――トキワの森


むしとり少年「ちくしょおおお、炎タイプなんて大嫌いだあ!」

唯「へへ、やったねヒー太」

ヒトカゲ「カゲッ!!」

地面に生えていた草が少しはげていた。勝負の跡だ。

唯はすでに二人のむしとり少年と交戦したあとだった。

唯「よーし、これで2連勝だよ」

一人ゴチて、さらに奥へ進む


~~野生のポケモンが現れた

唯「あれは……」

ポケモン図鑑を取り出し、開く

 No.013 ビードル
 もりや くさちに おおく せいそく。
 あたまの さきに 5センチぐらいの 
 ちいさく するどい どくばりをもつ。

唯「ビードルかぁ。毒に気をつけなくちゃ……ってあれ」


ビードルの様子がおかしい

この症状は――

唯「この子麻痺してる……。大変!まひなおし、まひなおしっと」

――最近あの森がおかしい

律の言葉を思い出す。

唯「これでよしっと。もう大丈夫」

ビードル「ビィーー」

体から痺れが抜けたビードルが軽く鳴いて、唯に感謝の意を伝える

その時、あたりの草むらがガサガサと揺れた

唯「……なにかが……いる?でてきてリュー太!!」ボンッ

ボールから1m以上の長い体が繰り出される

唯「リュー太、警戒して……なにかがいるよ」

ミニリュウ「リューー!」

ビードル「びぃぃぃ……」

はりきるミニリュウの傍らに、ビードルがふるえた。

唯「やっぱり、ビードルがふるえてる。おそらく麻痺事件の原因……」

再びガサガサとゆれた草むら。

それを唯は見逃さなかった。

唯「リュー太、あの草むらに電磁波!!」

ミニリュウ「リュウウウウ!!」ビリ

放たれた弱い電撃に反応し、草むらのポケモンが飛びだした。

???「ピカ!ピカピカ!!」

唯「速いっ、リュー太の電磁波が効いてないの……?」

草むらからとびだしたポケモンはスピードを緩めず、ミニリュウの体を掠めて違う草むらに飛び込んだ

唯「速くて、姿があまりみえなかったよ~。リュー太、今度は出てきたところをまきついて!!」

ミニリュウ「リューーー!!」

唯「っ!くるよ!」

再び草むらがガサゴソと揺れた。

???「ピッカーーー!!」

唯「今度は逃がさないよ、リュー太、体で進路を遮って、近づいてきたらまきつく!」

ミニリュウの体が壁をつくり、そこにポケモンは激突した。

速かったそのポケモンの姿が、はっきりと唯の目に映った

黄色の全身に、赤いほっぺ、尻尾には黒のキザキザ模様がある。

唯「!!!!」

唯の目の輝きが増し

唯「かわいいいいいいいいい!!リュー太、ポケモンゲットだよ!!あのポケモンをゲットしてモフモフするよっ!」

ポケモンの情報を見るために図鑑を開く。

 No.025 ピカチュウ
 なんびきかが あつまっていると 
 そこに もうれつな でんきが たまり 
 いなずまが おちることがあるという。

唯「ピカチュウっていうんだぁ!ようし、リュー太、にらみつける!」

ミニリュウがその黄色い体をにらみつけて牽制する

ピカチュウ「ピッ、ピカ!」

少しピカチュウがひるみ、その隙にミニリュウの長い体で周りを囲った

まきついて締め付けようとし、ミニリュウの体がピカチュウの体に触れた時、動きが止まった

唯「……リュー太?」

ピカチュウがニヤリッとする

ピカチュウ「ピッカ!!」

ミニリュウに近寄ってみると、なにが起こったのかがよくわかった。

麻痺状態になっている

唯「……もしかして、あのピカチュウの特性はせいでんきなの!?」

そしてミニリュウを退けたピカチュウがまた草むらにもぐりこもうと走り出そうとする

だが、その時ピカチュウの全身に糸が巻きついた。


その糸がだされている先を視線でたどると

唯「さっきのビードル!ありがとう、これでげっと……」

――ゴロッ

空が光り、ピカチュウのずっと背後に雷が落ちた

ピカチュウ「!!」

唯「!!」

その雷を見たとき、唯は一つのことを思い出した

先ほどの図鑑の情報。そこにかかれていたのは――

唯「……そういうことだったんだ……」

その雷をみてポツリと呟いた。

唯「ビードル、糸を解いてあげてくれないかな?たしかにこの子はみんなにイタズラしてたけど、理由があったんだよ」

いいながら、ピカチュウに近づいていき、

ビードル「ビィーー」

唯は糸が切れたことを確認し、ピカチュウを抱き上げた

唯「この子は、仲間達を守っていたんだ……おそらくあの後ろの草むらのいったいにはこの子の仲間が、もしかしたら子供もいるかもしれない」

そうだよね?と唯は抱え上げたピカチュウに微笑んだ。

ピカチュウ「ピカ」

ピカチュウがコクリと頷き

そして、地面へと下ろされた

唯「逃がしてあげるから、もうイタズラしたら駄目だよ」

ピカチュウ「チュウ……」

ペコリとピカチュウが頭を下げた気がした。

そして背を向け、背後の草むらに走っていく。

唯「あ~あ、残念だけど仕方ないよね。ありがとねビードル。捕まえることはできなかったけど、助かったよ」

ビードル「ビィーー」

唯「リュー太も大丈夫?もう動ける」

声をかけたほうには、脱皮をしたミニリュウがいた。

ミニリュウ「リューーーウ!!」

唯「その様子じゃ、もう大丈夫そうだね。そろそろ行こうか、リュー太」

言ったとき、もう一度ビードルが鳴いた

ビードル「ビィイーー」

唯「……もしかして、一緒に行きたいの?」

ビードル「ビー!!」

強く頷く

そして、今度はビードルを抱き上げた

唯「そっか。じゃぁ、これからよろしくね。君の名前はビー太だよっ!」

ビードル「ビー!ビー!」

唯「それじゃぁ、ボールに入ってね」

そういうと、地面に下ろし

澪からもらった空のモンスターボールをビードルに投げた

カタッと一度だけ揺れ、ボールに収まった。

唯「あたらしい、仲間ゲットだよっ!!」


「VSピカチュウ」〆




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最終更新:2011年06月12日 01:18