部室!
唯「みんなおいーっす!」ガチャ
唯「……あれ?誰もいない……。そういえば今日はみんな遅くなるって言ってたっけ……」
唯「ちぇー、せっかく早く来たのになー。することもないしなんだか損しちゃった気分……」
唯「……そうだ!先にお茶の準備でもしてようかな?いつもムギちゃんにまかせっきりなんだし、たまには代わってあげないと!」
唯「えーっと、ムギちゃんは確かいつもこうやって…………あ」カチャカチャ ツルン パリン ガシャン グシャ
唯「…」
唯「……やっぱり先にトイレに行ってこーよおっと」
トイレ!
唯「あぁそーらはこんなに青いのに♪ 風はーこんなにあたたかいのに♪」トテトテ
唯「太陽はーとっても明るいのに♪ どうしてーこんーなに眠いのー♪」ガチャ バタン
唯「すいみんすいみんすいみんすいみんすいみん不足ー♪」
唯「ふんす!」
唯「……よしスッキリ!」
唯「それじゃあ部室に戻って続きを………ってあれ?」ゴソゴソ
唯「あれ?あれれ??ない、ないない!」
唯「紙がない!」
唯「どうしよう……このままじゃトイレから出られないよ……」
唯「予備のトイレットペーパーも置いてないし、ティッシュもお昼に全部使っちゃったし……」
唯「代わりになりそうなのはハンカチくらいしか……」
唯「……ダメだよ!これは誕生日にあずにゃんがプレゼントしてくれた大切な……」
唯「大切な……」
唯「…」
唯「……許せあずにゃん」
?「ふんふんふーん」テクテク
唯「あ、誰か入ってきた。この声は……」
律「なにさあなたなんて嫌いー♪ 女心がわかんなきゃー♪」テクテク
律「お嫁さんにはー♪ なってあげなーいーぞー♪」ガチャ バタン
律「奇妙キテレツ男ってー♪ どっか鈍くて謎めいてー♪」
律「かないっこなーい 夢ばヨッシャー!」
律「……ふぅスッキリ!」
律「さてと……」ゴソゴソ
唯「りっちゃん!りっちゃん!」
律「ん?その声……まさか唯隊員!?」
唯「りっちゃんたすけてー!」
律「どうした唯隊員!?いったい何があった!?」
唯「トイレに入ったら紙がなかったのであります!」
律「紙がないって……全く、入る前にそれくらい確認しとけよー。唯は本当におっちょこちょいだなー」ヤレヤレ
唯「うえ~ん、りっちゃ~ん……」グスン
律「わかったわかった、こっちが済んだらそっちにも紙持って行くから……」ゴソゴソ
唯「ほんと!?」パァー
律「ああ待ってろよー、すぐに助けて………あ」
唯「……りっちゃん?」
律「スマン唯、どうやら私はここまでのようだ」
唯「りっちゃああああん!?」
唯「もう!人のことを馬鹿にしといて自分だって確認してないじゃん!」プンスカ
律「いやー悪い悪い。まさか予備まで置いてないとは……」
唯「りっちゃんの役立たずー!」
律「そんなこと言っちゃっていいのかー?こういう時の為の秘策があるんだけどなー」チラッ
唯「私、りっちゃんならやってくれるって信じてたよ!」
律「はっはっはー、このりっちゃんにまかせなさい!」
唯「それでいったいどんな方法が……」
律「うむ、こういう時はトイレットペーパーの芯を手でほぐして……」
唯「あっ、そういえば芯も残ってないや」
律「なら財布に残ったレシートで……」
唯「お財布鞄に入れっぱだ」
律「……こうなったら最後の手段、この黄金の右腕で……」
唯「それはない」
律「…」
唯「りっちゃんのぽんこつー」
律「……あっ!そういえば入ってすぐの所に掃除用具とかが入ってる倉庫があるだろ?そこになら予備の紙も置いてあるんじゃないか?」
唯「おお!その発想はなかった!」
律「へへーん、私だってやる時はやるぜー!」エッヘン
唯「それではりっちゃん、取ってきてください」
律「おう!……って倉庫には唯の方が近いだろ。唯が行ってよ」
唯「えーやだよー。だって誰か入ってきたら見られちゃうじゃん」
律「それは私も同じだってば……。ぱっと行ってぱっと取ってくれば誰にも見られないって」
唯「もう、しょうがないなー」ガチャ…
?「しゃらんらしゃらんら~♪」テクテク
律「あ、おい唯!誰か入ってくるみたいだぞ!」
唯「え?嘘!?わわわ隠れなきゃ!?」ガチャ バタン
紬「こーいーやーデーイートはー♪ 苦手と思われてるけどー♪」テクテク
紬「ときーめーいてー♪ おどるむーねー♪ それでもあなたは気ーづーかーなーいー♪」ガチャ バタン
紬「君にキョーミーシンシン♪ だーけど聞けずにーモンモン♪」
紬「そっとボクにー 教えtどんとこいです!」
紬「……うん、スッキリ!」
唯「あれ?今入ってきたのって……もしかしてムギちゃん!?」
紬「その声……もしかして唯ちゃんなの?」
律「ムギー、助けてくれー!」
紬「りっちゃんまで……いったい2人ともどうしたの?」
律「実はトイレに入ったらうんぬんかんぬん……」
唯「それでトイレから出られなくなって困ってたんだよー」
紬「まあそれは大変!待っててね、今すぐ助けてあげるから!」ゴソゴソ
唯「本当!?ありがとうムギちゃん!」
律「やれやれ、これで一件落着だな」フゥー
唯「うん!ムギちゃんが来てくれて本当に助かったよー」
紬「……えーっと、2人とも……」
