純「そうかな?」
憂「膝の上に乗せて動けなくなりたい」
純「じゃあ、私を膝枕すればいいじゃん」
憂「えっ」
純「ほら私、猫っぽいし」
憂「純ちゃんはカニっぽいよ」
純「は? 私ちゃんと真っ直ぐ歩くし。ジャンケン強いし」
憂「どちらかと言うとカニパンっぽいかなー」
純「あんなパサパサしてないし。辛党だし」
憂「でも猫じゃないよ」
純「猫だって」
梓「何々? 何の話?」
憂「あっ、梓ちゃん」
純「梓、私って猫っぽいと思うでしょ?」
梓「へっ?」
純「そこは素直にうんと言って」
梓「う、うん……」
純「ほらーっ! ほらほら憂! 梓もこう言ってるじゃん!」
憂「明らかに言わせたよね」
梓「何でそんなに必死なの純?」
純「必死? ひ、必死じゃないし!」
憂「そんなに言うなら膝枕してあげるよ」
純「べっ、別に憂に膝枕してもらいたかった訳じゃないから!」
憂「じゃあ梓ちゃん、ちょっとここに頭乗せてみて」
梓「急に何よ……いいけど」チョコン
純「えっ」
憂「あっ、やっぱり梓ちゃんって猫っぽいね」
梓「悪かったね」
憂「ううん、嬉しい」ニコッ
梓「わ、訳わかんない! もういいでしょ!」カァッ
憂「ちぇっ、梓ちゃんのケチ」
梓「人をどーぶつ扱いしといてそれは無い」
憂「いいじゃない。いつもお姉ちゃんに構われてるんだし」
梓「憂がそれを羨ましがるのは変だと思うけど」
憂「そうだね。でも梓ちゃんも好きだから」
梓「ちょ、ちょっとやめてよ、恥ずかしいな!」
憂「えへへっ、照れてるの?」
純(梓ェ……)
放課後
純「ういー、一緒に帰らない?」
憂「あれっ、純ちゃんジャズ研は?」
純「今日はお休み。毎日ある訳じゃないよ」
憂「ふぅ~ん……結構お休み多いよね」
純「でしょ? 憂も入ったら?」
憂「別に私、かっこいい先輩とか興味ないから」
純「まあ憂もどっちかっていうと、かっこいいグループだもんね」
憂「そうなの?」
純「だって憂ってば勉強もスポーツも出来て、文武両道って感じじゃん」
憂「あはは、褒めても何も出ないよ~」
純「それなのに気さくでさ――憂みたいに完璧な子って見た事ないよ」
憂「またまたー」
純「いや本当だって! 私だってその……」
憂「ん?」
純「なっ、何でも無いし! へへへ!」
憂「でも私は、うちのお姉ちゃんみたいに、かわいくなりたいな」
純「お姉さん一筋だもんね~、憂は」
憂「そんな事ないよ」
純「でも唯さん部なんてあったら入るでしょ?」
憂「あるの!?」
純「すごい食い付きじゃん」
憂「むしろあったら潰すけどね」
純「こわっ!」
憂「あはは、冗談だよー、純ちゃん」
純(目が笑ってませんけど)
……
純「あのさ、憂。またマフラー無くしたって言ってたじゃん」
憂「うん」
純「それで私今、先輩にマフラー編んでるって知ってるでしょ?」
憂「すごい凝ってるやつだね」
純「そう。でさ、練習でね、もう一つ編んだのがあってさ」
憂「へえ~、純ちゃん二つもあれ編んでたんだ。執念だねー」
純「うん。それでさ、良かったら憂貰ってくれる?」
憂「えっ、何で私?」
純「一応ほら、中学からのツレだし私達」
憂「でも悪いよ」
純「そうやって遠慮される方が傷つくんですけど」
憂「わ、分かったよ」
純「じゃ、これ!」サッ
憂「今? ありがとう純ちゃん」
純「どう?」
憂「うん、すっごくあったかいよ純ちゃん!」
純「本当!?」
憂「うん。手編みとか初めて貰ったから感動だよ」
純「にへへ……」
憂「練習とは思えない位よく出来てる。純ちゃん編物の天才だね」
純「私、今なら空も飛べるはず」
憂「窪塚的な意味? それとも押尾的な意味で?」
純「両方!」
憂「危ないからやめなよ」
純「憂がそう言うなら」
数日後
梓「うーいー」ギュウーッ
憂「何するの梓ちゃん」
純「梓!?」
梓「いやね、いつも唯先輩が私に抱き付いて来るでしょ?」
憂「はぁ」
梓「そのお返しよ!」
憂「ちょっと意味が分からないけど」
梓「江戸の敵を長崎で討つ的なアレ?」
純「憂、超嫌がってるし! 離れなさいよ梓!」
憂「お姉ちゃんに抱きつかれるの、そんなに嫌だったの梓ちゃん?」
梓「――嫌って言うか、公然と抱きつかれるのはちょっと、ね」
純「あんた今、公然と憂に抱き付いてるって!」
憂「澪先輩だって見ているのに?」
梓「え゛っ!?」
憂「でも悔しい、唯先輩もあったかくて気持ちいいです」
梓「ひっ! 読心術? エスパー憂!?」
憂「あ~ず~さ~、よ~む~ぞぉ~!」
梓「にゃあああああぁっ!!」ズサーッ
憂「今、梓ちゃんにゃあって言ったね純ちゃん」
純「うん」プクク
梓「なっ、言ってないから! 悲鳴の発音良すぎただけだから!」
純「人の悲鳴であんなの初めて聞いたよ」
憂「日に日に猫化していく梓ちゃんかわいい」
梓「人を妖怪みたいに言わないで!」
純「あ、あのさー、憂」
憂「うん?」
純「実は猫飼い始めたんだ私」(小首を傾げる憂マジ萌える……)
憂「えっ、本当!?」
梓「……」ピクッ
純「うん――だからさ、そんなに猫好きなら、うちに見に来ない?」
憂「本当ー!? 行く行く!」
純「じゃあ今度の休み遊びおいで」
憂「わぁ、楽しみだな~」
梓「ね、ねえ純……」
純「梓? 何?」
梓「私も純の猫、見てみたいなぁ~って」
純「えっ」(憂との二人きりの時間を邪魔する気?)
