イビルジョー。
別名、恐暴竜。

獣竜種の中でも最大級の巨体を誇るモンスターであり、特定のテリトリーは持たず、常に獲物を求めてさまよっている。
その体躯に比例した高い代謝と体温を保つため、眼に映った生物を無差別に捕食する。
貪欲なまでの飢餓感は底なしで、切断された自身の尾を喰らったり、同属に対しての共食いも行ってまで空腹を満たそうとする。
絶えない飢餓感もあってか凶暴であり、捕食のし過ぎで周囲の生態系を崩壊させ、生物を絶滅寸前に追い込んだ事例すらあるという。
その捕食対象は小中モンスターだけにとどまらず、飛竜種や果ては古龍などの大型モンスターにも恐れなく襲いかかる。
激昂すると全身の筋肉が大きく盛り上がり、過去に獲物につけられた古傷が不気味に赤く浮かび上がる。
それと同時に傷口が開き、その痛みそのものが狂暴性をさらに増させる要因となっているのではないかと言われている。
詳しい生態については未解明な部分が多く、その狂暴性を含め最重要調査対象となっている。

眼に映る生物を反射的に襲ってしまうので、生涯孤独の身であるーーーーーーーー。



[シュレイド城]

~廃墟シュレイド城。ここは親のいない若いモンスターたちが集まる、孤児院のようなものになっていた~

イビル唯「やっほ~」

律レックス「おっす」

ナルガ澪「おはよう」

紬ージャン「おはよ、唯ちゃん」

ナナ・梓トリ「おはようございます」

イビル唯「あずにゃ~ん」だきっ、すりすり

ナナ梓「ちょ、いきなり抱きつくのやめてくださいってば!痛っ!ちょっ!顎の棘が痛いですって!」

ひゅおおおおおお

純オウガ「みなさん!先生来ますよ!早く席につかないと!」

がらっ
さわ子マガツチ「は~いみんな席について~」

さわ子マガツチ「全員揃ってるかしら」

和ダオラ「そろってます」

さわ子マガツチ「それじゃ授業始めるわよ。え~今日は…竜人族についてね」

「竜の力・生命力と人間の知能を併せ持った最も警戒すべき存在よ」

イビル唯「…」ぽけー

イビル唯(綺麗な空だなぁ……)

「普通の人間なら即死の攻撃をあてても彼らは耐え忍ぶわ」

イビル唯「…」ぽけー

イビル唯(憂…元気かなぁ)


[夕方]

さわ子マガツチ「~というわけです。じゃあ今日の授業はここまで」

律レックス「はぁ~終わった~!」

イビル唯「みんな!早く寮に戻ってフルベビアイス食べようよ~」

ナナ梓「またアイスですか」

さわ子マガツチ「あ!唯ちゃん!校長先生が呼んでたから、校長室へ行ってらっしゃい」

律レックス「なんだまたなんかやらかしたのか~唯」

イビル唯「え~特に心あたりないんだけどな~!じゃあちょっと行ってくるね!」タタタ

律レックス「おう」

タタタタタ…

ナルガ澪「…」

紬ージャン「…」

さわ子マガツチ「…みんな、少し話があるわ。席についてちょうだい」


[校長室]

イビル唯「失礼しま~す」

イャンクック「おお、来たかね。どれそこに座りなさい」

イビル唯「はい。それで、話ってなんですか?」

イャンクック「…ふむ。最近どうじゃ?」

イビル唯「どうって?」

イャンクック「…クラスは…学校は楽しいかね?」

イビル唯「はい!みんな優しいし、とっても楽しいです!」

イャンクック「…そうか。それは良かった」ニコッ

イビル唯「…?」

イャンクック「…今日はじゃな、お主に話さなくてはならないことがあるんじゃよ」 

イビル唯「?」


[教室]

