紀元前四世紀ぐらいに小さな王国がありました。
しかし、その王国は長い間戦争が絶えませんでした。
一方的に支配しようとする王国側。それに反抗する名もなき村達……争い、戦い、ペロペロし合う……そんな時間が永遠と続くと思われた時です。
一人の少女が現れました。
その少女は戦いの真っ只中に一人で踏み込み、両陣営の代表に自らをペロらせ戦争を止めたという……。
そうして数十年に渡って続いていた戦争は終わり、平和が訪れました。
そしてその平和の象徴として新しい王国、あずにゃん王国が誕生したのです。
パタン──
澪「こんな感じでどうです?」
梓「う~んなんかインパクト足りなくない?
後世の人が見て「あずにゃん王国やべぇっ」ってなるようなやつがいいんだよね~」
澪「はは。ではまたやり直しと言うことで。おい、これまた書き直しだ」
純「ははっ」
梓「は~暇だな~」
この人があずにゃん王国第一代国王、あずにゃんことペロペロ女神梓。
澪「暇と言うことはそれだけ平和ということですよ梓国王。よいことではありませんか」
この人はあずにゃん王国ペロの三騎士の一人、澪。
あずにゃん国王の側近である。
梓「むぎゅー何か面白いことない?」
紬「耳かきとかどうかしら?」
この人もペロの三騎士の一人、紬。
梓「また~? こないだもやったばっかじゃん。これ以上やったら耳から血が出ちゃうよ」
紬「まあ、酷いですわあずにゃん国王」
梓「わちゃんは? なんかない?」
和「のどかですよ国王。何回言わせる気ですかもう……」
この人も三騎士の一人、和。
和「そうですね……そろそろ選民の時期ではございませんか?」
梓「選民か~。そだね。暇だし足もかゆくなって来たことだし、早速準備してよ」
和「はっ!」
黄金に染まる都市、あずにゃん王国にズラッと並ぶ人影。
それは何キロもの列を作り続いていた。
その人影はどんどん城の中に入って行く。
がやがや……わいわい……
澪「静かにしろ!!! 国王の御前だぞ!!!」
シーン……
和「ゴホン。ではこれより第九十九回目の選民を行う。一人づつゆっくり前へ進みなさい」
それを聞きゆっくり民衆は前へ、前へと進んで行く。
その先には……
梓
民
民
民
民
民
・
・
・
梓「次」
偉そうな椅子にこれまた偉そうにふんぞり帰った梓王国がいた。
梓王国は右足をこれまた美しい細工が施された黄金の足置きに置いている。
民衆「ありがたやありがたや……」
澪「後がつかえているのだ、早くしろ」
民衆「ははっ!」
澪に一喝されるとすごすごと梓王国の前に行き、腰を下ろす。
民衆「では、失礼致します」
梓「うむ」
屈むような格好になりながら足置きに乗せられた梓王国の足を……
民衆「ペロペロ」
──舐めた
梓「……うむ。いいだろう。よし次」
こうして繰り返されるペロペロ。
これぞあずにゃん王国の絶対王政、ペロペロである。
この絶対王政ペロペロは、通称選民と呼ばれて何ヶ月かに一回行われる。
梓王国が自らをペロらせて戦争を止めたことから、平和の象徴となる梓王国をペロることでそのペロった民衆達も平和へのありがたさ、意識、争いの虚しさなどをわからす為に行なっている。
梓「ん」民衆「ペロペロ」
梓「ふっ」民衆「ペロペロ」
梓「はっ」民衆「ペロペロ」
梓「くくっ」民衆「ペロペロ」
梓「あはっ」民衆「ペロペロ」
梓「んひっ」民衆「ペロペロ」
梓「あふんっ」民衆「ペロペロ」
梓「むにゃんっ」民衆「ペロペロ」
澪「梓王国。少しお疲れではないのですか?
