律「なぁ澪、もう帰ろうぜ?こんな砂漠に何もねーよ…」ぐったり

澪「待って…もうちょっとで良い詩が浮かびそうなんだよ」

律「だいたいなんで詩を考える為に砂漠に来る必要があるんだよ」

澪「気分転換だよ。いつもと違う環境で……ん?」

律「どした?」

澪「ほら…あそこ…なんか倒れてないか?」

律「む?…ちょっと見てみっか」だだだだだ

澪「あ、ちょっと待ってよ律!」だだだだ

だだだだ……

律「うおっ!」

澪「うわっ!」

唯「………」

律「ライオンじゃねーか!」

澪「ひっ!に、逃げよう!律!」

律「まぁ待て!なんでこんな所にライオンが…?」

澪「そんなことどうでもいいだろ!早く逃げよう!目を覚ましたら食べられちゃうよ!」

律「だ~いじょうぶだって!ライオンっつってもまだ子供だ。それに…」


律「見ろよこの寝顔。なかなか可愛いじゃないか」くすっ

澪「うっ、た、確かに可愛いけど…すぐ大きくなるよ…!」

律「ん…?待てよ…?…よっしゃ!良いこと思いついた!」

澪「どうした?」

律「こいつを仲間にしよう!」

澪「はぁ!?何言ってるんだよ律!」

律「いいか?良く考えてみろ澪!こいつを仲間にして、やがてこいつが立派なライオンになったら…」

澪「!」

律「私たちはジャングルで怖いもの知らずになるぞ!」

律「よし澪!こいつをジャングルまで運ぼう!」

澪「ええ!?で、でも…」

律「ばか!こいつがいればもう黒ヒョウや虎に怯えなくて良いんだぜ?」

澪「うう…わかったよ…よいしょ」背中乗せ

律「よし急ぐぞ!」

~~~~~~~~
ジャングル 

律「とりあえず水でもかけりゃ起きるだろ」ぴちゃぴちゃぴちゃ

唯「…ん…」

澪「うわっ」

唯「ん…んん…ん?」ぱちり

澪「ひっ」

唯「…?」ぽけー

律「よっ…気分はどうだ?」

唯「……」きょろ…きょろ…

唯「なんで私…こんなところに…?」

律「お前が砂漠で倒れてたところを私たちが見つけて運んできたんだ」

唯「ん…ありがとう。ところであなたたちは…だれ?」

律「私はミーアキャットの律。んでこっちがイボイノシシの澪だ」

澪「よ…よろしく…」

律「お前の名前はなんてんだ?」

唯「唯だよ…」すっく

唯「助けてくれてありがとう…じゃあね」すたすた

律「ちょ待てよ!どこ行くんだ?」

唯「別に…特にあてはないよ」すたすた

律「ははーん!あいつは今ブルーだ」

澪「いや、どう見ても金茶色だろ…」

律「ばか!そういう意味じゃねーよ!落ち込んでるって意味だ!」

唯「……」ショボーン…すたすた

律「なぁ待てよ!だいぶ落ち込んでるみてーだが…なにがあったんだ?話してみなよ」

唯「…いいよ…とても話す気になんかなれないから…」すたすた

律「わーったわーった!うん!そうだよな!誰にでも死にたくなるぐれーの失敗はある!うん!」

唯「……」

律「私も澪もな、群れを追い出されたんだよ」

唯「…そうなの…?」

澪「うん…でも…後悔はしてないよ」

律「私と澪はさ、種族は違うけど、小さいころからよく遊んでたんだよ」

澪「お互いに歌が好きでさ」

律「ああ!よく群れの仕事すっぽかして2人で歌ったり曲作ったりしてたんだ」

澪「そんなことばっかしてたから群れを追い出されたんだけどな…」くすっ

律「いや、私たちは自分から群れを出たのさ!そしてこのジャングルにたどり着いた!」

澪「うん…食べ物も豊富だし綺麗だし…良い所だよ…ここは」

律「いいか?唯!世間が自分を見なくなったら、自分から背を向けりゃ良いのさ!」

唯「…!」

律「どうしようもなく気分が落ち込んだ時に、一気に楽な気持ちになれる魔法の言葉を教えてやるよ」

唯「?」

律「ふわふわ時間さ」