律レックス「さわちゃん、話ってのは…」

さわ子マガツチ「…ええ。唯ちゃんのことよ」

さわ子マガツチ「今、校長先生が唯ちゃんにあのことを話しているわ」

律レックス「!」
ナルガ澪「!」
紬ージャン「!」
ナナ梓「!」
和ダオラ「!」
純オウガ「!」

ラギア姫子「!」
アグナいちご「!」
信代ンキン「!」

律レックス「そんなことしたら、唯は!」

さわ子マガツチ「仕方ないのよ…」


~[半年前]~

さわ子マガツチ「人間たちが使ってくる道具や罠はとてもやっかいで~~~~」

イビル唯「くぅ~、くぅ~」zzz…

憂バトリオン(もう、お姉ちゃんったら…また寝てる)くすっ

「なかでも閃光玉と音爆弾が~~~~~落とし穴やシビレ罠も~~~~」

イビル唯「ん…う~ん…」どくん

憂バトリオン「?」

イビル唯「う…ん…」どくん、どくん 

和ダオラ「…唯?」

イビル唯「ん…うぅ~ん…うう」どくん、どくん! どくん!!

イビル唯「」ぱちっ

憂バトリオン「…お姉ちゃん?」

イビル唯「……」

イビル唯「……お腹……」

憂バトリオン「え?」

律レックス「ん?」

イビル唯「…お腹…減った…」

律レックス「ぷぷ、おい唯のやつまた寝ぼけてるぜ」

さわ子マガツチ「もう、唯ちゃん!ちゃんと授業聞いていないと人間に殺されるわよ?」

イビル唯「……お腹…」

憂バトリオン「…お姉ちゃん?」

イビル唯「…お…な…か…」

ナナ梓「唯先輩?」

イビル唯「………」ぼた、ぼた、ぼた

ナルガ澪「唯、よだれが…」

紬ージャン「唯ちゃん?」

イビル唯「…………」ゴゴゴゴゴゴ

イビル唯「…オナカ……」すっく

憂バトリオン「お姉ちゃんどうしたの?朝ご飯食べたでしょ?」
(いつもと様子が違う…)

純オウガ「あ、ちょっと握手は並んで…むにゃ」zzz…zzz…

イビル唯「…オナカ…ヘッタ…」ぼた、ぼたぼたぼた

さわ子マガツチ(まさか!)
「憂ちゃんすぐに離れなさいッ!!!」

憂バトリオン「え?」

イビル唯「グオオアアアアアアアアッ!!!!」びり…びり…

全員「!!!!」

ナルガ澪「うっ」ズキン!ふらっ…ぴよぴよ(音爆弾効果)

イビル唯「グルルルル…」ギロリ

憂バトリオン「」ぞくっ

イビル唯「ガアアア!!」がぶりっ

憂バトリオン「!!お、お姉ちゃん!やめて…痛いよ…!」

イビル唯「グルルル…」ぎり…ぎり…

律レックス「唯てめえ!どうしたんだよ!なんで憂ちゃんの腕に噛み付いて」

 ぶ ち っ 

「「「!!!!」」」」

ブシュウウウぅぅぅうぅ

憂バトリオン「つっ 」

ナナ梓「ひっ」

律レックス「う、腕を…噛み千切りやがった…!!」

イビル唯「もにゅ…もにゅ…」

憂バトリオン「お、お姉ちゃん…」ぶしゅうううう!!

ひゅおおおおおおお
さわ子マガツチ「ふんっ!」体当たり!

イビル唯「グッ」どかっ…ごろごろ

さわ子マガツチ「和ちゃん!校長先生を呼んできて!早く!」

和ダオラ「わかりました!」ばばっ

さわ子マガツチ「りっちゃん!ムギちゃん!憂ちゃんの止血を!」

びゅお!
さわ子は憂の身体を風で律たちのところへ吹き飛ばした!

