――マサラタウン

その部屋のテレビにはあるバトルの中継が映し出されていた。

部屋の持ち主の少女は、ベットに寝転がりながら足をバタバタさせ、声を発した。

電話に向かって話す声は興奮気味だ。

唯「もしもし、りっちゃん!今のテレビみたっ!?かっこよかったよねー!」

唯「うん、きめた!私ポケモンマスターになるよ!!」



――唯の家(マサラタウン)


律「……てなわけで、唯が突然変なことを言い出したのでみんなに集まってもらいました」

梓「無理です。唯先輩には絶対に無理です」

澪「だいたい、わかってるのか?ポケモンマスターになるって言うことは旅にでるってことだぞ?」

唯「無理じゃないよぉ、わかってるよぉー、それにりっちゃん私変なこといってないよー」

 「それにむぎちゃんだって、この前別の地方で旅に出て、今はがんばってるって、この前電話で……」

澪「むぎはぽわわんとしてるように見えるけど、しっかりしてるからな。」

 「それにむぎは旅に出る前から準備もしっかりしてたからな。バトルの練習だってしてたし……」

唯「なんといわれたって、もう決めたからね。それに」

 「でてきて、リュー太!」ボンッ

ミニリュウ「リューー!!」

唯「私とリュー太だって、コンビネーション抜群なんだから」

律「そのリュー太だってさ、私たちが小さい頃サファリパークにつれてってもらって捕まえた唯一のポケモンだろ?」

 「バトルなんてほとんどしたことないじゃないか」

梓「そうです!!この前だってリュー太と遊んでいて、コラッタに襲われそうになってたじゃないですか」

 「……それに憂はどうするんですか?」

 「旅に出るなんて、おそらく、いえ、絶対反対するとおもいますよ」

唯「うッ……それは……」

ミニリュウ「りゅー……」

律「……まぁとりあえず、憂ちゃんに許可はとらないとな。家出同然で出て行くなんて心配するだろうし」

梓「心配どころか、憂ならお姉ちゃんが誘拐された!!って大騒ぎになりますよ」

澪「話は憂ちゃんに通してから……か。とりあえず、今日のところは解散、かな」

 「遅くなると、トキワに帰るのも危なくなってくるし、私と律のママも心配するし……」

唯「ママ?」

澪「お、おかあさん!!」


――1番道路

夕方の帰り道を二人で歩く。

トキワからマサラまでの距離なんて、たいした距離というわけでもなく、二人にとってはなれた道のりだ。

澪「いや、それにしても唯の突然の思いつきにはびっくりしたよな~!」

律「…………」

澪「……律?」

律「あ、いや、そうだな~。びっくりしたびっくりした」

澪「まさか、律まで旅に出ようって考えてるんじゃ……」

律「……!」

澪「……そうなんだな、お前も唯の話を聞いて少し考えてたんだな」

律「……うん、このままでいいのかな って考えてた。あの普段ゆるゆるの唯があんなに真剣に旅に出たいなんていうものだから。……なっ?」

 「それに澪、今”お前も”っていったってことは」

澪・律「……」


――唯の家

小さな田舎町の一角に声が響いた。

憂「駄目!」

予想していたとはいえ、涙目で震えた声に込められた拒絶の言葉に唯は戸惑った。

憂「そんな危ないこと、お姉ちゃんにできるわけないよっ!」

 「ポケモンマスターになるってことは、旅に出るんだよ?もう私も助けてあげれないよ?アイスも好きなときにたべれなくなっちゃうよ」

 「昔見た怖~いポケモンだって、外にはいっぱいいるんだよ?」

唯「それでも、もうなるって決めたの!……うん、もう決めたんだ……!」

憂「どうしても、行くっていうの?それなら……行ってラキちゃん」

ラッキー「らっきー!」

憂「ほら、お姉ちゃん、ポケモンバトルだよ!リュー太を出してっ!ラキちゃんに勝てたら認めてあげる」

ラッキー「らきらき!」

唯「でも……憂……」

 「(こんな力づくなかたちじゃなく、憂にはわかってほしかったけど……)」

 「認めてもらうよ、憂!でてきて、リュー太!!」

ミニリュウ「リュー、リュー!」

憂「ラキちゃん、先手必勝だよ!どくどく」

