憂が高校に上がってしばらくして、変な病気にかかってしまいました。

正確には病気かどうか、実はよくわかっていません。お医者さんには行ってないので。

でも、微小であるとは言え、こうして生活に支障があって、本人が困っているのだから、これは多分病気と言っていいのではないかと思います。

病名は不明。インターネットで検索してみましたが、同じような症状は見つかりませんでした。

お医者さんに行こう、と、何度か言ってみましたが、憂は恥ずかしがって決して首を縦には振りません。

まぁ、気持ちは分かります。私が憂の立場だったら、きっと同じようなリアクションをしたでしょうから…

普段の生活には、ほとんど支障はありません。ご飯だって前と同じ物が食べられるし、運動だって全く問題ありません。

ただ、月に2、3回くらい、こんな風に発作のように症状が現れるだけです。

その発作だって、ある意味、たいした事はありません。こうして私が「処理」してあげれば良いだけなのですから。

憂「お姉ちゃん…はぁ…お姉ちゃぁん…」

憂の声で目が覚めました。私の肩を揺すりながら、火照った体を押し付けながら…はぁはぁと、熱っぽい吐息を漏らしながら。憂が私を呼んでいます。

唯「憂…始まっちゃったの?」

眠い目をこすりながら時計を見ると、午前1時。正直なところ、眠いです。眠くてしょうがないです。

でも、憂を放っておく事はできません。今起きて、私が「して」あげないと、きっと朝まで、憂はずっと一人で苦しむ事になるのですから。

憂「お姉ちゃん…ごめんね…ごめんね…こんな遅くに…ううっ…」

唯「憂、いいからね?ほら、おいで?」

布団をめくって、憂を招き入れます。ベッドから体を半分ずらし、憂が横になるスペースを作って、枕は半分こにします。

シングルベッドなので、向かい合って抱き合うようにすると、ちょうどいい案配のポジションになります。

そして…憂の発作を鎮めるために。

唯「じゃあ…するね?」

憂「うん…はぁっ…はあっ…」

すりすり、と、憂のお股に押し付けた太ももを、擦り付けるように動かします。

擦れる度に、憂が熱い吐息と喘ぎ声を漏らし、少しずつ高まって行くのが分かります。

唯「うい…いいこ、いいこ…」

ギュッと、私の胸にしがみついてくる憂を、頭を撫でながら、額にキスしながら、徐々に高めていきます。

憂「ああっ…おねえちゃあん…」

私の胸に、赤ちゃんのようにすりすりと顔を押し付けながら。

私の足の動きに合わせるように、お股をすりすりと擦り付けながら。

憂も、自らを徐々に高めて行きます。

キシキシと、ベッドが軋む音。憂の甘い声と、熱い吐息。布が擦れる音に混じって、微かにぴちゃぴちゃと水音。

憂「はあ、はあ、おねえちゃん、おねえちゃんっ」

切羽詰まったような憂の声。それに合わせるように、益々激しく、貪欲に、憂の動きがエスカレートしていきます。

普段の、あどけない憂の姿からの乖離と、むせ返るような熱気に、嫌が応にも私の興奮をかき立てられます。

…私は、実の妹に。実の妹の女の行為に、興奮し、欲情していました。

唯「うい…うい…」

憂「おねえちゃん…おねえちゃあん…」

憂は、短く悲鳴のような喘ぎ声を上げて、ようやく果てました。


もう、半年以上も前でしょうか。夜中に突然、憂に起こされたのです。

そのときは、全く状況が分からないまま、憂が私の布団に入ってきて…そして、意味も分からず、促されるままに、憂のお股を擦っていました。

当時の私は、全くその手の知識が無く、憂が変な病気になったと思って、とても不安でした。

(まあ、実際、変な病気だった訳ですが。)

でも、その行為というか、欲求自体は、病気でもなんでもなく、私たちの年頃の女の子なら普通の事だったのです。

唯「おなにー…って、何?」

最初の発作が治まり、私は憂にいろんな事を教わりました。

性欲。

要するに、エッチしたい、という欲求です。

憂は、というか年頃の女の子は、個人差はあれど、みんな性欲があって、それを鎮めるために、自分で自分の体を慰めているのだそうです。

これを、オナニーと言うそうです。

澪ちゃんも、りっちゃんも、ムギちゃんも、あずにゃんも、多分みんなしてるんだそうです。

憂は、顔を真っ赤にしながら、私に教えてくれました。

で、ここで本題です。

憂も、オナニーをするそうです。よくしているそうです。(全然知りませんでした。)

オナニーすると、しばらくすると一番気持ちよくなって、それで体が満足するそうなのですが、どういう訳かそのときに限っては、その「一番気持ちよく」ならず、三時間くらい悶々とし続けていたそうです。

