唯「ふあ~あ……」
澪「どうした? 寝不足?」
唯「うん、私最近勉強してて夜あんま眠れないんだー」
律澪紬「……」
律「そういう反応しにくい冗談はなー……」
唯「冗談じゃないよー!」ブー
澪「……」ホッペウニー
紬「……もしかして、憂ちゃん?」
律「あーそれだ! きっとそれだ!」
唯「違うよー!」
澪「いや、ここは唯が改心したと信じよう! いいことじゃないか!」
唯「流石澪ちゃん!」
澪「で、何の勉強? 講義? ギター?」
唯「幽体離脱!」
律澪紬「……」
澪「流体力学? あ、あはは、唯は進んでるなー……」
唯「そんな難しそうなのじゃないよー!」
紬「……有袋類、よね?」
唯「そんなオージーな勉強してないよー!」
唯「ゆ う た い り だ つ!」
律「だからそういう反応しにくい冗談は……」
唯「冗談じゃないってばー!」プリプリ
唯「幽体離脱! どうしてもやってみたくって~」
律「そんなに幽体離脱したいんなら憂ちゃん呼べばいいだろ」
唯「憂? 確かに憂なら幽体離脱とかアッサリしちゃいそうだけど……」
律「憂ちゃんにもヘアピンつけてさ、重なって寝ころんで……」ゴロッ
律「ゆうたいりだつ~、って」ガバッ
澪「ぷっ……」
唯「かくし芸的なやつ!?」ガーン
紬「なんなら唯ちゃんとりっちゃんでも大丈夫よ!」
唯「だからそうでもなくて~!」
律「そんな似てねーって!」
唯「私は本当に本当の幽体離脱の勉強してるんだから!」
律「いつもながら突拍子もないな……」
澪「なんで唯は突然幽体離脱しようと思ったんだ?」
唯「あー、えーっとねー……」
律澪紬「……」
唯「うんとー……」
律澪紬「……」
唯「あれだよアレ」
唯「ほらその、なんていうか」
律「……思い付き?」
唯「そう、それ!」
澪「だと思った……」
律「どうせ何かのマンガかドラマの影響だろ?」
唯「……だったかな? なんだっけ?」
律「覚えてないんかい!」
紬「唯ちゃんは幽体離脱できたら何するつもりなの?」
唯「うーん……」
唯「のぞき?」
律「男子中学生かよ」
唯「体を乗っ取ってウヘヘなことを……」
律「男子高校生かよ」
唯「じゃあなんならいいのー!?」
律「なにって言われてもなぁ……」
律「部屋を物色、とか?」
唯「主に下着!」
律「男子かっての!」
紬「ベッドの下!」
律「お母さんか!」
唯「あー、憂だねー」
律「憂イコールお母さんかよ! ってかなにを隠してた!」
澪「す、好きな人に気持ちを伝える!」
律「よくわかんないし、ここ女子大で恋愛沙汰ねーよ!」
紬「女子大で 愛し合ってもいいじゃない 人間だもの!」キラキラ
律「みつをさんに謝れよ!」
紬「そういえば幽体離脱って、ゆうたいがふわふわ浮くのよね」
唯「そうだよ! ふわーってなるんだって!」
律「その会話がふわふわしてるじゃねーか……」
澪(ふわふわ……)
紬「でもゆうたいってどんなものなのかしら?」
唯「ハート的な?」
律「魂だしなー」
澪(私の心……君の所まで……届いて……)
紬「おばけになっちゃうってこと?」
律「端的にいえばなー」
澪(おばけになって君のもとへ……おばけ!?)
