バトルセブン艦内!
(澪「とりあえずヘッドフォンでふさごう~♪」 唯「Don’t stop the music♪」)
ミホ「艦長、HTフォースが戦闘空域に到着しました。」
マクシミリアン「よし、ダイアモンドフォース、及びエメラルドフォースはHTフォースの護衛に回るように!」
(ガムリン「了解!」 ドッカー「了解~!」)
(澪「欲しいものは欲しいっていうの~、したいことはしたいっていうの~♪」ビシューーーーーーン!!)
歌い始めて間もなく、私たちのバルキリーから“サウンドビーム”が放たれる。
キム「サウンドビーム!新機体は順調に機能しているようです。」
千葉「すごい歌エネルギーの量だ!!やはり普段使っている楽器との相性が歌エネルギーを増幅させるのか!」
(澪「だけど言えない言葉もあるの~♪」 唯「Can’t stop my heart beat♪」)
サウンドビームは分散し、数百の“悪魔”に命中する。
(アスラ「カカカ…」 アスラ「カカッ…」)
サリー「敵が後退していきます。」
ムスタングバルキリー内!
(澪「い・き・な・り!チャンス到来、偶然おなじ帰り道~♪」)
律「澪!その調子だ!」ツツタン♪
梓「でもあの大きい敵には効いていないみたいですね…」
サウンドビームは“アグニ”にも命中しているはずなのだが全く効いているそぶりがない。
(アグニ「マナス…、か…」)
(澪「ふ・く・ら・む!胸の風船、急に足が、宙に伸びて、上昇気流に乗って♪」)
律「どんどんこっちに近づいてくる…!暑いな…。」
ゴーーーンッ!!
アグニはその身体に輝きを増しながら、炎の矢をこちらへはなってくる。
梓「ピンポイントバリア展開!律先輩、そろそろ耐えられません…」
エリザベスバルキリー内!
澪「(くそ…。小さいのには効いてるのにどうして…)」
澪「飛んで行っちゃえ!キミのもとへ、私の、ぴゅあぴゅあはーと♪」
ピッ!
(ガムリン「D1からHTフォースへ。このままでは危険だ!もう少し下がってくれ!くそっ…」ガゴーーンッ!)
(律「了解!」)
澪「でも…、このままじゃシティセブンが…。」
アグニが進む先にあるのは市民が住むシティセブンだ。
バトルセブン艦内!
(澪「この~気持ちが大気圏超えたとき~♪」)
エクセドル「後退は仕方ありませんなぁ…」
マクシミリアン「シティセブンはあとどれくらい持つ?」
サリー「現在シティセブン艦内は摂氏47度、持って後20分が限度かと…」
マクシミリアン「フォールドまであと何分かかる?」
サリー「フォールドエネルギー充填まで約35分かかります。」
(澪「キミは見えなくなってた♪I don’t mind~♪」)
マクシミリアン「間に合わないか…」
エクセドル「万事休す、ですかな。」
エリザベスバルキリー内!
澪「な、なんで効かないの…」
ブファーーーーーーーーーーーッ!!
ひと際大きな炎の矢がエリザベスを襲う。
(ガムリン「澪さん!あぶない!!」)
澪「うわっ!!熱っ!!」
澪「く、くそーーっ!!」
危機感や焦りに煽られて、私は引いてはいけないトリガーを引いてしまう。
バシューーン! バシューーン! バシューーン! バシューーン! バシューーン!
数十発のそれは両脚部から放たれた。
(ガムリン「何!?」)
(紬「ミサイル!?」)
(律「み、澪!!」)
ドドドーーーーーーーーーーーンッ!!!
ミサイルは、敵に届く前に何かに命中し、爆発する。
プシュウーーーーーー…
煙の中から姿を現す赤…。
澪「ファイヤー…、バルキリー!?」
ムスタングバルキリー内!
梓「ま、まさか!?」
ピッ
(バサラ「お前たちは歌うんじゃねえのかっ!?」)
そのまさかだった。ファイヤーバルキリーが、熱気バサラが、私たちの前に立っている!!
