯「もももしかして、本物の吸血鬼じゃ……」
律「あはは、んなもんいるわけねーじゃん」
澪「だけど、被害者はみんな血を抜かれて殺されてるんだろ?」
唯「私、十字架買いに行こうかな」
澪「わ、私も!」
律「おいおい、落ち着けって。どうせ犯人はただの人間だよ」
澪「で、でも……」
律「しっかり戸締りをして、夜外出しなきゃ平気さ」
唯「そうかなぁ」
律「そうに決まってら。だからそんな馬鹿なことは───」
「あの……、もう食べ終わったなら席譲って欲しいんですけど」
澪「す、すみません!すぐ退きます!」
律「ごめんな!唯、澪、教室に戻ろう」
───放課後
律「よし、今日の部活はここまで」
梓「もう終わりですか?昨日より早いじゃないですか」
律「さわちゃんにさ、早く帰れって言われてんだ」
澪「近々放課後の部活動も禁止になるだろうって」
梓「そんな……」
唯「仕方ないよ、あずにゃん」
律「ムギもいないしな」
梓「だからこそ、私たちが練習しておかないと!」
澪「私だって練習したい。だけど、殺人事件はこの町で起きてるんだ」
唯「先生もりっちゃんも、みんなのことが心配で言ってるんだよ」
澪「分かってくれ、梓」
梓「……」
律「ムギが戻ってきたときに1人いない、そんなの洒落にならないだろう?」
梓「分かりました……」
唯「ありがとう、あずにゃん」 ギュ
梓「んに」
唯「これからは学校で練習できないからね、かわりに家でいっぱい練習するんだ!」
律「どうだかなー。唯の場合、少しやってそのまま寝ちゃうんじゃないか?」
唯「し、失礼な!ちゃんとやるもん!」
澪「はいはい、頑張ろうな」
唯「澪ちゃんも信じてないでしょー!ほんとだかんねー!」
梓「ふふ、私も唯先輩に負けないくらい練習しますからね。それじゃ、帰りましょうか」
唯「そうだね、帰ろー」
律「おう」
───帰り道
律「しっかし、私たちの町で殺人事件が起こってるなんて信じられないよな」
澪「たしかにあまり実感湧かないな」
梓「そういう考えは危険ですよ。もし、犯人に遭遇したらどうするんですか」
唯「うーん、ギー太で戦う?」
梓「逃げてください!」
澪「唯はすぐに捕まっちゃいそうだな」
梓「そうですね、あっという間に捕まってしまいますね」
唯「私死亡確定なの!?」
律「どうかなー。私は唯は足が速いと思うけど」
澪「何言ってるんだ。体育だといつもビリじゃないか!」
唯「うぅ、そこまで力強く言わなくていいのに」
澪「す、すまん」
律「実は力を隠しているんだろ……、唯?」
梓「あはは、そんなことする理由がないですよ。ね、唯先輩」
梓「唯先輩?」
唯「くくく、ばれてしまっては仕方ない」
律「やはり、な」
唯「ハッーハッハッハッ!よくぞ見破った、りっちゃんよ!まさか、こんなに早く気付くとは思わなかったよ!」
澪「な、何を言ってるんだ、唯?」
律「普段は力をセーブしてるってことさ」
梓「嘘ですよね?」
唯「試してみるかね、あずにゃん!」
梓「え?」
律「じゃあ、あそこの電柱まで梓と唯で競争な」
梓「えぇ!?」
唯「たやすい」
梓「嫌ですよ!どうして私がそんなことしなきゃいけないんですか!」
唯「おやおやー?怖気づいたのかい、あずにゃーん」
梓「違います!私には競争する理由がないじゃないですか!」
律「買ったほうにアイス奢ってやるぞー」
唯「ほんと!?」
梓「仕方ありません、唯先輩には負けてもらいます!」
澪「現金なやつらだなぁ」
唯「澪ちゃん、ギー太お願い!」