憂「えへへ」
梓「な、何よ」
憂「梓ちゃんも相当な猫好きとみた」
梓「うぐっ、エスパー憂恐るべし……」
純「そ、そういう事なら別にいいよ」
梓「本当!? ありがとう純!」ガシッ
憂「今からワクワクするね」
純「あはは」(梓は嫌いじゃないけど……うぅ)
そして休日
憂「ねえ梓ちゃん、猫ってセミ食べるよね」
梓「ふぅんそうなんだ」
憂「どんな味なのかな?」
梓「何故それを私に聞く」
憂「ほら、梓ちゃんってワイルドだから」
梓「ワイルドって……」
憂「サバイバル的な事をしてそうな感じ」
梓「憂の中で、変な梓像を作るのはやめて」
純の家
純「いらっしゃい憂、梓」
梓「あれっ? メガネしてる」
純「家ではコンタクトしないから」
梓「へぇ、純って視力弱かったんだ」
憂「でもメガネも似合うよね」
純「そ、そう?」(今度からメガネでも登校してみようかな)
梓「えーっ、野暮ったいよ。いつもの方が絶対いい」
憂「う~ん……私はありだと思うけどなー」
梓「ない。絶対ないって」
純「……」
……
憂「へぇ~、これが純ちゃんの猫かー」
梓「か、かわいいね!」
純「でしょう?」
憂「名前は何て言うの?」
純「ニャー太」
梓(うわっ、何そのベタな名前)
憂「いいね!」
梓「えっ」
憂「その名前すごくいい」
純「そ、そうかな?」
憂「うん! 純ちゃんすごくセンスあるよ」
純「照れるし、なはは……」
梓「……」ナデナデ
ニャー太「ニャア」
純「あっ、梓もうニャー太を手懐けたの?」
梓「ふにゃん」
ニャー太「ゴロゴロ」
憂「会話してる?」
梓「にゃおにゃお」
ニャー太「フギャ」
純「梓……」
憂「こうしていると、どっちが猫か分からないね」
純「間違えて梓置いてかないでよ」
梓「ひどい」
憂「あっ、ニャー太が喋った」
梓「早速間違えんな!」
憂「梓ちゃん私にも猫触らせてよ」
梓「う、うん……それいけあずにゃん二号」
純「梓、名前ニャー太だから」
憂「あはは、かわいい~」
ニャー太「フニャー」
憂「それにしても人懐っこい猫だね」
純「そう?」(おかしいな、私は良く引っかかれるんだけど)
憂「あっ……寝ちゃった」
純「ふふ、憂、膝の上に猫乗せる念願叶ったね」
憂「えへへー、純ちゃんのお陰だよ。ありがとう」
純「うん」ポッ
梓「はー、何だか私も眠くなってきた」
純「いつまで猫とシンクロしてんの。音楽でも聴く?」
梓「へえ、ジャズ研のセンス、聴かせてもらいましょうか」
純「何で上から目線なのよ」
梓「そりゃ親プロだから。耳はブクブク肥えてるよ」
純「変なプレッシャーかけないで」
梓「冗談ですー、にゃは♪」
純(くそ、むかつくけどかわいい……)
梓「ねえ純、お茶菓子はないの?」
純「ああ、はいはい」
梓「さぁて、私の舌を満足させる事が出来るかな?」
純「はい?」
梓「何せ、いつもムギ先輩の高級菓子を食しているからね私」
純「無理だね。梓の分は用意出来そうにない」
梓「ちょい待ち! たまには庶民のお菓子を味わうのも悪くない!」
純「いつから貴族になったのよ、あんた」
最終更新:2010年01月15日 01:20