列を止めてもよいのですよ?」
梓「これくらいどうってことないよ、気にするな。
それよりも最近は大したペロリストはいないなぁ」
澪「左様でございますか」
梓「私を唸らせるようなペロリストは出てこないものか……次!」
しかし、それは表向きの顔。
裏向きは平和を脅かす者達をいぶり出す事である。
律「……」
澪「おい、お前! 何止まっている! さっさとペロペロせんか!」
律「くっ……」
澪に恫喝されながらも前に進もうとはしない。
澪「貴様……まさか反ペロリストか!?」シャキン
腰に掛けてあった剣を抜くと切っ先を律に向ける。
律「っ……」
剣を向けられ焦ったのかようやく律が梓王国の前へと歩を進める。
そして屈み、台座の上に置かれた眩いばかりの梓王国の足に舌を下ろす……。
律「ベロベロ」
梓「!!!!!」
梓「このものを引っ捕らえろ!」
律「っ!?」
澪「はっ! 貴様! こいっ!」
律「私はなにもっ……」
梓「ふん、そのようなザラザラした舌で舐めるとは……不届き者め!」
律「それはっ……あんたらがちょっとしか水を配ってくれないから!」
澪「ええい国王に言い掛かりをつけるとは何事か! この剣の錆びにしてくれよう!」
梓「待て澪。いい余興だ……この者をペロ跳ねの刑に処す!!!」
澪「はっ! おい! あれを用意しろ!」
純「……はっ」
律「いやだっ! 離せっ!」
ジタバタする律を押さえつけると木の板に革紐のベルトがついたものにうつ伏せに固定される。
律「くっ……」
身動きが取れなくなった律はただ下から澪を見つめるしかない。
澪「舌を出せ」
律「断る!!!」
澪「……おい」
純「はっ!」
モップ頭の使用人が律の口を無理やりこじ開けると舌を引っ張り出す。
そう、ペロ跳ねとは……簡単に言えば舌を落とすことである。
切り落とされた舌が踊る様に跳ねることからペロ跳ねと呼ばれているのだ。
律「ふぁめろ! ふぁふてくれ!」
澪「問答無用……梓国王こそが絶対なのだ。恨むならそのペロペロも出来ない舌を恨むのだな!!!」シャキン
抜かれた剣が輝きを増す。
もう見つめることしか出来ない律にとってそれは恐怖としか言いようがないだろう。
そして……
澪「……はあっ!!!」
純「!!!」
律「!!!!」
「待ってください!!!」
澪「」ピタッ
純「!?」
律「ゴホッゴホッ……」
梓「む?」
唯「国王、彼女の変わりに私がペロ跳ねの刑を受けます」
澪「なんだ貴様! 梓国王に指図するとは……」
梓「よい。お前はその者の家族か何かか?」
唯「いえ、全くの他人でございます」
梓「ほう、全くの他人の為に自らの舌を落とすと?」
唯「勿論条件がございます」
梓「条件? まあいい。聞くだけ聞いてやろう」
唯「私のペロペロを国王がよしとしなければ容赦なく私の舌を跳ねてください」
梓「ほう……」
澪「貴様ァ! 舐めたことを!!!」シャキン
梓「面白いです。受けて立とうじゃないですか」
澪「梓国王!」
梓「それほどペロペロに自信があるのだろう……私が気になると言っているのだ、澪」
澪「……梓国王が言うなら……わかりました」
梓「うむ、ではやってみるがいい。ただし私は並のペロペロじゃ微動だにしないからな」
唯「はは~。では、遠慮なく」ペロペロ
梓「!!!!?」
梓「(こ、これは……!)」
唯「ペロペロ」
梓「(この柔らかくもしっとりとした絶妙な舌!)」
唯「ペロペロ」
梓「(仔犬を連想させる舐め顔!)」
唯「ペロペロ」
梓「(そして一番は……)」
唯は両手で梓の足を持ち上げると足の裏をペロペロと舐め回す。
梓「(このテクニックっ……!)」
親指を優しくペロると次に人差し指、中指、と順にペロっていく。
一通りペロると返す刀、舌裏で舐めながら足裏を下降して行く。
梓「んふぁ……」
唯「ふふ……」
踵の辺りを舌舐めずりで一周させると今度は踝を一周。
ぬちゃりという音が聞こえる度梓の淫靡な声が漏れ出す。
梓「あっ……んんっ……」
唯「ペロペロ」
そしてまた表面に舌がたどり着くと血管をなぞるように這いながら優しくペロる。
梓「んあ……そこっ……もうっ……」
唯「ペロペロ」
唯がペロペロする速度を段々と上げて行く……。
梓「ダメっ……ダメっ……あっ! ああっ!!!」
梓「」ビクンビクンッ
唯「満足していただけましたか?」ニコニコ
梓「はぁ……はあ……(イっちゃった? まさかこの私が? 足をペロられたぐらいで……?」
梓「……名前を聞こう」
唯「唯でございます。梓国王」
梓「唯……か。よいペロペロであった」
唯「では!?」
梓「ああ。あの者及びお前を不問と処す」
唯「やったぁっ!!!」
澪「くっ……」
律「なんかよくわからないが助かったみたいだな……。ほら、これ外せよ!」
純「……」カチャリ
律「全く……」
澪「助かったからと言って貴様の罪が許されたわけではないぞ!
