――買いだし――

律「すごいところだったなー」

梓「でも、いい人そうでしたよね」

律「それはまあ、そうだな」

梓「……なに買いましょうか。とりあえず、お酒は買わなくていいみたいですけど」

律「ていうか買えないだろ」

梓「ですね」

律「……一応これと、これと……こんなもんか」

梓「結構重いですね」

律「うん。ちょっと持つの大変そうだな」

マゴ「あ、いたいた。重いでしょ? 持つよ」

律「あ、ありがとうございます。えーと……」

マゴ「マゴでいいよ。そのほうが呼ばれ慣れてるし」

律「マゴさん、どうも」

マゴ「いや、大丈夫。お客さんにこういうことさせる顔の奴がわりいから」

梓「顔って……」くすっ

マゴ「あいつ無神経だからなー。昨日も店ン中ピンク色にするとか言いだしやがってよー」

律「あはは! 黒い外装にピンクって!」

マゴ「俺もときども『やべえ店にしか見えねえからやめろ』って言ってんのにペンキ20キロ
くらい買ってきて、塗れとか言いやがるのよ」

梓「それでああなったんですか……」

マゴ「ウメハラも昨日言いだすんだもんなー。おかげで殆ど寝てないんだ」

律「なんか、わざわざすいません」

マゴ「いや、やってて結構楽しかったし、可愛い子がきて役満? な気がするし全然オー
ケー!」

梓「それを言うなら役得では?」

マゴ「まじで? よく知ってんな」

律「あそこってなんのお店だったんですか?」

マゴ「ゲーセン」

律「えっ?」

マゴ「えっ?」

律「失礼ですけど、そんなようにはまったく」

マゴ「そうかもなー。確かに俺は見慣れてるけど、初めて見た人はゲーセンには見えない
よなー」

梓「マゴさんはあそこで働いてるんですか?」

マゴ「正確には働いてたかな。一応店員だったんだよね」

律「へえー。じゃあ、ゲーム上手なんですか?」

マゴ「大分うまいと思うよ。なんていったって2D神だから」

律「ハハハ、2D神ってなんですか」

マゴ「神がかった強さを持っちゃうのが俺。だから2D神」にやり

律「なんだかすごいっす!」

ドア「がちゃ」

KSK「遅いぞマゴー」

マゴ「買って来たぞー」

唯「私、オレンジジュース!」

さわ子「それじゃあ、紙コップ配りまぁす」

澪(さわ子先生の仮面もいつまで持つんだろう)