(ガムリン「バサラ!おまえ…」)
(バサラ「世話かけちまったみてえだな、ガムリン!」
律「バ、バサラ…!?」
私たちの後方から見慣れたバルキリー、ストームバルキリーとミレーヌバルキリーが姿を現す。
ピッ
(ミレーヌ「あなたたちの歌、届いたわ!」)
何処からともなく響いてくるギターのハウリング音、ドラムのフィルイン。
デーン、デーーン、デーン、デン♪
(バサラ「アーーーーーーーーーーーーゥッ!!」)
バサラさんのシャウトが宇宙空間にこだまする。
演奏を始めた三機のバルキリーは、私たちが乗っていたそれよりも数倍は大きく見えた。
バトルセブン艦内!
(バサラ「24時間うごめく街を~、tonight!tonight!駆け抜ける~♪」)
マクシミリアン「サウンドフォース!?」
千葉「どうやらHTTの歌を聴いて目を覚まして、病院から抜け出したそうです。」
(バサラ「非常階段瞳の群れが~、sign of the times!探してる~♪」)
(アグニ「う…、チッタ…、ブルッティ…」)
アグニがわずかながらにひるんでいるような表情を見せる。
エクセドル「効いているようですな。」
サリー「敵付近の温度が急上昇中!バルキリーの耐熱温度を越えています!」
怯みながらもアグニはその輝きをますますと増していった。
エリザベスバルキリー内!
(バサラ「へへっ、熱くなって来たぜ!!」
(バサラ「ガラスに変わってしまう~、キヲツケロ♪」)
ピシューーーーーーーーーーーーン!!
ファイヤーバルキリーのサウンドブースターから私たちのものよりも一回りは太いであろうサウンドビームが放たれる。
エリザベス内にもバサラさんの歌声が響く。
澪「こ、これが…、FIRE BOMBER…!」
(バサラ「Holy lonely light!燃やせ♪体の芯まで~♪Heavy lonely night!二度と心は後ろを~、振り向くな♪」)
テレビで見るのとは全く違うものすごい存在感!ゾクゾク美!
私はただただ圧倒されるだけだった。
ピッ
(律「私たちも加勢するぞ!」)
澪「う、うん…」
恐怖!感動!圧倒!様々な感情が私を襲う。
(律「なにやってるんだよ!澪!」)
ギータバルキリー内!
(ミレーヌ「宇宙を全部くれた~って♪譲れない愛もある~♪」)
唯「何が本当か、何がウソか~、分からない時もある~♪」
4人はFIRE BOMBERに加勢するように演奏を始める。
(ミレーヌ「やるじゃない!」)
唯ミレーヌ「見つめあうだけじゃ、朝は遠すぎる♪」
紬「マルチスピーカーポッド射出!」
プシューーーン! プシューーーン! プシューーーン! プシューーーン!
ギータの両腕部、両脚部から数十発のミサイルが放たれる。
ミサイルは敵に命中することはなく、敵を取り囲みそこから7色のサウンドビームが放たれる。
(律「よし!いいぞムギ!ついでにビヒーダさんの音源をこちらに回してくれ!ムスタングのウーハーサウンドブースターから再生する!」)
紬「了解!」
(バサラ「急げ!自分を信じて~♪闇の中から答えを~♪見つけ出せ!」)
ピシューーーーーーーーーーン!!!!
律によるサウンドビームとビヒーダさんによるサウンドビームがムスタングから放たれ、螺旋を描く。
アグニ「チッタ…、ブルッディ…、スヴァハー…!?」
皆の歌によってアグニが姿を消していく。
私はそれを一歩引いたところからただ眺めていた。
(ミレーヌ「敵が、消えていくわ…」)
ピッ
(レイ「君たちのおかげだ。礼を言う。」)
唯「いやあ~。えへへ~。」
ライブ会場!
6機のバルキリーは先ほど私たちがライブをしていた会場の近くに着陸する。
観客「Love will save your heart♪夢を描く~、まっすぐな瞳たちよ~♪」
私たちを待っていたのは3万人の観客!FIRE BOMBERの凱旋を祝福しに来たのだ。
ここでも私たちはFIRE BOMBERの凄さを痛感することになる。
唯「すご~い!」
梓「すごい人の量ですね…」
観客「Love will save this world♪いつかきっと~、光は見えるはず~♪」
迫りくる3万人の大合唱っ!!
観客「Love will save your heart♪夢を描く~、まっすぐな瞳たちよ~♪」
澪「」ガクガクブルブル
誓って言える。この時震えていたのは緊張のせいではない!