そして、本能的に私のところに来て…本来なら絶対に許されない行為をしてしまった、のだそうです。

そう言って、憂はさめざめと、泣きながら謝りました。

憂「ごめんね…ごめんね…気持ち悪いよね…ううっ…」

私はそのときは、言っている意味がよくわからなくて、ストレートにその時の感想を伝えました。

憂が気持ち悪いなんて、あり得ない、と。それが例え、どんなにいけない事でも、異常な事であっても、受け入れると。

いつものように何も考えず、無配慮に、容認しました。許容しました。

またこういう事があったら、いつでも手伝ってあげると、意味もよくわからないまま、憂の「性欲」を一身に引き受ける事を確約したのでした。

それ以来、憂はときどきこうして夜中にやってきて、私の体を使ってオナニーします。

普段は、自分一人の行為で満足出来るそうなのですが、ときどき、どう頑張っても満足出来なくなる日があって、そのときだけ私のところに来るそうです。

私以外でも、憂を満足させてあげられるのかな?

そう聞くと、憂は、多分大丈夫だと言っていました。これは、多分、自分で自分を満足させられなくなる病気なんだろう、と。

そういうとき、何もせず、我慢するとどうなるのかな?

そう聞くと、憂は、多分…途中で、精神がおかしくなる、と言っていました。

多分、これは、そういう病気なんだろう、と。

自分で自分を満足させられない病気。満足出来ないと、精神がおかしくなってしまう病気。

自分では満足出来ないから、こうして自分以外の、姉である私の体で、満足させてもらう。ただ、それだけ。

これが憂にどのくらい負担になっているかは、正直なところよく分かりません。

普段の憂は、それまでの憂と全く変わったようには見えず、ある意味完全に割り切っているようにも見えます。

私も、そんな憂に合わせて、その夜の事は一切表に出さず、それまで通りに振る舞っています。振る舞っているつもりです。

しかし…

やっぱりこれは、憂にとっては辛い事に違いないのです。

オナニーは、自分でするからオナニーなのです。

オナニーは、性欲を抑制する為の行為です。

抑制しきれず、その性欲を自分以外に委譲したとしたら…それは、もうオナニーではないのです。それはもう、エッチなのです。

だからこれは、本当のエッチなんです。

つまり私の妹は、実の姉と、エッチしているんです。

つまり私も、実の妹と、エッチしているのです。


幸いこの発作は、夜にしか起こりませんでした。

なので、外出先で突然…という事もなく、しつこいようですが、実生活には殆ど影響がありませんでした。

ただ気がかりなのは、今後一生この病気が続くのだとしたら、憂は必ず誰かと一緒に暮らして行く必要がある、という事です。

一日も欠かさず、誰かと一緒にいないと駄目なのです。いつ発作が起こるか分からないので。

一人で旅行に行ったりする事もだめですし、一人暮らしなんてもっての他です。

けいおん部の合宿には、念のため同行させました。みんな歓迎してくれたし、その日は結局発作は起こらなかったので、憂も私も純粋に楽しむ事が出来ました。

ですが…例えば、修学旅行はどうでしょう。さすがに、同行させるわけにはいきませんし、逆に同行するわけにもいきません。

それに、友達の家にお泊まりしたり、そう言った事も基本的にはできません。

前に一度、りっちゃんと澪ちゃんがお泊まりに来たときに、発作が起こってしまいました。

そのときは、こっそりと憂の部屋に行って、声を抑えて行為をしました。

…翌朝、澪ちゃんの態度がどことなくぎくしゃくしていて、ああ、聞かれちゃったんだな、と悟りました。

その後、澪ちゃんはしばらく、ちょっと私とは一線引いているようでしたが、次第に前のように接してくれるようになり、結局すぐに元通りの関係に戻りました。

多分、澪ちゃんなりに私たちの関係を(多分間違えて)理解し、熟考した末に、最終的に受け入れてくれたんだと思います。

ひょっとすると、私が気づかなかっただけで、りっちゃんも聞いていたのかもしれません。

とは言え、仮に聞いていたとしても、やっぱりりっちゃんも、澪ちゃんと同様に受け入れてくれたんだろうと思います。

多分、それがムギちゃんでも、あずにゃんでも、和ちゃんでも同じだったんだろうと思います。

そして、私たちが行為に及んだ本当の理由を打ち明けたとしても。

同情や心配などはあっても、決して、それまでの関係が崩れる事はあり得ないのでしょう。

そう考えると、この、憂の病気は、何となく暗黙のうちに「秘密」にする前提があったのですが、その前提が変わってきます。

基本的には、私一人が憂についていればなんの問題もありません。

ただし、私が病気したり、さっき挙げたように修学旅行のときなどは困った事になります。

常に一人の人間に完全に依存するよりは…何人かの親しい人間に打ち明け、トータルで常に誰かが対処出来るようにした方が、安全性というか、確実性が高まるのではないか、と思い至りました。