唯「ふわふわ…時間…?」

澪「そう!私たちのモットーだよ」

唯「モットー?」

律「もっと教えて欲しいってか!ぷっ…!ってやかましいわ」

唯「…はは…」

律「いいか?唯…辛いことがあったら、とりあえず頭の中をふわふわにしちまおうって歌なのさ!」

唯「歌なの?」

澪「ああ!律!枝ドラム頼む!」

律「おう!1、2!1234!」タンタカタンタン

澪「君を見てると、いつもハートdokidoki♪」

唯「!」

澪「ゆれる想いはマシュマロみたいにふーわふわ♪」

澪「いーつも頑張る♪」

律「いーつも頑張る♪」

澪「きーみの横顔♪」

律「きーみの横顔♪」

唯「わぁあ~…!!」ぱあああ

澪「ずーっと見てても、気付かないよね」

唯「…♪」ノリノリ

澪「ゆーめの中なら♪」

律「ゆ」
唯「ゆーめの中なら♪」

律澪「!!」

律「そう!その調子だ唯!」

唯「うんっ!」にこっ

澪「ふーたりのきょーりー♪」

澪律唯「縮められるのーになー♪」

澪「ああカミサマお願い2人だけの♪」

律「ドリームタイムくだーさい♪」

澪「お気に入りのうさちゃん抱いてーえ♪」

律「今夜もオヤスミ♪」

澪「ふわふわ時間♪」

律「ふわふわ時間♪」

澪「ふわふわ時間♪」

唯「ふわふわ時間♪」

澪「ふわふわ時間♪」

律唯「ふわふわ時間♪」

澪律唯「イエーイ!」キャッキャッ

……

そして……

2年の月日が流れた………


今や唯の姿は、茶色いたてがみが凛々しい立派なライオンに成長していた!

唯「だけどそれが一番難しいのよ!」

律「話のきっかけとかどうしよ!」

澪「てか段取り考えてる時点で!」

唯「全然!自然じゃないよね?」

律「ああ!」

澪「もういいや!」

唯「寝ちゃお寝ちゃお寝ちゃおー!」

律澪「そう!寝ちゃおぉー!」

唯律澪「ああカミサマお願い一度だけの♪」

~~~♪

~~~~~~♪




唯「ふぅ~、お腹いっぱい~!」

律「ああ!唯は今日もよく食ったなぁ!」

澪「…綺麗な星だな…」

きらきら…

唯「……」

澪「なんで星ってあんなに綺麗なんだろうな」

律「さぁな…つーかあれってでっけーホタルなんじゃねーの?」

唯「……」

澪「なぁ…唯はどう思う?」

唯「…誰かが…こんなことを言ってた…」

律「おぉ?」

唯「あの星のところから…死んでいった昔の王様たちが私たちを見守ってるって……」

律「…!」

澪「…!」

律「…死んだ連中がピカピカ輝いて見守ってるってのか…??」

唯「うん…」

律「ぷっ…!あっははははははははははは!」

唯「!」

澪「あは!あはははははは!」

律「おいおい…澪なみにメルヘンチックな野郎だな…そいつは!ぷっあははははは!」

澪「ふふふ!でもその発想、良い詩が書けそうだな!あははははは!」

唯「は…はは…そ、そうだよね、変だよね…あは、あははは…は…」

唯「はは…は…」

唯「…はぁ」すっく

律澪「!」

律「唯…?」

唯「……」すたすたすた

律「私たち…なんか気に障ること言ったか…?」

澪「いや…」

唯「……綺麗な星…」

きらきら…

唯(憂…)

唯「…はぁ」すとん!

唯「……」

~~~~~~~

紬の家

斉藤「紬お嬢様」

紬「どうしたの?斉藤」

斉藤「先日、私の部下が、遥か南の砂漠を越えたところにあるジャングルで妙なものを見つけてきまして…」

紬「…?」

斉藤「こちらでございます」すっ

紬「…茶色い…毛…?」

紬「…くんくん」

紬「!…この匂いは…」

斉藤「その部下の話によりますと、ジャングルで憂王に良く似た茶色いたてがみのライオンを見たとのことですが…」

紬「!」(まさかっ!)

