――夏のある夜 真鍋家――――――

チャラチャラン♪チャラチャラン♪

和「あら、メールね  憂から・・・何の用かしら?」

憂『夜遅くにごめんなさい 明日からお姉ちゃんがけいおん部の合宿で山に行くみたいで・・・

  お父さんとお母さんも旅行で、明日は家に私一人なんです

  ちょっと恥ずかしいけど寂しいから、時間があったら遊びに来てください』

和「憂が寂しいだなんて珍しいわね

  わざわざメールを送ってくるなんてよっぽどみたいね・・・

  行ってあげようかしら 明日は予定もないし、久しぶりに憂とも話したいし」

ポチポチポチ ピロリン♪

和「送信っと さてと、じゃあこの本の問題をここまで解いてから寝ましょ」


――同 鈴木家――――――

チャーチャラッチャー♪

純「あ、憂からメールだ なになに・・・

  明日は憂、家に一人なんだ そういえば先輩達が修学旅行の時も寂しがってたっけ

  けいおん部の合宿ってことは梓もいないんだろうし、私が行って元気づけてあげなきゃね」

ポチポチポチ ピロリン♪

純「これでよし じゃあもう少ししたら寝よっ」


――翌朝 平沢家前の道――――――

和(結局夜遅くまで勉強しちゃったわ・・・)

和(う~ん それにしても今朝の憂からのメールで私ともう一人が遊びに行くみたいだけど誰かしら?)

和(一応私も知ってる人みたいだけど・・・)テクテク


純(う~ あの後テレビとか見てたら寝るの遅くなっちゃったよ・・・)

純(そういえば私のほかにも憂の家に遊びに来る人って誰だろ?)

純(私も知ってる人らしいけど、梓は一緒に合宿に行ってるだろうし・・・)テクテク

ドンッ

純「!っつぅ~! ご、ごめんなさい!」

和「いえ、こちらこそ考え事をしてて・・・・・・ってあら」

純「の、和先輩!もしかして憂の家に?」

和「ええ、ということは純ちゃんも?」

純「はい 憂からメールが来て」

和「私もよ さて、家の前で立ち話もなんだし早く入りましょ」

ピンポーン

憂「はーい」

ガチャ

純「おじゃましまーす」

和「おじゃまします」

憂「いらっしゃい!ごめんね、わがまま言っちゃって」

和「何言ってるの、昔からの付き合いでしょ?

  むしろこういう時に気軽に呼んでもらえないんじゃそっちのほうが困るわよ」

純「そうそう、中学の頃とか休みの日によく遊んだでしょ?