律レックス「わ、わかった!」

紬ージャン「とにかく血を止めなきゃ」ぎゅううう

憂バトリオン「うっ…お姉ちゃん…」はあ…はあ…

律レックス「梓!咆哮で気絶してる澪を起こしてやってくれ!」

ナナ梓「わ分かりました!」

イビル唯「グルルルル…」ゆらり…

さわ子マガツチ「…イビルジョーの本能が目覚めてしまったのね…」

イビル唯「グオオオオォアアアアアアアッッッ!!!!」ビリ…!ビリ…!

純オウガ「…ん?」ぱちり

がらら
イャンクック「…ついに目覚めてしもうたか…」

和ダオラ「はあ、はあ、校長先生!唯は!」

イャンクック「…離れていなさい」

純オウガ「あれ?なんで校長先生が教室に…」くるっ
純オウガ「ってうおおおおああああなんじゃこりゃあああああ!!!」

イャンクック「さわ子先生、ワシがやろう」

さわ子マガツチ「校長!」

イャンクック「ほかの子たちを頼む」

さわ子マガツチ「わかりました!」

イビル唯「グルルルル…」ぼた…ぼた…

イャンクック「唯くん…少々手荒なまねをするが…許してく」

イビル唯「ガラアアア!!」尻尾アタック!

イャンクック「!!」 どかっ…どおおおおおん!!!

さわ子マガツチ「校長!」

イャンクック「くく…なに、心配はいらん」むくり

イビル唯「グルルルr…」

イャンクック「くく、くくく、このワシをも喰らおうとするかよ…」

イビル唯「グルルルがあああああ!!」がばあ!!

イャンクック「久々に血が滾るわ」にやり

イビル唯「ガチン!!」すかっ

イャンクック「クェエエエエエエ!!!!」がん、がん、がん!

イビル唯「ぐっ…」ふらっ

さわ子マガツチ「校長!あなたのついばみを頭に3発も食らったら死んでしま」

イャンクック「なに、こいつは死にゃあせん」

イビル唯「ぐ…うう…」ふらふら…ドシーン!

イビル唯「………」

イャンクック「気絶してるだけじゃ。三日は目を覚まさんじゃろうがな」

イャンクック「憂くん、大丈夫かね」

憂バトリオン「はい。左腕一本失いましたが、しっかり栄養を摂ればそのうちまた生えてきます」

イャンクック「ほっほ、さすがは煌黒龍といったところじゃの」

律レックス「お、おい先生!唯はいったいどうしちまったっていうんだよ!」

イャンクック「まあ落ち着きなさい。今から説明する」

純オウガ「あ、梓…いったいなにが…」

ナナ梓「唯先輩がいきなり憂を襲って片腕を噛み千切ったんだよ…」

純オウガ「ええっ!?」

イャンクック「さわ子先生、唯くんを医務室へ連れて行ってくれぬか」

さわ子マガツチ「分かりました」
ひゅおおおおおおおおお

イャンクック「さてと…諸君、これから唯くん…恐暴竜という種について説明する」

憂バトリオン「!!」

イャンクックはイビルジョーの生態について説明した!

イャンクック「…というわけなんじゃよ。本能が目覚めてしまったんじゃな」

律レックス「…そんな…」

ナルガ澪「あの優しい唯が…」

紬ージャン「唯ちゃん…」

イャンクック「本能が目覚めるのはもうちょい先だと読んでおったんだがな…カンが鈍ってきたわい」

和ダオラ「そ、それじゃ、唯は目を覚ましたら…また私たちを…襲うということですか?」

イャンクック「いや。それはない。あやつはまだ若い。今回は本能が少し顔を覗かせただけじゃ」

ナナ梓「ほっ」

イャンクック「しかし1年後…いや半年後かも知れぬ。あやつは完全に恐暴竜として覚醒するじゃろう」

憂バトリオン「!!…覚醒したら…」

イャンクック「眼に映るもの全てを喰らう理性持たぬ捕食マシーンとなる」

「「「!!!!」」」」

イャンクック「あらゆる生命という生命を喰らい続けるじゃろうな。その身を誰かに滅ぼされるまで」


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最終更新:2011年05月15日 22:40