澪「アワワ……」ガクガク
唯「のろいころしてやるー!」ギラリン
澪「きゃあああああああああああああああああああああ!!!」
唯「ごめんごめん」
澪「ミエナイキコエナイ……」
唯「大丈夫、呪い殺さないからー」
澪「……ホント?」
唯「大丈夫だよー」ニコー
澪「ありがと~……」シクシク
唯「よしよーし」ナデナデ
澪「唯ぃ~」
律「澪をいじるのはいいんだけど、幽体離脱して他人を呪い殺そうとしたのってお前が初めてじゃないか?」
唯「え? 私開拓者? えへへ、照れるなー」
律「アホだって言ってんだよ」
唯「えー」
律「幽体離脱っていうと一般的には明晰夢だよな」
唯「めいせきむ?」
澪「夢だって自覚がある夢のことだな、明晰夢のときは魔法でもなんでもできるって言われてるんだ」
唯「へー、澪ちゃん物知りー」
律「いや、私も知ってんだけど……」
律「……幽体離脱してる夢イコール幽体離脱、ってことだな」
澪「ファンタジーだと魔法とか薬とか機械で幽体離脱するよね」
紬「私、そういう薬探してみる!」ガバッ
律「ムギん家ならありそうだけど絶対ないからやめとけ」
唯「私はそーいうのじゃなくてね、なんか寝てる間に特殊な音波の入ってる音楽を聞くと幽体離脱できるんだってー」
律「すごい怪しいし……」
澪「けっきょく勉強してないし……」
紬「なにそれ面白そう!」
律「ムギは興味持つな!」
律「で、成功したか?」
唯「ぜんぜん」
澪「だよね」
唯「でも今日は成功しそうな気がするんだよねー」
澪「またどこから湧いてくるか分からない自信を……」
唯「じゃあもし成功したら澪ちゃんに乗り移って『唯参上!』って書き置きするね!」
澪「もう今日は寝れない……」ガクガク
律「おい、信じてないんじゃねーのかよ!」
紬「だったら私のところに来てみて!」
唯「おお! まさかの自薦!」
紬「面白そう!」キラキラ
唯「分かった、じゃあ澪ちゃんのところとムギちゃんのところ行くね」
澪「結局来るの!?」
律「別に私信じてないけど、来れるもんなら私のところにも来てみろよ」
唯「おや、仲間はずれはお嫌いですか?」
律「ちげーし!」
澪「わ、私のところには来なくてもいいから律のところ行ってあげて……」
唯「むぅ、仕方ないなぁ、特別だよ?」
律「なんで私だけ腑に落ちない感じなんだよ……」
唯「だってりっちゃんだったら私より胸ないから揉んで遊べな……」
律「ちくしょー!」キュッ
唯「……っ!」タップタップ
唯「……ぜー、はー」
紬「大丈夫?」
律「っていうかやっぱり価値観が男子高校生かよ!」
唯「……さっき一瞬幽体離脱できたような気がする」
律「なに? もう一回お願いしますって?」
唯「ごめんなさい」
澪「まぁとにかく、くだらないことで夜更かししないで早く寝たほうがいいよ?」
唯「はーい……」
唯「……なんて言われたけど」
唯「今日は別の方法で幽体離脱しちゃうよ」
唯「なになに……夜に電気を消して、掛け布団禁止、枕もないほうが良い……」
唯「リラックスして大の字で寝転がる……」
唯「自分が向かい合わせでいるようにイメージ……」
唯「時間は40分くらいかー、でも寝ながらイメージするだけでしょ? 簡単そう!」
唯「ふふふ、これで私も幽体リダツァー!」
唯「リダツァー?」
唯「なんか響きいいかも!」
唯「布団もやめて枕もやめて電気を消して……」
唯「あとは目を瞑ってイメージするだけ……」
唯「グー……」Zzz
───
─
唯「……う~ん」
唯「あ! 寝ちゃってた!?」
唯「あちゃー、失敗かぁ……」
唯「まだ暗い、何時だろ?」
唯「電気電気……」スカッ
唯「え……?」
唯「この電気紐私の体を通り抜ける! おばけ紐だ!」スカスカ