  高校に入ってから遊ぶ機会も減って私だって寂しかったんだからね」

憂「和ちゃん、純ちゃん、ありがとう! さあ、上がって」


――平沢家 リビング――――――

純「う~ん やっぱり憂の家のリビングは広くて落ち着く~」

憂「ふふ じゃあ私お茶入れてくるね」

和「あ、憂 私も手伝うわ」

憂「いいよ、和ちゃんはお客さんなんだからゆっくり待ってて」

和「そう?悪いわね」

純「こっちは和先輩と話して待ってるよ」

憂「じゃあすぐ入れてくるから二人とも待っててね」

純「それにしても和先輩とこうやって普通に話すのも久しぶりですね」

和「そうね 私が中学を卒業してからだから、もう2年以上ぶりになるわね・・・

  学校でも忙しくて、見かけてもあまり声かけられなくてごめんなさい」

純「い、いいんですよ!謝らなくても! 和先輩はもう受験生で生徒会長ですし

  それに今こうやって話してるだけでもとっても嬉しいんです」

和「? どうして?」

純「私は和先輩のことをすごく尊敬してるんです!昔、よく遊んだときに優しくしてもらって

  私にとってはまるで本当のお姉さんみたいな存在なんです」

和「そう ええ、私も純ちゃんのことを妹のように思ってたわ」

憂「私も和ちゃんのことをもう一人のお姉ちゃんだと思ってるよ」

純「う、憂!」

憂「おまたせ はい、お茶だよ」 コト

和「ありがとう 憂」

純「ありがとう・・・う~ん」

憂「どうしたの純ちゃん?」

純「和先輩は憂のことは憂って呼ぶのに

  どうして私のことはちゃん付けなんですか」

和「え?それは憂とは付き合いが長いから・・・」

純「私とも中学からの付き合いじゃないですか!お願いします!」

和「じゃ、じゃあそう呼ぶかわりに私には敬語を使わないでね?」

純「そ、それは  できません・・・」

和「ね?純ちゃん、気持ちは分かったけど急に変えるのは難しいのよ

  確かに付き合いはあったけど今日までのブランクも大きいでしょ

  だから、自然にそう呼べるように今日、これからを楽しく過ごしましょ」

純「そう、ですよね すみませんでした和先輩 無理言って」

憂「ふふ 二人ともそろそろ飲まないとお茶が冷めちゃうよ」

和「そうね じゃあ純ちゃん、いただきましょうか」

純「はい 憂、ありがと」

憂「ねぇ純ちゃん、私も純って呼んだ方がいい?」

純「・・・・・・」

純「いや、今のままでいいよ・・・」


――正午 平沢家 リビング――――――

憂「それで、その後お姉ちゃんがね~」

和「まったく ま、唯っぽいわね」フフッ

純「唯先輩って不思議な人ですね・・・

  あ、もうお昼だ そろそろお昼ご飯食べます?」

和「そうね 憂、純ちゃん、お昼にしましょ」

憂「うん、じゃあ作ってくるよ」

純「おっと、憂 今度は私たちも手伝うよ」

和「そうね、憂にだけ任せてちゃ悪いし」

憂「えっ いいの?」

純「当然! 料理だって何だってみんなでやった方が楽しいって」

和「憂と料理するなんて久しぶりだし、純ちゃんの料理も見てみたいし

  待ってるのも案外暇だしね」

憂「ありがとう 純ちゃん 和ちゃん

  それじゃあ何作る?」

純「う~ん それは考えてなかったなぁ」

和「そうねぇ・・・ 焼きそば、なんてどうかしら

  作るのにそれほど難しくないし、どう?」

憂「うん 私もしばらく作ってなかったし、焼きそばがいいかな

  純ちゃんは?」

純「もちろん! ちょっとお腹すいてきちゃったし早く作ろっ」


――平沢家 台所――――――

憂「準備よし それじゃあ私が焼きそば炒めるね」

和「なら私が野菜を切るわね」

純「私は・・・お皿出すよ」

和「・・・そうね、焼きそばだと簡単すぎて3人で分担できるほど工程がなかったわね」

憂「どうしよっか 他の料理にする?」

純「私料理あまりうまくないし、二人の料理見てるよ

  そっちのほうが楽しそうだしね」

憂「ごめんね純ちゃん じゃあ始めよっか」

和「ええ 純ちゃんの料理が見れなくてちょっと残念だったけど」ニコッ

純「うぅっ・・・///」


純「・・・・・・」ザクザク

純「・・・・・・」ジュージュー


憂「純ちゃんお待たせ 出来たよ!」

純「ありがとー やっぱり二人とも料理が上手くてうらやましいなぁ」

憂「じゃあ今度一緒に料理作る?」

和「いいわね また3人で集まって、料理教室でも開いて」

純「悪いですしいいですよっ さ、早く冷めないうちに食べましょうよ」

憂「そうだね 和ちゃん、食べよっか」

和「ふふっ そうね じゃあ料理教室はまたあとでね」

憂純和「「いただきます」」

純「・・・」ズルズル

純「うん!おいしい!味も濃くないし流石憂と和先輩だよ」

憂「よかったぁ おいしくなかったらどうしようかと思っちゃった」

和「純ちゃんあっさり目の物が好きだったでしょ?