次の選民の時に覚悟しておくんだな……!」
律「へっ……(起こらねぇよ……次の選民なんてな!)」
梓「唯、良かったら私専用の……」
和「国王、早く次に。今日中に終わらせねば」
梓「くっ……わかっている! ……次! さっさとしろ!」
律「いや~死ぬかと思った。助かったよ!」
唯「どういたしまして」
律「私は律。あんたは唯だっけ?」
唯「うん!」
律「お礼と言っちゃなんだけどこれから私の村で食事していってくれよ。そんな大したもんは出せないけどさ」
唯「でも私早く帰らないと……」
律「大丈夫。時間はとらせないよ。約束する」
唯「そういうことなら……ごちそうになろうかな」
デコ村
律「お~い帰ったぞ~」
聡「あっ、姉ちゃんおかえり! どうだった?」
律「危うく舌落とされるとこだったよ」
聡「マジかよwww さっすが恐怖の魔王梓国王だな」
律「でもこの人が助けてくれたんだ。入ってよ、唯。小さな家で悪いな」
唯「お邪魔しまーす」
聡「なっ……!」
唯「ん? 何か私の顔についてる?」
聡「で、デ、デコが出てない!!!」
唯「へ?」
律「失礼だぞ聡。この村の人じゃないんだから当たり前だろう」
聡「そ、そうだった! 久しぶりにデコが出てない女の人みたよ。新鮮でいいな~」
律「ほ~ら出来たぞ。デコ村名物デコカレーだ」
唯「わーい」
聡「わーい」
律「……食べながらでいいから聞いてくれないか」
唯「んふぇ?」モグモグ
律「このデコ村はさ……見ての通り小さな村だ。でもみんなが生き生きとしていい村だったんだよ……」
律「でもそれをあいつらが奪ったんだ……! あずにゃん王国が……!
やつら私達が使っていた水飲み場を勝手に管理し始めたんだ!
小さいからってこの村に渡される水は雀の涙くらいさ! とても足りやしない!」
唯「そうなんだ……」
律「それだけじゃない!」
律「少しペロペロが乱れると平和を乱す不穏分子だとか言ってあの始末!!!
うちの村の人も何人も戻って来ちゃいない。
噂じゃ舌を跳ねた後に縫合してから地下牢に入れてるって話だ……殺さず生かさず……ただペロペロ出来なかった自らを責めさせる。
地獄さ……あそこは」
唯「……」モグモグ
聡「……」モグモグ
律「はは、悪いね……飯時にこんな話してさ。こんなこと言ってもどうにもなんないのにな……」モグモグ
唯「……」
律「美味いな、デコカレー。ほんとにありがとな、唯。あんたがいなかったら味わえないとこだったよ」
唯「……そろそろ帰るね。妹が心配だから」
律「妹さんがいるのか。……よし、ちょっと待ってな」ゴソゴソ
律「ほら、持って帰りな、デコカレー」
唯「いいの?」
律「命の恩人の妹さんだ。食ってもらわないとバチが当たる」
聡「(姉ちゃんそれ朝め(ry」
律「(我慢しな」
聡「(はい……」
唯「……じゃあ遠慮なく。ありがとう律」
律「りっちゃんだ。ここじゃそう呼ばれてる」
唯「ありがとう、りっちゃん」
律「ああ。また来いよな、唯」
唯「すっかり遅くなっちゃった」
律の家を出て、デコ村の入口に差し掛かった時だった。
「もし、この現状を変えられるとしたらどうする!!!???」
唯「!?」
大声に反応し、唯が振り向くとそこにはさっきまで話していた律がいた。
薄暗くなった夜に月が降り、デコ村をほんのり照らしている。
唯「どういう……」
律「あんたは満足してんのか!? こんな虐げられた暮らしで!
何が平和だ! あんなもの支配だろう!!?」
唯「それは……」
律「私達は近々村同士で手を合わせてやつらを叩く!!!
デコ村の生き方こそが正しいんだ!!! それをやつらにわからせてやる!!!」
律「だからあんたの村にも協力して欲しい! 帰ったら村長さんにそう言ってくれないか?」
唯「でも……」
律「助けてもらった手前でこんなこと言うのはデコ違いなのはわかってる! けどもう仲間が死ぬのを見たくないんだ……頼むよ、この通りだ」
唯「そんなっ! 土下座なんかされても……私……」
律「ちがぁうっ! デコスリツケだ。デコ村じゃ地面にデコをスリツケるのは最大級の禁忌なんだぞ!
それをやるぐらい本気ってことだ!」
唯「……そうなんだ」
唯「でも……私達は協力出来ないよ」
律「こんなに頼んでも駄目かっ!?」
唯「ううん……そうじゃなくて……私達二人だから……」
律「えっ」
唯「妹がペロペロ病で……移るからって村を追い出されたの」
律「ペロペロ病……だと」
唯「だからごめんね……りっちゃん。私だけならともかく妹は巻き込みたくないんだ」
律「そっか……それじゃ仕方ないな。無理に誘って悪かった」
唯「ううん。じゃあ妹が待ってるから。カレーありがとう」
律「ああ。また絶対に来いよな! 次は妹さんと一緒に! デコカレー作ってやるからさ!」
唯「うんっ!」タッタッタッ……
律「……かのものがデコと共にあらんことを」
デコ村の入口にあるデコ神の像、それが一瞬光った気がした。
最終更新:2011年05月09日 03:00