KSK「――それじゃあ、飲み物は回ったかな」

律「はーい!」

唯「いえー!」

ときど「ピザも到着しましたよー」

ウメハラ「それじゃあKSKが乾杯の音頭とってよ」

KSK「そういうのはなー」

マゴ「黙ってやれよォ!」

KSK「わかったからそう怒るなよー」

梓「わくわく」

紬「なんだか面白くなりそー」

KSK「それじゃあ、乾杯」

唯澪律紬梓さわ子ウメハラマゴときど「それだけかよ!!」

唯「――ピザうまー」

ウメハラ「KSK、あと10枚は注文したほうがいいよ」

KSK「なんでだよ!」

マゴ「そういえば、なんで放課後ティータイムって名前なの?」

澪「えと、先生が勝手に決めたんです。でも、結構気に入ってるんでいいかなって」

ときど「へえー。俺、プロで東大だけどわかんなかった」

マゴ「ときどてめーいい気になってんじゃねえぞ」

ときど「ハハハ」

紬「お茶入りましたよー。それと、お菓子をどうぞー」

マゴ「カフェオレある?」

紬「お作りいたしまーす」

KSK「モンブラン貰うわ」

ウメハラ「お前がモンブランは論外」

KSK「だからなんでだよ! じゃあチョコケーキ貰うからな!」

マゴ「てめえ、それは俺のだボケ!」


唯「そんな感じで、1日目の歓迎会は終わりました」

律「誰に話してるんだ?」

唯「わかんない」

澪「でも、みんないい人でよかったな」

紬「そうね。KSKさんもマゴさんもときどさんも、とってもいい人」

梓「そういえば、皆さんはどうしたんですか?」

さわ子「梅原先生とマゴさん、ときどさんは帰ったわよ」

澪「KSKさんは?」

律「掃除させられてる」

紬「……手伝った方がいいんじゃないかしら」

梓「いいんですよ。あの人は結構楽しんでますから」

唯「お掃除配信するって言ってたけど、どういう意味かな」

梓「唯先輩は知らなくていいんです。KSKさんにも色々あるんですよ」

唯「ふーん。なんか、面白いね」

澪「……この布団、新品だ」

律「ホント、気使ってくれてるんだな」

さわ子「本当ね。感謝しないと」

唯「そうだね。人の善意は気にしないと気がつかないよ!」ふんす

梓「なに言ってるんですか」

紬「でも、唯ちゃんの言うとおりね。梅原先生にもありがとう言わないとね」

梓「ムギ先輩……。隣、いっていいですか?」

紬「どんとこいです♪」

梓「こんばんわです♪」

紬「?」

梓「なんでもないです」

唯「あー! あずにゃんもムギちゃんもずるいー! 私もぎゅってするー!」

律「みおー!」

澪「うっとおしい!」ゴチン

律「痛い!」

澪「まったく、調子に乗るな!」

律「おっぱい……」

唯「私も触ってみたい……」

澪「さわ子先生に言え」

さわ子「あら唯ちゃん、おっぱい飲みたいの?」

唯「……なんか枯れてそうだしやだー」ぶー

さわ子「失礼ね! まだまだ若いわよ!」

紬「みんな」

唯律澪さわ子「?」

紬「しー」

梓「くー」ZZZ

唯「……可愛い」

澪「梓のために、残してやらないと。軽音部」

律「そうだな。私たちの後輩だもんな」

さわ子「私にとっては生徒で後輩よ。あなたたちが卒業しても、この子の面倒は見てあげる
わよ」

律「そういえば」

唯「ん?」

律「後輩といえば、憂ちゃんは家に一人で大丈夫なのか?」

唯「大丈夫だよ。純ちゃんが遊びに来てるみたいだし、問題全くなし!」

澪「連れて来てあげてもよかったかもな」

律「そうだなー。ワンチャン、入部もあるしな」

唯「ワンチャン?」

律「マゴさんたちがよく使ってた。もしかしたらって意味みたい」

さわ子「憂ちゃんかー。いいわね。メイド服似合いそう」

澪「どんな判断ですか」

律「さわちゃんの基準はわからん」

唯「私の妹だもん。似合うに決まってるよー」

紬「なでなで。梓ちゃんなでなで」

梓「くー」ZZZ


――そのころ・西日暮里のあるゲーセン――

ヌキ「段位戦でいきなりあがってきたのはなんとなんと女性プレイヤー!」

紅春「うそだろ……」

ヌキ「紅春も散ったあああ!! なんだこの12は!」

憂「――」タンタン

純「淡々としてるけど、アンタもしかしてすごいことしてるんじゃ……」

憂「純ちゃん、つまんない」

純「シャレで言ったんじゃないよ!?」

ヌキ「さあ! 残るはメスターだけ! これで20人抜きかぁ!?」

憂「――――」タンタンタンタン