  だからしょうゆ焼きそばにしてみたの」

純「和先輩、もしかして覚えててくれたんですか!?」

和「しばらく会ってなくても友達の好みだもの 忘れるわけないでしょ?」

純「の、のどかせんぱい・・・」ジーン

憂「純ちゃん大丈夫? 泣きそうだよ」

純「だって、あの和先輩が好きな味を覚えててくれたんだもん・・・

  とってもおいしいし何だか嬉しくなってきて・・・」

和「もう、大げさね でもありがとう そう言われて私も嬉しいわよ

  それに私だけじゃなくて憂も一緒に作ったからこそこの味なの

  やっぱり今度は純ちゃんも一緒に、ね?」

純「わかりました でも、私あんまり上手く出来ないから手伝ってくださいねっ」

和「ええ、もちろんよ」

憂「話もついたところで 早く食べないと冷めちゃうよ?」

純「あっ ごめんね憂」モグモグ

純「うん、やっぱりおいし~」

憂和「「ふふっ」」ニコニコ


―――

純「ごちそうさまでしたっ」

憂「お粗末さまでした」

純「ふぅ さて、ご飯食べたし、これからどうする?」

和「そうね、午前中はいっぱいお話ししたし・・・・・ふぁぁ」

憂「どうしたの?和ちゃん」

和「ご飯食べたからかしら ちょっと眠気が・・・」

憂「じゃあ3人でお昼寝しよっか 純ちゃんもいい?」

純「え? う、うん」

和「ちょっと、いいわよ憂 わざわざ・・・」

憂「大丈夫だよ お姉ちゃんともたまにお昼寝するし」

和「まったくあなた達は じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかしら」

憂「じゃあ毛布持ってくるから待っててねー」トテトテ

和「悪いわね、純ちゃんも ちょっと昨日寝るのが遅かったから・・・」

純「いえ、実は私もちょっと夜更かししちゃってちょっと眠くて

  だから気にしないでください むしろ和先輩と一緒に寝らて嬉しいです

  ・・・・・いっ、いやっ 別に変な意味じゃないですよ!」

和「ふふっ わかってるわよ」


憂「おまたせー」

純「うぉっ 毛布でっかいね」

憂「せっかくだから3人で寝れる毛布を探してきたんだ

  ちょうどこの時間帯だと窓の近くのこのあたりが気持ちいいよ」

和「・・・それじゃ悪いけどちょっと横になるわね」

憂「私、和ちゃんの右隣~」ゴロン

純「あっ じゃあ私は左で」ゴロン

和「ちょ、ちょっと二人とも あんまりくっつくと暑いわよ」

憂「今日は気温も高くないし、毛布も薄いから大丈夫だよ」ギュッ

純「そうですよ むしろ扇風機が効いて少し涼しいぐらいですよ」ギュッ

和「はぁ 憂は唯に似てきたし、純ちゃんもその憂に似てきたわね・・・」

和「でも、こうやって一緒に寝るのも昔みたいで悪くないわね」

憂「でしょ? ほら、和ちゃん、日が暮れないうちに早く寝ようよ」

和「日が暮れるって、まだ1時にもなってないわよ・・・

  でも、だいぶ眠くなってきたしちょっと寝させてもらうわ

  ごめんね憂、純ちゃん おやすみ」

憂「おやすみ~ 純ちゃん、私たちも寝よっか」

純「うん おやすみ 憂」


――     ――――――

唯『ねえ、和ちゃん』

和「?どうしたの、唯」

唯『私もう和ちゃんと一緒にはいられないから』

和「ちょ、ちょっと 何言ってるのよ・・・」

唯『じゃあね和ちゃん ばいばい』

和「待って! 唯っ・・・唯!」


――午後三時 平沢家 リビング――――――

和「はっ・・!」ガバッ

和「・・・・・夢、」

和(唯との別れ・・・か)

和(こんなこと考えてないで起きよう・・・

  っ!重い!なんで?)

憂「すー・・・すー・・・」ギュゥッ

純「くー・・・くー・・・」ギュゥッ

和「・・・・」

和「二人とも、抱きついたまま私に乗っかってないで起きなさい」ユサユサ

憂「んっ・・・あ、和ちゃんおはよう・・・」

純「う~ん・・・いまなんじ~?」

和「もう三時よ、そろそろ起きないと 

  夜じゃないんだからいつまでも寝てるわけにはいかないでしょ」

純「う~ ねむ~い~」

和「もう、こういうところはまるで唯みたいね」

憂「・・・」

和「ねぇ、憂・・・ 憂?どうしたの?」

憂「えっ! い、いや ちょっと夕ご飯の分のおかずが無かったからどうしようかな~って」

和「そう? じゃあ買い物・・・3人で行きましょうか」

憂「うん!ありがとう和ちゃん じゃあ純ちゃんを起こさないと」

和「そうね ほら、純ちゃん起きて 買い物に行くわよ」ユサユサ


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最終更新:2011年06月05日 20:21