唯「あれ? なんか変な感じ……体が軽い?」
唯「ものすごく痩せた? 寝てる間に?」
唯「……あ」
唯「幽体離脱できてる!?」
唯「おおー、私が寝てるー!」
唯「私も透けるー!」
唯「壁も透けるー!」
唯「そうだ、早速りっちゃんおどかしに行こう!」スイー
唯「あ、人だ! おーい!」フリフリ
「……」スタスタ
唯「私のこと見えないのかな、気付かれなかったみたい」
唯「……うお! 暗くて気付かなかったけどよく見たら私ハダカだ!」
唯「見えなくて良かったー」
唯「でも私のこと見えないならどうやっておどかそうかなー」
唯「わぁ!ってやろうと思ってたんだけどなー」
唯「やっぱ体を乗っ取るしかないかー」ムフフー
唯「りっちゃーん!」
律「ふははははは!」ゴロゴロ
唯「マンガ読んでる……やっぱ気付いてないみたいだね」ニヤリ
唯「でもりっちゃんの体に入るのってどうすればいいんだろ?」
唯「出る時は出るイメージだったから、入る時は入るイメージすれば大丈夫かな?」
唯「むむむむ……」
──
─
唯「……う~ん」
唯「あれ? 夢だったのかな」
唯「……?」
唯「……部屋が違う!」ガバッ
唯「りっちゃんの部屋だ!」キョロキョロ
唯「と、いうことは……胸は控えめ」サワサワ
唯「あーあー、てすてす」
唯「おおー! りっちゃんになってるっぽい!」
唯「鏡鏡~♪」
唯「りっちゃんが映ってるー!」
唯「やったー! 成功だ―!」
唯「りっちゃんだぞー! 元部長だぞー!(裏声)」
唯「あははははははは! りっちゃんみたい!」
唯「って、今の私はりっちゃんだよね」
唯「さて、なにしよっか」
唯「あ、さっきりっちゃんが読んでたマンガ」
唯「あははははははは!」
──
─
唯「……う~ん」
律「はい、起きろ―」ガバッ
唯「ふわぁ!?」
律「いつまで寝てんだよ」
唯「私!?」
律「はぁ?」
唯「……じゃない、りっちゃんか」
澪「唯、寝ぼけてるんじゃないのか?」
紬「唯ちゃん、そろそろ起きないと遅刻しちゃうわよ」
唯「あ、う、うん……」
唯(いつの間にか私に戻ってる……)
律「唯?」
唯「あ、うん! すぐ行く!」
澪「今日も幽体離脱の勉強?」
唯「うん」
律「できたのかー?」
唯「できたよ!」
律「うそっ! マジで!?」
唯「うん、昨日りっちゃんに取りついたんだよー」
澪「ほ、ホントなのか律……?」ビクビク
律「いや、ありえねーし! そうだ、証拠残したか?」
唯「あー、忘れてたー」
唯「マンガ読んでた」
律「マンガといえば……マンガ読んでる時に一瞬落ちた様な……」
澪「こら律、乗っかるなよ、怖いから……」
律「いや、これはマジだよ」
紬「もしかして、本当に幽体離脱できたの?」
唯「うん、だからホントなんだってばー」
唯「私も立派なリダツァーです!」フンス
紬「リダツァー?」
律「まあいいや、もし次幽体離脱したらちゃんと証拠残せよ」
唯「がってん!」
澪「た、多分偶然だよー、信じるとかありえないー」
紬「怖いの?」
澪「な、なんのことでしょうか!?」
唯「怖くないんだったら次は澪ちゃんのところ行こうかなー」
澪「ひぃ!」
唯「大丈夫だよー、私のこと誰も見えないみたいだから」
澪「で、でも、見られてると思うと……」
唯「大丈夫、見てるんじゃなくて、見守ってるんだよ」
澪「唯……」
唯「大丈夫、澪ちゃんは私が守ってあげるから」ナデナデ
澪「唯ぃ~……」
紬「キマシタワー!」
律「あーもうなんだかなー」
――
唯「と、言ってはみたものの……」
唯「今日もできるか分かんないよねー」
唯「いや、できるよ! 私なら!」フンス
唯「よーし、始めるぞー!」
唯「グー……」Zzz
───
─
最終更新:2011年05月31日 01:33