ヌキ「メスターも倒れたあああ!!!! これはもはや5神しかいない! 早く来てくれ
ウメハラァァァ!」

憂「?」

ヌキ「俺? 俺いっちゃっていいの?」

憂「どうぞ」ニコニコ

ヌキ「アイイイイイイイイイイイイ!!!!」

憂(このゲーム、家で遊んでたけど私ってこんなに強かったんだー)タンタン

ヌキ「……」

憂「――!?」

ヌキ「アイ! アイ!! アイイイイイイイイイイイイイ!!!!」

純「!?」

憂「これは……中足確認鳳翼!?」

ヌキ「いやあ! さすがは格ゲー5神ヌキ! でも危なかったあ……」

憂「負けちゃった」

純「でもすごいじゃん! あの人、なんかすごい人みたいだよ!」

憂「そうみたいだけど、やっぱりコントローラーが違うとやりにくいね。えへへ」

ヌキ「え!?」

純「あー。そういえば憂の家はこういうのないもんねー」

憂「そうなんだー。ゲームセンターなんて久しぶりだよー」

ヌキ「……スパ4、始めようかな」


――そうして、合宿最終日になった――

唯「昨日もたくさん練習したねー」

澪「うん。新しい曲もできそうなんだよな。ムギ」

紬「もう絶好調なんだから!」

梓「楽しみですね」

KSK「あ、ちょっといいかな」

律「どうぞー」

ドア「がちゃ」

KSK「なんか、ウメハラに呼ばれてきたんだけど」

梓「ウメハラ先生が? どうしてでしょう」

唯「さあ?」

ウメハラ「ちょうどいいから演奏してほしいんだよね」

マゴ「あ、俺も聞きてえ!」

ときど「確かに」

梓「よ、喜んでやらせてもらいます! みなさん! 準備ですよ準備!!」

律「張り切ってるなー」

梓「お世話になったんだから当然です!」

澪「なんか、梓はマゴさんたちが来るとテンション上がるよな」

ウメハラ「俺も2週間は聞いてないから、聞きたいな」

梓「はい!」

紬「準備おっけーよ!」

澪「私も大丈夫だ!」

唯「じゃあ、ふわふわ、カレー、ふでぺん、ホッチキスで、最後にcagayakeでいくよー」

梓「おー! です!」

さわ子「みんなぁ、がんばってぇ!」

澪(結局最終日まで仮面被り続けた……)

律「いっくぞー! 1・2・3・4・1・2・3!!」カンカン!!


――――

ジャン!

唯「……ふう」

澪「よし。いい演奏だったぞ」

マゴ「……」

ときど「……すっげえ」

KSK「ほえー」

ウメハラ「フフン」

マゴ「すっげー!! やっべえ! やばくね! ときど!!」

ときど「テンション上がりすぎでしょ」

マゴ「すげーだろ! なあ、あれできる!? とらドラの曲! あれできる!?」

梓「あれはちょっとできないです……」

マゴ「じゃあイカ娘! 侵略のススメ!!」

紬「?」

ウメハラ「マゴきもちわりいなあ」

ときど「落ち着こう。職に就こう」

マゴ「おめーに俺のなにがわかんだよ!」

ウメハラ「それじゃあ、そろそろ時間だから帰ろうか」

唯「はーい」

さわ子「色々、お世話になりました」

KSK「いえいえ」キラン

マゴ「さわ子先生に同情してんじゃねえぞ顔がよォ!」

ときど「それを言うなら欲情じゃない?」

KSK「そんなわけあるか! すいません、まだ子どもみたいなもんでして」

さわ子(……あれ? なんかかっこいいかも)

律「さわちゃんがまたろくでもない恋をしようとしている」

澪「おいおい」

梓「それじゃあ、ありがとうございました! またお邪魔させてもらいますね!」

マゴ「おー。その時にはとらドラの曲マスターしといてくれよー」

唯「じゃあーねー!」


――1ヶ月後・部室――

梓「……そういえば」

澪「ん?」

梓「VISIONって、開店したんですか?」

澪「さあ?」

梓「ウメハラ先生。どうなんですか?」

ウメハラ「いや、まだだよ。なんか、ピンクの壁を元に戻してるんだって」

唯「あの壁を戻してるんですか!?」

ウメハラ「そうそう。この間見に行ったけど、あれは開店までまだまだかかるだろうなぁ」

澪「確か、5月中に開店とか言ってませんでした?」

ウメハラ「なんでだろうね。」

梓(顔TV、どうなるんだろ。今なら、もしかしたら出してもらえるかも)

ウメハラ「あいつ、どうしようもないからなー」

さわ子「あはは……」


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最終更新:2011年05月26日 22:33