唯「という理屈なんだけど…どうかな?」

憂に相談してみたところ、やはり最初は戸惑っていました。

ですが、いろんなリスクを二人で話し合い、最終的には、自分たち以外の誰かに、最低一人は打ち明けるべきだ、という結論に達しました。

ここで問題になるのが、最初の人選です。

別になにも、いたずらに大人数に触れ回る必要は無いのです。必要最低限、少しずつ浸透させていって、最終的に理想的な状態にできればよいのです。

なので、最初は、一人に絞ります。

一人に絞ったとき、人選の問題はあっさり解決しました。

あずにゃんです。

憂の、最も親しい友人の一人。

私の可愛くて頼もしい後輩。

学年もクラスも憂と同じで、今後修学旅行や、考えたくはありませんがもし日中に発作が起こっても対処が可能で、現時点ではこれ以上無い人選だと思われました。

そんな矢先、憂が、初めて日中に発作を起こしました。

3時間目の休み時間の終了間際に、憂からのメールが届きました。


 Title : ごめんね
 はじまっちゃったみたい
 2棟 2F 一番奥の個室


唯「りっちゃん、ごめん私トイレ!」

律「おぉーい、もう授業はじまるぞー?!」

万が一、日中に発作が起こったら…

私たちは、念のためその場合についても話し合っていました。

二人で早退するという案もありましたが、実際発作が起きたときに家まで戻れるかどうか不安があったため、学校で対処する方向で検討しました。

そうすると、選択肢は非常に狭まり、自然と、どこかトイレの個室でこっそりと対処する、という事になっていました。

今がまさにその状況でした。

自分たちの教室から大きく外れて、特殊教室が並ぶ校舎へ駆け込み、そのまま階段を1段飛ばしで駆け上がります。

唯「はあ、はあ、はあ」

息が上がっていました。息を鎮めながら、憂にメールを送りました。

送信と同時に、一番奥の個室から振動音が聞こえ、私はそこに向かいました。

唯「…憂…あけて…」

カチャリ、と鍵を開ける音がして、続いてキィと扉が開きました。

隙間から覗く憂の顔は、赤く火照って、既に完全に出来上がっている様子でした。

憂「おねえちゃん…ごめんね…ぐすっ…」

はあはあと息を荒げ、足をもじもじと摺り合わせながら、憂が私に抱きついてきました。

唯「よしよし…遅くなってごめんね…」

声を潜め、息をひそめながら、私は憂を腰掛けさせました。

唯「…あー、どうしようか…」

普段は家だったので、行為が終わった後でシャワーを浴びて着替える事が出来ましたが、ここではそう言う訳にはいきません。

いつもの様に抱き合って高める事も出来ませんし、なるべく汚れないようにする必要があります。

唯「憂、パンツ下ろして?」

憂は、泣きそうな程困った顔をしていました。でもしょうがないんです。私は半ば無理矢理憂の下着を下し、股を露出させました。

唯「憂、スカート上げてて」

手短に。必要最低限の行為で。

憂の感じるところはよく把握していたので、効率よく、そこを刺激していきます。

憂は、声を抑えるために、ハンカチをくわえて苦しそうにうめいています。実際には、苦しいのではありませんが。

ほんの1、2分、行為を続けると、憂は小さな身体を震わせながら、あっけなく達しました。

余韻を味わうように、私はしばらく憂のお股をさすりながら、空いた手で憂を抱きしめます。

憂は両手で私にしがみつきながら…いつものように、私の胸に顔を擦り付け、余韻に浸るように甘えて…

そして、ふい、と、顔を上げました。

真っ赤な顔に、潤んだ瞳。行為を終えた直後の、火照った表情は、堪らなく艶っぽくて、私は思わずドキッとしました。

そして、その潤んだ瞳が徐々に閉じられ…顎を、ちょっとだけ上げて…

憂は、私の唇を、求めてきました。

私は求められるままに、憂にキスをしました。

はじめての、唇と唇のキス。

…はじめは、憂の発作を鎮めるためだけの行為でした。

いつしかそれは、変質し…愛しい憂の身体を、ただ求める行為になっていました。

憂とキスをかわして、私はようやく、その事に気づいたのです。

性別の枠を超え、家族、姉妹という枠を超えて。

私は憂を、愛してしまっていたのです。


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最終更新:2011年05月12日 22:08