ラッキー「らきらきらき!」ジュワジュワ

ラッキーの右手が毒々しい色をおびる

唯「リュー太、こっちも電磁波!」

ミニリュウ「りゅーーー!」ビリッ

ラッキー「らき…らき……!」

痙攣したラッキーの動きが鈍る。

唯「やった、こっちの電磁波のほうが強かった。これでラキちゃんは麻痺して動きが悪くなったよ」

 「リュー太、そのまままきついて!」

憂は慌てない。慌てることがラッキーに不安を与えること、そして指示に遅れが出ることをしっているからだ。

そして指示がとぶ

憂「らきちゃん、リフレッシュ、そしてタマゴ爆弾!!」

ラッキー「らきーーー!らきらきらき!」

痙攣していたラッキの体が発光し、もとの動きを取り戻す

そして光りをおびたたまごが投げつけられ、爆発する

ミニリュウ「りゅー……」

唯「あぁ、リュー太っ!!負けないで、たつまき!!」

憂「ムダだよ、お姉ちゃん!らきちゃん、たまごうみで回復して」

ラッキーは攻撃に向いていないことは分かっている。

だから、持久戦しかない。

そして最初の攻撃でその布石は打たれていた。

憂「なんでいまラキちゃんに押し負けているか、分かる?」

 「お姉ちゃん、気付いてないでしょ?」

唯「……?…………!!りゅー太もしかして毒におかされてるの!?」

初手どくどく

唯は電磁波で防いだと思っていた。

気付かなかった。そのさりげない少量のダメージがミニリュウの動きに変化を与えることはなかったから。

しかしきっちりと、今になりどくどくはミニリュウの体力をうばっていく。

ミニリュウ「リュー………」

憂「お姉ちゃん、トレーナになるっていうことはそういうところも必要なんだよ!」

 「しっかり自分のポケモンの状態もわからないようじゃ、ポケモンだってお姉ちゃんについてきてくれなくなるよ!」

 「ポケモンだって生き物なんだよ」

唯「そうだね、憂。リュー太は私のこと信じて戦ってくれてるんだもんね……!憂には教えられてばっかりだ」

 「でも……それでも、この戦いは負けられないよ。私もようやくやりたいって思うことができたから」

妹からの叱咤は、これからへの激励に聞こえた。

旅にでるなら、覚えておいて、とそういっているように唯には思えたのだ。

そう、旅に出ることを前提に教えられている、そう感じ取った。

だから

唯「それに……私もリュー太も結構な”いじっぱり”だからね。まだギブアップはできないよ」

 「リュー太、これで決めて!お願い!……神速!」

ミニリュウ「リュウウウウウウーー!!」

――ドンッ

ラッキー「らっ!!?らきらきーーー……」パタッ


憂「……負けちゃった。ごめんね、戻ってらきちゃん」

 「でも、なんで毒におかされながらこんな威力が……」

 「……あ、あそこに落ちてるのは皮……?」

唯「へへっ、私のリュー太はなかなかの頻度で脱皮をしちゃう子なのだよっ!」

 「小さい頃からずっと繰り返して、こんなに大きくなっちゃいました!」

ミニリュウ「リュウウー!リュウー!////」

憂「……ふふふ、結局、お姉ちゃんのほうが自分のポケモンのことを理解してたってことだね……」

唯「……でも、憂の言葉はしっかり覚えておくよ。本当に大事なことだとおもうから」

「……うん、お姉ちゃん。それで、旅のことだけど、いつから出発するの?」

唯「うん……近いうちにはもう家をでようとおもってる」

憂「……そっかー、この家もさびしくなっちゃうね」

唯「ごめんね、憂……」

憂「ううん、謝らないで。お姉ちゃんのやりたいことだもんね。応援するよ。それにおねえちゃんがポケモンマスターになったら、私がファン1号だよ、」

 「あと、旅に出る前にオーキド博士のところに行くといいよ。有名なマサラのトレーナーはみんな博士のところから、旅にでているから」

唯「うん、いろいろとありがとうね。出発前にいってみるよ」



「VSラッキー」 〆




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最終更新:2011年06月12日 01:13