観客「Love will save this world♪いつかきっと~、光は見えるはず~♪」
ミレーヌ「みんな、待たせたわね!」
バサラ「それじゃあ行くぜ!」
バサラさんが掛け声を上げた後、イントロが始まる。
テーレレーレレー♪テーレレーレレー♪
バサラ「神様は、忙しくて、今手が離せない~♪」
バサラ「この世界は、ちょっと不思議な♪」
バサラ、ミレーヌ「まるで~、メリーゴーラウンド♪」
バトルセブン艦内!
バトルセブン艦内でも私たちの凱旋コンサートの模様が放送され、演奏と歌声が響く。
(バサラ「良いことばかりあるわけじゃないし♪嵐もやってくるけど~♪」)
千葉「艦長、シティセブンから今回の敵に関係するデータが届きました。」
マクシミリアン「シティセブンから?いったいどういう内容だ?」
千葉「今回の敵は、市民の状態不安がある閾値を越えたときに現れたようです。その後も市民の不安と敵の攻撃による被害とは有意な相関関係にあります。」
マクシミリアン「どういうことだ?市民の不安が敵を作り上げているということか。」
千葉「可能性はあります。しかし現段階で言えるのは市民の不安と敵との間に何らかの関連性があるということまでです。」
(バサラ、ミレーヌ「「Love will save your heart♪夢を描く~、まっすぐな瞳たちよ~♪」」
マクシミリアン「だから歌が敵に効くわけか…。」
千葉「はい。」
(バサラ、ミレーヌ「Love will save this world♪いつかきっと~、光は見えるはず~♪」)
マクシミリアン「よし、明日FIRE BOMBERと放課後ティータイムも招集してミーティングを行おう。」
アクショ!
ライブ終了後、私たちはレイさん達に勧められてFIRE BOMBERが共同で住んでいるというビルに泊めてもらうこととなった。
統合軍の宿舎に泊まることに疲れていた私たちにとっては、とてもありがたい話であった。
澪「けっこう街から離れたところにあるんだな…。」
梓「そうですね…。」
連れられてきた町並みには、シティセブンの清潔な町並みとは裏腹に半壊したようなビルが立ち並んでいる。
「スラム街」というのはこんな感じなのだろうか?
聞けば不法入艦者たちの作った街で、公的には存在していないことになっている地域らしい。
澪「だ、大丈夫なのかな…。」
前を歩くバサラさん達に聞こえないように小声で話す。
律「大丈夫だろ。なんたって大スターなんだから。」
自信なさげに律が答える。
レイ「着いたぞ。ここが俺たちの家だ。狭いところだが遠慮せず使ってくれ。」
いやな予感はしたが周りのビルとさほど変わらないような汚いビルがそこにはあった。
アクショのビル!
ガチャ(ドア)
自動ではないそのドアには鍵すらかけられていない。
紬「うわぁ…」ぱぁ
ミレーヌ「すごいところでびっくりしてるんでしょ?」
律「ま、まあちょっとだけ…」
紬「私、廃墟で生活するのが夢だったの~。」
澪「お、おい、ムギ、失礼だぞ。」
レイ「良いんだ。本当に廃墟みたいなものだからな。」
澪「でも大スターの皆さんがなんでこんなところに住んでるんですか?」
レイ「バサラがここのほうが落ち着くって言って聞かなかったんだ。」
ミレーヌ「私は引っ越したいって言ったのよ。ちょっとバサラ!お客さん来てるのよ!」
グババ「キィーッ!」
バサラ「うるせえなあ。」
一人少し離れたソファーに座るバサラさんが無愛想に答える。
澪「やっぱり私のこと、怒ってるのかな…。」
ミレーヌ「わかった。自分も前に同じようなことしちゃったからひねくれてるんでしょ?」
バサラ「そうじゃねえよ!あ~、ミレーヌが2人に増えたみてえだ…」スタスタ
ガチャ
バサラさんは出て行ってしまった。
ミレーヌ「もう!」
澪「…。」
レイ「気にするな。いつものことなんだ。」
梓「ところで唯先輩は?」
律「向こうでビヒーダさんと遊んでるよ。」
………
ビヒーダ「」タカタカタカタカ…♪
唯「うん♪たん♪うん♪たん♪」
………
梓「楽しそうですね…。」
レイ「明日は午前中から統合軍の会議に参加しなければならない。今日はゆっくり休んでくれ。」
ミレーヌ「みんなの寝具は新品を用意しておいたから。」
澪律紬梓「ありがとうございます!」
最終更新:2011年06月08日 20:47