紬「斉藤!この毛を占ってみるわ!水晶を持ってきて!」

斉藤「はっ!すでに持ってきております」すっ

紬「貸して!」

紬「76人の妖精たちよ…フォルテシモ…タクアン…」

水晶「」ぴかーん!

紬「!」

斉藤「!」

紬「こ…これは…!!」

斉藤「お嬢様…!」

紬「斉藤ぉーーーーーーーっ!!!」だきっ

斉藤「はううぅっ!お、おおおおおおお嬢様!?」

紬「生きてる!唯ちゃんは生きてるわ!」ポロ…ポロ…

斉藤「そ、それは…良かった…!お、お嬢様…そ、そろそろお離れ下さい!」どきどき

紬「良かった…!唯ちゃん!生きてて良かった!!」ポロポロ

斉藤「お、お嬢様…はぁ…はぁ…」

紬「斉藤!私は今すぐ唯ちゃんを迎えに行くわ!」

斉藤「なんですと!?こんな夜中に!?」

紬「ええ!お父様にはなんか適当に言っといてちょうだい!」

斉藤「そ、そんな!私が旦那様にお叱りを…」

紬「じゃあね!ここは任せたわ斉藤!」だだだだだ!

斉藤「お嬢様!お嬢様ぁーーーーー!!!」

紬「うふふ……時は来たり…!!!」だだだだだ


ジャングル

ちゅん…チュン…

澪「ん…もう朝か」

唯「…ZZZ」

律「…ZZZ」

澪「ちょっと散歩でもしてくるかな」すっく

~~~~~~

澪「う~ん最近良い詩が思い浮かばないなぁ」

がさっ

澪「!?」くるっ

・・・・・・

澪「り…律…?」

澪「…律か…?おい変ないたずらはよせ…!」

・・・・・・がさっ

澪「…?」

びゅおっ

ライオン「にゃああああ!」

澪「う、うわああああああああああ!!!!」くるっ、どひゅん!

ライオン「にゃあああああ!」だだだだだだだ!

澪「ひいいいいいいい!」だだだだだだだ!

ライオン「にゃおらあ!」がばっ

澪「ひっ」(だめだ!つかまる!)

ひゅおっ

唯「こらぁーーーーーーっ!」がばっ

ライオン「!?」

澪「唯!」

ライオン「にゃおらあ!」どか!どか!

唯「この!よくも澪ちゃんを!」どか!どか!

律「澪!大丈夫か!?」

澪「律ぅううううう!」だきっ

律「おおよしよし!今に唯が追っ払ってくれるさ!いけ!唯!そこだ!」

ライオン「にゃあ!にゃおらあ!」どかっ!

唯「ふんす!」だきっ!

律「よし!そのまま投げちまえ!」

唯「…!?」(この抱き心地と香り…まさか!)

唯「あず…にゃん…?」

ライオン「…!…え…?」すっ…後ずさり

唯「もしかして…あずにゃん!?」

ライオン「え…?…だれ…!?」

唯「私だよ…!唯だよ…!」

梓「唯…先輩…?」

唯「あずにゃん…!」にこっ

梓「唯先輩…!」

唯「あずにゃーんっ!!!!」だきっ

梓「ゆ、唯先輩いいいいいい!」

唯「あはっ!どうしてあずにゃんが!?」

梓「どうして唯先輩が!?」

わいのわいの

律澪「………」ポカーン


4
最終更新:2011年05月23日 22:03