澪「分かった」
律「いくぞー、準備いいかー?よーい……、どん!」
唯「……ぜぇ……ぜぇ」
梓「ふふ、私の圧勝でしたね!」
澪「なんというか、どんまいだぞ、唯」
唯「くっ、まだこの身体に馴染めていないのか!」
律「いい加減にしなさい」 ポカッ
唯「いたっ!」
梓「律先輩、ちゃんとアイス奢ってくださいね!」
律「約束だからな」
梓「アイスー♪アイスー♪」 スキップスキップ
澪「お、おい!梓カバン!カバン忘れてるぞー!」 タタッ
唯「ふぅ、疲れたー。私も頑張ったんだから、参加賞でジュース奢ってくれてもいいんじゃないかな!」
律「……」
唯「りっちゃん?」
律「いや、なんで本気で走らないのかなーと思ってさ」
唯「あずにゃんは優しいからね、手加減してくれたのかも」
律「そっか」
唯「……りっちゃんもさ」
律「ん?」
唯「りっちゃんも本気で走ったら、私よりも速いんじゃない?」
律「はは、どうかな。私は唯のほうがずっとずっと───」
唯「あ!澪ちゃんとあずにゃんに置いていかれちゃうよ!急いで追いかけよう、りっちゃん!」
律「そう、だな……。よし見てろ、これが私の本気だー!うぉおお!」 ダダッ
唯「ま、待ってよー!りっちゃーん!!」
───その夜
憂「おねーちゃーん、お風呂あいたよー!」
唯「今いくー!」
唯(……今日も電話は繋がらない、か。さすがに心配になってきたな)
唯(ムギちゃんのお父さんが死んでからの町の治安の悪化……。何か関係があるんだろうな)
唯(直接ムギちゃんの家に行くか?いや、それはさすがに───)
憂「おねーちゃん?まだ入らないのー?」
唯「今いくってばー!」
唯(とりあえず、お風呂入ろう)
───???
?「……」
少女「お名前はなんていうの?」
?「……」 ボソボソ
少女「そう、××ちゃんって言うんだ」
?「ここ、何処?」
少女「ここはね、私のお家だよ。すごく広いでしょ!」
?「うん、迷路みたい」
少女「一緒に探検しない?」
?「探検?」
少女「うん!」
?「面白そう」
少女「きっと楽しいよ!さ、行こう!」 ギュッ
?「うん、ムギお姉ちゃん」
───次の日の放課後
律「あー、くそぉ。ついに部活動禁止になっちまったな」
澪「言った次の日になるなんて、思ってもみなかった」
唯「しばらくは、自宅で練習だね」
律「そうだなー。休日はさ、またスタジオ借りてみんなで練習しないか?」
澪「律にしてはいいアイディアだな」
律「だろ!」
唯「うんうん、私も賛成だよー!」
律「早速、梓にも連絡してみようぜ!」
澪「どうせなら、また一緒に帰らないか?」
律「そうだな、そうしよう!」
唯「あずにゃんなら、今日は憂たちと一緒に帰るってメールがきてたよ」
律「そっか。んじゃ、後でメールで連絡しておくか」
澪「私たちも帰ろう。遅くまで残っていると、さわちゃんに怒られるぞ」
律「なぁなぁ、途中でモスに寄って行かないか?」
澪「寄り道せずに帰れって、言われたじゃないか」
律「ちょっとだけだよ!なんか腹減っちゃってさー」
澪「ちゃんとお昼食べないおまえが悪い」
律「いーじゃねーかよー、澪さーん」 スリスリ
澪「わ、分かった!分かったから引っ付くな!!」
律「やりぃ!唯も一緒に行くよな!」
唯「ごめん、帰ったら憂と出掛ける約束があって」
澪「そっか、残念だな」
律「ならしゃーないな。唯、また明日な」
唯「うん、またね!」
唯「……」
唯(……そろそろ、行くか)
最終更新:2011年05月07日 23:23