律「ん?どうかしたの?」
唯「………まさか」
紬「その……ごめんね?」
唯「ムギちゃああああん!?」
律「まさかムギの個室にも紙がないだなんて……」
紬「本当にごめんなさい……私が確認していなかったばっかりに……」
唯「ううん、ムギちゃんは全然悪くないよ!悪いのはトイレットペーパーの補充をサボったトイレ掃除だよ!」
律「私の時と全然反応がちがくね?」
唯「ちなみに今週のトイレ掃除担当はりっちゃんです」
律「ごめんなさい」
紬「……あっ、そうだわ!」ポム -3
律「どうした?」
唯「もしかして……何か思いついたとか!?」
紬「うん!あのね、誰かに電話して紙をもらうっていうのはどうかしら?」
唯「なるほど!それなら確実だね!」
紬「問題は誰に電話をするかなんだけど……」
律「あー、澪も梓も先生に用事を頼まれたって言ってたしなー」
紬「うん……、もし用事の途中だったら悪いし……」
唯「……そうだ!和ちゃんなんてどうかな?きっと助けてくれるよ!」
律「なるほど、確かに和ならなんとかしてくれそうだ!」
唯「でしょ?まだ学校に残ってると思うし、私ちょっと電話してみるね」ピッポッパッ
律「おう頼む!」
紬「これで何とかなりそうね」
律「そうだな」
唯「……あっ、もしもし和ちゃん?私ね、今学校のトイレにいるんだけど~」
唯「うんうん、それでね、実は和ちゃんにお願いが……えっ、違うよ!それくらいちゃんと自分で拭けるよ!」
唯「家でも……だから一人できるってば!憂に拭いてもらってなんていないってば!」
唯「高校生にもなってって……あれ?和ちゃん、もしかして泣いてる……?」
唯「あっ!ちょっと待って和ちゃん!?…………切られちゃった」
律「……一応聞いとくけど、和は何て?」
唯「わかんない。なんか『帰ったら憂と一緒に3人で話し合いましょう』って言ってた」
律「まあ……おつかれ」
紬「また振り出しに戻っちゃったね」
唯「うむむ……いったいどうすれば……」
?「…」スタスタ
紬「あ、誰か入ってきたみたい」
唯「えっ、本当?」
紬「うん、今足音しなかった?」
律「そうかぁ?何も聞こえなかったけど……」
澪「…」スタスタ
澪「…」ガチャバタン
澪「…」モゾモゾ
澪「……んっ」
澪「…ふう」
律「って何か歌えよ!!」
澪「ひぃっ!?な、なに!?」ドキドキ
唯「そうだよ!みんなちゃんと歌ったんだから一人だけ抜け駆けなんてダメだよ!ほら大きな声でワン・ツー・スリー!」
澪「え、えーっと……はじめてーのーちゅうー♪ 君と……って何でだよ!?」
律「えー」
唯「えー」
澪「その声は……なんだ、律と唯か……」
紬「私もいまーす」
澪「ムギまで……いったいどうしたんだ?みんな揃って……」
紬「実はかくかくしかじかで……」
澪「なるほど……まるまるうまうまってわけだな」
唯「澪ちゃん助けてー」
澪「わかったよ、今そっちにも紙を……」
紬「?どうしたの澪ちゃん?」
律「まさか……」
澪「……ラベンダーの香りがするトイレの個室で白ヤギさんと黒ヤギさんが大暴れ」
澪「お腹を空かせた2匹のヤギは 手当たり次第もぐもぐむしゃむしゃペロリーヌ」
律「……つまり、澪のところにも紙がないってこと?」
澪「…」コクン
紬「しかも歌詞の方も絶不調みたいね」
唯「澪ちゃああああん!?」
律「しっかし、澪の個室にまで紙がないだなんて……」
紬「6つある個室のうち、紙のない個室が4つも……」
唯「きっとりっちゃんが掃除当番をサボったおかげだね!」フンス
澪「律……」ジー
律「な、なんだよぅ…みんなしてぇ……」グスン
紬「まあ誰にだって間違いはあるんだし、全部りっちゃんのせいにしなくても……」ヨシヨシ
律「うわーん!私の味方はムギだけだー!」
唯「冗談だよりっちゃん。いじめてごめんね」
律「うるさーい、私の味方はムギだけなんだ!もう唯なんてしらなーい!」ツーン
唯「そんなー」ガーン
律「さらば唯。これから私はムギと2人だけの同盟を結ぶのだ」
澪「同盟ってなんだよ」
律「ほら、下の隙間からこうやって手を伸ばして……」
紬「わあ、握手~♪」ムギュー
澪「何やってるんだか」
律「また澪にバカにされた気がする……」
澪「事実なんだから仕方ないだろ」
律「くそー!こうなったらあれで復讐するしか……」
澪「な、なんだよ……」
律「……ゲジゲジ」ボソッ
澪「ひっ!?」ビクッ
律「ゲジゲジゲジゲジゲジゲジゲジゲジ」
澪「ひいぃぃぃいっ!!?」ミエナイキコエナイミエナイキコエナイ
紬「ゲジゲジ?」
律「そう、あれは小学生の頃にクラスで遠足に行った時の話だ」
律「澪が遠足先の公園のトイレに入った瞬間、両サイドの隙間から大量のゲジゲジがぞわぞわ~って……」
みお「ひー」
律「それ以来澪はゲジゲジを警戒して、壁際の個室でしか用を足せなくなってしまったのだ」
みお「うわーん。こわいよー。ままーたすけてー」
唯「トラウマにふれたよ」
?「にゃにゃにゃーん」テクテク
紬「あっ、また誰か来たみたいよ」
律「随分繁盛してるなこのトイレ」
唯「あれ…?この声は……」
最終更新:2011年06月04日 21:08